ご無沙汰しています。報道関係者に公開で3月18日に行われた学会幹部と病腎移植を考える超党派の会との会談の内容に対する僕なりの反論を括弧で加えたものを添付します。
その後、3月24日に僕とオーストラリアの二コール先生がやはり病腎移植を考える超党派の会と会談しました。会談の際には、世界の現状が主なテーマとなりましたので、この添付文章は、会談後、メールアドレスをいただいた5名の議員さんにお送りしています。
何かの参考になればと思い、お送りします。
藤田士朗
病腎移植を考える超党派の会(学会同席)
(衛藤)本日は関係学会から修復腎移植への見解ご説明を頂きたいという事でこの会を開催させて頂きました。まず杉浦会長からご挨拶をお願い致します。
(杉浦)先生方お忙しいところありがとうございました。私共この問題を考える超党派の会、出来たばかりでありますけど私共素人が殆んどなんですけど、腎臓で悩んでいる方が非常に沢山いますので・・・これだけの問題になりましたしたので学会の先生方がこの問題をとりあげて頂いて前向きに進めていただければ腎臓病で悩んでいる方の光明になるんじゃないかという考え方で積極的に取組もうと思っているところで御座います。最終的には議員立法を含めて何らかな措置を取ることも必要じゃなかと思っていますが、その前に私共、勉強させて頂きたく今日開催いたしましたので先生方の御考えを御伺いさせて頂きたいと思います。一回で済まなければ改めて御伺いさせてもらいたと思いますが宜しくお願い致します。
(衛藤)それでは平沢先生、会長代行よろしくお願い致します。
(平沢)先生方、お忙しいところ御出で頂きありがとう御座います。私達は中立的な立場から修復腎移植のあり方を検討して行きたいと考えていますので先生方のご意見を御聞かせ頂ければありがたいと思います。今日は御忙しいところ日本移植学会から寺岡先生そして高原先生、日本泌尿器科学会から中谷先生、日本腎臓学会から渡辺先生、両角先生、日本臨床腎移植学会から相川先生、高橋先生の7名の先生方にお越しいただきました。本当にありがとう御座いました。それでは先生方のご意見よろしくお願いいたします。尚、来週はアメリカの移植学会元会長のハワード博士に御出でいただけることですので???アメリカの学会関係者が来週の月曜日午後5時から御呼びしていますので先生方お時間、ご都合、遣り繰りしていただいて御出で頂ければありがたいなと思います。よろしくお願いします。
(衛藤)それでは関係学会からのご意見、ご見解の説明よろしくお願い致します。
(杉浦)マスコミの方が居たっていいじゃない?
(平沢)居たっていいですよ。マスコミの方どうぞ。
(河村)秘密の話しじゃないから。
(衛藤)それではどうぞ。
(寺岡)本日は、この様な機会をつくって頂きありがとう御座います。日本移植学会の寺岡と申します。私は総論的な事についてお話ししたいと思います。これは日本全体の現在までの移植の総数で御座います。生体腎移植、死体腎移植とあります。これは生体腎移植の原則であります。本人の自発的な提供意思が一番重要であります。近親者であること。金品授受など影響力を伴わない事など、これが一番重要であります。これまで15,000件の中で70件ほど生体間移植の術前検査で何らかの疾患が提供者に見つかって、それを手術・治療した後に移植した事があります。
(学会は病気の腎臓を修復して移植する事には、賛成という事を意味する。)
しかし、これらは元々、近親者への生体腎移で腎臓提供のために受診された患者さんで腎の疾患の治療のために受診したにも関わらず治療上摘出する必要の無い腎臓を摘出移植するのとは根本的に異なります。
(治療上必要の無い腎臓を摘出する事には反対ということを意味する。)
第3者への病腎移植についてですが、根本的な事は患者さんは、その疾患の治療のために受診されている事でありまして、その患者さんの治療が最優先であります。これはオーストラリアのニコル先生も言っておられますが、この治療方針の決定には移植医は関与してはならないと言う事であります。手術の目的は当然の事ながら、その患者さんの治療が目的であり、可能な限り腎機能を温存すべきであります。移植できる腎臓つまり第3者に移植出来る腎臓はそもそも摘出してはなりません。また体外手術後移植出来る腎臓は患者に戻す、戻し得るわけです。
(実際にどれほど、自家腎臓移植がされているか。自家腎臓移植の症例をすべての施設で、報告してもらう事が必要。文書での回答を求めたい。)
完全に戻せない腎臓は移植も出来ません。これは極めて簡単な何方にも理解しやすい論議だと思います。『本当に腎臓を摘出しなければならなかったのか?』言う事ですが・・・この様な疾患が移植されていますが、この中で尿管癌以外は摘出する必要がありません。尿管癌は後でお話しありますが摘出する必要があります。しかし移植は非常に危険です。その他の疾患は治療上摘出の必要性が無い、治療上摘出する必要が無い腎臓が摘出されてしまっている様であります。例えは石灰化腎の方でありますが、これは良性の疾患で摘出の必要がありません。これは術前に石灰化腎の診断が付いていたにも関わらず、ご家族ご本人には90%癌であると説明されています。
(本当に良性の診断が付いていたわけではない。)
又、患者ご本人への聞取り調査では『???癌だと言われた』おっしゃっております。
(注:万波簾介医師の症例と思われる。具体的には、開業医の先生より、腎腫瘍の人がいるので紹介したいと電話があり、後日CTをもって本人と御主人が受診された。その日、造影CTをとってから、本人及び御主人とCTをみながら話した。
「これは、ここに腎腫瘍があり、大きさは4㎝位あります。腎腫瘍はたいてい悪性です。しかし、腎腫瘍としては、あまりみかけるタイプではありません。そういう意味では100%腎癌とはいえません。針でついて、悪性かどうか手術前に決めるやり方はありますが、癌である場合、癌細胞を散らすので私はしません。私は、手術中に癌と思われる部分をとり、凍結切片を作り、病理の先生にみてもらうやり方をします。しかし、このやり方は、ここでは出来ません。岡山市の大病院に行けば出来ます」と話しました。
二人は、「ここで出来ないのですか・・・。私共は、ここで先生にやってもらいたいのです。」といわれました。
「ここでする場合は、癌として手術させていただきますが、よろしいでしょうか」というと、「そうして下さい」といわれましたので、入院日、手術日を決めさせてもらいました。
仕事が済んで気になるので、CTを出して眺めていました。一見癌のように見えるが、腎結核ではないか(カリエスをしていた病歴があった)など考え、20~30%癌ではない可能性があるように思えてきました。
そこで、その日か後日か紹介医に電話で「100%癌とはいえない。ここでする場合癌として腎摘をするか、癌でない場合移植に使用してもいいか、という話を私から本人及び家族にしてもよいか」とたずねますと「どうぞそうして下さい。しかし、先生あれは癌でしょう」といわれました。
開業医に対しては、開業医をたてて治療上のちょっとした方針変換も開業医に了承を得るのは鉄則なのです。
その後、入院してこられた時に「癌として腎摘をします。もし、癌でない場合は、透析をしている人に病変部をとって移植してもいいですか」と話したら、快諾していただきました。
わかりにくい話だと思いましたので、その後もまた同じことを話しました。
最後は手術当日の朝、もう一度念のためお話をさせていただきました。
手術後、御主人に取った腎をみせ、病変部が見えるようにして「これができものです。周囲がひきつっていて、やはり悪いできものの様にみえますが、きちっと最後までかねてより言っていたように調べさせてください」と頼みました。
この時、看護師さんもおられました。
調べた結果、癌でなかったので移植しました。
患者さんは3~4日後、転院され紹介医のところに帰り、無事退院されました
腰の痛みもとれ、大変喜んでいると紹介医より電話がありました。
これが全容です。
この件は後に新聞で患者さんに移植に使うことを説明していなかったのではないかと報道されましたが、患者さんのカルテの記載及び吉永病院の作成した報告書などから、今では誤解であったことが明らかになっていると考えています。)
腎動脈瘤も???こういった物も全然摘出する必要はありません。この患者さんに関しましては生体間腎移植のための入院治療と書いてありまして、はじめから腎移植のために入院されられたと考えざるに思えない。
)このことに関しては、資料なし。 詳しくは万波誠、簾介、光畑、西先生よりの説明を求めたい。だが、患者が摘出を承諾し、それを移植に利用することにも承諾しておれば、何ら問題ないと思われる。実際肝臓のドミノ肝臓移植の場合はドナーでもレシピエントでもあり、そのように記載される。)
こちらの方では患者さんのレシピエントの方は既に6日前から免疫抑制剤を使用されていた事でありまして移植の準備が進められていたと。
(手術前から、全摘出が決まっており、また、取り出した腎臓を移植に使用する事をドナーさんがあらかじめ納得していたのならば、レシピエントにその準備として、(おそらく血液型不適合の移植であったと思われる)免疫抑制剤を投与するのは当然。詳しくは万波誠、簾介、光畑、西先生よりの説明を求めたい。)
つまり当初から移植のための腎摘出を行なう事が決められていたのではないかと疑念を払拭する事ができません。
又、治療上は摘出する必要のない腎臓を移植のために摘出した可能性が強いと考えられます。十分な説明の上での同意が得られていない事も問題でありまして、この良性尿管狭窄の患者さんは良性の疾患であり摘出の必要性が無いにも関わらず摘出されています。
(疑問のある症例では、議員の方々が自ら、ドナーさんに聞かれる事が肝要と思われる。)
又、看護記録には『この患者さんは腎臓を移植に使われる事は知らない』と看護婦さんの記録がなされています。
(このことに関しては、資料なし。 詳しくは万波誠、簾介、光畑、西先生よりの説明を求めたい。)
又、この方の場合には、重度認知症のお母さんから移植をされていますが腎摘出手術の承諾書にはお母さんご本人では無くて移植を受けるレシピエントが署名されております。???移植された腎臓は機能しておりません。
(病気腎移植ではなく、通常の生体移植か?意味不明)
その他に問題になりますのは、この病腎を移植する是非のみではなくて・・・あっ、失礼致しました・・・治療上摘出する必要の無い腎臓を摘出した是非がやはり議論されなければいけないだろうと。次に病腎を移植する事の是非につきましては個別関しまして別の発表がありますが良性疾患で移植して機能し得る腎臓はそもそも摘出する必要はありません。
(個々の症例でそれぞれの事情があったことを考慮していない。病理の先生方に協力を求めて全国の病院で良性疾患で腎臓摘出がされていないかどうか、文章で回答を求めたい。予想としては、数多くの良性疾患が全腎臓摘出を受けているはず。もしも、これを「非」とするのならば、それを行った医師、および病院に同様の処分を求めるべきで、医療現場が混乱する。)
又、悪性疾患で摘出しなければ患者の生命に危険を及ぼす腎臓は移植できません。但し部分切除で治癒可能な場合はその患者さんの腎機能を温存する意味から部分切除するべきだと思います。
(部分切除は20%にしかすぎない。厚生労働省の昨年6月の調査、ニコール先生の発表スライドのアメリカでの客観データにより明らか。ちなみに万波医師は約90%で部分切除を行っているとのことで、むしろ、他の施設よりも積極的に部分切除を症例している。)
又、癌は移植しても発症しないとよく言われていますが、まったくの間違いでありまして、これは様々な国際統計で明らかにされています。若干古い統計ではありますが43%の癌がドナー以外の癌が発症しております。最近のユノスの統計でも4.3%が発症しています。これは癌が完治して5年以降に提供した場合にでも4.3%がうつる可能性が有ると示しています。
(これは見過ごした癌が移るのであり、癌の所在がわかっていて、それを切除して行う病気腎臓移植には当てはまらない。修復腎臓の場合、術前に詳細に患者の検査が行われ、病変は腎臓に限られている事、肺や肝臓に転移が無い事、腎臓病変もその部位や数が明らかである。それに引き換え、脳死移植の場合、術前の検査は不十分で、時間的にも十分な検索を行わないままに、臓器摘出、そして移植が行われている。そのため、見過ごされて、臓器に存在する癌とともに移植される事があり、これがこの数字に現れているもので、むしろ、修復腎臓移植の方が、その他に癌が無い事が明らかで、安全とも言える。さらにいえば、ニコール先生や万波医師は腎臓癌の修復腎臓のレシピエントに癌が移る可能性は5%ぐらいと説明している。これは、寺岡氏が上記に示す4.3% と同等の数字であり、癌が無いと思って植えた脳死からの発ガン率を変わりないわけで、修復腎臓移植を否定する根拠にはなり得ない。)
この他にも受診者は公平公正な手続きで選定されたのか?
(修復腎臓移植は、少ないながらも、ドナーの病気が移る可能性があるわけなので、通常のネットワーク上の待機患者に機械的に割り当てる事は、倫理上許されない。その旨のリスクを承諾した患者が選ばれるべきである。)
レシピエント、家族に十分な説明がなされたのか?
(第三者としての弁護士によるドナーへの質問で、十分な説明がされていた事が示されている。)
実験的医療を実施する際に対してどのような手続きが取られたのか?などが問題になると思います。これは最も問題になる症例でありまして、皆さんこれを最もよく見て頂きたいと思います。ネフローゼの方でクレアチンが1で腎機能はまったく正常です。この方はHBSコウゲンが陽性で手術の10日前MRSAが血中で陽性でした。つまり耐性ブドウ球菌ですね。さらに肺炎があったんです。その方から病気の腎摘を行なって2名の方に移植しております。
(治療法のある感染症に関しては、ドナーとしての禁忌とはならない。MRSA,
や日本では法定伝染病である髄膜炎菌でも、治療薬があるため、禁忌とはならない。)
この方はHBSコウゲンでB型肝炎のウイルスを持っていますので2名ともこれに感染しております。
(一人だけと聞いているが本当か。このことに関しては、資料なし。 詳しくは万波誠、簾介、光畑、西先生よりの説明を求めたい。
日本移植学会が発行する「移植」という雑誌に毎年、腎臓移植臨床登録集計報告が掲載されるが、これにはHBs抗原陽性症例だけでなく、HBe抗原陽性という、この症例で非難されているものよりも、はるかに感染度の高い症例のドナーから移植がされている事が、明らかにされているが、雑誌の本文文章中には何らコメントもない。これらの症例に関して、詳しい背景を文章で移植学会に求めたい。その後で万波医師の症例を比較検討するのが、正当な方法と考える。)
両方とも腎臓は機能せずこの方は再度ここで腎癌の方から受けられて肝不全でB型の肝不全で最初の移植から6ヶ月半に亡くなられています。
(死因は急性膵臓炎であり、肝不全ではない。また、肝機能障害を示していたが、これは急性膵臓炎による肝機能障害と思われる。術後急性膵臓炎の時期に手術が施行されており、術者の外科医からも同様のコメントが得られている。)
又、この方も透析中でHBSコウゲン陽性化して治療中です。
(本当か。 このことに関しては、資料なし。 詳しくは万波誠、簾介、光畑、西先生よりの説明を求めたい。)
又、御本人はどうなったかと申しますと母親から腎移植をその日のうちに受けて移植後4ヵ月後に死亡しております。こればB型肝炎が増悪したこと元々の肺炎が増悪したこと肝不全で亡くなっています。もう一つの例は尿管癌の女性から腎臓を摘出して50歳代の男性に移植されています。この方は1年半後に死亡されています。そして、その男性は1年3ヶ月で移植腎の腎?に再発しています。それを部分切除して、その2年11ヶ月後に腹部に巨大な腫瘤転移が・・・転移と考えられる腫瘤がありまして肺???肝???で死亡されています。この様な実例があるわけでございます。
(病理所見では扁平上皮癌となっており、移行上皮癌(尿管癌)ではない。)
『皆さん、これが本当に皆さんの御家族、御子さんだったらどうお考えになりますか?』と言う事をよく考えて頂きたい。私は安全な移植をしなければ思います。私の結論は、やはり献腎移植を???すべきであろうと。多くの患者さんが移植を待ち望んでおります。そして健腎移植が増えれば多くの患者さんが救われる。又、腎移植が少ない事が臓器売買や違法な海外移植、そして、この度の病腎移植の原因となっていると。こういった移植を増やせば自然と無くなっていくであろうと。そして臓器売買を二度と許してはなりません。
(世界的な傾向としては、臓器に対価を支払う事を容認する方向にあり、日本は逆の道を歩もうとしている。生体移植において、ドナーを親族に限る事に関しても、より拡大する方向にある世界の動向から、真っ向反対する方向へと進んでおり、世界から失笑を買っているのが現状である。)
今回の問題の発端は臓器の移植でした。健全、安全、医学的妥当な移植を増加させる事が本当の患者さんを救う事になると私は考えます。
(どう見ても、日本移植学会も厚生労働省も臓器移植を増加させるように動いているは見えない。最近の生体腎臓移植の保険点数を減点しようとする改正(改悪)なども見ても、むしろ、反対の方向に動いているとしか思えない。)
以上で御座います。
(以上。今回は、寺岡慧日本移植学会理事長の意見とそれに対する反論です。追って続きを掲載します)
by hiroyuki
山鳩の巣立ち