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【主張】社会保障会議報告 将来コストを早急に示せ

2008.6.16 03:23
このニュースのトピックス主張

 政府の社会保障国民会議が、中間報告の骨子をまとめた。小泉政権から続く一連の構造改革を評価しつつも、医師不足など新たな課題にも直面しているとして、社会保障の機能強化路線に軸足を移すよう求めている。

 必要財源については、「確保を図るべきだ」として増税の必要性を示唆した。追加財源は医療や介護分野を中心に振り向けるべきだとの考えもにじませている。

 少子高齢化で社会保障費は膨らみ続ける。財源問題は年金、医療、介護など総合的に考えなければならない。今後は安定財源の確保策だけでなく、制度間の配分を含めた検討を期待したい。

 会議は、基礎年金の「全額税方式」の財政シミュレーションを行った。今後は医療・介護費用の将来推計も行う。試算することで、給付サービス内容と国民負担の関係が、具体的なイメージとしてつかみやすくなる。

 コストが分からなければ議論は深まらない。政府には、社会保障全体で将来的にどれだけの費用が必要となるのか、早急に明確にするよう求めたい。

 福田政権は社会保障費の伸びを抑制する路線の堅持を明確にしている。効率化できる部分は、引き続き改革の手を緩めてはならない。会議は負担増だけの議論では理解は得られまい。

 一方で、財源規模や消費税など具体的な確保策については言及を避けた。会議の発足前には消費税にどこまで踏み込むかが関心を集めただけに、“懸案”を先送りした形だ。会議は、財源の具体的な在り方まで提言を期待されていることも忘れないでほしい。

 中間報告は機能強化の具体策として、低所得層の年金保険料免除、診療報酬体系などの見直し、子育て支援サービスの充実などを挙げた。これまで指摘されてきたことを列挙しただけとの印象もあるが、いずれも重要な指摘だ。

 一連の改革で制度に思わぬ“ひずみ”が生じた部分もある。政府は、早急に手を打つべき課題では、9月の最終報告を待つことなく具体的検討を進めるべきだ。

 議論はこれからが本番である。政党の参加も重要だが、会議は国民的議論を期待して設置されたものだ。どんな提言も国民の理解が得られなければ絵に描いたもちに終わる。政府は、議論の中身について、国民に丁寧に説明することも求められている。

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