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日雇い派遣「原則禁止」、厚労相が法改正を表明

2008年6月13日

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写真5月にあった「自由と生存のメーデー」では日雇い派遣の若者たちもデモ行進した=東京都新宿区、筋野健太撮影

 ワーキングプア(働く貧困層)の温床とされる日雇い派遣労働をめぐり、舛添厚生労働相が13日、日雇い派遣を原則禁止する方針を示した。秋の臨時国会に労働者派遣法の改正案を提出する方向だ。世論の高まりに押された格好だが、与野党の隔たりは大きく、臨時国会で規制強化がどこまで進むのか不透明だ。

 「私の姿勢は、労働者の権利をしっかり守るべきだと。労使の意見もきいたうえで、秋には法律の形できちんとやっていきたい」。13日午前の閣議後会見で、舛添氏は力を込めた。「常用雇用が普通だ」とも述べ、通訳など専門業務を除き、製造業への派遣などを原則禁止にするべきだとの考えも示した。

 厚労省は当初、今春の派遣法改正をめざしていたが、日雇い派遣の是非をめぐり労使の調整がつかなかった。有識者による研究会で検討したうえで、09年の通常国会に改正案を提出する考えだった。

 にもかかわらず舛添氏が、今秋の改正へと前倒しする考えを示したのは、日雇い派遣への批判がかつてなく強まったためだ。

 二重派遣や違法業務への派遣など、派遣大手の違法行為が次々と明らかになるなか、4月には野党4党が日雇い派遣の原則禁止を求める方針を決め、与党の公明党も原則禁止で足並みをそろえた。5月末には業界団体の日本人材派遣協会が、製造業などへの日雇い派遣の自粛を決めた。

 今月6日の政府の社会保障国民会議では、福田首相が舛添氏に、「派遣労働者を守る制度を空洞化させてはいけない」と労働者の保護強化を指示した。内閣支持率が下がり続けるなか、派遣問題に焦点をあてることで攻勢に出る考えではとの見方もある。さらに、8日に東京・秋葉原で派遣社員による無差別殺傷事件が起き、背景として派遣労働のあり方が取りざたされると流れは一気に強まった。

 ただ、規制方法について与野党間の溝は深い。日雇い派遣を含む、派遣会社に登録して仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」について、社民、共産、国民新の各党は全面禁止を唱え、民主党は派遣会社の負担を考慮して「2カ月以下の派遣契約の禁止」を主張。一方の自民党内には、「派遣社員の雇用が奪われる『官製失業』になりかねない」として、幅広い規制に慎重な声が多い。

 日雇い派遣労働者の表情は複雑だ。東京都の男性(39)は「派遣会社がピンハネし放題だったので、禁止は歓迎」と言う。しかし、食べていくのが精いっぱいの毎日。「貯金もなく、就職活動するゆとりもない。次の仕事がみつかるまでの経済的な支援を考えてほしい」。社会保険のない個人請負として、建設現場でも働いている。「日雇い派遣が禁止されると、労働者が一気に個人請負に流れるのでは」とも心配する。

 日雇い派遣禁止を訴えてきた派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「1日単位の契約が禁止されて1、2カ月になったとしても、ピンハネによる低賃金や、労災が多発する構造は変わらない」と指摘する。「本来は登録型派遣そのものを禁止して、常用雇用を原則とすべきだが、一挙に全面禁止をするのは難しい。まずは専門性の極めて高い業務以外について、登録型派遣を禁止すべきだ」(小室浩幸、古知朋子、諸麦美紀)

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