石原慎太郎知事は13日の定例会見で、東京地下鉄(東京メトロ)「副都心線」の開業に関連し、「ユーザー(利用者)のためにも、二つある地下鉄は一緒にしなくちゃいけないと思う」と述べ、同社と都営地下鉄を一元化すべきだとの意向を改めて明らかにした。だが、一元化のめどについては「分からない」とするにとどまり、実現には課題が多いとの認識も示した。
石原知事は会見で、両者の現状について「いろいろ見解が違うからね。都営の地下鉄の財政状況が悪いわけじゃないけれど、向こう(東京メトロ)はもっともうかっている。金持ちが貧乏人と結婚するのは嫌だっていう姿勢でしょう」と指摘した。それでも「できるだけ早く合体した方がお客さんのためには親切だろう」と一元化への意欲を見せた。
東京メトロは、帝都高速度交通営団(営団地下鉄)を04年4月に民営化して設立された。株式は政府(53・4%)と都(46・6%)が保有するが、同社は09年までの株式上場を目指している。副都心線を含めると9路線を営業し、08年3月期の経常利益は約881億円の黒字だった。長期債務残高は約7704億円となっている。
一方、都営地下鉄は4路線を営業し、06年度に60年の開業以来初となる経常黒字約31億円を確保した。長期債務残高は約1兆円に上る。東京メトロとの間では初乗り運賃の二重払い(乗り継ぎで70円は割り引かれる)といった課題があり、石原知事は「サービスも統一しなきゃいけない。統一の規格で掲示板を作りなさいと言っている」と語った。【木村健二】
毎日新聞 2008年6月14日 地方版