児童虐待■虐待の連鎖とは、何か?

2007/10/31 04:43

 

 児童虐待を行う原因とは、何か、とテーマ化した場合、真っ先に囁かれるのが「虐待の連鎖」である。
 しかし、実際の使用例をネットで調べてみると、観念的・思弁的なものが多いのが実情である。
 たとえ具体的な事件例があっても、「虐待の連鎖」と短絡するものが多い。


 たとえば、下のような被告の証言をニュースで知って、「虐待の連鎖」とブログの記事に書き込むケースが多々見られる。


 >弁護側「何をしていた?」
 鈴香被告「最初は仲居さんをしていたが、じきにコンパニオンのほうが収入がいいということで、コンパニオンに変わった」
 弁護側「今度は父に連れ戻された?」
 鈴香被告「父とおじが探しにきて、車で寝泊まりして探していると耳にし、自分から出ていった」
 弁護側「なぜ探しにきた?」
 鈴香被告「連絡しないで家を出たからだと思う」
 弁護側「帰ってからはどのように暮らしていた?」
 鈴香被告「1、2カ月は監視つきのような状況だった」
 弁護側「具体的には?」
 鈴香被告「たばこを買いに行くにも、家から100メートルなのに、玄関から立って見ているとか、買い物に行くときには連れていかれ、1人にならないようにという感じだった」
 弁護側「仕事は?」
 鈴香被告「しようとすれば自由になれると思い探し始め、能代のレストランでウエイトレスになった」
 弁護側「そのほかの仕事は?」
 鈴香被告「そこに集まる飲み屋のママさんたちに誘われ、夜ホステスのようなことを1カ月から2カ月していた」
 弁護側「父に見つかったことは?」
 鈴香被告「あった」
 弁護側「具体的には?」
 鈴香被告「帰宅時間はいつも同じ1時か2時で決まった時間なので、真っ暗な部屋に帰ってきたとき、『待て』と声をかけられ、びっくりした」
 弁護側「それからは?」
 鈴香被告「『お前な、ホステスしているのは分かっているんだ。芸者にするために育てたのではないんだ』と、殴るける、髪をつかんで引っ張り、引きずり回されたりしました」
 弁護側「暴力はその後もあったか?」
 鈴香被告「それが最後だったと記憶している」
 弁護側「それからの生活は?」
 ・・・
【鈴香被告法廷ライブ(3)】仕事を始め、初めて楽しい生活…前夫は能代の浜で“逆ナンパ” 
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/95018/

 見られるように、未成年虐待のケースではない。というのは、その後は繰り返されてはいないし、それ以上に、娘の将来を案じる父親の愛情表現が伝ってくるが、どうだろうか。

>・・・
しかしそれでも この記事を見て思う。 
子どもは親を選べない。 
そして不幸な子どものほとんどが 虐待の連鎖を断ち切れない。 
鈴香自身が虐待の被害者なのだ。 
理不尽な虐待の中で育った彼女には 人の愛し方がわからない。 
その結果が 倫理・感情の欠如を招き 犯罪を招いた。 

http://shoko3848.blog33.fc2.com/blog-entry-427.html


 かと思うと、「虐待の連鎖」とタイトルを出しながら、後で、看板を下ろすケースもある。

■虐待の連鎖 専門家たちによると、自分の子どもを虐待する行為の背後には、親自身が子どものころに自分の親や大人から受けた心の傷が存在している場合が多い。そうした子どもは、その後の人生でも、対人関係やさまざまな日常行動の中で、1=「虐待的な扱い」を受ける体験を繰り返したり、2=立場を代えて逆に虐待する側に立つことで、自分の人間関係を「再現」してしまうことがあるという。美保や内縁男性について、この点は明らかになっていない。

「子ども虐待 家族間暴力の現場から 第2部7/心の傷・きょうだいに影響も」

http://www.saitama-np.co.jp/main/rensai/kazoku/gyakutai/vol02/gyakutai2-7.htm

 他には、「幼児的万能感」が関係しているにもかかわらず、エスカレートする幼児虐待を「虐待の連鎖」と処理されているケースが見られる。

 <最初は、すごい抵抗感があったが、繰り返すうちにだんだん癖になってしまったんです>
 これは昨年七月、三豊郡内で生後九カ月の長女をせっかんで死なせた父親(23)の供述調書の一節だ。「娘が懐かない、言うことを聞かない」などささいなことが暴行の理由だった。
 ここ二年余りの間に、県内で摘発された幼児虐待事件は九件。被害者は生後二カ月から五歳で、三人が死亡、ほとんどが重傷を負った。ことし八月には丸亀市内で父親(25)が泣きやまない三カ月の女児を殴り、傷害容疑で逮捕された。女児は現在も意識不明の重体のままだ。・・・


 ●エスカレート
  供述調書からは、通常の事件報道からはうかがい知れない、すさまじい虐待の実態が浮かび上がる。
 冒頭の三豊郡内のケースは、夫婦と女児の三人家族。生まれた時は「うれしかった」という父親が虐待を始めたのは、子供が四カ月になったころ。背中をつねったのが最初だった。
 <いけないのは分かっていたが、腹が立つと止まらなかった。初めは二、三日の間隔だったのが短くなり、一日に二回もするようになった。

>暴行はエスカレートする。体中をつねる、たたく、かむ。両腕両足をひねり上げる。さらに両足を持って逆さづりにし、両手で首を絞めることもあった。女児の体には傷が絶えず、古いあざが消えては、新しいあざができたという。
 生後七カ月で女児が病院に運ばれた時には、両腕両足が骨折し、一本の骨に何カ所も折れてくっついた跡があった。左右のひじは完全に伸ばせず、内側にもあまり折り曲げることができなかった。
 父親も反省し、いったんは虐待も収まったかに見えた。が、女児は退院から一カ月もたたずに死ぬ。泣きやまないことに腹を立てた父親によって、胸を踏み付けられ、両手で首を絞められて。
>だが、父親は娘を嫌っていたわけではないと言う。<本当は、うんと懐いてほしかった。でも、嫁さんばかりに懐くので悔しさもあったんです>


 父親の潜在的な幼児的万能感については、なんと言えばいいだろうか。
 下の引用にあるように、それは男を酔わせる。
 道を歩いていると、棒切れが落ちていたので、拾った。ふと気づいてみると、棒を振り回していた、というように、その間の記憶が欠落しているのが普通だ。
 その間に、正視しがたい残虐なことが行われているものだ。


>―タンスに閉じ込めるなどの行為は信じられない。
 橋本 何かやり出したときに歯止めが効かない現象がある。少年事件の例を引くまでもなく、相手を死ぬまでたたきのめすという行動が目に付くようになってきた。虐待も同じだ。ダメージを受けた子供を見るとやめるだろうと思われるが一端(ママ)、たたき出すとこれが止まらない。

 ―気持ちがいいのか。
 橋本 なぐること自体に酔うんじゃないのか

・・・

   ◇    ◇
はしもと・みか 愛媛大医学部卒。香川医大精神神経科学教室、馬場病院を経て、平成2年から現職。39歳。岡山県出身。

大西正明、山田明広、山下淳二が担当しました。

(1999年9月6日四国新聞掲載)

http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/065/index.htm


こうして消去して後に残ったのが、ネットでトップにランクインの「虐待の連鎖」

http://www6.ocn.ne.jp/~kokoro/top/gyakutai/BNframe.html

 しかし、私は勘違いだと思っている。確かに、氏の受けた親からの虐待は解離性人格障害を引き起こし、記憶傷害症を伴うはげしいものだとしても、やはり、 「虐待の連鎖」というものではないと思っている。

 強いて言うならば、「世代間連鎖」ではないのか?

 それでも必見の価値は十分にある、と思っている。

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)

 

佐世保市小6女児殺害事件②■ミニバスケットボールとブランコの持つ蟲惑

2007/10/30 01:29

 

 たとえば、公園の真ん中にブランコという遊具がある。
 ところが、姉妹用に二つのブランコがあればいいのだが、ひとつしかない場合、母親はどちらの娘のものというだろうか?

 このケースでは、男の兄弟であれば、兄が先、弟が後、と順番をつければ、それで片付くとこだが、女の子の場合は、そういうわけにはゆかないだろう。
 というのは、女の子の場合は、ブランコで遊ぶことよりも、大好きな男の子の遊び相手となる、美しいブランコになりたいと思っているからだ。


 それでなくてもこの年代の女の子は、恋愛の準備に余念がなくて、ミスは絶対に許さないという、ぎりぎりの生き方をしているものだ。
 仮に乗り遅れた場合、親の介入が一番の原因と考えられるならば、それこそ死ぬまで根にもつことだろう。


 生まれた時点で姉が居るということは、妹にしてみれば、初めからひとつしかない席を巡って、椅子盗りゲームを強いらされているようなものだ・・・。


 この同級生殺害事件の背景には、姉との間のお茶の間のテレビのチャンネル争いにも似た、熾烈な争いが日常的(無意識裡?)に繰り返されていたからこそ、前景に飛び出たものが他ならぬネットでの争いともいえるのではないか。

 被害女児は、加害女児にとっては<姉>であったし、恋愛を妨げる妨害者として立ちはだかった時、めらめらと蛇のような内なる火が燃え上がったのであろう。


 このような考え方ができるならば、加害女児にとってミニバスケットボールとは、ジャンプする「美しいブランコ」に化けられる絶対的な遊具であったといえるのではないだろうか?

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)

 

佐世保市小6女児殺害事件■特異点の明らかなケース

2007/10/29 03:52

 

分析ノート■長崎新聞記事より抜粋

殺害場所■学習ルーム

>六月一日正午すぎ。大久保小では給食の準備が始まっていた。加害女児(11)は怜美さんを学習ルームに誘い
出し、いすに腰掛けた怜美さんの背後へ回った。右手にはカッターナイフが握られていた。

註)加害女児の自宅ではなく、「学習ルームという点に着目。自ら退路を塞いだ上での犯行という見方ができる。

殺害時刻■正午過ぎ

>同上

凶器■カッターナイフ

>同上

事件の背景■「重い」?


>「重い」。五月下旬のことだった。女児をおんぶした怜美さんの何げない言葉が許せなかった。文句を言ったが、逆に怜美さんのHPで反論された。トラブルは、怜美さんら複数のクラスメートと回していた交換日記でも起きた。女児は日記の最後に「NEXT」の言葉と次の担当者の名前を書き添えていたが、怜美さんらがこれをまね始めたことに立腹。「パクらないで」と不満をあらわにし、オリジナリティーへの強いこだわりを見せた。

加害女児の性格■いい子ぶる?

>幼いころから泣くことが少なく、おんぶや抱っこをせがんで甘えることがなかったという女児。家族にとって「育てやすく、一人で過ごすことを好む」子どもだった。


註)もし、「いい子ぶる」という悪意に満ちた被害女児の言葉が的を射るものならば、加害女児は居心地の悪くなった「性格」から脱皮をはかる必要が迫られていたことになる。

家庭環境■女児は父母と姉、祖母の五人暮らし

>「その子は家の中でよく泣いていた。父親が居ると緊張し、居なくなると笑顔を見せた」

>佐世保市の小六同級生殺害事件の加害女児(11)を知る関係者は語る。

>女児は父母と姉、祖母の五人暮らし。周囲には「教育熱心な親」と映った。「夕方五時までに帰らないと。一分でも遅れたらお父さんにたたかれる」。女児は周囲に漏らした。

>関係者は女児の印象を「まじめで親の前では何も言わない子。いい子のふりをしていた」と証言する。

註)惜しいかな、姉との関係が見えてこない。
 対社会的な態度が父親への気持ちと重なるならば、加害女児は「いい子」を演じるだろう。

特異点■ミニバスケットボール部を辞めたころ

>「おまえ、うざいんだよ。とっとと帰れ」

>五年生も終わりに近づいた今年春。事件の加害女児(11)は、同級生の男子を怒鳴りながら追い掛け回した。男子をたたいたり、けったり、自分の頭を壁に何度もぶつけたりもした。

>「優しい子」という周囲の見方が変わり始めた。「最近、怖いよね」。同級生らは攻撃的になっていく女児から次第に離れていった。

>授業中に漫画を描き、ほおづえを突いて居眠りする。以前は見られない姿だった。はた目にも、女児の変化は明らかだった。

>同級生の保護者の一人には、思い当たる原因がある。

>女児は二月ごろ、好きだったミニバスケットボール部を辞めた。「お母さんに辞めさせられた。辞めたくないのに」。同級生にそう漏らした。女児が変わったのは、それ以降だ。
>だが、同級生は女児の変化に気付いていた。「五年生に上がる前から暗くて怖いイメージが強くなって、存在感も薄くなった」。さらなる転機は今年二月、ミニバスケットボールを辞めたころ。女児は「辞めたくないのにお母さんに辞めさせられた」「お父さんが怖い」と口にした。


女児は昨年十二月、自分のホームページ(HP)に自作の詩をつづった。「うぜークラス/ごく一部は良いコなんだけど大半が汚れすぎ。寝言言ってんのか?って感じ」。事件直前の五月、同級生男児を追いかけ足げりするなど暴力的行動が目立つようになった。

註)ミヤサキにおいて、P(=play)とM(=murder)の問題として提起できるならば、この女児の場合は、N(=normal)とA(=abnormal)の問題として提起できることになる。


■殺害を意味あるものと転換させたのは何か?(書きかけ)

 うつの脱出法として、同級生殺害はやむをえざる選択?

 この仮説が立てにくいのは、うつはすべての行為を無意味と処理してこそ、真性のうつと診断できるからだ。
 とすれば、残るは仮性のうつ?

■3種の仮説の検証(書きかけ)

Ⅰ 出世コースの離脱者で、根源的な依存者である。
Ⅱ 女児殺害は、願望挫折に伴う、報復行動である。
Ⅲ 経済的ボスと行動的なリーダーの2面性が顕著。

Ⅰは、父親への恐怖心ゆえに「いい子」を演じていたノーマルな女児が「いい子ぶっている」と悪し様に言われた時、それまでの居心地のよかった「性格」をとっかえる必要に迫られたことがきっかけになって、本当は「悪い子」と開き直ったゆえの犯行と見ている。
 結果的に、人格的な破綻ゆえの犯行ということは、専門家は見ているし、私もそう考えている。
 根源的な依存状態は、仮性うつを仮定すべきか?

Ⅱは、ミニバスケットボールの退部が願望の挫折(静かなるトラウマ)に関係し、この報復的な行動が玲美ちゃんの殺害にどう関係するかは、疑問。
 表層的な願望の挫折は、「やめてよ」というのに、ネットに悪口が書かれたことか。


問題点■なぜ母親は、ミニバスケットボールを退部させたのか、この点が謎として残っている。

Ⅲは、この事件の背景には、姉とのライバル関係があるとみている。

 これは、事件直前の加害女児の描いた絵を見れば一目瞭然と思っているが、学校の関係者が「マスコミには何もしゃべるな」というような状況の中では、無理な話か。

 女性とは、本質的に、センター機能を有する、尻の重い「ボス」的存在と見ている。

 この陰性のボスが、リーダーというあの陸離たる、真に男性的な行動にジャンプするのは、やはり、双脳的な存在の証といえるのではないか。



 事件の持つ禍々しさを見つめ、再犯防止のために検証することも大切だが、一方で、進化の道を歩んできたであろう、一個のアウトローの、禁止という禁止を跳び越えてきたヒトたるはるかなる道のりに想いをいたさずにはいられなくなる。


引用:「長崎新聞」http://www.nagasaki-np.co.jp/press/syou6/index.shtml

参考:「事件一覧」http://www.nagasaki-np.co.jp/press/syou6/index.shtml

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)

 

お宝のミヤサキ論大公開・連発ショー④■「美しい娘の・王」と赤ちゃん神

2007/10/28 04:24

 

 PTSD(心的外傷)患者の日常とは、どういうものだろうか?

 彼の前には、道を阻むような障害物は、きれいに取り除かれている。
 なぜなら、一度ならず壁にぶち当たって、挫けて傷ついた己を護るために、自宅の一室に籠もっているからです。

 無論、日常という時間を生きている。この状況は、トンネルに喩えられるはずです。
 彼の目には、出口の明かりが見えている。しかし、その出口に意味が見出せずにいます。
 出口が見えているのに、無意味な朝がはじまり、無意味な昼を過ごし、無意味な夜を迎えて、無意味な一日を仕舞う。
 そうしてまた、無意味な朝が訪れる。・・・
 薄闇の中で、「こもり」の均一の時間が流れている。けだし、それだけの生である。

 私は今、自分がPTSD患者の一人であることを自覚している。
 この想いを、宮崎勤被告にぶっけてみることにする。


 日本型コンプレックスは、「美しい娘の・王」への複合的感情を意味すると考えています。
 彼神は、娘であることにより愛されますが、一方で、王であるために畏怖感情に襲われます。
 この日本人固有の神の持つ不幸は、具体的なイメージに結びつく証拠がひとつとして残されていないことです。
 ただ、コンプレックスとして日本人の意識下で生き続けておりますから、その存在を仮定することができるのです。

 王としての恐怖の念を取り除けば、彼神は竹取物語のかぐや姫のように、ラブリーな少女として物語の世界に登場してきます。
 現代ならば、アイドル顔にして巨乳の美少女が日本型コンプレックスを持つ男たちの処女崇拝の対象になることでしょう。
 最近では、3年前に起きた長崎小6女児殺害事件の加害女児生徒がロリコン男たちの間で、処女崇拝の対象になりました。

>佐世保市の小六女児同級生殺害事件の加害女児(11)は昨年末ごろから、自分のホームページ(HP)に「衝動」を吐き出すようになった。同級生を激しくののしる言葉、暴力的な自作小説…。前後してクラスでの言動も荒れ始めた。「(HPの)掲示板に嫌なことを書かれたから」。女児は、殺害の動機をそう語った。

>事件後、ネット上の掲示板に、加害女児や被害者と称する顔写真や氏名、自宅の写真など個人情報がはんらんした。昨年長崎市で起きた男児誘拐殺害事件後も、加害少年と称する画像がネット上を飛び交った。今回は加害女児を「かわいい」「悪くない」と崇拝する「ファンサイト」まで出現。ネット社会の「病理」は深化している。
2004年7月4日長崎新聞掲載
ソース:http://www.nagasaki-np.co.jp/press/syou6/kikaku3/04.html

「殺害」によって恐怖の記号が女児に付与された時、もうひとつの記号を求めて彼らは熱狂的になりました。「美少女」であるかどうかです。
 この評判がネットでうわさされると、待望の・ぼくらの願望を叶えてくれる・恐怖の「娘王」の誕生と色めきたったわけです。

 彼神への願望と恐怖という、根源的なアンビバレンツの感情は、正比例の関係ではなく、逆比例だと考えています。
 つまり、娘を母神に置き換えると、その分、恐怖の念が薄められ、反対に、娘を幼女神にすると、恐怖心が強まるのです。
 この考えをさらに推し進めれば、生まれたばかりの女の赤ちゃん神は、度し難いほどの恐怖の威光を放っていたことがいえると思います。

 私たちはなぜ生まれたばかりの赤ちゃんを大切に育てるのでしょうか?

 この問いに対する現代的な説明は、すべて蛇足です。
 なぜなら、彼が神としてこの世に生まれてきたからです。

 そのくせ、なぜ彼赤ちゃん殺しが絶えないのでしょうか。
 これも、彼が神だったからです。


 ミヤサキの連続幼女殺人事件を解明する鍵が、このコンプレックスに隠されていると思っています。

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)

 

お宝のミヤサキ論・連発③■ミヤサキ・ツトムの経歴

2007/10/28 03:57

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
昭和37年8月21日東京都五日市町(現在、あきる野市)の地元新聞会社経営の父親の長男として出生
 生まれつき両手の掌が上に向けることが出来ず、いわゆる「頂戴ポーズ」が出来なかった。このため宮﨑は幼稚園でのお遊戯が「死ぬほど辛かった」と供述している。
中学生のころテレビ番組をビデオ録画して収集する趣味を持つ。
昭和53年4月明大付属中野高校に入学
 学友は、宮﨑の記憶が殆ど無く「目立たないくて暗い人間」という声が多かった。
                        
昭和56年4月東京工芸大学(短期部)の画像技術科に入学
 この頃、宮﨑はパズルに熱中し専門誌にパズルの回答を頻繁に応募していた。が、異性に関しては宮﨑は手の不自由さからコンプレックスを抱き、興味を持っていない様子だったという
1982年秋カメラやビデオカメラを持ち歩くようになり、テニスルックの若い女性のバンチラ撮影を始める(裁)
1982年(S57)末子守であった住み込み人がいなくなった。奇妙な風邪薬の大量服用も見られた。(ウィクペディリア)
昭和58年3月短大を卒業
  
同年4月父親の紹介で東京都小平市の竹内印刷会社に就職
同年夏幼女の裸体や性器を写し始める。
 被告人の居室から押収した女児の裸体写真は、84年(S59年)もしくは85年(S60年)の夏に撮影。
昭和61年3年後に同社退社。
  
昭和63年5月宮﨑が唯一心の拠り所にしていた祖父が脳溢血で死亡。
 万引きは、祖父の死後にはじまる?(宮崎裁判)
昭和63年8月22日今野真理ちゃん殺害。この日は、被告の誕生日の翌日にあたります。
昭和63年10月3日埼玉県飯能市の吉沢正美ちゃんが行方不明。
昭和63年12月9埼玉県川越市で、難波絵梨香ちゃんが行方不明。
昭和64年2月6日(月)埼玉県入間市の今野真理ちゃん宅の玄関ドアの前に、骨などの入ったダンボールが置かれる。
昭和64年2月10日(火)東京都中央区にある朝日新聞東京本社に、「犯行声明」が郵送される。差出人は、「所沢市 今田勇子」。
平成元年3月11日同都同区の朝日新聞東京本社に、「告白文」が郵送される。差出人は、今田勇子。
平成元年5月21日東雲団地の小学校で、女児のパンチラ撮影。
平成元年6月6日東京都江東区の野本綾子ちゃんが行方不明。11日午前11時ごろ、飯能市の宮沢湖霊園の公衆トイレ脇で、バラバラ死体の胴体部分が発見される。
平成元年7月23日午後5時頃東京都八王子市で印刷業・宮﨑勤(当時27歳)は小学校1年生の女子(当時6歳)に「写真を撮らせてね」と近づき数枚撮影した後、車に連れ込み郊外の山林で全裸にしてビデオ撮影しようとしたところを、後をつけて来た女子の父親に取り押さえられて警察に引き渡された。(『事件史探索』)
同年同月24日父親が五日市警察署に「息子が丸一日経っても帰宅しない」と電話。警察は、「八王子署に留置中だが大した事件ではない」と、答える。
平成2年3月30日(金)宮崎勤に対する殺人等被告事件の初公判が開かれる。

 作成途中で、書き換えるつもりでいますが、メーンは、HP『事件史探求』様よりコピー。

■画像は、例の著書です(省略)。
 著書の佐木は、巻の末尾に、次のような考えをしたためています。

>わたしたちは、人間のマイナスの営みとしての犯罪から、せめて教訓を引き出さねばならない。何が宮崎勤をして凶行に走らせたのか、それを解明するのが裁判なのだ。・・・

 それを見て、何を寝ぼけたことを抜かしているんだ、この男は、と思っちゃうわけです。
 そもそも裁判とは、容疑者の違反した行為に対して刑法にある条文と照合して、罪名を着せるなど、国家が「正義を行使」する名分上の行為で、実際には、司法関係者が行っています。 この意味で彼らは、国家の認める法的代理人です。
 ところで、彼らの行為のどこに、「解明」という二文字が書き込まれているというのですか。

 私が特に残念に思うのは、お上が「解明」するものと信じていることです。
 作家のみならず、日本国民の多くが、水戸黄門のような「お上」がやるものと思っており、シモの人間のやることに対して、はなから無視していることです。


 ・・・私のやっていることは、防犯上役に立つプラグマチツクな解明作業かというと、そうではなく、犯罪行動のヒトゲノム的解析?を目標に掲げています。
 書くまでもなく、力不足を痛感チュ~!!

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)

 

お宝のミヤサキ論・連発②■山林の意味と「子午線」

2007/10/28 03:37

 

 リスクを冒してでも、今野真理ちゃん(当時4歳)を被告の思い出の詰まった場所に連れて行ったのは、それ以上の意味があったからだと考えられます。

 「山林=異界」と書きますと、唐突の印象を与えてしまいそうで気になってくるのですが、第三者にとっての目の前にある「山林」とは、木々が欝蒼と生い茂った・ただの山林でしかありません。
 しかし、化け物が棲んでいたジャングルとして、映画などで、二度目に見る時は、最初に見たときとは、違ったジャングルとして見ているはずです。

 なぜ違うかと言いますと、そのジャングルが映像効果によって「怖い」という意味を付与されたからです。
 映像効果によって、それまでの退屈なイメージでしかなかったジャングルが「魔物が棲む異界」と転換されてしまうのです。

 宮崎被告にとって近くの山林は、おっかないという意味は多少は残っていたでしょうが、やはり、幼児の楽しい思い出の詰まった「楽しい異界」であったと、いえるのではないでしょうか。

 大好きだった祖父の亡き後、世間的な常識で頭の中がふやけていた父親や母親や妹や親戚との関係は被告を苛立たせたはず。
 個室は彼らとの関係をシャットアウトできるひとつの密室だったでしょうが、それとは別に、山林は解放的な、(森林浴を兼ねた?)癒される別空間ではなかったのではないですか。

 当時の被告は、家業手伝いの身分ですから、仕事に倦むと、職場を抜け出して何度となく近くの山林に潜り込んでは、山の斜面に寝転がって、「現実逃避(あるいは、幼児退行)」の幼児時代の甘い思い出に浸ったのではないですか。

 そういう意味のほかに、「山林」には、次に挙げるような二つの意味があったと見ています。

  一、「南」という方向性の持つ、「暖かい」というイメージに表される「保護」や「安全」の意味。
  二、四歳という真理ちゃんとの、象徴的な関係(幼児退行)。

 陰陽五行でいう「南」は、「父親」を意味しますが、被告が実感していたのは「南の暖かい国」でしょうから、「母」のイメージではなかったかと思っています。
 上の地図にある、記号EとF(省略)は、栃木の殺人鬼小平義雄の二箇所の殺害現場を示しています。
 栃木は内陸ですから、冬は特別に寒い土地柄でしょう。「南の暖かい国」というイメージ願望は格別に強いのではないでしょうか。

 小平は栃木の日光の出身ですが、殺害現場は栃木県内と東京都内の二箇所に絞れます。 調べてみると、上の地図(省略)のように、子午線が引けます。
 これを私は「殺域」と読んでいますが、小平と宮崎の二人はいずれも生地よりも南側の場所を選んで殺した点で共通しています。

 宮崎が近くの山林のどこで殺害したかは特定できませんが、自宅の「真南」ではないかと推理。
 もしこれが事実ではないにしても、「殺域」の存在が証明できれば、犯人の住処がしぼりやすくなり、早期逮捕につながるのではないですか。

 例外としては、愛知県岡崎市で起きたホームレス花岡美代子さん(69)殺害事件があります。
 この事件の首謀者である木村寛邦容疑者は、実家(同県幡豆町)と殺害現場は、「真北」の関係にあります。確かに、「真南」ではないですが、子午線は「健在?」しています。

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)

 

お宝のミヤサキ論・連発①■PとMの問題提起

2007/10/28 02:45

 

 小平義雄と宮崎勤の二人は、連続殺人を犯した点で共通していますが、さらなる共通点として、それまで好きな対象(成人女性と幼女)と遊んでいた(play=P)のに、ある日を境に、好きな対象を続けざまに殺しています(murdar=M)。
 これを「PとMの問題」として、問題提起します。

 なぜ問題提起するのか、という問いに答えるよりも前に、何が問題なのかを先に明らかにする必要があります。

 問題を簡潔にしますと、PとMは連続するのかしないかの問題です。

Ⅰ 仮に、連続するという考え方に立ちますと、女遊びに興じている男たちは皆、後に殺人鬼に化ける可能性を秘めているということになり、防犯上、女遊びする男たちは全員取り締まるべきという考え方が導かれることになります。
Ⅱ 反対に、連続しないという考えに立ちますと、連続しないものがなぜ連続するのかと、ジレンマを抱えることになります。

 Ⅰの考え方が論外とするならば、残るⅡの考え方を採用するしかなく、これには、今述べましたように、深刻なジレンマを抱えています。

 これまでの私たちは、このジレンマの問題を抱えたまま、連続殺人事件ついて論評するという過ちをそれと知らずに犯してきたわけです。
 と、書きますと、「過ち」とするのは、いかがなものか、と反論する声が聞こえてきますが、その前に「ジレンマの問題」が見えていましたか、と質問を浴びせます。

 ジレンマを抱える「PとMの問題」こそ心理学上の「特異点」ではないか、と私は考えました。
 これには、軽々しく取り扱うことができない大問題という意味も含んでいます。

 「特異点」という言葉は、本来は数学用語ですが、前に書いたように、まるで判っておりません。天文用語としてなら、なんとか。
 つまり、この宇宙がビッグバン理論モデルとして仮定できるならば、その始りを極小の点としてとらえ、それをビックバン理論モデルの「特異点」と呼んでいます。
 一方で、始りがあるのならば、終りもあることになりますから、宇宙の始りと終りの「接点」が仮定できるのに、それが説明できないために、ビッグバン理論モデルの欠点と取り沙汰されています。
 下は、十年ほど前の古い文献ですが、解説のわかりやすさを買って引用しました。

宇宙はどのようにして生まれ、宇宙の未来はどうなるのか?「ビッグバン宇宙モデル」に従えば、われわれの宇宙は100数十億年前にビッグバンという原初の爆発によって誕生した。空間はビッグバンを起こした無限小の点(特異点)から広がり、時間もこのときに始まった。だが、この宇宙モデルはその瞬間よりも前の状態については何も語ることができない。そして、それについて問うこと自体が無意味だという。しかし、そのような答えで誰もが満足するわけではない。宇宙に始まりがあるならそれ以前を、宇宙に終りがあるのならその後を考えたいのが人間である。(96/11発行「科学十大理論」学研より引用)

 見られますように、私たちは連続殺人鬼についてもビッグバン理論モデルの考え方に立って、彼殺人鬼を観察していたのではないでしょうか?

 と言いますのは、明らかなことは、彼は殺人鬼としてこの世に誕生したのではないことです。 ある日を境に、突然に、殺人鬼としての道を歩き始めているわけです。
 その道の始めを「動機」とし、始りを説明できれば、いわば「わかった」と処理してきたのではないでしょうか。

 当然、この処理の仕方には、人は動機を持つだけで、次々と人を殺せるのかという疑問を投げかけます。

 では、反対に、これといった動機が見当たらないからと言って、私までもがコリン・ウィルソンのように「動機なき快楽殺人」として処理したがっているとは、思わないでください。

 とにかく、「MとPの問題」として、問題提起します。

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)

 

岡崎ホームレス殺人事件■主犯格木村邦寛被告(犯行当時28)の分析ノート

2007/10/27 12:09

 

主犯格木村邦寛被告の経歴(書きかけ)

1978年頃 愛知県幡豆町にて自営業の父親の長男として誕生。
(これまでのところ、母親の顔が見えずにいる。4人兄弟というから、生後の数年間は母親と過ごしていたことになる)
中学生時代は、いじめられる一方、後輩に対しては高圧的な態度であったとか。
1994年頃 中学卒業後、父親の故郷・北海道の専門学校に進学。溶接技術を身に付ける。
1997年頃 一時期、父親の溶接業を手伝っていた?
1998年ごろ 成人式で再会した木村容疑者は、別人になっていた。「不良のような雰囲気が漂っていた」。街で会うと、けんかの話を自慢げにしたという。
(この間は、職を転々。ホームレスも経験)
2006年9月18日 派遣会社に就職
2006年10月18日 突然、無断欠勤 

2006年11月19日 ホームレスの花岡美代子さん(69)の殺害において、主導的な役割を果たす。

下の記事は、いずれも中日新聞。ただし、日付は、不明。

>鉄パイプで女性殺害/愛知・岡崎ホームレス襲撃

>愛知県岡崎市でホームレスの女性(69)が殺害された事件で、襲撃に関与した中学2年の少年(14)らが県警捜査1課、非行集団対策課、岡崎署の捜査本部の調べに対し、「現場付近に落ちていた鉄パイプで(女性を)殴った」と供述していることが分かった。

 調べでは、少年ら同級生3人は、別のホームレス男性(39)から財布などを盗んだ疑いで21日に逮捕された本籍同県幡豆町、無職木村邦寛容疑者(28)と共謀。11月19日未明、岡崎市板屋町の明神橋下の乙川河川敷で、女性を殺害し、金を奪った疑いがもたれている。

 捜査本部によると、女性は顔や体をめった打ちにされて、肋骨(ろっこつ)を複数折ったり、脾臓(ひぞう)が破裂するなど背中をひどくたたかれたりした状態で20日朝、遺体で発見された。

 凶器となったパイプは女性が暮らしていた明神橋で、耐震補強工事に使われており、現場付近に多数置いてあった。

 同本部によると、木村容疑者はかつてホームレス生活をしていた時、この女性がある程度の金を持っていたことを知っていたとみられる。少年らに対し、証拠が残りにくいよう現場調達した凶器で女性を襲うよう指示した可能性が高い。

 木村容疑者は一連のホームレス襲撃の犯行後、少年たちに対し、現場に足跡を残した靴を捨てるよう指示したとも供述。捜査本部は一連の襲撃事件について、木村容疑者らが周到な計画を練り、少年たちを引き込んだとみている。

 ◇主犯格・木村容疑者「目立たない存在」

 愛知県岡崎市のホームレス連続襲撃事件で、窃盗容疑で県警捜査本部に逮捕された木村邦寛容疑者(28)。中学生3人を率い、ホームレスの女性(69)を殺害するなど一連の事件を主導していた姿は、中学時代の容疑者を知る同級生たちを、一様に驚かせた。「目立たない子だったのに」

 中学校の卒業アルバムに写る木村容疑者は色白で小柄。おとなしく、運動も得意ではなかった。同級生からたびたび、集団でいじめられた。見かねた女子生徒が級友に仲裁を促したことも。

 「人を動かすことはできなかった。むしろ命令されるパシリ(使い走り)のような存在だった」。同級生の男性(28)は記憶をたどる。

 その一方で、おとなしい友人や後輩には威圧的な態度も。そんな行動が同級生には生意気に映り、再びいじめられる悪循環だったという。

 木村容疑者は中学卒業後、父親の故郷・北海道の専門学校に進学。溶接技術を身に付けて一時期、父親の溶接業を手伝っていた。

 男性が成人式で再会した木村容疑者は、別人になっていた。「不良のような雰囲気が漂っていた」。街で会うと、けんかの話を自慢げにしたという。

 木村容疑者は、今年9月18日から1カ月間、岡崎市の派遣会社に勤め、派遣先で荷役作業に従事した。「仕事はまじめで言葉遣いも丁寧、物静かな男だった」と上司は語る。だが、10月18日に突然、無断欠勤し、それ以降、連絡は途絶えた。事件はその1カ月後に起きた。

 「より弱い者の中で威張ろうとしていたのだろうか」。中学時代の姿と、事件を起こした木村容疑者の行動が、同級生たちにはだぶって見えた。(中日新聞

>愛知・岡崎のホームレス襲撃/28歳男、出頭直前に一度逃走

>愛知県岡崎市で相次いだホームレス襲撃事件の主犯格とみられる木村邦寛容疑者(28)が21日、逮捕された。一回りも年齢が違う中学2年生の3人と寝起きを共にし、4人で凶行に及んだことをほのめかし始めている。「素直に犯行を認めているが、反省の言葉は聞いていない」。県警の捜査本部は、事件の全容解明に向けて鍵を握る木村容疑者と向き合う。

 木村容疑者は11月中旬の事件後、愛知県幡豆町西幡豆の実家に戻っていた。父親に説得され、今月16日夜に出頭しようとして岡崎署へ向かった。ところが、同署の駐車場に着くなり、父親に「最後にたばこを吸わせてほしい」と言い残して乗用車から降り、姿を消した。20日夜になって岡崎市内の路上を歩いていたところ、捜査本部員に見つけられた。

 捜査本部によると、木村容疑者は溶接の免許を持っており、以前は人材派遣会社を転々としていた。現金がなくなったら働き、仕事が嫌になったら辞めるという繰り返しだった、という。

 事件の直前から、共犯の少年宅に転がり込み、全員で寝起きを共にしていたらしい。「どこでも寝られるし、自由気ままな行動などは、まるでホームレスのよう」。木村容疑者を捜査員は、こう例える。少年の1人の父親と同じ会社にいたことがあり、この少年宅を訪ねたのがきっかけで付き合うようになったらしい。

 木村容疑者の実家は、名鉄蒲郡線の線路わきに建つ木造2階建ての古い1軒家。家の前の駐車場には、ヘルメットなどの工具類が散乱。21日朝は人の気配はなく、家の中からは飼っていると思われる数匹の犬の鳴き声だけが響いていた。

 木村容疑者を知る中学時代の同級生(27)は「どちらかといえば誰かについていくタイプ。暗くはないけれど内気な少年だった」と話す。

 ただ後輩には高圧的な態度をとることがあったといい、「同年代には何も言えなかったけれど、年下の人間には命令をしたがっていた」と振り返った。

 木村容疑者の逮捕の一報を聞き「そんな度胸があるとは思えない」と驚いていた。

 近所に住む70代の女性は「あまり近所づきあいをしていない家庭。子どものころは、兄妹4人で仲良くしている姿をよく見かけた。岡崎のホームレス襲撃事件にかかわっていたなんて信じられない」と話していた。

 ◇「命大切に」緊急集会 関与の少年が通っていた中学校 

 愛知県岡崎市で相次いだホームレス襲撃事件にかかわっていた同市内の中学2年生の少年3人が通っていた市内の中学校で21日、緊急の全校集会があった。

 同市教育委員会からの通達に基づき「命の大切さを訴える緊急の全校集会」として開いた。校長が生徒に対して、事件の概要を伝え、同年代の中学生が起こしたことを説明。「大切な人の命を奪うことは絶対にあってはならない重大なこと」といさめた。

 続いて、末期がん患者と小学生の触れ合いを通して、互いに支えながら生きる大切さを描いた法務省制作のビデオ教材を観賞した。観賞後、教務主任が「人は多くの友人や家族と結ばれており、人を悲しませるような行動はいけない」と補足した。生徒たちは感想文を書く予定という。市教委によると、生徒たちは話に真剣に耳を傾け、ビデオを見ながら涙を流し、深く考え込む生徒もいたという。中日新聞


分析ノート■木村邦寛被告(28)における3種の仮説の検証(書きかけ)

Ⅰ 出世コースの離脱者で、根源的な依存者である。
Ⅱ ホームレス殺人は、願望挫折に伴う、報復行動である。
Ⅲ 経済的ボスと行動的なリーダーの2面性が顕著。

この仮説の前提にあるのは、双脳的な人間存在である。Ⅰはボス的な機能に関係し、Ⅱはリーダー的な機能に関係し、Ⅲにおいて両機能のアンバランスなどを問題にしている。

Ⅰの依存状態は、年下の少年に依存とすべきか?
 出世コースからの離脱は、職を転々とするなどすでに明らか。
 そのあとのコース回復の努力が見られず、反対に、ギャング団を育てようとした。
 
Ⅱは、二通りが考えられ、単に金欲しさの犯行と考えられるならが、挫折に伴う報復として暴行を行い、人を殺したという考え方と、もうひとつは、病的な女性憎悪。仮に、女性願望の挫折の報復的な現われが、花岡さん殺害に関係しているという考え方。
 後者の意味だと、花岡さん殺害は計画的なもので、一連のホームレス殺人事件はカムフラージュということになる。

Ⅲは、主犯格という意味では、ボスである。が、そこに経済的ボスのイメージはない。

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)

 

岡崎ホームレス殺人事件■もうひとつの、二の句の継げない問題(その2)

2007/10/27 07:15

 

 少年らの犯人グループが逮捕されると、彼らの家庭環境が次第に明らかになってくるわけですが、その中に二人の不登校の生徒が混じっていて、その不登校の理由が食費も払えないからというように、極貧の母子家庭の子供という、またしても二の句の継げない問題に突き当たります。

 昨年の11月といえば、9月下旬に安部総理が誕生していますから、前総理の小泉の改革路線の影響をもろに受けた極貧の母子家庭という言い方は、許されると思います。
 経済諮問会議などの民間人の政策提言を採用した結果が貧富の格差を生み、貧しいものに対しては自己責任という責任観が根を張りました。
(一方で、大企業の法人税を引き下げ、浮いた金を自民党に還流させる、阿漕なシステムを作ったとみています)
 ですから、校内イジメなどの理由で不登校になれば、教育関係者にはそれなりの責任を負わせることもできますが、経済上の問題が絡んでくるとお手上げでしょう。
 ついこの間まで、給食費の未納問題なんかが大きく取り上げられるご時世なんですから。

 そういう索漠とした思いに駆られる一方で、中には教育に熱心な母親がいることを新聞記事で知って、救われているなと思いました。

>毎朝、部活の朝練に出かけ、家では両親に学校での出来事を話していた少年から、事件に関与した同級生二人の名前を聞くようになったのは、今年の夏休み明けだった。11月になると頻繁に耳にした。
 携帯電話の通話料が月額3、4万円に膨らんでいた。父親が厳しくしかると、翌日からの数日間、家出。ホームレス襲撃事件で19日に送致された少年(14)の家で寝泊まりしていた。そこに事件を主導した28歳の男もいた。
 ・・・人の痛みのわかる子になれ、と言ってきた。不登校だった他の二人の少年に「説得しなさい」と話すと「わかったー」と朝5時に起きて家に飛び出しても行ったのに。
「子供同士ばかりが友達で、親同士が知らないのは変」と、母親は三家族の交流として自宅でバーベキューパーテイーを開いた。それが12月2日。母親は知らなかったが、息子たちが関与した襲撃事件から2週間がたっていた。
 それから6日後の8日に再び家出。もう、自宅には寄り付かなくなった。他の少年の家などを転々としていたようだった
 事件について母親は「やったのは本人の意思。『間違ったことならやってはいけない。巻き込まれそうなら逃げてもよい』と育ててきた。なぜそれができなかったのか」。もどかしさが交錯する。
18日に息子が少年が収容されている少年鑑別所で面会した。互いに泣くばかり、ほとんど言葉にならなかった。・・・(ソースは、不明)

 この母親ならば、少年非行の舞台裏を明らかにしてくれるだろうと期待したい一方で、少年の言葉を伝える記事は、どれもこれも戯言ばかりだから呆れてしまいます。
「ヤクザになりたい」とか、「『事件が彼のトラウマ(心的外傷)となり、かなり疲れているように感じた』と多田弁護士」。・・・(ソースは、不明)

 「トラウマ」云々は、母親のネグレクトが問題の生徒のひとりですが、仮にトラウマと言える状態ならば、該当少年はそのトラウマゆえに後の事件には加われなかった、といえるはずです。
 そうだとすれば例外的なケースともありかなと、思うところですが、実際はどうなのでしょう。



分析ノート■少年らの3種の仮説の検証(書きかけ)

Ⅰ 出世コースの離脱者で、根源的な依存者である。
Ⅱ ホームレス殺人は、願望挫折に伴う、報復行動である。
Ⅲ 経済的ボスと行動的なリーダーの2面性が顕著。

この仮説の前提にあるのは、双脳的な人間存在です。Ⅰはボス的な機能に関係し、Ⅱはリーダー的な機能に関係し、Ⅲにおいて両機能のアンバランスなどを問題にしています。

Ⅰの依存状態は、主犯格の男の言いなりになっている点で明らか。
 出世コースからの離脱は、「家出」や「不登校」ですでに明らか。
 そのあとのコース回復の努力が、まったく見られないのが少年の特徴というべきか。
 
Ⅱは、甘えたいばかりの気持ちが満たされず、襲撃事件に化けた?(ここは、書きかけ)

Ⅲは、主犯格という男(ボス)を「司令塔」として仰ぎ、一連の「ホームレス襲撃」は、男の指示を守ったがための従犯的な突出的な行動だが、その後の車の窃盗と強盗は、どう説明すべきだろうか。
 主犯格の木村邦寛容疑者の指示に従い、県外に逃亡させるために、車を奪ったということか?

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)

 

岡崎ホームレス殺人事件06念11月■二の句の継げない問題(その1)

2007/10/27 03:50

 

 この事件は、昨年の11月20日朝に河川敷で、小屋掛けしていた花岡美代子さん(69)の死体が通行人に発見されて、警察に通報。
 その後、警察が調べたところ、6日から22日の2週間余の間に7件(報道記事は、8件?)ものホームレス襲撃事件が発覚しました。
 下の表は新聞記事をメーンにして入力したものですが、ソースが不明です。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         
日時場所被害者概要
①6日(日)
            午前二時
葵町・
            北岡崎駅
男性(70)若い男4人に暴行を受け、2500円を奪われる。
②17日(金)夜
            ~18日(土)朝
葵町・
            北岡崎駅
男性(77)若い男3人に殴打される。救急車で搬送。
③19日(日)
            午前一時
明大寺町・乙川河川敷警備員男性
            (39)
男4人に五千数百円を奪われる。
④19日(日)
            午前3時10分
間宮町・
            公園
男性(54)若い男4人に「金を出せ」と脅され殴られる。
⑤20日(月)
            午前4時
康生通南・
            乙川河川敷
男性(73)若い男4人に「財布を出せ」と言われる。財布は空だった。
⑥20日(月)午前
            6時55分
板屋町・
            乙川河川敷
花岡美代子さん(69)激しい暴行の跡がある他殺体で発見。年金が奪われる?
⑦22日(水)午前4時半明大寺町
            乙川河川敷
警備員男性
            (39)
男二人に暴行を受け、6500円を奪われる。

 犯人グループは、ホームレス殺害後は、逮捕を恐れておとなしくしているんだろうと誰しもが思うところですが、実は違っていました。
 丁度一ヶ月後の12月19日のこと、犯人グループの中二人が岡崎市の北隣の豊田市まで出かけ、車を盗んで乗り回し、溝に車輪を落として動けなくなると、今度は暴力で軽乗用車を奪って逃走。この時に被害に遭ったドライバーの通報で逮捕されています。

 大胆不敵というか、少年らの犯人グループの無軌道ぶりが明らかです。

 犯人グループが逮捕されても、花岡美代子さん殺害の犯人グループということまでは、すぐにはわかりません。
 これには、3番目に襲撃された警備員男性から奪った(拾った?)携帯電話の通話記録から、足がつき、一連のホームレス襲撃事件の犯人グループだろうと目星をつけられ、ホームレス殺害を自白させた上で、御用の身となっています。
 その後の取調べで、犯人グループは、20代の主犯格が別にいて、逮捕された三人の少年たち(後に、4人と書き換えられる)は従犯格ということがわかりました。


 下は、少年の逮捕の後に、主犯格の木村邦寛容疑者(28)が2日後に逮捕された時の報道記事ですが、見出しにあるように、毎日新聞社だけが他社との違いを鮮明にしたいと思ったか、<路上生活者殺害>という呼び名を使っています。
 

<路上生活者殺害>「アジト」は中2の自宅 親の目なく集結 (毎日新聞)

2006年12月22日15時00分 

>愛知県岡崎市の乙川河川敷で11月、テント暮らしの無職、花岡美代子さん(69)が殺害されるなどした路上生活者襲撃事件で、強盗殺人の非行事実で補導された同市内の中学校2年生の少年(14)の自宅が、襲撃に出掛ける際の集合場所や、謀議の場などの「アジト」となっていたことが22日、分かった。この少年の父親が不在がちなど家庭が複雑で、たまり場となりやすい環境だったことが非行を増長させた一因となったのではないかと県警岡崎署捜査本部はみている。

 捜査本部は22日、一連の事件を主導したとされる住所不定、無職、木村邦寛容疑者(28)を、路上生活者の警備員男性(39)から現金などを盗んだ窃盗容疑で名古屋地検岡崎支部に送検した。近く花岡さんへの強盗殺人容疑で再逮捕する。

 補導された少年の自宅は集合住宅。関係者によると、家族が2室に分かれて住み、少年と父がこのうち1室を主に使っていたという。だが、父は帰らないことも多く、親の目が届きにくい中で、父親の元同僚だった木村容疑者や家出した中2の同級生(14)がたびたび寝泊まりするようになった。

 少年らは日ごろから自転車を主な移動手段とし、この住宅から深夜徘徊(はいかい)を繰り返すようになっていったという。先月19日未明に花岡さんが殺害された事件の前にもここに集まって河川敷に出発。また、殺害後も新たな襲撃の計画などをここを拠点に行っていた。

一方、花岡さん殺害に使われた棒状の凶器は、現場近くの工事現場で足場を組むためなどに使われていた鉄パイプの可能性が高いことが22日、新たに分かった。捜査本部がすでに発見、押収している。【加藤隆寛、山田尚弘】

 繰り返しますが、毎日新聞だけがこの一連の事件を「路上生活者」と報じています。
 これは誤解を生みやすく、訂正すべきでしょう。
 というのは、殺された花岡美代子さんは、乙川河川敷で小屋掛けしていたのですから、厳密にいえば、路上生活者ではありません。
 
公園型ホームレスにはテリーの意識がありますが、このテリーの意識を持たず、寝床をあちこちと移動させながら路上生活を営むものを「路上生活者」と呼ぶべきです。

 実を言いますと、この呼称には、二の句の継げない問題が隠されています。
 名古屋市の公園内はどこもといっていいほど、「小屋掛け禁止」という札をかけています。
 通行人は、その札を見て、ホームレスに対して小屋掛けを禁じて、彼らの住まいなど市はどうするのだろう、と素朴な疑問に襲われると思います。
 当然、そういう問題意識は札をかけるとき、市職員は持つと思われますが、仮に、何の疑念も抱かず、条例に適った・正しい法的な対応と思い込んでいるのであれば、非情なシステムが見えてくると思います。


 一方で、新聞記事にホームレスの訳語として「路上生活者」という呼び名が定着すると、違法な占拠者としての公園型ホームレスの存在が見えやすくなります。
 言葉を変えると、公園などで小屋掛けしていても、彼らの本当の姿は「路上生活者」という見方を持つわけです。

 つまり、その言葉には、一円の税も払わぬ路上生活者ごときがテリー意識は持つとはけしからん、とでもいうようなお上のお叱りを共有する立場に転換する仕掛けが隠されていると・・・。

カテゴリ: 事件です  > 事件    フォルダ: 指定なし   このエントリをイザ!ブックマークに追加 (0 user)

コメント(0)

 | 

トラックバック(0)