部下の女性職員にしつこくメールを送ったとしてストーカー規制法違反で起訴された宇都宮地裁判事、下山芳晴被告(55)について、最高裁は16日、弾劾裁判で罷免するよう国会の裁判官訴追委員会に訴追を請求した。東京高裁長官からの報告を受け、最高裁は同日開いた裁判官会議で、裁判官弾劾法が罷免理由に挙げる「裁判官としての威信を著しく失う非行」に当たると判断した。
最高裁による訴追請求は、01年に児童買春容疑で逮捕された東京高裁判事以来6人目。大谷剛彦事務総長は「被害女性の心情を踏みにじり到底許されず、司法への信頼を著しく損なう行為。国民に深くおわびするとともに、各裁判官に対し高い職業倫理を伴った重大な職責を担っていることを認識するよう改めて求める」との談話を出した。
訴追委員会は今後、下山被告から事情聴取するなど調査を進め、国会の裁判官弾劾裁判所に訴追するかどうか決める。弾劾裁判所が罷免の可否を審理し、罷免判決を出せば法曹資格を失う。【北村和巳】
毎日新聞 2008年6月16日 20時20分