「弱い兵隊は存在しない。劣悪な将軍がいるだけだ」とはナポレオンの言葉だといい、阪神大震災の時によく聞かされた 官邸の危機管理能力のなさが指摘された折の例えだが、出動した自衛隊にも混乱はあった。指揮官が被災地の地理に疎く、何をしていいか分からないまま飛び出した部隊が渋滞に巻き込まれたりしたのだった そこで、救援隊は被災地の様子を把握してから出動することの大切さを指摘された。先の中国四川省大地震でも、日本に救助を求めるのに時間がかかったのは過去の教訓から見てやむを得ない面もあった 一方で「先手必勝、緒戦は大勢を決める」と言う。遠方からの救援隊は災害発生直後に出発し、途中で行き先を調整できればいい。その調整力が、中越や能登半島地震などの経験から、はからずも向上して各地の救援隊に備わり始めている 石川、富山の防災ヘリが早々と岩手・宮城の被災地に飛んだ。走りながら考える能力を発揮した一例だろう。日常的に危機感を忘れず、万が一の時の決断は素早く、方針変更も柔軟に。災害国日本の「勇将」の条件ではなかろうか。
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