薬の候補になる物質を従来の10倍以上の高確率で発見するコンピューターソフトを、京都大大学院薬学研究科の奥野恭史准教授が開発した。発見に費やす作業時間も4分の1以下に短縮。数百億円にも上る新薬開発費の削減につながる成果として期待される。【朝日弘行】
医薬品開発は、病気の原因のたんぱく質に作用する物質を見つけることがポイント。従来はたんぱく質の立体構造に着目し、結合する物質を探していた。しかし、大半のたんぱく質は立体構造自体が不明。また、見た目には結合しそうになくても、実験してみると作用する物質もあるため、発見効率が悪いのが問題だった。
そこで奥野准教授は、たんぱく質を構成するアミノ酸の配列に注目。配列が似た別のたんぱく質に作用する物質の情報を入力し、候補物質を探索するソフトを作った。この方法で、従来は候補に残らなかった物質も拾えるようになり、わずか1%だった候補物質の発見率が10%以上にアップした。
また、データベースを利用して効率的に作業するため、候補かどうか調べる時間も、これまでの約3カ月から2~3週間に短縮できたという。
毎日新聞 2008年6月1日 地方版