癌多発の恐怖の時代に如何に処すべきか!(3)
  


財団法人慈光会 前理事長・医師  梁瀬 義亮



(一九八四年七月一日 慈光会第十回定期大会での講演記録です)

  現在毒物の慢性中毒ということに関しての研究は非常に少ないのです。今から三十年前から所
謂石油化学から出来てきた人工の合成化学薬品が農薬・食品添加物・洗剤・医薬品といった形で人
体にどんどん入りだしました。これは、人類がいまだ曾て経験したことのない大事件であります。
人類の長い長い歴史の中でこのような事は一度もなかったのです。今それが起こって来たわけです
。この人工合成化学薬品の人体侵入の開始とともに先程申した退行性疾患、殊に癌がぐんぐんうな
ぎ上りに増えて来たと云うことは、皆様ご存じの通りでございます。毒物の慢性中毒は先程申しま
した通りに殆ど研究がなされてないのです。なされてないままに急性中毒の知識からこの位なら大
丈夫だろうというような態度で、無害であるとか、許容量であるとか決められてきたのです。実際
は二十年から三十年の実験を経なければわからないのです。それを僅かの期間の急性中毒の知識か
ら、それの百分の一にして更にもう百分の一にしたら大丈夫だろう位のところで今まで許可されて
きたわけです。現実に、大丈夫だ大丈夫だといわれてきた物が次々と大丈夫でなかったと云うこと
がはっきりして来ています。例えば昭和四十一年から四十九年までAF2という合成薬品が大丈夫だ
というお墨付きのもとに豆腐或いはかまぼこやちくわ等のような練り製品或いはハム、ソーセージ
にどんどん使われたのです。あの時分、魚のソーセージが冷蔵もせずに店頭の日の当たるところで
陳列してほってあったものを皆様ご記憶でございましょう。あれはAF2が入っておったので腐らな
かったのです。このAF2というフラン系統の化学薬品は食品添加物には絶対だめだというわけで世
界中どの国も許可していないのです。それを日本の(小野)薬品がつくって許可申請をして、いい
かげんなデーターでもって厚生省がこれを許可してしまったのです。そうして昭和四十一年から四
十九年までの間に日本人の体に十五トンのAF2が入ったのです。これは世界中人類始まって以来な
いことなのです。そしてこれが恐るべき奇形児を造る遺伝毒であり、尚且つ発癌性があるという事
が段々やかましくなって昭和四十九年に製造中止になったわけです。しかし、それは中止したから
翌日から安全になったわけではないのです。既に入ってしまったこのAF2がどのような恐ろしいこ
とをするかは全く想像もつかないことです。だから世界の学者はこの日本民族のAF2の影響を見守
っているのです。このように非常に慢性中毒に関する研究が疎かなままにどんどん許可されていろ
んな事件が起こってきたのです。
 慢性中毒とはどんな事かと申しますと、例えば非常に精巧な機械がございまして、そこへ化学
薬品で出来た埃が入ったとします。そうすると最初は埃の作用で機械の回転が悪くなるでしょう。
同じように合成化学薬品(農薬・食品添加物等)が人体という実に精密極まる機械の中へ入ってき
た埃として作用し、その回転を悪くしていろいろの故障を起こすわけです。これが毒物の慢性中毒
による臓器の病気です。肝臓が悪くなった、腎臓が悪くなった、胃が悪くなった、いろんな神経系
統がやられたというような状態です。この機械の間にはさまった化学薬品が埃として作用をしてい
る間は、回転が悪いだけで済むわけです。勿論これもひどくなれば機械は止まってしまうのですが
。ところがこの化学薬品の作用でこのギア(歯車)の一部が溶けたり、一部変形してしまったりし
て、そのエンジンが異常な回転を始めることがあるわけです。所謂違った機械になってしまうので
す。これが癌です。だから癌の治療を今放射能で癌細胞をやっつけるとか抗癌剤で癌細胞をやっつ
けるとかいうことばかりに向けられておりますが、私は昭和三十二年以来、臨床的見地から次のよ
うに叫んできております。そしてこの私の申す主張が、慈光会の設立と運動の原点なのでございま
す。どんなことかと申しますと、癌といわず一切の病気は薬によって克服することは出来ない。薬
によって病気を治しますと確かに一時的に病気は治りますが、かえって病気が複雑に変形して参り
ます。所謂病気を治して、反って病気をつくるという結果になるのです。現代医学はなるほど救急
処置としては立派なものであり、必要なものです。けれどこれにのみ頼って病気を克服しようとし
ても、それは出来ないのです。病気を克服する原理は生活を正しくする。そして各人の持っておる
生まれながらの生命力を回復し強化する。これ以外に病気を克服する道はないのです。あたかも消
防車をいくら強力にしても火事は克服出来ないのであって、火事を克服するものは、各人の火の用
心であるように。この主張が慈光会設立の原点であったのでございます。           
         (以下、次号に続く)

 

 

慈光会第四回学習会のお知らせ


  
 
「農薬汚染」についての学習会を開催させていただきます。
 今、わたしたちの生活には農薬をはじめとした化学物質が大量に入り込んでいます。アトピー
やアレルギー、化学物質過敏症に農薬が深く関わっていることも分かって来ました。「植物の病気
は出さないが、農薬による人の病気は現に出ているし、これからの世代にとってはもっと深刻な事
態になるのではないか?」と農薬の害を指摘する声が高まっています。
今回は海外に取材した「ポストハーベスト農薬汚染」のビデオを見て、輸入農産物の農薬汚染の
恐ろしさ、対策等ご一緒に学んでゆきたいと思います。
国内の農薬汚染の現状にも触れる予定です。
是非ご参加下さい。(会員以外の方もご自由にご参加下さい。)
  日時 : 一〇月二一日(日) 午後一時半より
  場所 : 慈光会館(慈光会販売所二階)
  定員 : 六〇名
  *入場は無料です。      
  

玉ねぎの勧め

食卓に沢山の野菜を!


 玉ねぎの独特の辛みとにおいは、アリシンという成分によるもの。アリシンには、胃の消化液
の分泌を活発にする働きがあり、食欲増進の効果があります。また、ビタミンB1の吸収を高める作
用もあるので、疲労回復やイライラの防止にも効果的。ビタミンB1は神経ビタミンとも呼ばれ、現
代人には特に不足しがちなビタミンです。疲れを感じたときには、みそ汁の具やスープに玉ねぎを
使ったり、炒めものに加えてみて。豚肉やウナギ、ハムといったビタミンB1が豊富に含まれる食品
と組み合わせると、夏バテや夏痩せの予防にも効果があります。(以上「キッチンの知恵」より抜
粋 医学博士 本多京子著)
 近年では、玉ねぎの血液をサラサラにする効果も注目されています。又、骨粗しょう症を予防
したり、眼の疲労回復にもよいことが分かってきました。玉ねぎの茶色い皮を煎じて飲むと、余分
な脂肪を吸収しにくくするので、ダイエット効果もあるそうです。
 「医食同源」(病気を治すのも食事をするのも、生命を養い健康を保つためで、その本質は同
じだということ。《広辞苑》)という言葉がありますが、食事は本当に私たちの健康を支えるのに
大きな役割を果たしています。特に近年、この玉ねぎのように、野菜の果たしている未知の働きが
栄養学的にもどんどん解明されるようになりました。まだまだ人間には解明しきれない野菜たちの
働きも沢山あるはず。(梁瀬先生はそれらを「Xファクター」と呼んでおられました。)
 玉ねぎに限らず、野菜を十分いただいて、健康な毎日をお過ごし下さい。