ライブドアの粉飾決算事件で同社株が下落して損害を受けたとして、日本生命と信託銀行5行がライブドア(現ライブドアホールディングス)に計約108億8100万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は13日、総額約95億4500万円の支払いを命じた。阿部潤裁判長は「粉飾は投資判断に重大な影響を与えた」と述べた。
同種訴訟では、初めての判決。個人株主約3300人が約208億円の賠償を求めた訴訟に影響を与えそうだ。
04年の証券取引法(現・金融商品取引法)改正で、有価証券報告書の虚偽記載公表日の前後各1カ月の平均株価を求め、その差を損害と認定する規定(推定規定)が設けられた。
判決は規定を初めて適用した。そのうえで最大の争点だった公表日を、東京地検が報道機関に虚偽記載の容疑があると伝えた時点と判断した。06年1月19日朝刊に一斉に報じられたことなどから、前日の同18日を公表日とした。
さらに、フジテレビとの提携解消など別の事情による値下がり分(約3割)を除外し損害額を算定した。
ライブドアホールディングス側は「検察官が捜査情報を公表することは制度上予定されていない」と主張したが判決は「一定の情報伝達は許容され、報道機関に伝達することは公表に当たる」と退けた。【銭場裕司】
毎日新聞 2008年6月14日 東京朝刊