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2006/11/04 Sat 病気で摘出の腎臓移植 宇和島徳洲会

ドナーのレセプト添付せず 病気腎移植の徳洲会病院

2006年11月19日18時17分

 病気の腎臓を移植用に使っていた宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で、「病気腎」の移植を受けた患者11人の診療報酬明細書(レセプト)に、臓器提供者(ドナー)側のレセプトが添付されていなかったことがわかった。ドナーのレセプト添付は厚生労働省が通知で義務づけており、同省は「重大な手続きミスが繰り返されていた」として、厳正な処分を検討する方針だ。

 生体腎移植の診療報酬請求では、ドナー側の摘出手術の項目は「移植用腎採取術」(2万2800点)で、移植患者への手術の診療報酬は7万4800点となる。厚労省は、移植患者のレセプトにドナーの氏名と診療報酬の合計点数を記載するとともに、ドナーのレセプト添付を通知で定めている。摘出と移植手術が異なる病院で行われた場合でも、移植手術をした病院がまとめて請求するよう求めている。

 だが、同病院での病気腎移植の場合、摘出手術は「腎摘出術」(1万6300点)などの項目を適用し、結果的にドナーとなった患者を治療するための手術としてレセプトを作成。一方で、移植患者のレセプトにはドナー側のレセプトを添付せず、「院内(または院外)からの提供腎」との注釈をつけて別々に審査・支払機関に請求していた。他病院から病気腎の提供を受けた5件は、移植患者のレセプトだけを作成していたという。

 審査・支払機関の県国民健康保険団体連合会によると、ドナーのレセプトが添付されていない移植患者のレセプトは通常、「記載不備」として病院側に照会するが、「担当者が見落とした可能性もある」という。

 同病院のレセプト作成担当者は「腎臓を摘出した患者と、移植患者のレセプトを同時期に処理していたので、何となく病気腎移植ではないかと思っていた。前任者がおらず、最初に添付しなかった理由は不明だが、不備を指摘されたことがなく、その後も添付していない」と説明する。

     ◇

 〈キーワード:診療報酬請求〉 医療機関が患者(被保険者)に施した手術や入院などの処置について、決められた点数(1点=10円)をレセプトに記載し、国民健康保険団体連合会などの審査・支払機関に請求。審査・支払機関は記載内容をチェックして、問題がなければ健康保険組合などの保険者に送る。保険者は審査・支払機関を通じ、医療機関に患者の自己負担分を差し引いた金額を支払う。

ドナーの本人確認、腎移植施設の2割「特にせず」

asahi.com 2006年11月14日01時08分

 全国の腎移植施設のうち、生体腎移植に際して臓器提供者(ドナー)の本人確認について「特別な確認はしていない」施設が約2割もあることが日本移植学会(田中紘一理事長)のアンケートで分かった。このため、同学会は13日の臨時理事会で「健康保険証や写真付き公的証明書による本人確認を徹底する」など3項目を学会の倫理指針に追加することを決めた。

 アンケートは、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)での生体腎移植に絡む臓器売買事件を受けて実施した。腎移植実施機関238施設のうち204施設が答えた(回答率86%)が、うち41施設(20%)がドナーの本人確認をしていなかった。

 ドナーが親族かどうかの確認は165施設(81%)が「自己申告」。11施設(5%)は倫理委員会が「ない」と回答し、施設長の承認や診療科の判断で倫理審査を行っていたとした。腎臓の提供が自発的かどうか文書で確認を求めている施設も105施設(51%)にとどまった。

 この結果などを受け、倫理指針には本人確認の徹底のほか「ドナーの自発的意思は倫理委員会が指名する精神科医など第三者が確認する」「金銭の授受などが疑われた場合は即座に移植を中止する」ことを盛り込んだ。当面は生体腎移植に限るが、いずれは生体移植全般に広げる方向だ。

 移植学会は14日、臓器売買事件に関する声明を同学会員あてに送る。国内外を問わず、すべての移植医療で倫理指針の順守を会員に求めるとともに、同学会に所属しない医師による移植手術を認めないよう各医療機関に求める内容になる見込みという。

病気腎移植、悔いる医師 「万波氏、絶対の存在」

asahi.com 2006年11月13日00時13分

 病気の腎臓で移植を繰り返していた宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠・泌尿器科部長(66)を中心とする移植医グループの手術に立ち会った医師4人が、朝日新聞の取材にそれぞれ応じ、当時の状況などについて証言した。万波医師らの高度な医療技術を認めながらも、臨床の常識を超えた手法に強い疑問を感じていた、という。自分の患者の臓器を他人に渡したことへの反省の弁も聞かれた。

 宇和島市立宇和島病院に勤務していた男性医師は数年前、同病院にいた万波医師が手がけた病気腎移植にかかわった。ネフローゼ症候群の患者から腎臓を摘出し、腎不全の女性に移植したが、万波医師はその理由を同僚の医師たちに詳しく説明しなかった。

 「ドナー(臓器提供者)にとっては悪いことしか起きない腎臓だから取るが、ほかの人に入れたら機能する可能性がある」。男性医師がそう聞いたのは、別の泌尿器科の医師からだった。「こんな方法もあるのか、という程度にしか感じなかった」と振り返る。

 だが手術後、立ち会った医師たちから「あんなことをやってよかったのだろうか」「別の方法で治療できたのではないか」などの声が上がった。その後、ほかの専門医らと意見交換し、「ドナーにきちんと説明をしたのだろうか」と疑問を感じるようになった。

 万波医師は7日の記者会見で、病気腎の移植について「医療チームで討議した」と説明したが、男性医師は「一度もそうした場に加わったことがない」と主張する。「そもそも万波氏は当時の病院内では絶対的な存在。反論しても無駄という雰囲気があった」

 移植を再考するよう患者に助言しようと考えたこともあるが、関係がこじれるのが嫌でためらった。「問題のある医療に手を貸してしまった」。そんな思いが残る。

 鹿児島徳洲会病院(鹿児島市)で00年9月、万波医師が腎動脈瘤(りゅう)を患った女性(70)から腎臓を摘出する手術に、助手として立ち会った外科医(43)は、手際よくメスを握る万波医師を見て違和感を感じた。

 腎臓につながる腎動脈にできた瘤は直径1センチ弱。臓器を取り出さずに瘤を切除すれば足りる、と感じたが、万波医師は術前から腎臓を移植用に使う趣旨の話をし、手術室には臓器の保存液が用意されていた。「初めから『移植ありき』の構えだった」。患者の手術同意書を見たが、「移植」という言葉は一切なかったという。

 今年5月、万波医師の弟、廉介医師(60)によって摘出された腎臓が宇和島徳洲会病院へ送られた岡山市の川崎医大付属川崎病院で、摘出患者の主治医だった男性医師は今、「軽率だった」と後悔しているという。

 患者の腎臓には大きな良性の腫瘍(しゅよう)があり、摘出以外に方法はなかった。廉介医師に応援を頼むと、「移植に使っていいか」と聞かれ、患者の了解を取ったうえで承諾した。だが主治医に移植の経験はなく、日本移植学会にも所属していなかったため、非親族間の移植は院内の倫理委員会に諮るという手続きを知らなかったという。

 岡山県備前市の市立吉永病院でも同7月、廉介医師ががんの疑いがある腎臓を摘出。当時の主治医は「病理検査のために持ち帰る」と言われ、信用してしまった。「今回の問題に巻き込まれ、気が重い。ほかの医者に頼めばよかった」

病気腎「密室」の連携 独自の倫理観、院長には内証

asahi.com 2006年11月10日17時46分

 病気の腎臓で移植を繰り返した宇和島徳洲会病院の万波誠・泌尿器科部長(66)らのグループは、主に瀬戸内地方全域で「病気腎」のネットワークを築き上げていた。医師たちは生体腎、死体腎に続く「第三の道」を旗印に、独自の倫理観と先進技術で、多くの移植を手がけた。だが、特異な姿勢が受け入れられることは少なく、「密室」への道をたどった。

 病気腎の摘出が表面化した岡山協立病院の吉崎振起院長は8日夕、いら立ちを募らせていた。突然の「飛び火」のうえ、執刀した万波医師の弟、廉介医師(60)から何も聞かされていなかった。

 廉介医師は、4年前まで同病院の泌尿器科部長。だが、院内の倫理委員会で審議されることはなかった。報道陣の前で、吉崎院長は何度も「残念だ」と繰り返した。

 衝撃は、同じ岡山の備前市立吉永病院にも広がった。摘出した腎臓を持ち出した廉介医師は、荻野健次院長に「病理検査のため」と説明していたという。

 同じ「瀬戸内グループ」の一人、香川労災病院の西光雄・泌尿器科部長(58)は「今までにない分野をやっているという認識があった」と正当性を主張しながら、病気腎の提供を倫理委に諮らなかった。

 判明しただけで、病気腎にかかわったのは5県の10病院にのぼる。

 計6件の病気腎移植が発覚した呉共済病院で山木戸道郎院長は「それなりの処分はしなければ」と言った。矛先は、すべての手術を執刀した光畑直喜・泌尿器科部長(58)に向けられた。

 同病院でもかつて、腎移植をめぐって倫理委が開かれたことがなく、移植の権限は事実上、光畑医師に一任されていた。病院側が移植を把握したのは今月6日。光畑医師はいったん否定したが、夕方になって複数の移植手術を認めた。

 瀬戸内グループの4人の医師たちは病院内でも浮いた存在だった。特に、万波医師は前勤務先の宇和島市立宇和島病院で、朝の科長会にほとんど参加せず、忘年会や送別会にも姿を見せなかった。腎臓の移植手術があると、廉介医師や光畑医師を呼んで手伝わせ、ほかの医師は脇役だった。

 見かねた柴田大法・前院長は03年、万波医師を院長室に呼び、勧告文を手渡したが、万波医師は拒否。学会入りも勧めたが、従わなかったという。

20数件の病気腎移植手がける 万波医師が会見

asahi.com 2006年11月07日20時37分

 愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院で病気の腎臓が移植に使われていた問題で、同病院の万波誠・泌尿器科部長(66)が7日、記者会見し、前勤務先の同市立宇和島病院で、90年ごろから10〜15件程度の「病気腎」移植を実施したことを初めて明らかにした。宇和島徳洲会病院での11件を含め、これまでに二十数件を手がけたことになる。「04年以前は移植していない」と虚偽の説明をしていた点については、「市立病院に迷惑をかけたくなかった」と述べた。

 会見の直前、万波医師は病気腎の移植について、「生体腎移植、死体腎移植に続く第3の道」と記した計2枚のメモを配布。「このような医療行為が残っていてもいいのではないか」とし、自らの正当性を強調した。

 万波医師は、市立宇和島病院時代の病気腎移植について、「5、6人のチーム医療で十分に討議しており、秘密にはしていない。その場で反論もあったが、私が上だから決断した」と説明。「破棄される腎臓の中で使えるものがある。人工透析より移植を望む患者は多い」と述べ、あくまで患者優先の治療行為とする見解を示した。

 ただ、件数については「記憶していないが、10例から15例ぐらいではないか」と、あいまいな説明に終始。当時の院長への説明についても「報告したことも、しないこともある」と話した。

 一方、同病院の市川幹郎院長らもこの日、同市役所で会見し、01年から03年の間に、臓器提供者(ドナー)について移植患者との続き柄を記入する欄が空白だったり、「不明」と記されたりしたカルテが6件確認された、と発表した。市川院長は「病気腎が移植された疑いがあり、詳しく調査したい」と述べた。

提供2病院、倫理委開かず 指針抵触か 病気腎臓移植

asahi.com 2006年11月04日15時28分

 愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院が、病気で摘出した患者の腎臓を別の患者に移植していた問題で、摘出された臓器を提供した岡山、香川両県の2病院が、移植の可否を審議する倫理委員会を開いていなかったことがわかった。いずれも臓器提供者(ドナー)と移植患者との間に親族関係はなく、日本移植学会の倫理指針に反する疑いがある。執刀医の一人は「捨てられるはずの臓器が移植に使えるのなら使うべきだ」と主張。移植医療をめぐる同学会との見解の相違が色濃く浮かび上がった。

 倫理委を開いていなかったのは、岡山市の川崎医大付属川崎病院と、香川県丸亀市の香川労災病院。

 川崎病院の男性医師は今年5月、良性の腫瘍(しゅよう)があった50代男性の右腎臓を摘出。応援要請を受けて院外から手術に加わった万波廉介医師(60)が術後、兄の万波誠氏(66)が泌尿器科部長を務める宇和島徳洲会病院に腎臓を送った。

 この医師によると、腫瘍は異常に大きく、切除後の腎臓を体内に戻す可能性は当初から低かった。廉介氏から手術前、「摘出した場合は移植に使わせてほしい」と要請があり、患者から同意書を取ったうえで承諾したという。

 医師は、院内に設置されている倫理委にこの件を諮らなかった。これまで腎移植の経験がなく、日本移植学会に加盟していないため、第三者からの臓器提供については、倫理委に諮るとした学会の倫理指針も知らなかったという。「腎臓はどうみても摘出し、処分する状態だったが、高度な技術を持つ万波(誠)先生なら移植に使えるのかな、と思った。患者の同意があれば大丈夫、と判断した」と振り返る。

 川崎病院の坂手行義院長は、摘出臓器が移植に使われたことを知らなかった。「100%倫理委にかけるべきケース。職員には倫理規定が周知徹底されていると思っていた。残念だ」と話した。

 廉介氏は、川崎病院など岡山県内の3病院で、それぞれ1人の患者から摘出した腎臓を移植用として宇和島に送ったことを認めている。このうち同県内の公立病院では今年6月、腎臓がんが疑われた70代女性の腎臓を摘出。調べてみると、がんではなく、石灰化した組織がこびり付いた状態だったので、これをはぎ取ったうえで移植した。病院長には、摘出して約1週間過ぎてから移植の件を報告したという。

 3件とも治療して体内に戻すのは時間や手間がかかり、合併症の心配もあったため、より危険性が少ないと考えて、同意を得たうえで摘出したという。「人の役に立つなら使って、と患者から言われた。その思いに誠心誠意応えて、やったことだ」と言い切る。

 一方、香川労災病院の医師(58)は昨年以降、70代と50代の患者2人からがんにかかっていた腎臓を摘出。腫瘍を切除し、いずれも倫理委に諮らないまま、宇和島徳洲会病院に臓器を送った。この医師は万波医師らと移植医療界から「瀬戸内グループ」と呼ばれる手術チームをつくり、多数の生体腎移植を手がけている。

 医師は「病気で摘出した腎臓は、健康な人から摘出された生体腎とはいえない。こうした移植は学会の倫理指針に定められておらず、倫理委の審議対象外だ。患者の同意を得ており、法的にも問題はない」と話す。

 泌尿器科の専門医は「今回の移植に使われた臓器が健康な生体腎とはいえない、というのは言い逃れ。まず、十分な機能があってがんにかかっていないと担保されている臓器なら、患者本人に戻すべきだ。患者の同意を得るのにも十分な時間をかける必要がある。手術中の診断では腫瘍の良性か悪性かの判断はしにくく、移植をすべきではない」と話している。

ドナー不足で「使えるものは使う」 徳洲会の万波医師

asahi.com 2006年11月04日19時04分

 宇和島徳洲会病院の万波誠・泌尿器科部長らは4日、同病院で記者会見し、病気の患者の腎臓を移植したことについて、「ドナーと移植患者に十分説明をし、同意も得た」と強調した。ただ、ドナーから文書で同意を取ったのは11件中3件だけだったとしている。

 万波医師と貞島博通院長の説明によると、11件の病名の内訳は、腎がんと尿管狭窄(きょうさく)が各3例、動脈瘤(りゅう)と良性腫瘍(しゅよう)が各2例、ネフローゼ症候群が1例。病気で摘出した腎臓の移植は、万波医師が同病院で04年9月から始め、このうち10件が現在も良い状態で機能しているという。11件中5件は病院外で摘出手術が行われ、1件を除いてすべて親族外の移植だった。貞島院長は「病気の腎臓だったことは手術後に聞いていた」と述べ、移植について了承していたことを明らかにした。

 万波医師は「摘出の必要がない小さながんでも、ドナーが摘出を強く望むケースがある。臓器を戻す場合、手術は長時間になり、摘出のみの手術を希望する患者もいる」と説明。「患者や家族には再発の恐れや臓器がうまく機能しない可能性にも言及している。戻せる臓器は戻すというのが大原則だが、ドナー不足で本当に困った人がいる切羽詰まった状況で、使える物は使うという考えだった」と述べた。

病気で摘出の腎臓移植 宇和島徳洲会、過去に11件

asahi.com 2006年11月03日01時49分

 愛媛県宇和島市で起きた臓器売買事件の舞台になった宇和島徳洲会病院は2日、過去に実施した生体腎移植の中で、病気によって摘出した患者の腎臓を別の患者に移植したケースが計11件あった、とする調査結果を発表した。こうした移植は安全性に疑問があるうえ、同病院が移植の可否を検討する倫理委員会も置いていなかったことから、日本移植学会の倫理指針に明白に違反する。専門家からは「医療行為として問題が多い」と疑問の声が出ている。

 病院側は当面、こうした移植を中止し、腎臓を摘出された患者が移植に同意していたかどうかを含め、外部の専門家を加えた専門委員会で詳しい調査をする方針。

 同病院によると、04年4月から今年9月までに実施した生体腎移植は、今回の事件を除くと81件。このうち11件について、治療の必要性から摘出した腎臓を移植に使っていた。他人からの臓器提供も含まれているとみられる。すべての腎移植を執刀した万波誠・泌尿器科部長(66)は「これまでの移植は親族間だった」と話し、この説明とも矛盾するという。

 泌尿器科の専門医によると、一般に腎臓の腫瘍(しゅよう)や腎臓周辺の血管が狭くなるなどの病気の場合は腎臓を摘出し、病変部を治療して患者に腎臓を戻すことはあるが、機能する腎臓を摘出して他人に移植する行為は通常、考えられないという。

 81件のうち4件は患者の体内で臓器の位置を変える移植で、66件は当時の記録などから親族間の移植と推定される。ただ、この中の5件については、外国籍などの事情で親族関係が確認できなかったという。

 今回の事件では、腎臓を提供してもらう見返りに現金などを渡した男女2人が臓器移植法違反容疑で逮捕、起訴され、臓器提供者(ドナー)の女性が略式起訴された。同病院は関係者の本人確認が十分でなく、倫理委員会も開いていなかった。

 11件のうち3件の腎臓の摘出手術を執刀した万波医師の弟の廉介医師(60)は「摘出理由は腎臓がんや良性腫瘍、動脈瘤(りゅう)の疑いだった。術後の検査でいずれも良性と判断されたため、移植した」と説明。「摘出した腎臓を他人への移植に使うことについて、摘出患者の同意を得た」と話した。

 病院側は「担当者がいないので、詳細は答えられない」としている。