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朝鮮半島出身者の追悼続ける無窮花の会理事長・裴来善さん死去

 戦時中に筑豊炭田で働いて亡くなった朝鮮半島出身者の追悼活動をしている飯塚市のNPO法人「無窮花(ムグンファ)の会」理事長、裴来善(ペレソン)さん(飯塚市菰田西3)が11日午前1時27分、悪性リンパ腫(しゅ)で死去した。86歳だった。

 告別式は12日正午から、同市菰田西3の17の8筑豊葬祭で営まれる。喪主は妻、朴愛子さん。

 裴さんは1921年、韓国・全羅南道生まれ。43年に日本に連行され、佐賀県唐津市の軍需工場と北九州市の炭鉱で働いた。終戦後は飯塚市内で、ホルモン店経営や不動産業で生計を立てていた。

 86年ごろから、寺の納骨室に無縁仏として安置されていた朝鮮半島出身者の遺骨を収集する活動を始めた。2000年12月、同市庄司の飯塚霊園内に市などの協力で無窮花堂(納骨堂)を建立。現在、112人の遺骨を安置している。

 04年4月に無窮花の会を設立、日韓両政府が連行されて亡くなった朝鮮人の実態調査をした06年には、遺骨捜しに協力した。

 無窮花の会は06年10月にNPO法人化し、裴さんが理事長に就任。しかし、昨年春から体調を崩し、入退院を繰り返していた。無窮花とは韓国の国花、ムクゲ(和名)のこと。

 無窮花の会事務局長の松隈一輝さん(57)は「無縁仏になっていた人の遺骨を丁重に弔う裴さんの姿に胸を打たれた。無窮花堂には韓国からも慰霊に訪れている。日本と朝鮮半島の市民レベルの交流を実現した人だった。悲しいが、遺志を引き継ぎ追悼活動を続けたい」と話した。

2008年6月12日  読売新聞)
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