発想の奇抜さに驚いた。東京―大阪間の高速道路に、貨物列車を走らせるという。名付けて「ハイウェイトレイン」だ。
「東海道物流新幹線」構想として先日、有識者グループが発表した。建設中の高速道路である第二東名、第二名神の中央分離帯や車線の一部を活用し、先端技術を駆使した物流専用の鉄道を敷く構想だ。
コンテナを積んだ貨物列車が、自動運転によって走る。平均時速九十―百キロで、東京―大阪間を六時間半で結ぶ。国土の大動脈であるこの区間のトラック輸送の七割を鉄道に移すことを想定している。
省エネや二酸化炭素の削減による環境に優しい物流への転換を狙う。同時に、トラックドライバーの人手不足解消や、就労環境の改善、大型車の交通事故の減少に役立てるという。
夢のような話だが、提案者は中村英夫・武蔵工大学長ら道路の専門家や物流業界代表で、いたって現実的な立場の人々だ。記者会見では、道路が車専用の空間であるという考え方の転換を強調していた。地球温暖化対策が焦点となる七月の北海道洞爺湖サミットに向け、政府へアピールしていくという。
環境問題への対応から欧州などで、鉄道貨物輸送を強化する政策が進んでいる。思いも寄らなかった発想も、奇抜ではなくなる時代がやってきそうだ。