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2008年6月16日

 大騒ぎした英国製「高速水着」の五輪用デザインは、日本人が手掛けることになった。つぶされた水泳ニッポンの面目が、少し回復した

強い締め付けが特徴の水着は、とても1人では着られず、2、3人がかりで1時間近くかかる。まるで戦国武将の戦支度である。水の抵抗を減らすように体を「ミニ改造」し、新しい皮膚をくっつけたような代物を、それでも水着と呼べるのだろうか。「拘束」が生む「高速」である

過度の締め付けが体に良いはずはない。五輪選手は黙々と耐えるが、後期高齢者が着せられた新しい医療制度という水着は、すこぶる評判が悪い。政府は慌てて締め付けの手加減を図る。やめてしまえ、と野党はヤジるが、代わりの水着の準備はない。水泳界より程度の低い騒ぎである

高速水着は五輪でも世界新を量産するだろうが、行き過ぎには早晩ブレーキがかかる。目先のメダル狙いの水着は、いっときのあだ花となる予感もする

高齢者医療は、あだ花では済まされない。が、騒ぎは目先の選挙の思惑ばかりが絡む。戦後ニッポンの繁栄を築いた人たちに、礼を失する日が続く。


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