川西市の一部住民が、「携帯電話の基地局が健康被害を与えている」と訴えていた問題で、住民らでつくる「電磁波公害をなくす会」(山路須美子代表)は「撤去後、健康状態が改善した」として14日、会の解散式をすることになった。NTTドコモ関西(大阪市)が今年4月、基地局を撤去していた。
同社は05年12月、阪急バスのターミナルの土地を借りて基地局を建設。約200メートル以内に住む住民の一部から、頭痛や耳鳴り、こむらがえり、高血圧などさまざまな症状の訴えが出た。住民らは会を結成し、8家族の10人が大阪簡裁に公害調停を申請した。ドコモ関西は、電磁波と健康被害の因果関係を認めなかったが、地主の阪急バスが土地賃貸契約解除の意向を示したため、基地局撤去を決定。4月3日に運用を停止し、アンテナ自体も撤去した。同会によると、これに伴い、すべての人の症状が改善したという。
携帯基地局の電磁波の悪影響は科学的に解明されていない。しかし、4月以降、吐き気がなくなったという50歳代の男性(3人暮らし)は「将来にわたって絶対に安全だという保証もない。私自身、仕事で携帯を手放せないが、それでも万が一を防ぐため、基地局は住宅地から離して建てるというような現実的な対策を考えるべきだ」と主張する。山路代表は「頑張って運動して良かったが、同じ問題で苦しんでいる人が全国にいる。私たちの経験が役に立つならうれしい」と話している。【池内敬芳】
〔阪神版〕
毎日新聞 2008年6月14日 地方版