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消費者庁 生活者重視後退させるな

 政府が来年度創設を目指す消費者庁について、制度設計を進めてきた消費者行政推進会議が報告書をまとめ、福田康夫首相に提出した。これを受けて政府は基本計画を二十七日にも閣議決定し、八月にも召集される臨時国会に消費者庁設置法案を提出する方針だ。

 「国民目線」の姿勢をアピールしたい首相の目玉施策の一つで、消費者行政の「司令塔」と位置づけられる。経済発展のため、産業振興や業者保護を優先してきたこれまでの行政運営から一大転換を図るものとして、大きな意義を持つといえよう。

 報告書は、消費者庁に強力な権限を付与するため、一元的な相談窓口、執行、企画立案、総合調整、勧告の機能を担わせると明記した。それに伴う他省庁からの法令移管は表示、取引、安全、物価・生活の四分野で計三十法令に上る。

 なかでも、公共料金を含めた物価行政を担当させるため、内閣府から物価統制令や国民生活安定緊急措置法、買い占め及び売り惜しみ防止法を全部移管する方針を示した。世界的な原油、食料高騰に伴う物価上昇が家計を圧迫している昨今の情勢から打ち出されたものだ。

 一方で、農林水産、厚生労働、経済産業など関係省庁との共同所管や一部移管となっている法令も多い。既存の省庁にとって、法令は権限のよりどころとなるだけに当初は移管に徹底抗戦だったという。実務は双方で協議して当たらなければならず、省庁間の壁を超えることができるかどうかが、課題となろう。

 首相は消費者庁を二百人規模での発足を目指しているという。行政組織の肥大化を招かないよう、報告書は他省庁から定員、予算を振り替えて再編するという原則を示したが、関係省庁との綱引きが予想される。

 地方の消費者行政の強化も欠かせない。報告書は一元的な相談窓口として地方の消費生活センターを重視し、全国ネットワークの構築を強調しているが、当然のことといえる。財政的な支援措置も求められよう。

 民主党は消費者問題の相談や調査、勧告を内閣から独立した形で一元的に担う「消費者保護官」制度の創設を主張している。ここは反対ありきでなく、互いに議論を深め、知恵を出し合うことで、よりよい仕組みも生まれるに違いない。

 消費者庁の権限や体制を、さらに肉付けしていくのはこれからだ。消費者・生活者視点の行政に向け、霞が関の従来の枠を超えた新たな発想が求められているといえよう。


EU新条約否決 この難局どう乗り切るか

 欧州連合(EU)の新基本条約「リスボン条約」批准の是非を問うアイルランドの国民投票は、反対が賛成を約7ポイント上回り、批准は否決された。EU二十七カ国のうち、既に十八カ国が批准済みで否決は初めてだ。

 二〇〇五年にフランスとオランダの国民投票で批准が否決され、未発効に終わった「欧州憲法」を改定したのがリスボン条約である。一国でも批准しないと発効しないため、来年一月の発効のめどが立たなくなった。欧州統合へのプロセスは再び危機に直面しているといえよう。

 リスボン条約は、EU大統領の創設や多数決の対象拡大など、EUの意思決定を効率化し、国際的な発言力強化を目的にしている。加盟各国は、条約批准を確実にするため、“安全策”として議会で批准する中、アイルランドは憲法上の義務から唯一、国民投票を実施した。

 否決の背景には、独自の立場を取る小国の声や利益が切り捨てられるとの懸念があったようだ。賛成派の主張が浸透せず、条約に対する理解が進まなかったことも影響したとされる。

 アイルランドは、現行のニース条約でも二〇〇一年に国民投票で批准を否決し、翌年再投票して、承認した。しかし、その時は投票率が34・8%と低かった。今回は53・1%と過半数に達しており、低投票率を再実施の理由とはしにくかろう。

 バローゾEU欧州委員長は残りの加盟国に批准手続きを進めるよう求めた。十九、二十日にはブリュッセルでEU首脳会議が開かれる。

 EUの「拡大と深化」は、加盟各国の国益という壁の前に、これまでもしばしば危機に見舞われたが、粘り強い協議を重ねることで克服してきた歴史がある。今回の難局をどう乗り越えるか、注目していきたい。

(2008年6月16日掲載)
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