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【国際】

『見物行くな』 『窓開けるな』 ウイグル厳戒

2008年6月17日 朝刊

 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)=平岩勇司】北京五輪の聖火リレーが十七日から行われる新疆ウイグル自治区では独立運動が盛んで、これに絡んだテロや妨害行為を排除するための厳戒態勢が敷かれている。

 区都ウルムチでは、公安当局が十三日ごろからビルやアパートを巡回し「安全上の理由で、リレー期間中は窓を開けてはいけない」と通達した。市民に対しては「リレーを見に街頭へは行かず、テレビ中継を見るように」と呼び掛けている。

 日程は地元でも秘密にされ、同自治区でのリレー開催が発表されたのは十五日午後。リレーの走者やルートも一部を除いて非公開だ。市民からは直前まで「一体、いつ聖火が来るのか」との戸惑いの声が聞かれた。

 ウルムチでは事前に選ばれた市民約三万人が沿道に立ち、走者に声援を送るという。聖火リレーは「民族融和」をスローガンとしながらも、新疆では民衆を遠ざけるように準備が進んでいる。

 中国当局は、ウイグル独立派組織「東トルキスタン・イスラム運動」などが聖火リレーを標的にした破壊活動を計画していると警戒する。一方、ウイグル族からは「テロ警戒に名を借りて民族自治を求める声を封殺している」との指摘もある。

 ウイグル族が集中する地域にある料理店の男性経営者アルキーンさん(40)は「聖火リレーは北京五輪の開催を感じる唯一の機会。自分たちの目で見させてほしい」と困惑した表情を見せていた。

 

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