東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、悲惨な状況を伝えるリポーターの背後で笑顔でVサイン−。事故の現場中継で悪ノリする「やじ馬」が、インターネット上で厳しく批判されている。秋葉原の事件現場から中継するテレビカメラに、笑顔で映りこむ若者たちの画像がネット上にアップされ、非難の書き込みが集中していることが12日、わかった。
沈痛な面持ちで事件を伝える記者の周囲で、携帯電話を片手に「映ってる?」とはしゃぐ。笑顔で写メールを撮っている者も…。ネットには実際に放送された映像が切り取られ、すでに数十枚の画像が出回った。「だめなオタクたち」「人間のくず」などと画像説明がつけられ、書き込み合戦に火がついている。
ネット社会にくわしいジャーナリストの井上トシユキ氏は「やじ馬はニュースでよく見る光景ですが、やはりみんな不快に思ってたんですね。テレビができて間もない時代ならともかく、もう半世紀以上たってるわけでして、殺人現場でピースなんて、空気を読め、ということ」と同感。
その一方で「たまたま笑顔で映ってしまった人もいるわけで、せめて目線を入れる気遣いがあっても」と“暴走”へ発展する危うさも指摘した。
サイト内では、リポーターの後ろで笑顔で映っていた男性と、現場にしゃがみ込んで手を合わせている男性が同一人物であるとして「冥福を祈るフリをしてカメラに映る?」などと行動を“追跡”。ストーリー化しているケースもある。井上氏は「ネット上では“探偵ごっこ”がはやっています。トランプの神経衰弱のように、同一人物を探して騒ぐのです。今回の登場人物の中にアキバの有名人(ナンパ師)がいたみたいで、それが騒ぎを大きくしています」と補足した。
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