世界同時株安の発端となった上海株式市場。評論家とは別に、一般市民の反応を知りたくて何人かに尋ねると、皆、株を持っているわ、持っているわ。
スタッフの応援も借りて二十人近い上海人に取材したが、ほぼ全員が株を所有し、しかも今回の急落にそろって楽観的。
その根拠となっているのは、やはり二〇〇八年の北京五輪と一〇年の上海万博だ。二大国際プロジェクトを前に、「株は必ず上がる、もしそうでないと国としてもメンツが立たない」−そんな論理を信じているようだ。
これと雰囲気が似ているのは、昨年までの不動産バブル。周りにいる小金持ちの上海人ほぼ全員が、数カ月程度のマンション転売を繰り返し、人によっては数千万円の利ざやを稼いだ。
ただ不動産も、おそらく株も、庶民がなけなしの金をはたいて、その流れに乗ろうとしたころにはもう遅い。 (豊田雄二郎)
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