中国・四川省で起きた大地震の記憶がまだ冷めやらぬなか、日本でも14日朝に東北地方を強い地震が襲った。震源の岩手県、近隣の宮城県では最大震度が6強。この地震で100人を超える死傷者が出た。日本は地震大国。いつどこで大地震が起きても不思議でない。それを改めて知らしめた地震である。
「岩手・宮城内陸地震」と名付けられた地震は震源の深さ8キロ、規模がマグニチュード(M)7・2と推定されている。被災地では家屋の倒壊よりも土砂崩れや道路・橋の損壊が目立つ。死傷者を見ても、落石や土砂崩れ、落下物によるものが多いようだ。被害は山間地域に集中しており、道路の寸断などで状況把握や救援に時間もかかった。
政府は地震発生直後に官邸対策室を設置し、被災地の状況把握に努めるとともに、泉信也防災担当相を現地に派遣した。過去の大地震の経験から災害時の緊急対応も慣れてきているだろうが、被災者救援や災害復興に抜かりのないよう求めたい。
東北地方では宮城県沖や三陸沖で数十年おきに繰り返し起きる海溝型の大地震への警戒感が強かった。しかし、今回の地震は内陸部の直下型だ。阪神大震災や昨年の新潟県中越沖地震などと同じタイプの地震である。震源域近くにはよく知られている活断層が存在するが、未知の断層が動いた可能性があるともいう。
発生の周期がある程度想定できる海溝型地震ばかりを注視するのではなく、いつどこで起きるか分からない内陸直下型地震への心構えが必要だということを、今回の地震は改めて教えた。過疎の山間地域でなく、人口の密集した大都市圏で同じ規模の直下型地震が起きれば、被害は想像を絶するものになるだろう。
今回の地震では、地震の初期微動をとらえて強い揺れの到達前に警戒を呼びかける緊急地震速報が出された。地震波の到達までの時間的余裕があれば、それなりに備えもできただろうが、震源近くでは本震の後に速報が流れたはずだ。
地震の予知は可能という幻想にとらわれたり、事前に速報が流れると期待すると、備えが甘くなる。今回の地震は、不意打ちを前提に備えを固めよという警告にもなった。