「平沼新党」勝負のとき:平沼赳夫<対談>関岡英之(1)
2008年6月10日(火)18:02平沼赳夫(衆議院議員)、関岡英之(ノンフィクション作家)
福田政権の対中姿勢を批判する
関岡 平沼さんは『月刊日本』5月号や5月11日に出演されたフジテレビの『報道2001』で、「解散前に『救国』新党を立ち上げる!」と宣言され、放映翌日にはそれを『産経新聞』が一面トップで伝えました。いま、日本中が平沼さんの発言に注目していますが、新党構想についてはのちほどじっくりお伺いするとして、台湾の馬英九新総統の就任式に出席され、帰国されたばかりですね。
平沼 ええ、私は日華議員懇談会という議連の会長をしていますから、超党派25名の衆参国会議員とともに行ってまいりました。海外からの来賓は国別ではアメリカ勢がいちばん多かったのですが、日本もわれわれ国会議員のほか、経済界やマスコミも含め、非常に層の厚い、充実した布陣でした。
馬英九新総統の就任演説では英語と日本語の字幕が出ましてね、日本に気を使っている感じはしましたが、演説のなかではアメリカについては触れたのに、日本についてはついに一言も言及がなかった。そこで昼食会のとき、私が日本の議員団を代表してスピーチをする機会があったので、「日本はいま国会会期中にもかかわらず、衆参両院議員が超党派で25名も来台した、これは日華議員懇談会の10%を超える大変な人数で、いかに台湾を重視しているかを示すものです。日華議員懇談会は査証免除の件でも尽力したし、ワーキングホリデー導入でも、日本の国会は『ねじれ国会』で大変だけれど、日華議員懇談会は超党派で民主党議員も来ているから、ちゃんと通して見せます」といったんです。
そして最後に馬新総統に向かって、「4年後の二期目の就任式では、あなたの演説のなかに『日本』という国名が言及されるよう、われわれも努力します」と一本釘を刺しておきました。
関岡 このところチベット問題、北京オリンピック、四川大地震と、中国情勢が注目を集めていますが、平沼さんは先の胡錦濤国家主席の来日や、福田政権の対中姿勢をどう評価されますか。
平沼 胡錦濤と歴代総理経験者との朝食会のときに、安倍晋三前総理がチベットの人権状況の改善を申し入れましたね。そのとき胡錦濤は、「内政干渉だ」などと反論しませんでした。また安倍さんは、中国に不当逮捕されたウイグル人研究者トフティ・テュニヤズさんの釈放を求めました。テュニヤズさんは東大に留学していた人で、妻子はいまも日本にいます。この問題は、中川昭一さんが会長で、私も最高顧問をしている「新・保守政策研究会」が開いたチベット、ウイグルの人権問題に関するシンポジウムで提起されましたが、安倍さんもそれを聴きに来ていた。それを安倍さんが胡錦濤に直接申し入れて、「知らなかった、調べてみます」という回答を引き出したわけです。
しかし本来、これは福田総理が首脳会談で申し入れるべきことです。安倍さんがいってくれたのはせめてもの救いだけれど、福田さんの主義主張なのか、「相手の嫌がることはいわない」ではそもそも外交にならない。チベットやウイグルの人権状況に改善の兆しが見られない以上、福田総理は北京五輪の開会式に出席すべきではないと思います。先日出演したテレビ番組でも、そう明言しました。
関岡 長野で聖火リレーが行なわれた日、私は「草莽全国地方議員の会」と一緒に抗議活動に行きましたが、長野には数千人の中国人留学生が動員されていて、市街は赤旗に占拠されていました。私たちの抗議活動は、人数と声の音量で中国人に圧倒されてしまった。そしてデモ行進をしているとき、メンバーが中国人留学生から暴行を受けたんです。
平沼 いまはインターネットの時代ですから、私も長野に参加した人たちからたくさんメールをもらいました。そうとうひどい状況だったようですね。外国人の留学生に対して、日本政府は最多で年間280万円ぐらいの資金援助をしています。にもかかわらず、そんな行動をとるのは由々しきことです。
関岡 明白な暴行罪の現行犯で、現場には警察官もいたのですが、中国人は1人も逮捕されませんでした。4月26日に長野県警は、「逮捕者は日本人や台湾人(正確には台湾籍チベット人)6名、けが人は中国人など4名」と発表しましたが、5月21日に衆議院外務委員会で松原仁さんがこの件を質問したところ、長野県警が受理した被害届けは日本側7件に対し、中国側は2件だけだったと警察庁警備局長が認めたんです。『産経新聞』でも翌日報道されました。
しかしより大きな問題は、今回長野で起こった騒動はけっして自然発生的ではなく、中国大使館が司令塔となって費用まで負担した組織的動員だった、ということです。これは『朝日新聞』でさえ報道している事実。わが国の主権下で、外国政府がこれほど大規模な示威活動をやって見せたのはおそらく初めてではないでしょうか。3年前に中国各地で反日暴動が吹き荒れたときでさえ、日本国内でこうした事態は起きませんでした。しかし、中国大使館が指令すれば、数千人の中国人が結集して日本に圧力をかけることができる、と見せつけられたわけです。これはもう、治安問題、政治問題と認識すべきでしょう。
福田政権の対中姿勢を批判する
関岡 平沼さんは『月刊日本』5月号や5月11日に出演されたフジテレビの『報道2001』で、「解散前に『救国』新党を立ち上げる!」と宣言され、放映翌日にはそれを『産経新聞』が一面トップで伝えました。いま、日本中が平沼さんの発言に注目していますが、新党構想についてはのちほどじっくりお伺いするとして、台湾の馬英九新総統の就任式に出席され、帰国されたばかりですね。
平沼 ええ、私は日華議員懇談会という議連の会長をしていますから、超党派25名の衆参国会議員とともに行ってまいりました。海外からの来賓は国別ではアメリカ勢がいちばん多かったのですが、日本もわれわれ国会議員のほか、経済界やマスコミも含め、非常に層の厚い、充実した布陣でした。
馬英九新総統の就任演説では英語と日本語の字幕が出ましてね、日本に気を使っている感じはしましたが、演説のなかではアメリカについては触れたのに、日本についてはついに一言も言及がなかった。そこで昼食会のとき、私が日本の議員団を代表してスピーチをする機会があったので、「日本はいま国会会期中にもかかわらず、衆参両院議員が超党派で25名も来台した、これは日華議員懇談会の10%を超える大変な人数で、いかに台湾を重視しているかを示すものです。日華議員懇談会は査証免除の件でも尽力したし、ワーキングホリデー導入でも、日本の国会は『ねじれ国会』で大変だけれど、日華議員懇談会は超党派で民主党議員も来ているから、ちゃんと通して見せます」といったんです。
そして最後に馬新総統に向かって、「4年後の二期目の就任式では、あなたの演説のなかに『日本』という国名が言及されるよう、われわれも努力します」と一本釘を刺しておきました。
関岡 このところチベット問題、北京オリンピック、四川大地震と、中国情勢が注目を集めていますが、平沼さんは先の胡錦濤国家主席の来日や、福田政権の対中姿勢をどう評価されますか。
平沼 胡錦濤と歴代総理経験者との朝食会のときに、安倍晋三前総理がチベットの人権状況の改善を申し入れましたね。そのとき胡錦濤は、「内政干渉だ」などと反論しませんでした。また安倍さんは、中国に不当逮捕されたウイグル人研究者トフティ・テュニヤズさんの釈放を求めました。テュニヤズさんは東大に留学していた人で、妻子はいまも日本にいます。この問題は、中川昭一さんが会長で、私も最高顧問をしている「新・保守政策研究会」が開いたチベット、ウイグルの人権問題に関するシンポジウムで提起されましたが、安倍さんもそれを聴きに来ていた。それを安倍さんが胡錦濤に直接申し入れて、「知らなかった、調べてみます」という回答を引き出したわけです。
しかし本来、これは福田総理が首脳会談で申し入れるべきことです。安倍さんがいってくれたのはせめてもの救いだけれど、福田さんの主義主張なのか、「相手の嫌がることはいわない」ではそもそも外交にならない。チベットやウイグルの人権状況に改善の兆しが見られない以上、福田総理は北京五輪の開会式に出席すべきではないと思います。先日出演したテレビ番組でも、そう明言しました。
関岡 長野で聖火リレーが行なわれた日、私は「草莽全国地方議員の会」と一緒に抗議活動に行きましたが、長野には数千人の中国人留学生が動員されていて、市街は赤旗に占拠されていました。私たちの抗議活動は、人数と声の音量で中国人に圧倒されてしまった。そしてデモ行進をしているとき、メンバーが中国人留学生から暴行を受けたんです。
平沼 いまはインターネットの時代ですから、私も長野に参加した人たちからたくさんメールをもらいました。そうとうひどい状況だったようですね。外国人の留学生に対して、日本政府は最多で年間280万円ぐらいの資金援助をしています。にもかかわらず、そんな行動をとるのは由々しきことです。
関岡 明白な暴行罪の現行犯で、現場には警察官もいたのですが、中国人は1人も逮捕されませんでした。4月26日に長野県警は、「逮捕者は日本人や台湾人(正確には台湾籍チベット人)6名、けが人は中国人など4名」と発表しましたが、5月21日に衆議院外務委員会で松原仁さんがこの件を質問したところ、長野県警が受理した被害届けは日本側7件に対し、中国側は2件だけだったと警察庁警備局長が認めたんです。『産経新聞』でも翌日報道されました。
しかしより大きな問題は、今回長野で起こった騒動はけっして自然発生的ではなく、中国大使館が司令塔となって費用まで負担した組織的動員だった、ということです。これは『朝日新聞』でさえ報道している事実。わが国の主権下で、外国政府がこれほど大規模な示威活動をやって見せたのはおそらく初めてではないでしょうか。3年前に中国各地で反日暴動が吹き荒れたときでさえ、日本国内でこうした事態は起きませんでした。しかし、中国大使館が指令すれば、数千人の中国人が結集して日本に圧力をかけることができる、と見せつけられたわけです。これはもう、治安問題、政治問題と認識すべきでしょう。
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