2008年04月27日
「対等合併」は、ややこしや
私はA町に住んでいる。勤務場所が変わったので、C市の図書館の貸し出しカードを作れるようになった。
A町は、隣のB町と昨年3月に「対等合併」した。そして、新しい町の名称がD町になった。これが「ややこしやー」の種になっている。
図書館の窓口で「図書カード」を新規発行してもらった。免許証を見せ、町の名前が変わったことを告げた。係の人は説明を理解してくれたようで、割合、すんなりとカードを発行してくれた。
本を1冊、CDを3枚借りて「貸し出しカウンター」に並んだ。手続きをすませたとき、隣のカウンターで、なにやら、押し問答が繰り広げられていることに気づいた。
登録カードの申込用紙の上に、何か紙が貼ってある。会話を少し聞いて、すぐにピンときた。
60歳前後と思われる女性は、B町の人だ。だから、私の住んでいるA町と合併し、今では、同じD町の住民である。
ところが、C市の図書館の係りの人は、この「対等合併」について、知らないようで「これでは、証明になりません」と言っている。
「保険証か、住所を証明するものを持ってきてください」
「免許証を見せているのに、ダメなんですか。わざわざ家に帰れと言うんですか。そこまでおっしゃるのなら、本は借りなくていいです!」
そりゃあ、ないよなあ、と僕は思った。
そこで、失礼しますが、と言って、会話に入ることにした。
「私も、先ほど、図書カードを作ってもらいました。私はA町、この方はB町に住んでいます。対等合併したので、D町という名前になりました。だから、A町という名前も、B町という名前もないんです」
「だったら、D町と書いてある証明書、保険証や郵便物などを持ってきてくだされば」
「いや、運転免許証は、顔写真もありますから、これ以上の証明書はありません。それに、町名が変わっただけで、それ以外の住所はまったく同じですよね」
「たしかに、そうなのですが…。例えば、うちの広域合併の区域では、新しい町名のシールを保険証などに貼るようにという文書が届いています」
「そういう行政区域もあるんですね。ただ、私どもの町では、そのような文書は届いていないんです。ただ、合併して町の名称が変わっただけです。私たちが新しい町の名前を望まなくても、変わったんです。新しい町の名前は、公的な機関に勤めている人たちが常識として知っていればすむことですよ」
「しかし、証明するものがないと…」
カウンターの人たちが誰も、A町とB町の対等合併のことについて知らない。
何が起こったのか、とご婦人の夫らしい人が寄ってきた。
A町は、隣のB町と昨年3月に「対等合併」した。そして、新しい町の名称がD町になった。これが「ややこしやー」の種になっている。
図書館の窓口で「図書カード」を新規発行してもらった。免許証を見せ、町の名前が変わったことを告げた。係の人は説明を理解してくれたようで、割合、すんなりとカードを発行してくれた。
本を1冊、CDを3枚借りて「貸し出しカウンター」に並んだ。手続きをすませたとき、隣のカウンターで、なにやら、押し問答が繰り広げられていることに気づいた。
登録カードの申込用紙の上に、何か紙が貼ってある。会話を少し聞いて、すぐにピンときた。
60歳前後と思われる女性は、B町の人だ。だから、私の住んでいるA町と合併し、今では、同じD町の住民である。
ところが、C市の図書館の係りの人は、この「対等合併」について、知らないようで「これでは、証明になりません」と言っている。
「保険証か、住所を証明するものを持ってきてください」
「免許証を見せているのに、ダメなんですか。わざわざ家に帰れと言うんですか。そこまでおっしゃるのなら、本は借りなくていいです!」
そりゃあ、ないよなあ、と僕は思った。
そこで、失礼しますが、と言って、会話に入ることにした。
「私も、先ほど、図書カードを作ってもらいました。私はA町、この方はB町に住んでいます。対等合併したので、D町という名前になりました。だから、A町という名前も、B町という名前もないんです」
「だったら、D町と書いてある証明書、保険証や郵便物などを持ってきてくだされば」
「いや、運転免許証は、顔写真もありますから、これ以上の証明書はありません。それに、町名が変わっただけで、それ以外の住所はまったく同じですよね」
「たしかに、そうなのですが…。例えば、うちの広域合併の区域では、新しい町名のシールを保険証などに貼るようにという文書が届いています」
「そういう行政区域もあるんですね。ただ、私どもの町では、そのような文書は届いていないんです。ただ、合併して町の名称が変わっただけです。私たちが新しい町の名前を望まなくても、変わったんです。新しい町の名前は、公的な機関に勤めている人たちが常識として知っていればすむことですよ」
「しかし、証明するものがないと…」
カウンターの人たちが誰も、A町とB町の対等合併のことについて知らない。
何が起こったのか、とご婦人の夫らしい人が寄ってきた。
そして、
「(合併したことについて)そんなことも知らんのか!」と大声を出した。「もういい、帰るぞ」
怒るのももっともだ。なぜなら、B町はC市の隣町だからだ。隣町が合併して名前が変わったことくらい、あらかじめ「申し合わせ」などをして職員全員が知っておくべきだ。
実は、B町はC市と合併したがっていた、だが、断られたので(仕方なく)A町と合併したという経緯さえあるのだ。
でも、図書館の中で大声を出すのはよくない。僕も少し声が大きくなりはじめていた。だから、声を抑えて、申し上げた。
「B町はC市の隣町なんです。だから、合併したことは、常識として知っておくべきだと思います。免許証の更新期間は5年です。対等合併したのは昨年の3月ですから、このようなことはこれからも、何度も起こりますよ。そのたびに、保険証や郵便物を持ってこいと言われたら、それは、対応が悪いと言われますよ。インターネットで検索して、合併して新しい町の名前になったとわかれば、それでいいのではないですか」
係りの人たちは、うろたえていたようだ。
だから、
「図書館のパソコンで調べれば、それですむことですよ」と申し上げた。
図書館の奥の方に、二人の職員が入っていった。
「お役所対応が!」と叫ぶご婦人。
たしかに、そうなのだ。でも、ここは冷静になって、解決をはかった方が、二度とこのようなトラブルが起こらなくてすむようになる。
数分して、係りの人が戻ってきた。
「たしかに、合併の事実は確認できました」
わびの言葉が入らないのにかちんときたのか、ご婦人と旦那さんは怒っているようだ。
自分のことではないのに、怒号にかぶせるようにして、
「本が借りられれば私たちはいいのですから」と僕は言った。
ご婦人達が図書館を出たので、
「助けてくださり、ありがとうございました」とご婦人。
いやいや、半分は、話の種になりそうだったので、首を突っ込んでしまったのだ。
「私どもの町が対等合併していること、E市の人たちもほとんど知らないんですよ。隣町なのにねぇ。きっと、みんな福岡市の方ばっかり向いているんですよ」
と申し上げた。
私たちの町は「対等合併」という名の「偽装結婚」をしているようなものなのだ。偽装結婚をした夫婦が、もし、どちらの姓でもない新しい姓を使えば、隣近所の人だって混乱もするだろう。
周囲の町の人たちには「ややこしやー」なのである、きっと
「(合併したことについて)そんなことも知らんのか!」と大声を出した。「もういい、帰るぞ」
怒るのももっともだ。なぜなら、B町はC市の隣町だからだ。隣町が合併して名前が変わったことくらい、あらかじめ「申し合わせ」などをして職員全員が知っておくべきだ。
実は、B町はC市と合併したがっていた、だが、断られたので(仕方なく)A町と合併したという経緯さえあるのだ。
でも、図書館の中で大声を出すのはよくない。僕も少し声が大きくなりはじめていた。だから、声を抑えて、申し上げた。
「B町はC市の隣町なんです。だから、合併したことは、常識として知っておくべきだと思います。免許証の更新期間は5年です。対等合併したのは昨年の3月ですから、このようなことはこれからも、何度も起こりますよ。そのたびに、保険証や郵便物を持ってこいと言われたら、それは、対応が悪いと言われますよ。インターネットで検索して、合併して新しい町の名前になったとわかれば、それでいいのではないですか」
係りの人たちは、うろたえていたようだ。
だから、
「図書館のパソコンで調べれば、それですむことですよ」と申し上げた。
図書館の奥の方に、二人の職員が入っていった。
「お役所対応が!」と叫ぶご婦人。
たしかに、そうなのだ。でも、ここは冷静になって、解決をはかった方が、二度とこのようなトラブルが起こらなくてすむようになる。
数分して、係りの人が戻ってきた。
「たしかに、合併の事実は確認できました」
わびの言葉が入らないのにかちんときたのか、ご婦人と旦那さんは怒っているようだ。
自分のことではないのに、怒号にかぶせるようにして、
「本が借りられれば私たちはいいのですから」と僕は言った。
ご婦人達が図書館を出たので、
「助けてくださり、ありがとうございました」とご婦人。
いやいや、半分は、話の種になりそうだったので、首を突っ込んでしまったのだ。
「私どもの町が対等合併していること、E市の人たちもほとんど知らないんですよ。隣町なのにねぇ。きっと、みんな福岡市の方ばっかり向いているんですよ」
と申し上げた。
私たちの町は「対等合併」という名の「偽装結婚」をしているようなものなのだ。偽装結婚をした夫婦が、もし、どちらの姓でもない新しい姓を使えば、隣近所の人だって混乱もするだろう。
周囲の町の人たちには「ややこしやー」なのである、きっと
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この記事へのコメント
興味深く読みました。
合併、吸収は全国で行われているようで、ニュースを見ていても
今まで聞いたことのない地名が出たりしますね。
一般の人ならともかく、公共な施設で働く職員くらいは近隣のそういった
情報をもう少し周知徹底して欲しいですね。
Jun Rajiniさん言うように、同じようなトラブルは起きそうです。
私は個人的に去年引っ越しをしたので、免許の住所は警察署に
赴いて変更手続きをしましたが、合併による住所の変更だと
全住人が警察署に押しかけるのも、あまり現実的ではないと思うので、
そういうフォローは公共の施設側に柔軟に対応して欲しいところですね。
合併、吸収は全国で行われているようで、ニュースを見ていても
今まで聞いたことのない地名が出たりしますね。
一般の人ならともかく、公共な施設で働く職員くらいは近隣のそういった
情報をもう少し周知徹底して欲しいですね。
Jun Rajiniさん言うように、同じようなトラブルは起きそうです。
私は個人的に去年引っ越しをしたので、免許の住所は警察署に
赴いて変更手続きをしましたが、合併による住所の変更だと
全住人が警察署に押しかけるのも、あまり現実的ではないと思うので、
そういうフォローは公共の施設側に柔軟に対応して欲しいところですね。
Posted by manbow at 2008年04月28日 01:10
>manbowさん
こんばんは。合併で、味わいのある市町村の名前がなくなってしまうのは残念なことだと思います。
行政の効率化のためには、合併はある程度仕方がないことだとも思います。
僕も、福岡の新しい市町村については、わからないものも多いです。
合併前はたしか97市町村があったと思います。頭の中に、福岡県の地図と市町村名はほぼ入っていたのですが、合併後はわからなくなってしまいました。
C市の、保険証などにシールを貼るという文書も、送料などを考えると、かなりのお金がかかっていると思います。インターネットの発達しているこの時代に、病院にパソコンがないことは、ほぼ考えられないと思います。無駄な費用だと思いました。そういうことよりも、近隣市町村の合併に関する情報くらいは、知っておいて、臨機応変な対応をして欲しいと思いました。
C市は、福岡都市圏の広域市町村に入っています。だから、C市の人たちは福岡市の図書館の利用もできるんです。かなり広い都市圏なのです。都市圏内外の人たちの文化的なものを利用できる格差は相当あると思っています。
福岡都市圏に住んでいる人は、都市圏内のどこの図書館の本を利用できるというPRのパンフレットが図書館に置いてあります。
ところが、このパンフでは、都市圏の外側の市町村は、名前すら書かれていないんです。これでは、都市圏の中の人たちは、隣町の名前すらわからなくなってしまうのも無理からぬことかもしれません。
たぶん、図書館の職員やボランティアの人たちの頭の中には、このパンフと同じような地図が入っているのだと思います。それでも、もっと常識的な判断ができないものかなあと思いました。
興味深かったのは、C市の図書館では、図書カードの発行の時に、身分証明書の提示を求められますが、コピーはとらないということです。コピー代がもったいないし、パソコンのデータベースに入力してしまえば、それですむということなのかもしれません。ちなみに、僕の地元の町でも、コピーをとられることはありませんでした。
また、図書館カードの再発行については、C市では「申し込んでから一週間かかりますので、無くさないように」と言われました。
例えば、福岡県で、県内外の誰でも利用できるK市の図書館では、100円払えば、すぐに再発行してくれます。地元の町でも同様でした。
C市は、図書カードを無くした人に、懲罰的な意味合いを込めて、一週間カードを再発行しないのでしょうか。それとも、審査の手続きが他にもあるのでしょうか。図書館に来る人たちは、いつも暇というわけではないし、図書館の往復だけでも時間や費用がかかる人もいます。簡便な手続きにして欲しいものです。
こんばんは。合併で、味わいのある市町村の名前がなくなってしまうのは残念なことだと思います。
行政の効率化のためには、合併はある程度仕方がないことだとも思います。
僕も、福岡の新しい市町村については、わからないものも多いです。
合併前はたしか97市町村があったと思います。頭の中に、福岡県の地図と市町村名はほぼ入っていたのですが、合併後はわからなくなってしまいました。
C市の、保険証などにシールを貼るという文書も、送料などを考えると、かなりのお金がかかっていると思います。インターネットの発達しているこの時代に、病院にパソコンがないことは、ほぼ考えられないと思います。無駄な費用だと思いました。そういうことよりも、近隣市町村の合併に関する情報くらいは、知っておいて、臨機応変な対応をして欲しいと思いました。
C市は、福岡都市圏の広域市町村に入っています。だから、C市の人たちは福岡市の図書館の利用もできるんです。かなり広い都市圏なのです。都市圏内外の人たちの文化的なものを利用できる格差は相当あると思っています。
福岡都市圏に住んでいる人は、都市圏内のどこの図書館の本を利用できるというPRのパンフレットが図書館に置いてあります。
ところが、このパンフでは、都市圏の外側の市町村は、名前すら書かれていないんです。これでは、都市圏の中の人たちは、隣町の名前すらわからなくなってしまうのも無理からぬことかもしれません。
たぶん、図書館の職員やボランティアの人たちの頭の中には、このパンフと同じような地図が入っているのだと思います。それでも、もっと常識的な判断ができないものかなあと思いました。
興味深かったのは、C市の図書館では、図書カードの発行の時に、身分証明書の提示を求められますが、コピーはとらないということです。コピー代がもったいないし、パソコンのデータベースに入力してしまえば、それですむということなのかもしれません。ちなみに、僕の地元の町でも、コピーをとられることはありませんでした。
また、図書館カードの再発行については、C市では「申し込んでから一週間かかりますので、無くさないように」と言われました。
例えば、福岡県で、県内外の誰でも利用できるK市の図書館では、100円払えば、すぐに再発行してくれます。地元の町でも同様でした。
C市は、図書カードを無くした人に、懲罰的な意味合いを込めて、一週間カードを再発行しないのでしょうか。それとも、審査の手続きが他にもあるのでしょうか。図書館に来る人たちは、いつも暇というわけではないし、図書館の往復だけでも時間や費用がかかる人もいます。簡便な手続きにして欲しいものです。
Posted by Jun Rajini at 2008年04月29日 02:00