北アイルランド出身で、少年のころテロリストだった牧師のヒュー・ブラウンさん(50)=日本聖公会西播磨教会=が13日、箕面市の府立箕面高校の教壇に立った。3年生対象の「国際理解」の授業で、「憎しみは憎しみを生む。過ちを次世代につなげてはならない」と語りかけた。
ブラウンさんはベルファスト生まれ。英国からの分離を求めるカトリック系のアイルランド共和軍(IRA)とイングランド系のアルスター義勇軍(UVF)の紛争が絶えない中、UVFに参加。爆弾テロや銀行強盗などを繰り返し、18歳で当局に逮捕され、懲役6年の刑に服した。
刑務所で見た米映画「ベン・ハー」が転機となって信仰に目覚め、出所後、神学校へ進んで牧師に。85年に来日し、今は神戸刑務所で教戒師も勤める。
ブラウンさんは「(今は包括和平案が成立した)UVFもIRAも、公には信仰心を掲げているが、実際はただの暴力集団で報復の連続だった。偏見や差別をなくすためにもお互いを理解する努力をしてほしい」と訴えた。授業を聴いた廣山静紀さん(17)は「北アイルランドの事情をこれまで全然知らなかった。知ることで世界を広げることが大事だと思う」と話した。【川端智子】
毎日新聞 2008年6月14日 地方版