アユの塩焼きに敷いたササ。ご飯ものにナンテン葉。料理に彩りを添える四季の葉や花が心をなごませ、食材の魅力を引き立てる。
約二十年前に徳島県上勝町で始まった「葉っぱビジネス」は高齢者による地域おこしとして一躍有名になった。農協職員が、大阪の料理店で料理に添えられた紅葉を喜び持ち帰る女性客を見て思いついた。
「上勝町に続け」と、料理に添える「つまもの」や食用の葉っぱビジネスが各地に広がりつつある。「現代農業」七月号に取り組み事例を紹介している。長野県の直売所に依頼されてナンテンハギを出している八十歳の女性は「最初は野のものを売るのが恥ずかしくて」としながらも「今じゃ、当たり前に」とうれしそうだ。
ビワを栽培する山口県の離島では、実だけでなく葉の販売も試みている。軽くて傷みにくく高齢者の作業に適している。薬効の高さもあって多様な用途で注文が増え、条件の厳しい離島振興の柱となっている。
おいしい話ばかりではなかろう。何番煎(せん)じともなると販売ルートの確保や価格変動に悩んでいる所も多いようだ。上勝町の成功は視点を変えて考えたことにある。
自分たちの地域を見詰め直して価値を知り、積極的に生かす手だてを考える。そこから意外な宝物が見つかるかもしれない。