スパイ防止法(国家情報論)(T) |
黄 文雄 | 佐々淳行 | 東 祥三 | 渡部昇一 | 大森義夫 | ジョシュア・アイゼンマン | 菅沼光弘 | 原 博文 | 伊藤 隆 | 北村 稔 | 瀧澤一郎 |
深田匠著 「日本人の知らない『二つのアメリカ』の世界戦略」高木書房より 後にソ連国会議員に転進したKGBの大物スパイ、O・カルーギンは「諜報とは敵の政府内部に深く潜入して、扇動、謀略、転覆を図ることであって、それなくして諜報の意味はない」と述べている。 ≪スタ二スラフ・レフチェンコ(元KGB対日スパイ)≫ 「日本には外国スパイや諜報の活動を禁じる法律がないので仕事が楽でした。日本はスパイ防止法のないスパイ天国なのです」 ≪国益を忘れた日本の漂流と没落≫ 彼らは自らの売国の事実を闇の中に隠し続けたい、それ故にスパイ防止法に反対している。またこれら売国奴の「反対」に迎合して情報省設置やスパイ防止法制定を避けてきた自民党も同罪だ。それは自民党の中にも事実上の中朝のスパイが存在してきたことにも由来する。普通は政治家や国家公務員が国家機密を外国のスパイに提供すれば死刑か終身刑、民間人でも無期懲役なのに、日本では微罪にしかならないのだから、まさに左翼や媚中派にとっては国を「売り放題」の大安売りだ。 スパイ防止法のない日本に対しては米国なども「日本に重要情報を知らせると敵に筒抜けになる」と敬遠しており、このままでは情報こそが国家の未来を左右するといわれる時代に日本の没落が進むばかりである。平成14年2月に防衛庁データ―流出事件が起きたが、これは中核的ソフトウエア開発を、どこの何者かも分らない短期契約の民間企業に委託するという信じ難い行為の結果だ。日本の国家情報保護意識はここまで危険な水域に達しているのである。⇒個人情報保護法案にはうるさいが共同体の情報保護まではまだ意識が回らないのだろう。 ≪米国二大政党の異なる対日関係史≫ ルーズベルトの側近であった国務省高官アルジャー・ヒスは、ヤルタ協定の草案を作成し国連憲章を起草した人物だが、ソ連のスパイでマルクス主義者であることが1949年に発覚し、スパイ及び偽証の罪で逮捕・起訴されている。結局スパイ罪は10年の時効が成立していたため、偽証罪で1950年に懲役5年の実刑判決を受けた。 このヒスはルーズベルトやトルーマンの民主党政権における極秘書類のコピーをソ連GRU(ソ連軍参謀本部情報)やMGB(KGBの前身)に流しており、ヒスの暗号名は「アリス」なるものであった。またヒスがモロトフらソ連指導者に対して「国連常備軍を創設して、その長官をソ連共産党の指名するロシア人にする」と密約していた事実は、当時全米のニュースでも報道されている。1945年にスパイ容疑でFBIに逮捕された米国共産党幹部E・ベントレーは、民主党政権の中にソ連のスパイネットワークが二つ存在していることを供述しているが、つまりヒスやH・D・ホワイトはその中のメンバーであったのだ(304頁)。⇒我が自民党は大丈夫であろうか?媚中派、親ロ派、親北朝鮮が一杯いるのではないだろうか。 1996年4月、民主党寄りでリベラル系メディアの代表格であるワシントン・ポスト紙でさえも「マッカーシーは正しかった。リベラル派が目をそらせている間に共産主義者は浸透していった」という見出しで、「VENONA」ファイルを指して「反共主義の人々が批判したとおり、ルーズベルト、トルーマン両政権には、ソ連に直接叉は間接に通牒していたおびただしい数の共産スパイと政治工作員がいた証拠である」と報じている(306頁)。⇒中共・北朝鮮に直接叉は間接に通牒していたおびただしい数の共産スパイと政治工作員がいた証拠である。となるだろう(真中)。 ≪米中冷戦と日本の使命≫ ソ連のスパイや協力者が多数入り込んでいたのは米民主党政権だけではない。日本においても、ソ連のスパイであるドイツ人共産主義者ゾルゲという内部の敵が政府周辺にいた。ソ連軍参謀本部第四部の命を受けたゾルゲは、近衛内閣嘱託であった朝日新聞記者・尾崎秀実(共産党員)を操って「南進」「対英米開戦」を吹き込み続けたのだ。真の敵と味方の構図は明確であり、日本の敵は昔も今も共産主義国なのだ。しかし現在日本では、マスコミが総動員でブッシュを罵倒する一方で、心情的左翼の映画監督がゾルゲを賛美する映画を作ったりしている。売国スパイを排出した朝日新聞は恥じるどころか尾崎秀実を「信念の記者」と社説で称え、日本には左翼が建立したゾルゲの立派な慰霊墓碑まで有るのだ。ゾルゲの墓碑にはなんと「戦争に反対し世界平和のために生命を捧げた勇士ここに眠る」と刻まれている。日本がゾルゲを賛美するのは、アメリカがビンラーディンを賛美するようなものである。自国のために戦った敵国将兵を慰霊する日本の武士道精神は美徳だが、スパイや売国奴については全く次元が違う。処刑された敵国スパイを賛美する慰霊碑を建てる国なんて、世界中で日本一国だけである。日本の最大の過ちは、昔も今も「真の敵は何か、真の味方は何か」を取り違えてしまうことなのだ(377頁)。 <リトビノフ外交を知らない日本の政治家> 世界の共産主義化を企むソ連のスパイたちは、アメリカではH・D・ホワイトやアルジャー・ヒスがルーズベルトやハルを操り対日開戦の謀略を実行させ、シナでは中国共産党や張学良が蒋介石を監禁脅迫して抗日戦(国共合作)を強要し、日本ではゾルゲや共産党員たちが近衛首相を操って「南進・対英米開戦」へと仕向けさせた。日本もアメリカもシナ(国民党)も、すべてソ連の巨大な陰謀に踊らされ、いわゆる「リトビノフ外交」、すなわち1932年のソ連コミュンテルン第12回総会における「米英と日独という資本主義国同士をお互いに戦わせ共倒れさせる」という決議のそのままに操られた。当時そのソ連のシナリオを警戒していたのが米国共和党であり、また現在中共が進めている日米離反工作こそ「共産主義国の謀略」の再来であって、共和党はルーズベルトの二の舞を踏まないよう対中戦略を立てているわけだ。そして、まさに再びその二の舞を踏みつつあるのが日本なのである(384頁)。 ≪祖国を蝕む内なる敵を斬る!≫ 中共が国内に数百箇所の麻薬精製工場を持ち人民解放軍が管理していることは公知の事実だが、過去に存在した共産主義国も例外なく国営麻薬精製工場を所有しており、「資本主義国を麻薬禍で弱体化させるために、ソ連は米国及び欧州を担当し、中国はアジアとアフリカを担当する」という中ソ秘密協定が存在していたことはCIAも報告書にまとめている。ソ連崩壊後も中共は、1999年の軍事戦術マニュアル「超限戦」の中で、サイバーテロや金融テロ、心理戦や情報戦、環境破壊テロ、メディアを通じた洗脳、これらの戦術とともに重要戦術の一つとして麻薬による敵国の弱体化を掲げているのだ。され果たして共産党が麻薬密売工作を本当に実行していたのか否か、その真偽は現時点ではまだ断定するには至らない。しかし少なくとも、その旨を記したKGB文書が米国防総省戦術技術部に保管されているのは事実だということである(502頁)。 |
ノンフィクション作家・クライン孝子 「産経」05/04/02正論より ≪白表紙本流出で思うスパイ天国ぶり情報戦にあまりに無防備な日本≫ 「ベルリンの壁」崩壊直後だったから、かれこれ十五年前の話になる。そのころ、旧東ドイツ最後の北朝鮮大使だった人物にインタビューを申し込んだことがある。東ドイツという国家が消滅し、大使を解任された彼には一種の解放感があったらしい。気軽にOKしてくれた。ところが、最初に会う場所を「グリニッケ橋のちょうど真ん中、白線のあるところ」と指定したのには、苦笑してしまった。 実はこの場所、東西ドイツの境界にある橋で、冷戦中は大物小物を問わず、頻繁にスパイ交換に利用されたいわく因縁つきの場所だったからだ。インタビューも盗聴の危険を避けるため、歩きながらという用心ぶり。事前に集めた彼のプロフィルには、ポツダム所在の俗称スパイ養成大学卒とあったから、その筋の人物とは気付いていたが、これほど徹底しているとは思いもしなかった。 その彼の話がまた衝撃的だった。「日本と北朝鮮は表向き国交がないが、その実、水面下では多くの北朝鮮人が半ば公然と日本に出入りしている。主な目的は日本での情報収集と世論操作だ。何しろ日本は音に聞くスパイ天国だからね」というのである。 この話とは、一見関係なさそうに見えて、実は私にはたいそう気になるのが、ここに来て再燃している新しい教科書問題である。 日本では検定申請された教科書は、公正さを保持するため、どの会社の教科書かが分からないよう表紙を白くし、検定結果発表まで公表を関係者に禁じている。それなのになぜか、入手先を明らかにできないはずのこの白表紙本の一つ、扶桑社の中学歴史教科書(「新しい歴史教科書をつくる会」編)申請本の全文コピーが、いとも簡単に海外にまで流出したのである。 韓国では、「アジアの平和と歴史教育連帯」(代表・徐仲錫成均館大教授)なる市民団体の連合組織に手回しよく渡っており、彼らは早速に内外のメディアを集めて記者会見を開き、「前回の検定時より歴史がさらに歪曲(わいきょく)された」と、ひたすら一方的な反日批判を展開してみせた。 ちなみに前回の検定とは、扶桑社が初めて検定に参入した二〇〇一年のことで、当時は同社の白表紙本をいち早く入手した朝日新聞と毎日新聞が、ネガティブ報道を繰り返し、中韓両国による日本への執拗(しつよう)な内政干渉につながった経緯がある。こうした外圧を当て込んで一方的に自国の弱体化を図る行為は、欧米諸国ではケースによって反国家的破壊活動、スパイ活動と認識されることもある。 ドイツもそうで、スパイを取り締まる「連邦憲法擁護法」(別名・スパイ防止法)により、その取締機関として憲法擁護庁と連邦情報庁が設置されている。国内において国の安全を脅かす自国民および外国人による危険な活動を監視したり、対外的な側面から、政治、経済、軍事、軍事技術分野の諸外国に関する情報を諜報(ちょうほう)手段を用いて収集し分析したりしている。こうすることで“目に見えない敵”による国家破壊工作から自国と国民を保護しているのだ。 ところが不思議なことに、日本にはこれに相当する取締法も機関もない。スパイ行為は野放し状態で、内外、とりわけ近隣諸国のスパイにとっては格好の活動舞台となっている。 朝鮮総聯中央本部議長を務める徐萬述氏や、在日本朝鮮民主女性同盟中央本部委員長で元愛知県本部委員長の金昭子氏など、在日朝鮮人組織の要職にある計六人が、何と国交のない北朝鮮の国会議員(最高人民会議代議員)として活動しているという事実をどう考えればいいのか。 世界の常識とは到底相いれない異常な状態を放置し続けている日本は、諸外国から奇異の目で見られている。 これなど、日本の情報=防諜(ぼうちょう)整備がいかに欠落しているかの典型的な例といっていいが、従来の歯がゆいばかりの優柔不断な対北弱腰外交も、突き詰めればその延長線上にある。それもこれも、外交上の対抗策としての有利かつ決定的なカードとなる情報が不足しているからだ。古今東西を問わず、諜報と防諜は表裏一体の関係として国家存亡のカギを握っている。 「スパイ防止法」については、自民党が一九八六年六月に法案を作成、国会に緊急上程した経緯があるが、その後立ち消えになっている。とりあえずこの案をベースに再度立法化を急ぐ必要があろう。スパイ天国・日本の汚名返上は日本の安全保障上、不可欠であるだけでなく、同盟国に対しての責務でもある。(ドイツ在住) |
5月号 平成17年度 大正14年に施行された日本の治安維持法は「国体の変革と私有財産制度の否認を目的とする結社」の運動を犯罪行為と見なして取り締まる法律だった。予防拘禁もでき、当初の目的であった共産党弾圧だけでなく、広く自由主義者・民主主義狩りに利用された。 |
松尾 一郎 日中問題研究家 諸君6月号 平成17年度 中国では地域や環境による違いはあるものの、インターネットへの接続を行うには特定の電話番号へ掛けなければ接続できないということを理解しておく必要がある。日本とは全く違い、ほとんどの通信は政府によって管理されており、携帯電話で使用するメール・アドレスすら政府の監視下に置かれている。インターネット人口が増加したとはいえ、中国では監視サーバーが置かれ、その内容を逐一監視、管理されていることを忘れるべきでない。つまり、今回の暴動やインターネットでの書き込みは、中共政府のお墨付きと考えるべきだろう。 |
前原誠司 衆議院議員 諸君6月号 平成17年度 アメリカではFBIとCIAが近く一緒になります。イギリスには国内担当のMI5(国家保安部)、国外担当のMI6(秘密情報部)がありますが、日本には情報機関すらありません。しかし、私はステップ・バイ・ステップで考えていきたいと思っていまして、自民党とも相談してまず「情報統合組織」を作ろうという法案を今国会に出す準備を進めています。つまり、警察庁、防衛庁、外務省、公安調査庁、海上保安庁などから集る情報を共有させようという仕組みです。イギリスでは、JIC(ジョイント・インテリジェンス・コミッティ)つまり情報統合委員会に国として重要だと定めた情報を集め、その情報を分析した上で政策決定を行っている。日本にも、各機関に情報部門はあるのです。まずはこの仕組みを作りたいですね。 |
山谷えり子 正論8月号 平成17年度 日中戦争の長期化にしても、対ソ戦略から南進戦略への転進にしても、スターリンやコミンテルン、中国共産党の動静をキャッチしていれば他の選択肢があったのかもしれないけれども、日本に十分な情報収集能力はありませんでした。対独戦に集中するため日本の目を南方に向けさせたかったソ連のスパイ、ゾルゲらの謀略活動に乗せられ対米衝突が不可避なものになっていきます。日本はこのことを忘れてはいけませんよね。⇒第二次世界大戦は「資本主義国家Vs新興資本主義国家」の戦いによる共倒れを狙ったソ連共産党の陰謀によって引き起こされたものと見ることも出きる。 |
兵頭ニ十八 軍学者 正論9月号 平成17年度 ・何故、かってピンポイントな歴史教科書論難や靖国神社論難が次々に起こり、日本の敬忽な政府閣僚たちが周章狼狽させられてきたか? 「ここを攻めたら有効ですよ。内応して騒ぎにして見せます」と、シナ政府のプロパガンダ部局に定期的に建策していた、日本国内の謀略立案者が居たからに他ならない。 ・日本とシナの間の宣伝戦は、戦前のみならず今なお、米国内で勝負が決まる。この構図は予測し得る将来、変わらない。米国人民がシナの宣伝を丸呑みしたら、その日をもって日本は負けなのだ。 ・日本語で書かれた良い資料が、いかほど日本国内に山積みになっていようとも、米国人にとっては情報価値はゼロだ。一千億円を、和文英訳家の雇用に充てるしかない。 ----------------------------------------------------- ◆ ------------------------------------------------------------ 「正論12月号 平成17年度」 ・早く「スパイ防止法」を制定して、人権屋の皮をかぶった破壊工作員たちを摘発せねば、この国は近代から脱落し、特定アジアの仲間となり、人民は人権を根こそぎ喪うに至ろう。(兵頭二十八氏 正論平成17年12月号) ----------------------------------------------------- ◆ ------------------------------------------------------------ 「諸君 平成19年1月号」 ・北朝鮮の相手をするのも自衛隊ではなく政治家だ。パチンコ賭博を取り締まり、破防法を朝鮮総連に適用していたら、北朝鮮は必要な資金は得られず、核武装できなかった。むかし自衛隊で初歩的な通信士として暗号と無線の世界を垣間見たわずかな経験から大胆に憶測させてもらうが、日本の警察は、北朝鮮から国内工作員への無線指令などは、はじめから全部、傍受し、解読していたろう。 警察は、70年代以後の拉致事件のほとんどを、二ア・リアルタイムで把握していた。政治家にも報告されていた。だが、政治家が動かなかった。偽憲法下で、与野党ともにエージェント工作を受けていたのだ。(兵頭二十八 諸君平成19年1月号) |
浅川晃広 名古屋大学選任講師 諸君9月号 平成17年度 「自由世界」を侵す「中国スパイ網」 ≪中国政府の「政治的植民地」化工作≫ ・「豪州を中国の政治的植民地に変えるために、ということだ。「政治的植民地」が意味するのは、中国共産党が、彼らのイデオロギーを用いて、豪州の政治に対して影響を与え、そして豪州が、自由と民主主義の根本的原則から徐々に離れていくように仕向ける、ということだ」(2005年6月15日、豪州ABCラジオでのインタビュー) ・ユアン・ホンビン氏(元北京大学法学部教授)の証言によって明らかになったのは、中国政府が、豪州やアメリカといった海外の民主主義国家において、法輪功などの「反体制」運動を監視・弾圧しているだけではなく、そうした民主主義国そのものの姿を変えてしまおうという、恐るべき戦略を持っているということだ。 (コメント)日本で言えば、「総理の靖国参拝」に介入しているのがこの流れだろう。さらに「人権擁護法案」あたりにもこの流れだろう。(真中) |
宮崎正弘 評論家 正論10月号 平成17年度 オーストラリアで亡命申請した元中国人外交官、陳用林は7月21日、米国議会で証言した。陳はシドニー駐在中国領事館1等書記官、中国外務省在籍十年というベテラン外交官だった。 「中国人外交官って羊の装いをした狼なんですよ」と最初からパンチを繰り出した陳は「中国共産党は悪魔のカルトです。過去半世紀に八千万国民を虐殺した全体主義政権であることを米国の人達は忘れてはいけない」。 続けて「中国政府は米国を最大の敵を位置づけており、世界的規模で米国の同盟を破壊する工作活動を展開している」とし、外交官のもうひとつの任務は諜報である、と語った。 とくに「赴任地における情報の収集は、人民解放軍の情報管理官、或いは国家安全部の協力者によって行われている。オーストラリアの中国の情報協力者および代理人は一千名だ」と暴露した陳元1等書記官は、こうも証言した。 「かって米国でも夥しい秘密文書を入手し、中国政府経営の中国遠洋運輸公司(COSCO)所有の船舶を利用して中国に運ばれた。それら秘密文書は軍事、航空技術に関連した資料、また中国は米国、カナダ駐在の華僑、留学生、反政府運動家などを監視すル『特殊工作員』を派遣している」 しかし豪州政府は、それっきり沈黙し、商談を優先させているのである。 |
日高義樹 ジャーナリスト 正論 平成18年2月号 ・国家にとって最も重要な任務は、国際社会という無法状態の中で国の安全を保つことである。国家は本来、自らを守るために戦うことを義務づけられている。国家と「戦うこと」は、同義語である。そして国家が国を守ること自体が国際社会の秩序そのものなのです。 ・世界中の国はそれぞれ国の安全を図り、世界の秩序を守るために必要なだけの軍事力を備えるとともに情報の収集活動を行っている。周囲の動きについて十分な情報を持たずその結果、国家戦略も国際戦略も作り上げられないとすれば、いくら近代的な軍事力を持っていても全く役にたたない。 ・キャノン機関の責任者、ジャック・シー・キャノン中佐がテキサス州の引退先で、一週間にわたって私のインタビューに応じてくれた時、情報収集活動で最も難しいのは敵と味方の区別がつきにくいことだと言った。 「スパイというのは片足を味方の領地に、もう一方の足を敵地に置いていると考えた方がいい」 つまり一流のスパイは往々にして二重スパイであり、敵の情報も取れば味方の情報も敵に流す種類の人間だというのである。スパイが情報を集めるだけでなく、諜報活動を行い、時には秘密工作をも行うとなれば、国の監督にも限度がある。キャノン機関がCIAから避難されたのも、そうした事情が影響していたと思われる。⇒ということは河野洋平とか古河誠はスパイかもしれないぞ。 |
多美川樟三 秘密天馬グループ代表 正論18年2月号 ・日本は昭和60年に国会で廃案になった「国家秘密法案」(自民党議員立法)をつくり、普通の国になるべきである。この法律は秘密戦情報機関が機能・活動を最大限に発揮することを可能にするだろう。 |
黄 文雄氏 (「特務の国」の本性をあぶり出せ )正論 平成18年3月号 《知っておくべき悠久のスパイ文化史》 ・明の洪武帝はもともと、共産主義のプロレタリア革命と同様、平民革命を行って皇帝にのし上がった人物で、宰相制度を廃止して政治と軍事を独占し、特務集団である「錦衣衛」を設立して自らそれを指揮し、恐怖政治を展開した。そして功臣を粛清して不動の独裁体制を確立したのだから、そのあたりは建国の毛沢東とそっくりだ。 《「くの一」の術に引っかかる不覚不明》 ・中国の場合、そのカモは日本の政治家にとどまらず、ビジネスマンもターゲットだ。自称「妻」がカモを探し、自称「夫」が現場に踏み込んで「妻を寝取った」と脅迫するという「仙人跳」というものも横行している。そうやって掠め取られた金額は、農民の年収の一万倍に達する一千万人民元を超えることもよくある。 《人間の精神まで支配する「秘密防諜」) ・全国民の総スパイ化を目指す中国だが、中国人というものは現実社会だけでなく、精神的世界においてでも、スパイによってがんじがらめにされている。 ここでいうスパイとは、道教における“カマドの神”である。これは一年中、一家の生活を監視し、年末になると昇天して、天帝にその報告をするものと信じられている。そして悪いことを報告されると、その一家は翌年不幸な目にあうので、除夜に供物という「賄賂」を贈り、カマドの神の歓心を買うのである。 このほか日常生活を監視する神としては、門の神、厠の神、土地の神もいる。三尸(さんし)の神のように人間の体内に入り、人間が熟睡中に抜け出して天帝に注進するものもある。人と共に働き、恵みを与える日本の神々とは全く異なる神々たちだ。このため中国の民衆は神々に対し、ひと時も祀りと供物を捧げることを忘れないのである。 《中国の対日スパイ工作》 ・2005年、国家安全局の警官や天津公安局610オフィス職員だった郝鳳軍氏が中国の海外スパイ事情に関する秘密文書を持ち出してオーストラリアに亡命した。そして7月17日、同国テレビ局の特集番組「中国の赤い壁の裏」に出演し、法輪功及び反体制派の中国人が活動する日本、北米、ヨーロッパ諸国が、中国によって主要監視対象国に指定されているという、信憑性の高い証言を行っている。 《世界に跋扈する産業スパイ》 ・世界の大技術は太古の時代に中国人が発明したものだから、逆にアメリカなどに対して、パテント代を要求していいなどと、泥棒が被害者を泥棒呼ばわりするような荒唐無稽な言説がこの国にはあるのだ。 《中国最良のカモ、日本》 ・中国は、簡単にスパイの“エージェント”になる日本人があまりにも多いのを見て、最近では短期的契約スパイも増殖させている。反中国政府の人物の家宅や団体の事務所に侵入して逮捕され、住居侵入罪あたりで罰せられているのは、プロ工作員よりも臨時雇いの民間探偵会社などの方が多い。情報当局筋によれば、こうした「契約」は年間千件にのぼっているという。 ・反中国政府分子とされる在日中国人の携帯電話を盗聴する日本人もいれば、中国が政治的に「敏感」になるような学内の講演会情報を、開催が教授会で決定されるやいなや中国政府に通報する日本人教授もいる。 ・「相手の嫌がることをわざわざするのが悪い」「相手あっての外交だ」などと、中国よりも日本の政府をなじる政治家や学者がいる。このような中国に対する露骨な迎合、従属姿勢を取る売国の言論のうしろには、中国が糸を引いているという場合が実に多い。⇒屈従をなんとも思わない日本人。 -------------------------------------------------- ◆ --------------------------------------------------------------- 「正論 平成18年5月号」 ・論語の「民は由らしむべし、知らしむべからず」でもわかるように、中国では「順民」「愚民」が民の理想とされてきた。国権を是とし、民権を非としなければ、混乱が起こって統治に支障をきたすからだ。 ・中国人にとっての最低限の人生訓は「人に騙されるな」である。だから彼等の思考はきわめて戦略的で、建前と本音を完全に使い分け、つねに他人を欺こうとする。ところが「嘘つきは泥棒のはじまり」と教えられて育つ日本人は、“至誠”を徳目とする。このような「誠」の民族が、「詐」の民族のビヘイビアを読むのは不可能に近いのだ。そして現実の中国を知れば知るほど、ますますわからなくなり、さらなる誤読へと走ってしまうのだろう。⇒何故「真・善・忍」が生活信条の法輪功が無実の罪で虐殺されるのか? ・これは“生態学的な問題”で、あらゆる資源が乏しいこの国では、農民はいつまでも最下層の生民としてその日、その日を生きていくしかない。だから今日、中国政府がいかに「三農問題」(農民、農村、農業問題)を解決しょうとしても、それは不可能だと断言することが出来る。⇒民を「牧」ととらえる。牧とは家畜である。家畜を飼うようにするのが統治だと考えている。すると食物連鎖の考えもできないことはない。農民を食物連鎖の最下層位に考えているのである。 ・中国の一貫した国家大戦略を一言で言えば、“富国強兵”だ。・・・・・その目標の下で日本などは、台湾の次に併呑すべきターゲットである。その日のためにも対日謀略で、日本の弱体化、属国化を押し進めているのだ。⇒中共は今日本の明治維新、中共には、善隣友好、平和の本音など一切無い。あるのは隣国の弱体化、属国化を押し進めることだ。 ・朝鮮戦争以来、“17回”にも及んだ対外戦争は、すべて中国の側から挑発した国境外での戦争であるが、それらの開戦の意志決定は、人民解放軍というより、“党中央の政治局”によるものだった。だからこの国が対外的に紛争を仕掛ける背後には必ず、対外問題の解決よりも更に大きな“政治目的”があると言うことを知らなければならない。⇒権力闘争である。 ・日本の場合、反日で圧力をかけると反日日本人がそれに呼応し、政府もすぐに「反省と謝罪」をしてくれるので、中国にとっては得ばかりなのである。日本人はこのような反日に振回される前に、この国の“外敵探しの国策”をはっきりと知らなければならないのだ。⇒中共が何故、反米、反ロにならないのか。それは政治・経済・軍事面で不利になるからだ。だったら日本は断交するか、断交できないなら政治面、経済面、軍事面で対策を打っていけばいいのだ。 ・日本の過去の問題は、サンフランシスコ平和条約と、それに次ぐ国民党政府との日華平和条約で解決済みである。さらには79年の日中平和友好条約でも解決の念押しが行われている。そうした上での歴史謀略であるから、日本は完全になめられているのである。 ・反日日本人は政治や経済に対しては力不足でも、“教育”や“メディア”を牛耳ることには成功した。そこで何をしたかといえば、日本の伝統的な精神、価値観、文化の否定と破壊である。かくして国家否定の主張は、社会思想の主流にまでなり、今日では政治家や企業家にまで影響をもたらしているのである。⇒反日日本人は「恥知らず」「恩知らず」「義理人情知らず」。 ・中国の遠古以来の対外戦略は、「夷をもって夷を制す」「合従連衡・遠交近攻」というものに尽き、今日でもまったくその域を出ていない。だから対日謀略にしても、相変わらず「挑発・離間」、つまり政府と国民を分断させ、あるいは政府内部をも分断させ、中国のエージェントを育て上げ、国内対立をまきおこすというものだ。具体的に言えば中国の代弁者である野党、与党、学者、ジャーナリスト、平和運動家などを動かしての、政府の牽制である。⇒日本と友好関係を結べるわけがない。 ところがこうした対日謀略も、今や限界に達しつつある。それはこれら勢力の衰退のためだ。社会主義国家の挫折や崩壊により、社会主義の魅力や信用が失せてしまったのである。 そこで中国は「世界最後にして最大の市場」「21世紀は中国の世紀」という新たな「魅力」を宣伝するが、それではさすがの反日日本人も、かってほどは乗ってこない。さらに近年の教科書問題や靖国問題での過剰なまでの内政干渉は、日本人を目覚めさせ、そのナショナリズムの高揚を促してしまっている。また反日愛国教育や、官民一体の露骨な反日デモ、そして領土、資源をめぐる対立の激化は、日本人に「中国脅威論」をもたらしている。⇒中共、これほど信用できない国はない。 ・中共がもし日本には「歴史謀略が無効である」と知ったなら、矛を収めざるを得なくなる。そこで日本は、中国が「正しい歴史認識」を押し付け、「前事不忘、後事之師」と諭してくるのなら、同じことを中国に対して行うしかない。 たとえば「尚書」「史記」をはじめ、もろもろの経書、正史は歴史捏造があまりにも多く、歴史を政治と捉えているとして、そのような国の「歴史認識」など信用できないと反論すればいい。また中国には外国の歴史に詳しい学者は少なく、そのため南京虐殺、三光作戦、万人抗などは、ほとんどが「自国史における虐殺事件のコピー」であり、そのような「認識」は受け入れられないと突っぱればいい。 また中国は「中国の神聖不可分の固有の領土」だとして尖閣諸島の領有権を主張しているが、この歴史捏造にも堂々と反論すべきだ。たとえばフルシチョフはかって、ロシアの中国侵略を非難する中国に対して、「万里の長城は中国人自らが作った国境線ではなかったのか。それでも領土神話を持ち出すなら、戦争宣言とみなす」と言い返している。ネパールのような小国さえ、ヒマラヤを自国領と強弁する中国に「中国人は一人としてヒマラヤに登頂していない」と反論している。 日本の、「中国は有史以来、海洋をずっと異域と見なしてきた。無人島の尖閣諸島をよくも固有の領土などと主張できる」というぐらいは言えばいい。台湾の民進党立法議員でオピニオンリーダーである林濁水氏も、「中国の尖閣領有の主張は“歴史”ばかりだが、もっと近代国家らしく論拠をしめすべきだ」と批判している。 もしここまで日本が、「正しい歴史認識」を逆追及できれば、中国の謀略を十分に阻止できるようになるのである。 ------------------------------------------------------ ◆ ------------------------------------------------------------ 「WILL 3月号 平成19年度」 中国が何故これほどまでに侵略的かというと「寄生体質」だからである。寄生=吸血しないと生きられないのだ。うるさい「蚊」だと思えばいい。 <巧妙なメディア操作> ・一番、怖いのは彼らにメディアを握られることですが、日本でもそれは着々と進んでいます。 ・台湾が苦しいのはメディアの80%を中国資本に牛耳られているからです。国民党が50年以上にわたって支配してきたため、メディアだけでなく、官僚機構をはじめ特務、軍、司法、学校と全てを掌握している。 そして、日本に於いても中国のメディアへの浸食は始まっているのです。 <「浸透」から「指導」の段階> ・中国の工作は、確実に日本の「現場」へと手を伸ばしているのです。 <中国人スパイの実数> ・中国人がまだ少ないオーストラリアでさえ、千人以上のスパイがいるということがわかった。中国人学者や留学生が七万人を超えている日本なら、もっと多いでしょう。CIAの見方では、アメリカにいる中国人留学生の80%はスパイで、3千人以上の中国系幽霊会社があると言います。 ・中国人留学生が日本で何をしているのか。 理工系は別として、学生は教授のチェックを行っています。よくあるパターンでは、「尖閣問題」や「南京大虐殺」についての質問をする。私はその質問に対しては「私は専門家ではないから答えられない」と答えるようアドバイスをしています。 <金と女が常套手段> ・中国のプロパガンダを代行する機構が日本には三つあります。ジェトロと経済産業省、それに新聞です。 ・日本では、最近、日本人が簡単にスパイの下請けをし、裾野を広げる事態が起きています。 中国の工作員が日本人の私立探偵などを短期契約で雇う。すると、その私立探偵が反中の人物や団体の事務所に忍び込み、重要な書類、名簿を入手(窃盗)します。この場合、もし捕まったとしても、中国人工作員はリスクを負わない。探偵が不法侵入と窃盗で罰せられるだけです。 <中国文化はスパイ文化> ・中国は匪賊文化。つまり、強盗文化です。そもそも国盗りを正当化、むしろ美化する易姓革命の国です。賊心のないものは中国人ではない。中国の諺で、「嘘をつかないのはペテン師だけ」というものがあるくらいです。 ・自由な精神生活や豊かな物質生活を保障できない以上、中華の振興、つまり世界に冠たる中華帝国の復活という民族の大目標を掲げるしかない。 その目標の下で日本は、台湾の次に併呑すべきターゲットです。だから対日謀略で、日本の弱体化、属国化を推し進めているのです。 日本人は、中国関係の情報によく注意して、その裏にある状況を想像してください。マスメディアはすでに彼らによって浸食されているということを忘れないことが重要です。 |
佐々淳行 初代内閣安全保障室長 諸君 平成18年4月号 「三国志」をひもといても、中国は古来、諜報、謀略工作活動の実績をもつ強敵である。大軍師、諸葛孔明は、弟子たちから「東夷・南蛮・西戎・北狄のうち、東夷の『倭の国』を破る手立て如何?」と問われたのに対し、「倭の国は剽悍勇武、正面攻撃をすると恐るべき敵だが、謀をめぐらし、内通者を獲得し、後方から撹乱すると分裂して容易に破ることができる」と答えたと、「三国志」は誌している。 |
東 祥三 元外務総括政務次官 正論 平成18年4月号 ・米国の中央情報局(CIA)では、インテリジェンス・サイクルを次のような五段階で教えている。 第一:情報収集計画立案及び指示 第二:情報収集 第三:情報加工 第四:全ての関係省庁の保有する情報の比較、総合及び分析 第五:政策決定者への報告 インテリジェンスを形成するためには、膨大な断片情報をよく消化し、政策決定者の関心にぴったりと合致する形で、集約され整理した情報を上げねばならない。その上で、個々の新しい断片情報の持つ意味を評価せねばならない。各省庁の情報責任者がバラバラに総理の所に入り込んで、耳打ちの回数を競うようでは、忙しい総理は判断のしょうがない。それでは情報組織としては完全に失格なのである。 ・日本は「情報公開法」を持ちながら、「国家機密法」を持たない稀有な国である。これは、国家としてパンツをはいていないのと同じである。秘密をきちんと保護する法律がないのに、情報公開の手続きだけが法定されているのは笑止である。また、国家公務員法の機密漏洩罪の軽微さは噴飯ものであり、「軽犯罪なみの罰則さえ覚悟すれば、大金を貰って国家を裏切ることができますよ」と政府自ら宣伝しているようなものだ。 《何をなすべきか》 必要なのは、国家中枢神経組織というべきインテリジェンス・サイクルの構築である。現在のように各組織がバラバラに活動していては、情報を総合的に、横断的に分析することなど出きるはずがない。このような縦割りの弊害を叩き壊し、国家機密法を制定して、国家機密保護体制を準備することが絶対に必要である。 次に首相官邸に安全保障を中心に情報を統合する機構を設け、政府組織内で横断的な情報交換を可能とし、情報コミュニティの中に幅広く全ての情報が垣根なく流れるようにせねばならない。その上で、内閣情報官が各情報組織の見解や判断の幅を確認し、調整して、国家としての「最良の推測」を政策決定者に提出出切るようにすることが焦眉の急である。 そのためには、情報面だけでなく、首相官邸の政策決定機関にも思い切った改組が必要である。情報機関と政策決定機関は、即ち、今のようなごたごたと高官ばかりが高給を取っている総理官邸のスタッフ機構を根本的に見直し、米国のNSC(大統領付安全保障会議)と同等の機動的な意思決定組織を創設することが急務である。ドンガラの安保会議が無用の長物であることは最早自明であろう。 それを終えてこそ、対外工作部門の設置に進むことが出来る。しかし、まず先述のような国家としての中枢神経を整備する方が先だ。脳が正常に機能していない状態で、耳や手ばかり長く伸ばしても意味はないからだ。 |
渡部昇一 上智大学名誉教授 WILL3月号 諜報活動は明治維新の先輩たちに学ぶべきです。幕末の頃から、スパイ工作とか諜報活動が日本では日常茶飯事で、彼らは一つ間違えば自分の命が落とされる危険といつも隣り合わせでした。ですから、インテリジェンスにたいして、非常に敏感だった。 日清戦争に勝利した主な理由の一つは、敵の暗号文を全部解読できたということがあげられます。もちろん人材も多士済々でした。福島安正は、シベリア平原を単独で馬に乗って、ポーランドからロシアのペテルブルグ、エカテリンブルグから外蒙古、イルクーツクから東シベリアまで実地調査を行った。日清戦争前のことです。 日露戦争開戦当初には、金子賢太郎という外交官がアメリカに送り込まれた。彼はハーバード大学を卒業しており、なかでも当時のアメリカ大統領セオドア・ルーズベルトと同級生でした。彼は同窓会人脈をフルに使って、日露戦争を講和へと導いた。明石元二郎は、ロシア国内の政情不安を画策して、日露戦争の継続を困難にさせました。その働きは一人で陸軍十個師団に相当すると言われたくらいです。 彼らの行動力と思考の広さというのは、新しい日本を創った人たちならではのスケールの大きさをあらわしています。 |
大森義夫 元内閣情報調査室長 WILL 3月号 「上海領事自殺事件は日本の国家的敗北だ」 ・私が「日本の国家としての敗北」という意味は国家の中枢に情報戦の管理・司令機能の組織が存在しないことです。 《日本人の甘い認識》 《「もぐら」こそ問題》 《中国の抱かせる幻想》 《諜報工作の真実》 ・諜報戦争の備えを怠れば有為な人材の生命だけでなく、国家利益の長期にわたる流出に繋がる。 H君以外にも、あるいは自殺に至らなくても、旧ソ連東欧圏を中心に、日本人の「被害」は私の聞いているだけでも何件もあります。旧ソ連KGB要員で1979年に日本を経由して米国に亡命したスタニスラフ・レフチェンコの米国議会における公式証言によっても、日本人公務員、政党関係者、ジャーナリストなど多数が「獲得」され、金銭報酬と引換えに日本の機密を売り渡していたのです。 《人は何故組織を裏切るのか》 1.イデオロギー 2.欲望:異性とか金銭とか名誉。 3・恨みに基づく報復。 《事件を契機として》 ・専門のインテリジェンス組織を作ること。 ・カウンター・インテリジェンス(防護) ・インテリジェンス戦は「将棋」と同じ。 《銃弾の飛び交わない戦争》 ・独立させ大統領の直轄下に置く:CIA ・独立性を保ちつつも、外務省の中の一部門として置く:M16(イギリス情報局秘密情報部) |
ジョシュア・アイゼンマン 米国・外交政策委員会 SAPIO
4/12 《米国社会に溶け込んだ「華僑」が工作員に》 《女性スパイの誘惑は「パンダのように」》 −メディアはどう利用されているのか? ・中国は、西側諸国が享受する言論の自由を「スパイする自由」として理解している。私が議会で働いていた時、常に経験したことだが、中国に関連する問題が議題にあがると、中国人記者が大挙して押し寄せてくる。彼らは全員、記者の身分証明書を提示するが、彼らの目的がどこにあるかは、皆が分かっている。中国国営の新華社通信に勤める記者の場合、同じ人物が今度は外交官の席に移っていることもあり、記者、外交官二つの身分証をもって活動をしている。 《人民解放軍の圧倒的な諜報能力》 −こうした活動を主導するのはどこなのか? ・中国の公的な情報機関は国家安全部だが、人民解放軍の情報組織の方が、予算、組織力、人材の面で、圧倒的に力がある。人民解放軍総参謀部の第二部と第三部が情報工作部隊で、人民解放軍所属の国際関係研究所で外国語を学んだエリートが配属されている。 国内・国際のチームに分かれ、それぞれが有機的に結合しており、最終的には人民解放軍が主導する。国内スパイ活動の核心は、13万人の要員で構成された電話盗聴チームを例としてあげることができる。彼らは通話者の「デモクラシー・台湾・人権」など特定の単語に自動的に応じるシステムを開発し、国内外を行き交う通話を効果的に盗聴している。 国際チームは、人民解放軍が直接指導し、外国の大使館に駐在する武官が現地の責任者として働いている。外国でのスパイ活動は、直接、工作を行う人物のバックグランドによって三種類に分けられる。 まず、軍から直接、大使館に派遣されたスパイである。彼らは、外国語能力がすぐれており、外交官としての身分を活用し体系的に情報を収集、分析、報告する。 二つ目は、ハッキングや盗聴による情報収集をメンバーである。彼らは、人民解放軍と直接的に繋がっていないが、情報入手を手伝う役目を果たしている。 第三は、自発的な情報提供者だ。彼らは、元々、一般の民間人だが、金銭を貰って中国に情報を提供する。全米に散らばった留学生も、合法的情報収集活動のための重要な資源である。彼らのような存在は、米国の情報機関が把握しにくい。 こうした中国のスパイ網は、米国だけでなく、日本も含めた世界各地に拡大し、民主化運動の弾圧にも活用されている。実情を把握し、警戒を強め、対策を進めることが急務だ。 |
菅沼光弘 元公安調査庁調査第二部長 「この国を支配管理する者たち」 徳間書店 ・中国共産党の中央委員会調査部は、かって特務として、中国人にとってもっとも恐ろしい組織でした。党内のスパイ摘発はもちろん党員の生活のありとあらゆることを把握していた。つまり中国人は現在でも、すべてを、情報機関に握られていると考えてよい。したがって、合法的に海外に出る中国人は新聞記者であれ、学生、ビジネスマン、外交官などどんな身分であっても情報機関から何らかの依頼をされている筈だ。何千万という中国人が実質的には情報機関員として働いているとみてもよい。旧ソ連のように私はKGBですと名札をつけて歩いている情報要員ではないところが、恐ろしい。⇒つくる会の中にスパイが潜り込まないように注意する必要がある。櫻井よし子先生がある雑誌で述べておられたが、中国人はいつも二人で行動していると。余計なことを言わないように相互監視しているわけだ。 ・日本は対外情報のほとんどをアメリカに依存している。でも国家関係というものは、どんなに親密な同盟関係にあっても、ひとたび国益の座標軸が変われば、簡単に敵対関係になるのです。日本の経済発展も、ソ連が崩壊し冷戦が終了すると、日米経済戦争だと公言して、潰されたわけでしょう。同盟関係にあっても独自のインテリジェンス活動は必要不可欠です。中国も韓国もみんなやっている。日本だけが官民挙げて日米同盟を絶対視している。国家観の甘さの反映だと思います。 《英国をモデルに現実的な道を》 ・わが国では大統領制の米国型情報機関は、各省庁間の摩擦や抵抗で十分に機能しないと言えそうだ。とすれば、わが国と同じ内閣制の英国をモデルとした合同情報会議という既存の組織を前提にして、対外インテリジェンス体制の再構築を図るのが最も現実的だろう。 即ち、@合同情報会議に調整権限を与え、各省庁の機密情報へのアクセス権を認めるA内閣情報調査室を、合同情報会議のスタッフ機能を持つ組織に改編するB各省庁から優秀な人材を集めるとともに、人事交流を活発にして出身省庁にとらわれない視野を持った人材を育成するC大学や民間の研究機関などから専門家を起用するーなどの措置を講じ、情報の評価・分析水準を高めることが不可欠だ。 同時に忘れてはならないことがある。カウンター・インテリジェンス(防諜)体制の強化だ。外国の情報機関、よしんば、それが友好国の機関であっても、汚染されれば、わが国にとっては有害だ。戦前のゾルゲ事件の経験は、それを如実に示している。 |
原 博文 中国残留孤児二世 正論 平成18年5月号 《政府の秘密情報》 ・高層限定:共産党政治局長クラスの幹部だけ。党と国の最高秘密。党の指導者や重要閣僚の秘密のメモなどを整理したものが多く、表紙には逆に何も書かれていない。 ・絶密級:部長(閣僚)と省長(知事) ・機密級:局長か地方都市の市長、 ・秘密級:処長(課長) ・内部参考:科長(係長)クラス。新聞公表の一歩手前。 |
伊藤 隆 東京大学名誉教授 諸君6月号 平成18年度 《日本軍にもいたコミュンテルンのスパイ》 ・尾崎はゾルゲ事件で死刑になるが、逮捕されるまでに近衛政権の中枢に食い込み、近衛体制を支える最も先鋭的な理論家として知られていましたから、コミュンテルンの影響力が権力の中枢にまで食い込んでいたわけで、中共のスパイに侵食されていた国民党蒋介石政権をとても笑えない。 |
北村 稔 立命館大学教授 諸君6月号 平成18年 ・靖国問題にしても、侵略か進出かで大騒ぎした教科書問題にしても、言い出すのはまず日本人だということです。つまり自分の政治的な言い分を通す為に、中国などの「外圧」を利用する日本人がいる。これはスパイ以前の問題ですね。 |
瀧澤一郎 国際問題評論家 諸君7月号 平成18年度 《シベリア抑留は原爆以上の被害だ!》 ・日露戦争の敗北に学んだソ連は強力な諜報体制を構築し、第二次大戦前後の対日情報戦では先手必勝の姿勢を保ち続けたといえる。その対日情報体制の恐ろしさを日本側は十分認識することもできないまま日ソ中立条約が侵犯され、満洲、南樺太、千島列島、北方領土などを簒奪されてしまったのである。そして今や二百万以上といわれる同胞が、戦後になってダモイ(帰国)と騙され、「強制拉致」抑留され、そのうち四十万以上が虐殺されるという二十世紀最大規模の野蛮行為が冷酷無残に実行された。抑留60万人、死亡者6万人というのはソ連側の宣伝だ。 |
「情報という血液を、郵便という血管で送っている」という言葉をヒントに始めたそうですが、血液が問題なのである。赤血球ばかりでは人間は死んでしまうわけだ。 |
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