荒尾市荒尾の荒尾漁協エビ養殖場で、直径1000分の40ミリ以下の細かい泡「マイクロバブル」を発生させる特殊装置を使って稚エビの成長を促す取り組みが成果を上げている。全国的にも珍しい試みで、稚エビの生存率アップや水の浄化にもつながっているという。
■有明高専が装置を製作
装置を作ったのは有明高専(福岡県大牟田市)の氷室昭三教授。マイクロバブルは水に溶けやすく、水槽にセットするだけで生物の細胞に直接作用し、成長を促すという。3年前に有明海で行った実証実験では、タイラギの貝柱が大きく育ったり、アサリの収穫量が増えたりした。
荒尾漁協エビ養殖場は、荒尾市の紹介で2年前に装置を導入。養殖場では生後50日のクルマエビ約20万匹を1カ月間育て、有明海に放流している。装置導入後、以前の約2倍の大きさに成長するエビもいる。また、放流前に約3割が死んでいた稚エビの生存率が99%以上に跳ね上がった。水槽の水や砂がきれいに保たれる効果も表れたという。
同漁協では「有明海のエビの数は年々減っている。短期間で養殖エビが成長すれば、放流する数や回数も増えてくるはず。マイクロバブルでエビの減少に歯止めをかけたい」と期待を寄せている。
=2008/06/15付 西日本新聞朝刊=