ジャパンエキスポ2006 渡航記2006年7月6日〜2006年7月12日 炎の6日間 もりしげ先生に 飛鳥ヤヨイ を書いてもらおう フランスで行われる第7回「ジャパンエキスポ」にもりしげ先生が参加されサイン会が開かれるとの事。これは行くしか!てなわけで行ってきましたフランス。 フランスには半年に一回ぐらいのペースで来ているので、逆に自分にとって好都合。 相変わらずフランス語はダメですが、片言と心意気ぐらいで簡単な意思の疎通ができるのであまり問題ありません。しかもヨーロッパのマンガ好きはある程度日本語を理解する人が多いのでそんなに困ることもないでしょう。 この時はまだ行けば何とかなるだろうぐらいの認識しかありませんでした。 実際はそのような甘いものではなく、サインを手中に収めるには壮絶な戦いが待っていたのです。 その日の夕方、朝飯がうまいらしいだけで決めたホテルに到着。 明日からのジャパンエキスポに関して持っている情報を整理してみます。
日本から色々と調べてみたのですが、詳しいことは何ひとつ分かりませんでした。 おそらく8日のコンフェランスが行われる際にサイン会が開かれるのではないでしょうか? 三日連続でサイン会なんて事はないだろうと考えて、明日は大会初日ですがパリの街でもうろついてみます。 そしてこの時の判断の甘さが後で猛烈に後悔するようになるのです… ● イベント初日目 ゆっくり朝飯を食べた後、パリの秋葉原バスティーユに行きます。 マンガ喫茶裏バスで野村さん夫妻に挨拶してからマンガ専門店の集まるケレー通りへ。 前の旅行記でもおなじみマンガラケでジャパンエキスポの詳細を聞きます。 デビッドさんは日本語がギリギリ通じる貴重な方ですが、忙しかったかあまりお話できませんでした。 サイン会の事については分からないとの事で、こいこい7の新巻だけ買って終了。 過去いつ行っても閉店だったトンカムが開いていました。店長さんにお話を伺うと流暢に日本語を使われるのでビックリです。なんでも大阪に居られたそうで私が知る限りパリのマンガ専門店の中では一番日本語がお上手。 ジャパンエキスポの事を知っていますか?とお聞きすると色々調べてくれました。 「サイン会の事だけど三日連続で行われるみたい。でな、これロトかもしれないよ。」 「今もりしげ先生会場にいるんですか!ところでロトって何です?」 「えと…くじ引き?ほら当たりーとかハズレーとか…。」 「それって、会場に行ってもサインが手に入らない事もありうると?」 「あるよーっ僕も何回もやられたよ。人数が多すぎると制限するからな、フランスではよくあること。」 どうやら平日の今日でさえ入場数が半端じゃなく多いらしいのと、サイン会の詳細がほとんど明かされていないらしいです。これは今すぐ会場に行って真相を確かめねば。何のん気にしてたんだ俺のアホー! トンカムはフランスでも歴史のあるマンガ専門店です フランス語訳コミックスなら大体あるから僕(店長)に聞いてね 手塚治虫先生のブッダや少女漫画の出版もやってるよ 最近はジャンプ系のいちご100%とかプリティフェイスを出したんだ。 パリに来たらウチにも遊びに来てな待ってるで。 すぐにタクシーに乗って現地に急ぎます。貿易見本市のヴィルパント展示会場は大きいとは聞いていましたが予想をはるかに超えて巨大でした。まさか敷地内から乗り降りできる鉄道駅があるとは!高速道路にもほぼ直通の専用インターがあるし付近には宿泊用のホテルが何軒かあります。それを取り囲む企業ビル郡ときたら、もう・・・雰囲気的に展示会場と言うよりは工業地帯と言った方がしっくりくるのではないでしょうか。海外で行われるイベントだから、マスコミがオーバーに取り上げているのではと思ったりしてましたがとんでもなかったです。 ヴィルパント展示会場2番ゲート前に着きました。ここがジャパンエキスポが行われている会場で、実際に目の前で見ると言葉を失うほどに超大規模な施設です。とにかくでかい! ここからまた更に歩いて入場口でチケットを買います。チケットには二種類あって一日券で10ユーロ、三日券で25ユーロ。三日券の場合は通常11時からの開門のトコロを一時間早く10時から入れる特権がおまけについてきます。もちろんここは三日券を買って中に入ります。 平日の夕方前にも関わらず入場者でごった返す会場内。色々な企業のブースがあって目移りしますが、ここは一直線にサイン会場のTAIFU COMICS(フランス版花右京メイド隊の出版社)のブースを探します。 サイン会場発見!三人の漫画家さんがサインされているところでした。もりしげ先生だけサイン会を開かれているわけではなかったのですね。左端の方はフランスのサイトでお顔を拝見した事があります ”のーぶら” の川津健二朗先生。右端の方は ”大魔法峠” ”ガンダムさん” の大和田秀樹先生でしょう、自画像そっくりです(失礼ですかね?)。 ところで真ん中の方は誰でしょ?どことなくキャプテン・ハーロックに出てくる大山トチローのような雰囲気の方ですが・・・陣内孝則にも似てるかな? もももしかして、マリエルの立て看板の後ろで書かれていると言うことは・・・ もりしげ先生!? うはあ〜っ!松本零士先生の作品がお好きだとは知っていましたが、何だか妙に納得してしまいますた。 えとトチローを知らない人はググって下さい。気さくで義を重んじる男の中の男ですよ。 早速もりしげ先生の列に並んでサインを書いていただくために待ちます。私の順番になった時「ボンジュール」とにっこり挨拶されたので「こんにちわ」と返したらビックリされてました。 「こいこい7の大ファンです飛鳥ヤヨイを描いてくださいっ!」 「え…それはちょっと…(通訳の人を見る)」 「すみません、直筆イラスト入りは現在できないんです。イラストが印刷されているペーパーに先生がサインされますのでそちらから選んでください。」 「ああ、そうなんですか…それではコレに」 「お名前は?」 「小次郎でお願いします。花右京は本当に来月で最終回なんですか?続編とかありますよね?」 突拍子もない質問でしたが、私のようなアフォにも分かるように丁寧かつリアルに答えていただけました。ありがとうございます。 その後もりしげ先生に二枚、川津健二朗先生に一枚のサインを書いていただきました。ですが、やっぱり直筆イラストが欲しいです。どうしても欲しい! 勝手なのは百も承知ですが、飛鳥ヤヨイを描いてもらう為にフランスに来たわけですから。川津先生も描いて頂けるのなら野村ユウキと計2枚、どうすれば描いてもらえるのかサイン会終了のあと通訳の方に聞いてみました。
要するに早朝一発目のサイン会で 列の3番目以内に並ぶことができれば貰えると。 推定一日2万人の来場があるであろうジャパンエキスポで、大会の目玉であるもりしげ先生のサイン会場に3着以内に辿り着けと。 ちょっとそれ、果てしなく不可能なのでは? 「日本からわざわざ来られて申し訳ありませんが、方法はこれだけです。」 「本当にそれ以外の方法はないのですか?」 「ありません。会場の外は7時から並べますので頑張って下さい。」 途方にくれていても仕方ないので、明日なるべく早くサイン会場に到達できるようにルートの確認をします。10時入場門の4番ゲートから会場まで直線距離にしておよそ150メートルぐらい。このポイントは全力疾走になるでしょう。欧米人の脚力に打ち勝つことができるだろうか・・・めちゃめちゃ不安です。 車両は会場まで乗り入れできませんので、駐車場やバス停までの間はケーブルカーに乗って移動します。ただ早朝は動くかどうか分かりませんので、これを利用する事は考えないでおきましょう。 意外と一番早く会場入りできる手段はRER(高速鉄道)でした。エキスポジション駅の目の前に会場がありますし、始発に乗れば苦もなく7時過ぎには並ぶことができます。ただ便利すぎるので鉄道を利用する来場者が殆どでしょうからゲート前で最前列を確保することは困難になると思います。混雑を避ける為、せめて7時前に並ぶ方法がないものか・・・ 何も考えが思いつかないまま会場をあとにしました。もしかして何か食べれば名案が出るかもと思いましたが全然だめです。頭には無理無理無理とそればっかし。 深夜11時ホテルのロビーで知り合いに相談したりずっと試行錯誤していると見かねたフロントの人がコーヒーをいれてくれました。「さっきから何をしているんだ?」と聞かれたので片言の英語で説明します。 「オーケー!これだ。(抜き足差し足をする)」 「(忍び込めってか?) 逮捕されるって!」 「それなら今から行って入れてくれるようにお願いするかだな、タクシー安くするよ。どう?」 お願いして入れてくれると本気で信じているわけではありませんが、考えていても解決するものでもないのでとりあえず会場へ行ってみる事に。そして時計の針がそろそろ明日になろうとしている頃タクシーが到着。動きやすくする為に可能な限り荷物を減らし、ペットボトルと色紙のみ入ったバッグひとつ持ってタクシーに乗り込みました。車窓から見るパリの街がいやに印象的で、気持ちは戦地に向かう兵士の感傷であります。 ● イベント二日目 「クローズ、入れない。」敷地前に到着するやいなや運転手さんの開口一番の言葉。封鎖されたバイパスに下りて辺りを見渡しても誰もいません。当たり前と言えば当たり前ですが、それにしても徹夜組が一人もいないのは何故でしょう?何か変です違和感があります。 関係者用入り口にも来てみました。こちらにも徹夜組がいません。 もしかして、本当に頼めば入れてくれるかもと思いましたが「パスもカンパニーもないビジターは7時まで待ってろ」と言われ(当たり前ですが)断られてしまいました。 警備が厳重で大きなシェパードを連れた警備員が常に見回りに巡回しています。もしかして徹夜組は強行突破して会場の中にいるのではとも思いましたが、あの警備網をくぐり抜けて侵入できたとは思えません。やっぱり一般には知られていない抜け道があるのでは?そろそろ空も明るくなってきて、このままではRERの始発が来てしまいます。そうなったら全てが終わってしまいます。 高速から続々と関係者の車がゲートインする光景を見て、この人たちなら何か教えてくれるかもと思い切って聞いてみることにしました。ズバリ「7時前に会場へ行ける方法を教えてください。ジャパンエキスポに行く善良な一般人ですから、どうかお願いします。」と拝み倒します。少し門番の人と話して「ま、いっか」と顔をされました。 「ふーん、日本人か。英語は分かる?」 「ほんの少しなら。」 「結構、いいかよおく聞け。この道を真っ直ぐ2マイル(5キロ)歩け。RERの線路を越えたら左に曲がる。ここまでは分かるか?」 「分かる。」 「しばらく歩くと左側にエキスポジション駅がある。駅は閉鎖されて入れない。だが駅の近くに線路の下を通って会場の目の前に出れる通路がある。それを見つけろ、分かったか?」 ついに有力情報ゲットーッ!雨が降り出したので、色紙が入っているバッグだけは濡らさないように抱きかかえて急いで駅に向かいます。線路を渡った角を左に曲がる。 閉鎖されているRER駅に到着、そして駅の外に地下道らしき入り口を発見。暗く落書きだらけの入り組んだ怪しい通路を抜けると・・・ 現在午前6時、何とか7時前に並べそうです。雨が先ほどからひどくなってきましたのでゲート前に急ぐと既に徹夜組の人たちが雨宿りしていました。「ボンジュール」と声をかけると「ボンジュー!ヒャヒャヒャー」とみんな元気元気。 10時入場門の4番ゲート前には2・30人ぐらい集まっていました。係員の人が来たら通路ぐらい入れてくれると思いますので、それまで服を乾かします。ずっと抱えていたおかげでバッグの中の色紙は無事でした。よかった〜 しばらくすると、「ボンジュー」と猫耳をつけたイベントスタッフがやってきました。 「ボンジューッ!ネコ、ネコ、ネコミミ!」 「雨降ってるのに朝から元気だなー。」 「イエーッ!ヒャッヒャッヒャー」 「早速だがオマイラ・・・ (両手の親指をグッと後ろにやって) 全員そこから外に出ろ。」 な、なんだってー!!(AA略 本当に叩き出した!みんなネコにブーイングする。ばっちりメイクを決めたビジュアル系の彼女は最後まで抗議していたが結局フェンスの外に退去した。もちろん自分は傘など持っていないので他の人に入れてもらう。 イベントスタッフもどこか普通じゃない濃い面子がそろっていた。左が通称ネコのフランク、右が通称ウサギのジョナサン。ジョナサンはいきなり「蛙の学校」を歌いだしたりする。ゲート最前列の管理をするのが彼等二人の仕事だ。 RERが到着してから急に人が多くなった。雨は相変わらず降ったりやんだりの繰り返しだったが、晴れ間が覗いた時には自慢のコレクションのお披露目会をして暇を潰す。漫画家さんのサインもいっぱいあった。キャプテン翼にああっ女神さまっに聖闘士星矢のアニメ版等々・・・その中でひときわ輝いていた色紙が↓これ! もりしげ先生のシンシア!! 生命の息吹きまでも感じる圧倒的な存在感に会場のバンビーは我が目を疑い、何重にも塗り分けされた職人芸に溜め息を覚えました。今まで数々のサインを見てきましたが、これほどキャラクターをしっかり描かれているサインは見た事がありません。 しかも7月7日だから漢字で「七夕」と書き加えるサービス精神!外人に七夕が理解できるかどうか分かりませんが、そんなものはとっくに超越されておられるのでしょう。 絶対にヤヨイを描いて貰うと決意を新たにしました! この時点でどれだけ並んでいるか分かりませんが段々窮屈になって息苦しい事このうえない状態です(ちなみにここは10時入場の列で一般入場は別)。そうしてたらイベントのお偉いさんらしき人がマリオとピーチ姫を連れてゲート前に来ました。そして次々と運ばれるダンボール。何のつもりでしょう? 「ボンジューッ!ジャパンエキスポに大勢の来場ありがとうッ!!」 「イヤーッ!ハッハッーッ」 「キミタチに素敵なプレゼントがある。今からピーチ姫が投げるから欲しいやつは・・・ 全力でキャッチしろ!!」 いや、ちょっと冗談でしょ?? このすし詰めでそんな事したら大惨事に! 「ギャーッ!」「こっちに投げろーッ!」「ウオーッ!」並んでいたストレスが爆発して予想通りすごい事になりました。後ろからの圧迫で将棋倒し直前まできてます。ここぞとばかりその様子を実況したりカメラに収めるマスコミの人たち。 ウッヒョヒョー大成功じゃワイとばかり満面の笑みを浮かべる関係者。イベントスタッフも止めるどころかスナップ写真まで撮っています。でもこれどう考えても事故が起きなかったのは奇跡です。まあ楽しかったから良しとしましょうか。 入れろコールが鳴り響きますが、10時を過ぎてもゲートが開きません。自分はと言えばゲート直前の最前列をキープ。これはイケる予感がします。あとはスタートするだけ! 開催開始のアナウンスと共にウサギのジョナサンがゲートを開きました。ドッとなだれ込む入場者。「走るな!ゆっくりゆっくり」と制止するスタッフ。コケる後続。「ボンジュー」と丁寧に微笑んでチケットをもぎる受付。「ハリアーッ!!」と叫ぶ自分。サイン会場の位置を野生の勘で探す自分。次々と会場のどこかで歓声が起きる。 イイイヨッシャアアーッ!!! マリエルの前で全身が震え思わず両手の拳に力が入る。やった!やってしまいましたよ!どう見ても一着です。この時点で直筆イラストを描いて貰える事が確定しました! サイン開始は一時間半後ですのでしばらくまた待ちます。ちなみに一番右に座っていらっしゃるのが通訳の方。一緒に並んだニコラスさんは昨日もマリエルを描いてもらったらしく羨ましすぎるっ! そして開始時刻から20分ほど経過したのち先生方が到着。もりしげ先生が着席されて、軽く挨拶したあと昨日と同じ台詞を言います。 「飛鳥ヤヨイをお願いしますッ!」 「はい…はい…。」 @ 下書き まず色鉛筆で全体のあたりをつけるもりしげ先生。 線を目立たせない様に軽く細く、慎重に何度も重ねていらっしゃいます。 ちなみに画像は反転していません。先生が左利きであることがわかります。 A ペン入れ 瞳のラインを出すのに何本もの線を重ねて描かれています。色紙を回転させて角度を変えながら一本一本の線に命を吹き込むもりしげ先生。 肘の下に滑り止めの紙を置き手首のスナップをきかせて正確にペン入れが進みます。 B ペン入れ だんだんヤヨイの輪郭が出てきました。 命を吹き込むと言いましたが、どちらかと言えば魂を削って分け与えていると表現したほうが正しいかもしれません。 極限の緊張感の中で着々と色紙にヤヨイが宿る!昨日考えなしに「ヤヨイを描いてください」と言った自分が恥ずかしい。 C 彩色 ペンの色具合を試し書きをして確認します。主催者の用意したペンも所有のペンも気に入らないご様子で、ついに隣でサインされていたアニメ版花右京の監督さんに借りられました。 たとえサインであろうと絶対に妥協を許さない仕事ぶりにひたすら心を打たれます。 彩色は薄い色から濃い色へ続き、最後に制服の影を二重に表現されていました。 D 完成 見よ!この圧倒的な存在感。 漫画家のサインという概念を根底から崩す完成度のヤヨイ。 一枚に20分以上かけられて、REDで見る本物と寸分違わぬものを描いていただけました。本気モードはファンを大事にするもりしげ先生の心の表れでしょう。 「(これで)いいですか?」と言われた時、感激しっぱなしだったので言葉にならなかったのを覚えています。 サインをいただいたあと舞い上がってしまって当分の間おちついていられませんでした。 素晴らしいものをありがとうございます。 「明日も絶対に一番に並んで蝶野オトメをかいてもらいます!」と言ったら先生が苦笑されていました。 その後の自分はまさにこの世の春。そわそわして会場内を夢遊病者のように意味もなくうろついた挙句、川津健二朗先生のサイン会に三番目以内に並べなかったり、カラオケ大会に出場するのを忘れていたりと普通の状態ではありませんでした。昔から嬉しいことがあるとじっとしてられない性分なんです。 この幸せを一刻も早く誰かに自慢したい衝動にかられ、会場を飛び出してパリの知人まわりに精を出したりとひたすら動き回っていました。どうやらYAHOO!フランスやテレビのニュースでジャパンエキスポが取り上げられたらしく、行く先々で質問攻めにあったりと楽しいひと時でありました。 ● イベント最終日 現在5時そろそろ明るくなってきました。警備員に退去を命じられる危険があったので昨日から茂みに潜んでいたのです。まさかパリまできてゲリラ兵のような真似をするとは思いませんでしたが、これもお宝ゲットのことを思えばこれぐらい平気平気。今日はオトメを書いてもらいます! 何とも幸せな寝顔のミサトが見る夢はお目当ての試写会か漫画家さんのサインか。ビジュアル系お祭り大好きなシャーロットもメイクするだけの臨戦態勢です。「ボンジュー」の言葉が行き交う徹夜組は昨日とメンバーがほとんど一緒。 一緒と言えばこの人たちも一緒、顔見知りと化した徹夜組の一人一人に握手して再会を喜ぶフランクとジョナサン。「オオーッボンジュー!ブッチャケアリエナイー!(とても喜んでいるらしい) 」と陽気なフランクに「ボンジュー、フフフ」と渋いジョナサンのコンビ。自分も覚えてもらえていたようで嬉しい。 昨日何も持っていなかったので、今日はこいこい7の1巻を持っていった。フランス版と表紙が違うのとカラーページがカットされていないので珍しかった様子。フランクはミヤビさんが好きだと言っていた。右は自分は知らないけど韓国の漫画家さんで有名な人らしい。細かく描き込まれたサインはトップレベルだった。 日曜日で最終日のせいか昨日よりも明らかに多い人手。時折強く雨が振ってきてその度に傘を差して寄り集まった。コスプレのフランス大会決勝戦が行われるため出場予定のレイヤーさんだけは特別処置として中に入れて貰えたようです。投げ入れイベントは一般入場門で行われたようです。雄叫びというか悲鳴というか辺りに響き渡りました。 10時になりピリピリした緊張がゲート前の入場者に走ります。そして入場開始をすぎること20分 ついにゲートが開かれました! がっ、想定外のアクシデント発生!! 正面ではなく左右のゲートが開かれたのです。自分は昨日と同じ最前列の真正面に立っていたので完全に出遅れてしまいました。ベクトル的にこれは圧倒的に不利!自分が入場できたのは既に30人ほど飛び込んだ後です。やばいです。サイン色紙が遠のいていきます。 また悪い事は重なるものであせる自分はブースの道のりを間違えてしまいます。何やってんの自分!あーもう、ザ・ワールド!とでも言ったら時が止まるのかーっ! 「ふふふ・・・ずいぶん遅かったジャマイカ。トップの座はmoeムックを持つこの僕がいただいたというわけさ。」 この時のことはあまり触れたくはないのですが、自分は3番目に並びました。まあ、3着以内にイラストを描いてもらえる権利がありますから、一着になる必要などないんですよね。 がっ、ここで最悪の事態が発生!! 「直筆イラストは2番目の人までとします。」 はっ? TAIFUの社長らしき人が確かに今とんでもない事を言いましたよ。通訳の人に自分の聞き間違いかどうか聞いてみると一言ゴニョゴニョと 「ボスに言って・・・」 とコメントを拒否。自分もとりあえず フランス語なので分からなかった 事にしようと、そのまま並んでいました。 最初に二人目のイラストとサインを書き終えた川津先生が対処に困っていると横から社長が「今日は二番目までだから」とあっさり切り落としてます。ちょっとマジかよ!まあ、 この光景も見なかった 事にしました。 そして自分の番、引きつりながらも精一杯の人生最高の笑顔で「 蝶野オトメを描いてくださいっ! 」と 今見聞きした事は全て忘れて もりしげ先生にお願いします。 付け加えて言うならばフランスゴワカンナイデスヨー。 えっ?と社長を見るもりしげ先生。 頼むよ社長さんよーっ! 俺フランス語わかんねーし、あんたも日本語わかんねーだろぉ? 外人の相手はメンドクサイだろー? うんといってくれよーっ! 「ああ今日はね、なしだから。(日本語)」 この社長やけに日本語うめーじゃねえか..... orz 言われている事も分かるんですよ、今日は最終日で最大の入場者だろうし一人でも多くのファンにサインを貰ってほしい。でも連日の重労働で先生の過労も溜まっているでしょう。恐らく午後のサイン会がキャンセルになっているのも同じ理由からなのでしょう。一言だけゴネましたが通らなかったので引っ込みました。 「せめて色紙にサインしてください、字だけで構いません。」 (この時まじでーと目をされたもりしげ先生と川津先生の視線が痛かった・・・) 「はい…それでは…」 小次郎さんへと書かれた直後に筆が止まる。下のスペースが空きすぎるからです。 突然無理なこと言って申し訳ありません・・・ 「もう字だけボーンとでっかく!」 うーんと考えたもりしげ先生が右下に何か書き出しました。素早く丁寧に形作られていきます。社長もそれを見て、何も言わず暖かく見守っています。 「いいですか…?」 太郎が描いてあるー! NGだったはずのキャラを描いてもらえました。 しかも、もりしげ先生独自の判断で! 感動で言葉もありません。ありがとうございます。ありがとうございます。 ごめんねなんてとんでもありません。 実を言って社長が言ったこと理解してました。自分の小物振りがすごく恥ずかしいです。 いきなり変な事を言って困らせてしまい申し訳ありませんでした。 こちらの太郎も生涯の宝物とさせていただきます。本当にありがとうございました。 気になる事があります。もりしげ先生がサインをして下さっている最中、自分はどんな顔をしていたのだろうかと。確かに直筆イラストは無理と言われたとき計り知れない精神的ダメージを喰らいました。気持ちを切り替えて笑顔笑顔と自分に言い聞かせて明るく振舞ったつもりですが落胆の表情ばかり出てなかっただろうか。 極限の状態で人間の本質が出るものですが、はっきり言ってあの時の自分に自信がありません。 ですが最後に「これからも頑張って下さい」と握手したときには自分の気持ちが伝わったであろうと信じています。ありがとうございました。メガロです! ジャパンエキスポは漫画家さんのサイン会だけではありません。フランス国内外のアニメ&マンガや書店のブースはもちろん、居合い切りの実演、カラオケ大会、ファッションショー、プロレス、メイド喫茶にコスプレのフランス大会決勝(勝てば名古屋で行われる世界大会への出場権が!)と様々なイベントが開催されていました。その一部をご紹介します。 特にもりしげ先生はサイン会以外にも花右京メイド隊のコンフェランスに出席、ラベリテの監督さんと夢の対談を果たされていました。萌えとは一体何か?その結論はお二人とも一致して「わかりません」とのこと。 もりしげ先生が漫画について熱く語る場面もありました。 プロレスと多分合気道のブース。プロレスはヨーロッパで巡業中の金丸義信選手と杉浦貴選手も駆けつけられていました。 画像は技の説明ですが、実際に試合もされたそうです。 花右京と同じTAIFU COMICSから出版されているヌードル・ファイター(無敵看板娘)の宣伝ブース。 何かと言えば鬼丸飯店のオママゴトごっこができるセットなのです。 これが意外と人気でブースの前には食べているところを写真撮影しようと列ができていました。 DVD販売ブースです。あしたのジョーや三銃士など80年代の作品が多かったような気がします。 フランスと言えばアルセーヌ・ルパンですが、ルパン三世はフランスではエドガーと改名していました。 フランスでも大人気のナルトと鋼の錬金術師。 アルフォンスかなりでかい。 おおおーっカラオケ大会!ペガサス幻想を歌いたかったですが、この日は無理でした。 右は囲碁大会。…ってか囲碁とか書道とか普通にこなすとはフランスの人ってすごい! ジャパンエキスポ最終日の9日は2006ワールドカップの決勝戦フランス対イタリアが行われました。この日はフランス中がお祭りになり、フランス国旗が舞い踊るパリの中でクラクションは連打するわ道で半裸で踊り狂うわとボルテージは最高潮。 いつもクールで無口なフランスの人がこんなに情熱的だったとは知りませんでした。もうここパリじゃないです。ナポリに近いです。フーリガンらしき団体があちこちで道路を封鎖(なぜ?)したりとパトカーのサイレンが試合前まで鳴り止む事はありませんでした。 試合開始1時間前になると外に誰もいなくなりました。 ヨーロッパでの一般的なサッカーの観戦方法は自宅のテレビよりもカフェに集まってみんなと一緒に騒ぎ立てて応援するらしいです。 自分もパリん子に混じってカフェでフランスを応援する事にします。 話題はフランスの守護神ジダンに集中、ジダンジダンジダンです。 試合開始!熱狂の渦と化す店内 机をバンバン叩いて応援します。 言葉は関係ありません。 熱狂とアルコールでみんな麻痺してますので 勢いに任せて雄叫べばいいのです。 お?お?お? オオ・・・おおぉおお・・・ おおおおおあああああーッ!! ゴオオオオオオル!!! ぷげやあああああああぁ!!!!! この時パリは揺れました。 ぶぎゃああやああ!! ひゃああー!! ぷげやあああああああぁ!! 感動持続中!! 善戦した選手を称えあちこちから暖かい拍手が起きる。 ある人が言った 「選手はみな良く頑張った。退場になったジダンも悪くない。 悪いやつがいるとすればシラク(シラク大統領)だ。 あいつがドイツに行ったから負けた。あいつが疫病神だ!」 「なるほど。」「やっぱりあのハゲか!」 この日は明け方まで呑み騒ぎが続きました。 「漫画家のサインいっぱい持ってるセバスチャンはすげーな、俺はモリシゲとケンジローカワツのサインが欲しいんだ。」 「ノーブラのカワツケンジロー?持ってるよ、ほら。」 「うわっ去年のタイフウフェスタのやつじゃん!写真撮っていい?」 「いいともさ。こうかい?(と言ってポーズをつける)」 「え?あの…セバスチャン…」 「カッコ良く撮ってくれよ!」 「あ…はい…」 ネットポイントで出会った日本人一行は自分の事をご存知の方々でした。 「私たちサイトの旅行記を参考にしてジャパンエキスポに出店したんですよー。」 「うわー感激ですよ、本物の”のーぶらさん”ですね。」 「のーぶらさんだ!」 サイトを御覧になってありがとうございます。 ただ、これだけは言っておきたいのです。 のーぶらってのは私の名前じゃないですからー 「いま冨永愛がきた!奥でラーメン食べてるどーしよー。」 「まじでー?よし色紙にサイン貰ってこよ。」 「いいなー。てか、何でお客さん色紙なんか持っているんですか?」 店員さんと結託してウーロン茶サービスするからサイン書いて下さい作戦を実行する事に。 「私パリコレずっと見てます!モデルの愛さんはカッコよくて憧れています!」と、言う店員さん。 「あなたは?」と顔をされて自分を見る富永さん。 どうしよう・・・デビルマンの妖鳥シレーヌとか言っていいものか?どうする?どう言う? 「はははーいいですよ。」 冨永さんはサラサラとサインを書かれて 「10万円ですから。」 「え?」 「うっそー♪」 明るい方で快く写真も撮らせてもらいました。しかもツーショット写真まで。ありがとうございます。 最後に一言 シレーヌ 血まみれでもきみはうつくしい。 |
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