目次
池内了(さとる) 『科学は今どうなっているの?』 晶文社 (2001)
新井秀雄 『科学者として』 幻冬舎 (2000)
梅崎義人 『動物保護運動の虚像』 成山堂書店 (1999)
鎌田慧 『六ヶ所村の記録 上下』 岩波書店 (1991)
上坂冬子 『原発を見に行こう』 講談社 (1996)
小林祥晃 『Dr.コパの風水の教え 家』 経済界 (1998)
小松英星 『混迷の星』 風雲舎 (1999)
曽根英二 『ゴミが降る島』 日本経済新聞社 (1999)
高木善之 『地球村宣言』 ビジネス社 (1996)
武田邦彦 『リサイクル幻想』 文春新書 (2000)
武田邦彦 『「リサイクル」汚染列島』 青春出版社 (2000)
西丸震哉 『体内崩壊』 法研 (2000)
西丸震哉 『こんなものを食べていたのか』 青春出版社 (2000)
西丸震哉 『滅びの大予言』 三五館 (1998)
橋本淳司 『水問題の重要性に気づいていない日本人』 PHP研究所 (2007)
比嘉照夫 『甦る未来』 サンマーク出版 (2000)
比嘉照夫 『地球を救う大変革 3』 サンマーク出版 (1997)
比嘉照夫・渡部昇一 『微生物が文明を救う』 クレスト選書 (1995)
日高敏隆 『セミたちと温暖化』 新潮社 (2007)
福岡正信 『<自然>を生きる』 春秋社 (1997)
船瀬俊介 『あぶない電磁波!』 三一書房 (1996)
森永晴彦 『原子炉を眠らせ、太陽を呼び覚ませ』 草思社 (1997)
要約・書評
『科学は今どうなっているの?』 池内了(さとる) 晶文社 (2001)
1944年兵庫県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。現在、名古屋大学大学院教授。宇宙物理学専攻。星、銀河、宇宙の起源と進化について、独創的な理論を展開する国際的な天文学者である。
現代科学にいま何が起きているか?それは私たちの生活にどう関わっているか?東海村の核燃料加工施設での臨界事故。日本の宇宙ロケット打ち上げの度重なる失敗。地震予知と防災。クローン人間とヒトゲノムの解読計画。オゾン層の破壊、等々。20世紀最後の10年間の事件・事故をとりあげ、最先端科学のあり方を問う。
いまひとつ切込み不足だが、広く浅く現代の問題点をわかりやすく指摘してくれる。
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動物の体の仕組みには共通する基本デザインが存在するらしい。どの動物も、生きていく上で使うエネルギー消費量は、体重の四分の三乗に比例する法則があるからだ。
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同じ体重で消費エネルギーを比較すると、興味深い事実が見えてくる。大腸菌のような単細胞動物を1とすると、蛙や蛇のような多細胞の変温動物は10となり、恒温動物である哺乳類は300になることだ。ところが、先進国の人間は体が使うエネルギーの40倍以上も消費している。
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地球上のすべての営みは、原子が結合したり分解したりする「化学反応」で支えられている。その根本は太陽の光エネルギーで、せいぜい1000度の温度で反応が進む。
一方、原子力エネルギーは、原始の芯にある原子核が融合、分裂する「核反応」によって生ずる。核反応は太陽の中心部で1000万度もの温度で起こっている反応である。原子力利用とは、1000度を扱う化学反応の技術で、1000万度もの核反応を操作することなのだ。技術への過信(それによる手抜き)こそが人災の根源なのだ。
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J・E・ゴードンは『構造の世界』のなかで、ほとんどの事故は「罪と過ちと金属疲労」で起こると書いている。「罪と過ち」は人間的要因、「金属疲労」は技術的・機械的要因であり、これら二つの異なったレベルの要因を詳しく吟味することが事故の原因を解明する上で重要である、と。
そして、様々な事故調査に関わってきた彼の経験によれば、道徳的に全く問題がない事故は極めて少ないそうだ。
彼があえて「罪」と呼ぶ内容は、不注意・手抜き・不勉強・縄張り意識・自尊心・メンツ・慢心・驕り・妬み・貪欲・度量の狭さ・政治的配慮などのことで、「『過ち』を道徳的な犯罪とみなすように公の関心を高め、世論を作り出すこと」が求められていると主張している。
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科学技術庁が、原子力開発を「推進」し「規制」するという相矛盾した役割を担うという制度そのものが問題。原子力開発「推進」が本音だから、検査や監督は当然甘くなる。
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21世紀初頭には、本格的な地震の活動期を迎えると予想されている。関東大震災(1923)から今年で78年目を迎える。
関東大震災は、西相模湾海底の大規模な断層運動に起因する地震で、過去の記録から少なくとも五回(1633年、1703年、1782年、1853年、1923年)繰り返してきたことが確かめられている。
地震の繰り返し間隔は、最短で70年6ヶ月、最長で78年8ヶ月であり、極めて周期性の高い地震である。これをそのままあてはめれば、この数年内に起こっても何ら不思議ではない。
・ 1943年の鳥取地震、44年の東南海地震(静岡、愛知、岐阜、三重)、45年の三河地震(愛知県南部)、46年の南海地震(中部以西の日本各地)、48年の福井地震と、いずれも1000人以上の死者を出した大地震から、この10年で60年を経過することになる。
昨年10月の鳥取県西部地震はその前触れであったのかもしれない。21世紀は、再び日本各地が大地震に襲われる可能性が高いのだ。
・
地震の引き金になる岩石破壊が起こったとき、大きな圧力がかかる。その結果、電気分解が起こって強い電場が発生し、パルス電流が流れ、自由電子との相互作用で電磁波を放射する可能性がある。動物たちは、その電場や電磁波を体で受け止めたため、暴れたり、狂ったように吠えたり、のたうちまわったり、などの異常な行動をとったと想像される。
・ 科学者・技術者の四つの倫理規範
1. 真実に忠実
2. 限界を語る・結果を想像する
3. 事実を公開する
4.
自分の子どもに、自分のしていることを誇りを持って語れるか
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抗菌物質としてトリクロサンが使われていることが多いが、これに対し抵抗力をもつ細菌が出現している。これらの細菌の抵抗力が強くなると、病院で使われている薬用石鹸が効かなくなってしまう危険性がある。さらに、トリクロサンは、細胞内で脂質を合成する酵素の働きを弱めるような、予期しない働きも指摘されている。
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抗菌物質によって変異型になった大腸菌が、細胞からすべての化学物質を排出してしまう「排出ポンプ」役を果たすという報告もある。もしそのような大腸菌が増えると、私たちが日頃使っている薬や抗生物質が効かなくなってしまうだろう。
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大気中には大量の水蒸気が漂っている。上空に昇るにつれ、気温が下がっていくので水蒸気は過飽和状態になっているが、すぐには水(水滴)や氷にはならない。微粒子や塵のような核になる不純物がないと、そのまま過飽和状態を保っている。そんな場所を飛行機が通過すると、エンジンから排出されたガスが核になって、水蒸気がいっせいに水滴に変わるので、きれいな飛行機雲ができる。
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この飛行機雲がアメリカや欧州の空の1%程度を被っていることがわかってきた。この雲は上空10キロメートルの高さにあって密度が低いので、太陽の光は通すけれど、地上からの熱放射を遮る効果をもっている。二酸化炭素の温室効果と同じ働きをする。
このまま飛行機の増加が続くと、50年先には飛行機雲が常に空の50%を覆うようになると予想される。エンジンの排ガス自身が及ぼす温室効果もあるから、環境への影響はもっと大きくなるだろう。
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貨物輸送の主役である船舶のほとんどは重油エンジンを使っており、その排ガスには硫黄分が多く含まれている。最近、船舶から排出される二酸化硫黄が、空気中の硫酸エアロゾルの主成分となっているらしい、という結果が発表された。
二酸化硫黄は硫酸エアロゾルとなり、それが核となって水蒸気が水滴に変わり、雲を形成することになる。飛行機雲と同じように、船舶が通り過ぎたあとに「船舶雲」と呼ぶべき雲が発生している。この場合、硫酸エアロゾルが増えると光の反射率が高くなるので、太陽光を反射しやすい雲になる。そのため、地球への熱の流入を減らすことになる。
・
飛行機雲や船舶雲の発生のために、自然の水の循環が行われなくなっている。
・
メラトニンは、光の情報を網膜から受けて体内時計を調節しているホルモン。光が強いとメラトニンの分泌が抑えられ、光が弱くなるとメラトニンの分泌が活発になる。通常深夜の二時頃にメラトニン分泌がピークになる。ところが、深夜でも光が網膜にあたっているとメラトニンの分泌が抑制されてしまう。そのため、メラトニン分泌の周期が不規則になり、体内時計も狂ってしまう。
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メラトニンには、女性ホルモンとも呼ばれるエストロゲンの活性を抑える作用がある。言い換えると、メラトニンの分泌が抑えられると、いつもエストロゲンのシャワーを浴びているのと同じ状態になる。あるいは、体のリズムに関係なく、不規則にエストロゲンを浴びるようになる。
ラットを使った実験では、そのような環境に曝されると腫瘍ができやすく、肝臓がんや乳がんになる確率が高いという結果が得られている。
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ヒヨコを使った実験で、誕生してすぐに光を長く浴びせると、脳からの指令に関わりなく目の成長が促進され、内部の構造が変化することがわかった。角膜と水晶体の働きで物体の像が結ばれるのだが、成長が速いと、その位置関係が狂って網膜の手前に像を結ぶ、つまり近視になりやすいという。
子どもたちが二歳までに浴びた光の量と近視率との相関を調べた研究もある。それによると、部屋の明かりをつけたままで眠った赤ん坊は、真っ暗闇の中で眠った赤ん坊に比べて近視になる割合が有意に高い。
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深海には、ほんの少ししか太陽の光が差し込まないので、魚たちは極微の光に鋭敏な目をもっている。そこに、突然、写真撮影のための強力な光を浴びると、魚の網膜がつぶされ盲目になるケースが増えている。
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ヒトは約60兆個の細胞からなり、その生成・代謝は約3万の遺伝子によって制御されている。その遺伝情報は、DNAの約30億対の塩基の並び方で記述されており、それらは23対46本の染色体に格納されている。ならば、染色体にあるDNA上の塩基配列をひとつずつ確定していけば、ヒトの遺伝情報がすべて解読できるだろう。こうして、ヒトゲノム計画が国際的共同研究として開始されることになった。
・
塩基配列はアミノ酸の種類を指定し、その並び方から形成されるたんぱく質が決まり、それらのたんぱく質によって細胞が形成される、という順序になっているから、塩基配列がわかったからといって直ちに遺伝情報に翻訳されるわけではない。
いわば、塩基はアルファベットであり、その配列でアミノ酸という単語が作られ、ある文法の下に組み合わされてたんぱく質という文章が書かれているといえる。
・ウイルスが実際にその病気の病原体であることを確定するためには以下の三条件が満たされねばならない。
1.患者の組織からウイルスが見つかること
2.そのウイルスを純粋培養して投与すると、確かに病気が発症すること
3.病気が発症したその患者の組織から同じウイルスが回収されること
・
上記2と3の条件を満たそうとすれば人体実験をする以外になく、この条件を満たさないからと、HIVはエイズの病原体であるとはいえないとクレームをつける研究者がいる。
・
周回衛星から送られてくる携帯電話の電波は全宇宙で三番目の電波源になるくらい強い。そのため、宇宙からの弱い電波のメッセージが掻き消され、宇宙の観察に支障が起きている。ただ、携帯電話に使われている周波数はいまのところ低いので、電波天文学への影響は比較的少ない。
今後、より高い周波数を使っての衛星通信や、大都市上空の成層圏に飛行船を打ち上げ、インターネットや携帯電話の中継基地とする計画が目白押しにある。宇宙の情報が一番につまっている高周波数帯が狙われているからだ。
・
新しいテクノロジーと付き合うとき、これを使えば自分の持つ身体能力の何かが失われていくかを考える癖を持つことが重要。便利になるということは、体のどこかを動かさなくなることだから、必ず「ひと」としての能力の喪失につながるからだ。
・
テクノロジーの発展で、もうひとつ大事なものを失っている。「時間」である。便利になり能率的になったことによって、自由時間が増えるどころか、かえって忙しくなったのが実情だろう。
・
新しいテクノロジーの開発においても、個人レベルでのテクノロジーの利用においても、「あえて手を出さない」という発想は、21世紀の人類が獲得すべき英知といえるだろう。
『混迷の星』 小松英星 風雲舎 (1999)
1935年高知県生まれ。1960年、東京大学経済学部卒業。日立製作所で、主に重電およびコンピュータ部門の
経理・経営管理を担当。この間、カリフォルニア大学バークレー校の経営管理大学院に留学。
1988年(株)SN(Science of Nature)研究所を設立。情報及び環境分野のコンサルティングとともに地球の新時代に
向けた啓蒙活動を行っている。
ホームページ: http://www2s.biglobe.ne.jp/~gaia-as1/
『宇宙から見た地球人類』という副題で、宇宙から見た地球の現在抱えている問題点(環境、経済、核、食糧危機、
グローバリゼーション等)を解説。焦点が絞られていないし、どれもオリジナルな意見がなく、面白くなかった。
・ 1997年の温暖化防止京都会議では、前回(1992年リオ・デ・ジャネイロ)の約束がホゴにされた事実は話題になら
なかった。前回の合意の趣旨は「先進国は2000年までにCO?の年排出量を1990年のレベルに戻すよう努力する」という
ものだった。
1990年から95年までに、先進国全体のCO?排出量は約5%減ったが、アメリカ、日本などは10%近く
増加、両国で増加分の77%を占めた。これらの事実が不問に付された。
・ 世界人口の四分の一に過ぎない先進国が、CO?総排出量(62億トン、炭素換算、1994年)の約三分の二を排出して
いる。一人当たりでは、先進国2.9トンに対して、発展途上国0.5トン。
『ゴミが降る島』 曽根英二 日本経済新聞社 (1999)
山陽放送報道部次長。1949年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、74年山陽放送に入社。アナウンサーを経て記者に。80年から4年間TBS系列のカイロ特派員。産廃不法投棄をスクープした豊島事件の追跡報道は90年から9年間に及び、中坊公平氏とともに98年の菊池寛賞受賞。
香川県豊島(てしま)産廃との「20年戦争」が副題。1985年に始まった産業廃棄物不法投棄。裁判の末、98年に住民と香川県知事との間に和解がなされた。しかし、産廃がこの島からなくなるのはいつのことか。豊島産廃事件は、我々に「住環境は官に任せてはいけない。住民たちが結束して、身を呈して守らなければならない」ということを教えれくれた。
・
90年の厚生省の統計では、全国の産廃排出量は3億9500万トン。
・
大手建設会社80社ほどが出資し合って建設廃材の処理会社を作り、処分場の手立てをしようとしている。長野県豊田村を産廃処分場にしようとしている。
・
1988年、イタリアでは産業廃棄物をめぐる騒ぎがあった。イタリアからナイジェリアに、有毒な産業廃棄物が不法投棄されていたのが発覚。さらにその他の地中海周辺国から続々と不法投棄されたイタリアのドラム缶が見つかった。現地の人に健康被害が出て国際問題にも発展。
イタリア政府は船五隻を産廃の引取りに派遣したが、その船がイタリアの各地で住民の反対からことごとく入港が拒否され、一年以上も廃棄物船が地中海を中心にさまよった。
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豊島の廃棄物取り扱い業者の高圧的な態度に恐れをなした香川県の職員は「有償で買い受け、資源化再利用(業者の言では金属を回収するとのこと)が確実にできるのなら、本来なら廃棄物に相当するシュレッダーダストでも廃棄物に該当しない」と答えたことから、豊島の産廃問題は始まった。
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国の廃棄物処理法は、「廃棄物」か「有価物」かの解釈が71年と77年とでは180度変わった。
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「産廃とは、客観的に観念できるもので、占有者の意思によって変わるものではない」(71年の廃棄物処理法の見解)
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「産廃とは、占有者が自ら利用、または、他人に有償で売却できなくなった物をいい、占有者の意思による。客観的には観念できないものである」(77年の同法の見解)
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豊島事件もあってか、廃棄物処理法は91年10月に改正された。しかし、起きてしまった不法投棄をどうするかの条項は盛り込まれておらず、懸案の排出者責任も明確に示されなかった。
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中坊さんは言う「官を自らが監視するという姿勢になっていかないと、わが国の根本が狂っていく」
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アメリカでは産廃紛争で住民が第三者の専門的な研究者を雇い、きちんとした科学的評価を行い、どう解決するかという議論にも参加できるように保障されている。
『動物保護運動の虚像』 梅崎義人 成山堂書店 (1999)
1938年鹿児島県生まれ。早稲田大学法学部卒。時事通信社入社。ナイジェリア特派員。農林水産省などを担当。現在、フリーの水産ジャーナリスト。
巨大環境保護団体のウソと虚飾にまみれた実体と本当の目的を暴き出す!という副題のとおり、アメリカ政府の思惑に従い、裏では巨額の寄付を受けている環境保護団体の欺瞞を事実の基づき描写。もう少しマクロ的視点での追求がほしかったが、鯨、アザラシ、オットセイ、アフリカ象、ウミガメを保護する運動事例は注目に値する。
このままでは絶滅するという虚偽のデータを捏造し、保護しようとする環境団体。一方それで生計を立てている原住民のことは何も考慮していない。
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アメリカには「海産哺乳動物保護法」と「絶滅に瀕した動植物保護法」という二つの国内法がある。いずれも1970年代の初めに制定された。前者はクジラ、オットセイ、イルカ、アシカ、アザラシ、トドなどすべての海洋哺乳類の保護を決めた法律で、殺すことはもちろん、虐待やいじめることも禁止している。さらにその製品の輸出入までも禁じられている。例えば、クジラのベーコンやアザラシの毛皮はアメリカ国内には持ち込めない。
そして、後者の「絶滅に瀕した動植物保護法」は、絶滅の恐れのある動植物の利用だけでなく、その生息、繁殖地の開発あるいは利用までも禁じている。
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アメリカのこの二つの国内法は、全世界を対象にしている。「海産哺乳動物保護法」に基づき、アメリカは国際捕鯨委員会(IWC)の場で捕鯨の全面禁止を実現した。
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「絶滅に瀕した動植物保護法」で、保護すべき動物としてリストアップされている種は全体で900にのぼるが、そのうちの600がアメリカ以外に生息する動物である。資源的に心配のない動物も掲載されている。これらの動物は、資源量とは関係なくアメリカ人が保護したい動物なのである。
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アメリカは象とタイマイをワシントン条約の場でその望みを達成した。同条約は1973年にワシントンで署名されたので、その地名をつけて呼ばれているが、正式の名称は「絶滅の危機に瀕した動植物種の国際取引に関する条約」という。この条約は絶滅に瀕した動植物の捕獲、採取を禁ずるのではなく、国際取引=輸出入を規制することが目的である。アフリカ象やタイマイは、この条約で「絶滅に瀕した種」に指定されたため、象牙や甲羅の貿易が禁止になった。
・
ワシントン条約の欠陥は「絶滅に瀕した動植物」を多数決できる点だ。欧米諸国が保護したいと望む動植物は、生物学的、科学的な裏づけがなくても、締約国の三分の二以上の多数票で「絶滅種」に指定できるのである。(開発途上国に対しては、経済的援助をちらつかせて賛成させている。)
・ さらにアメリカは「パックウッド・マグナソン法」(PM法)と「ペリー修正法」(PA法)の国内法を持つ。「PM法」は、「国際捕鯨取締条約」の規制の効果を減殺した国に対して、米国200カイリ内の漁獲割り当てを、初年度50%削減し、2年目にゼロとするという内容である。また「PA法」は、「ワシントン条約」の効果を減殺する国に対して、その国からの製品の輸入を禁止することをうたっている。
・
「PM法」も「PA法」も明らかに国際条約あるいは国際協定に違反する。「PM法」は、国際条約の規定に反する国内法の制定を禁じた「ウィーン条約」に違反するし、「PA法」も当時のガット、いまのWTO条項に抵触する。
・
アメリカは環境問題に関する行動を、表面上は一応法律に基づいて起こしている。そのパターンは次のようになる。
1.
まず、保護したい動物を大げさに美化する。そして資源が絶滅しかけているという危機感を打ち上げて国際世論を喚起する。
2.
IWCやワシントン条約の会議で、多数派工作をして数の力で狙いを達成する。
3.
決定に対して異議を申し立てたり、留保をして抵抗を試みる国には、国内法による制裁発動を持ち出し、無理矢理に従わせる。
・
捕鯨禁止で天職を失ったクジラ獲りたち。アザラシ毛皮の輸入禁止でライフスタイルの変更を余儀なくされ、アイデンティティを喪失したイヌイット。増えたアフリカ象の被害に悩みながら象牙を売れないアフリカ南部の農村の人たち。タイマイの増殖に懸命に取り組みながら、甲羅を売れないキューバ人。
これらの生産に携わる人たちだけでなく、その動物の肉や製品を消費している人たちにも被害が及んでいる。クジラ肉を常食していたトンガ、フィジーの人たちは、捕鯨禁止でニュージーランドからシピと呼ばれる脂肪分の多い安い羊の腹肉を輸入し常食したために、成人病が過去10年間で50%も増えた。
・
国際的な環境保護団体は1970年前後に産声を上げると、短期間で急成長を遂げ、大きな成果をあげた。環境保護運動は、イースタン・エスタブリッシュメント(アメリカ東部の支配階級)という最も信望の高いグループと一緒に出発した。
保護主義者の主張、宣伝、資金はこのグループから出ている。これは外交問題評議会(CFR)を中心に、三極委員会、アスペン研究所など、アングロ・アメリカンのエリート組織で構成されている。
国際経済の発展(有色人種や途上国の経済発展)は、この集団が世界情勢を取り仕切る力を明らかに脅かす。したがって彼らは“ゼロ成長”を推進する方針を固めた。“地球環境の破壊につながる経済の発展、人口の増大、食料の増産、自然資源の開発などは一切止めるべきだ”という主張である。
ロックフェラーグループがスポンサーとなって1968年に設立されたローマクラブはこのゼロ成長運動を過激に展開した。
『科学者として』 新井秀雄 幻冬舎 (2000)
1942年静岡県生まれ。北海道大学獣医学部獣医学科卒業後、国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)に就職。細菌第一部第三室に所属し、長年、百日咳菌の研究に従事する。近年は溶血連鎖球菌に移行し、現在に至る。
日本には国立及び大学付属の細菌研究所が至るところにある。最近は遺伝子組換えによる新種の細菌等が新たに生まれているが、それが外部に出ないように厳重な管理をしているはずが、実体はずさんの一言。著者はそういった警告を実名で内部告発している。
著者の所属する国立感染症研究所は1988年に上大崎から新宿の住宅地戸山に移転することになり、住民、早稲田大学から反対運動が起こった。しかし、自衛隊による強制執行が行われ、現在反対運動、移転取り止め訴訟のなかで研究所は移転を完了し、活動を継続している。
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欧米諸国やインド、タイ等の発展途上国に対比して、日本には生物災害予防のための法令は存在しない。
・
バイオ施設と実験の安全管理については、届出・査察・処罰等の法令上の制度は一切ない。
・ 実験室で発生するエーロゾル(病原体を含む空気)はHEPAフィルターを通して施設外に強制排気されている。
・ WHOの国際規格では、HEPAフィルターは99.997%を捕捉しなければならないとされている。もともとの病原体の個体数は無限大ともいえる数なので、その0.003%が排出される場合でも、危険な数の微生物が排出されていることには変わりない。
・
だからこそ、WHOは「人のいる建物ならびに空気取り入れ口から遠ざかるように」排気を拡散して排出せよと警告している。
・ 日本の工業規格では、HEPAフィルターは99.97%の捕捉率でよいとされていて、WHO規格に比べて、10倍もの微生物を排出するうえ、検査済みのフィルターでも欠陥品が非常に多い。
・
根本的に防御する方法はない。唯一可能な対策は、研究施設を人家から離すこと。万が一病原体が漏れ出てしまっても、太陽の紫外線で殺菌されるような十分な空間を持った場所にそうした施設を作ることしかない。
・
日本では、バイオ施設の所在が公表されていないので、自治体が「不慮の緊急計画の作成」ができない状況にある。
・
バイオ施設は、実験室内の気圧を低くすることによって、空気が実験室の内側から外側へ流れ出ないようになっている。これを保証しているのは機械の力だ。ところがひとたび大規模な地震が起きたらどうなるのだろうか。あるいは電力が止まったり機械が止まった場合どうなるのか。現在そういった対策は打たれていない。また大地震に対する耐震設計もされていない。
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放射能は機械によって経時的に測定・検出することが可能だが、病原体の場合は全く不可能。
・
国立感染症研究所の施設でも微生物が漏れているかどうかを微生物学的に検出する手だては一切取られていない。
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感染症というのは、その病原体に感染しても、発症するのはそのうちごくわずかだけ。また、発症するかどうかは、病原体の量やその人の免疫状態などによって変わってくる。同じ量の病原体が入りこんでも、発症する人もいればしない人もいる。むしろ発症しない場合の方が多い。だから多くの人が病原体にさらされてはいるけれども、誰一人発症しないということもありうる。
・
いまのところ、発症前の感染状態を知るには血液を採取して抗体検査をするしかない。感染すれば血液のなかに抗体ができるはずだから。しかし、抗体検査は病原体ごとに調べなければならないので全部の病原体について検査することは不可能。
・
太平洋戦争終結後、進駐してきた米軍は731部隊の幹部らを取り込んでいった。米軍の軍事研究に使うためだ。
・
そもそも731部隊は東大付属伝染病研究所を中心とした各大学のネットワークの上に成り立っていた。731部隊はなくなっても、伝染病研究所は残っている。
・
米軍は伝染病研究所を東大から厚生省に移管させようとした。しかし東大側が抵抗したので、伝染病研究所を分割し、半分を移管して予防衛生研究所、後の国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)が生まれた。残りの半分は後に東大付属医科学研究所になった。
・
国立感染症研究所は戸山に移転してから、スペースは狭くなり、大部屋方式を取るようになった。「ひとつの病原体はひとつの所で」という大原則(ひとつの部屋で二つ以上の病原体を同時に扱い、それが相互に影響することによって予想外の混乱や危険が生じることを避ける大原則)に反することが行われているのである。
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国立感染症研究所の品川区上大崎の跡地は住宅・都市整備公団が入手したが、土地から高濃度のダイオキシンや鉛、水銀などが出てきた。公団は表土の入れ替えをしなければならなかった。さらに建物内部には注射針が放置されたり、放射性物質を運ぶ容器が転がっていたりした。放射能濃度もきわめて高かった。
・
バイオ施設への査察も時々行われるが、あらかじめ査察日程が決まっていて、査察を受けるほうはそのための準備が十分できる。つまりまずいことは隠蔽できる。
・
国立感染症研究所が考えているバイオセーフティは、国立感染症研究所の施設内部の人間にとっての安全性が最優先されている。
『六ヶ所村の記録 上下』 鎌田慧 岩波書店 (1991)
青森県六ヶ所村はもともと地味の乏しい荒れ野原だった。戦後、多くの満蒙開拓団が政府の奨励のもと開拓した。始めは製糖工場も創業するので、ビートを栽培するが工場閉鎖、安い輸入砂糖(政府は粗糖の自由化を進めていた)のため価格暴落でビート栽培は止めざるをえなくなった。その後、政府の奨励で乳牛を飼うことにするが失敗。その後、政府の減反政策により、農業への意欲を失う。
そこへ大きな開発話。過疎化が解消、住環境は良くなり、製鉄工場(三菱グループのむつ製鉄構想、)を誘致し、仕事が提供されるので、出稼ぎに行く必要もなくなる。こんなうまい話で土地を安い値段で買収。しかし、オイルショックのため規模縮小。結局石油備蓄基地になる。ところがここへ原発の話が舞い込み、官の横暴により誘致が強引に進んだ。
・ むつ小川原開発株式会社設立(1971)。大規模工業基地構想のもと土地ブローカーの思惑買いに対処し、土地の先行取得を行うことを当面の目的として発足する。取締役会には、江戸英雄も入っていた。江戸が社長である三井不動産が実は土地ブローカーを裏で使ってまっ先に思惑買いに走っていた。右手で安く買った土地を、左手に高く買わせるようなデタラメといえる。
・ むつ小川原開発公社設立(1971)。公社が用地を買収し、上記開発会社が金を出す。この公社には三井不動産幹部、役場職員の多くが出向。今まで農業、酪農等を指導してきた人間を今度は土地買収の徒にした。
・
むつ小川原開発株式会社への出資企業としては、第一開発、芙蓉開発、三菱開発、などの財閥デベロッパーも参加しており、公正さは期待されえなかった。
・
むつ製鉄の挫折により、むつ市は原子力船の母港を1967年9月5日承諾。この日から下北半島の原子力半島化が始まった。
・
1969年の「新都市計画法」や71年5月には根本建設相は「市街化地域内の農地、山林全般にわたって都道府県が優先的に買い上げる先買権を強化し、さらに緊急宅地化区域を指定して強制収用できるようにする」との根本構想を打ち出して、強制収用した土地を民間デベロッパーに払い下げることを明らかにした。
・
六ヶ所村は、県内で最も貧しい村のひとつ。四億七千万円の歳入(1970年)のうち、村税は5%、村債12%、残りは地方交付税、国庫支出金、県支出金などで73%を占めている。一人当りの年収18万9千円と県平均の75%程度。2400戸、農業人口は53%だった。
・ 電気事業連合会(電事連)が、青森県に対して、核燃料サイクル基地の立地を正式に要請したのは、1984年4月20日だった。使用済み核燃料の再処理工場、ウラン濃縮、低レベル放射性廃棄物の貯蔵施設など、「三点セット」を立地したいと平岩会長らは北村知事に申し入れた。
・
1979年2月、原子力等規制法の改正案可決。これにより政府機関だけに限られていた再処理事業を、民間企業でも行える道が開かれた。その年の暮れ、民間初の核燃料再処理会社「日本原燃サービス」が設立。後藤清九電副社長が社長に就任。資本金は100億円、68億5千万を日本原子力発電と九電でもち、残りを鉄鋼、造船、電機、化学、商社、銀行などの大手90社が出
資。
・
青森県は「むつ小川原開発株式会社」の15%の株主であり、花田開発室長が専務、竹内元知事が取締役に、北村知事は相談役。その会社が土地を買い上げたはいいが誘致に失敗、石油の国家備蓄基地分だけで、多くの土地が売れ残り、10億円の赤字と1400億円の借入金で首が回らなくなっていた。その経営責任上においても、たとえ悪魔にでも土地を売りつけたい状況にあった。
だから、平岩電事連会長に呼ばれてホテルに出かけていった北村知事の人格は、核燃サイクルを引き受ける知事であるばかりか、とにかく土地を売りたい開発会社のセールスマンでもあって、在庫品の一部が消化されることに依存のあるはずもなかった。
・
三沢市には、米軍と自衛隊が共用する三沢基地があり、三沢市の海側には防衛施設庁が全額出資した巨大な「漁港」が建設されている。天ヶ森の対地射爆場、泊の対空射撃場、東通村の弾道試験場と太平洋岸一体に軍事施設が設置され、陸奥湾には旧海軍以来の海上自衛隊基地がある。ここはソ連をにらむ大軍事地帯でもある。核基地と軍事基地。その延長線上に、核武装基地がある。
・
御用新聞「東奥日報」は、原発推進派の官の見方の記事を書き、核反対の人たちを言論で無差別弾圧した。
・
六ヶ所村古川村長は、全国でも例のない自民党公認村長であり、自民党の選挙資金と県知事から大臣まで含めた応援団によって支えられ、核サイクル受け入れのための実直な窓口となった。
・
核燃問題が始まって、反対派の人々は警察の不当逮捕、海上保安部による意図的な漁業妨害や不可抗力の事故に見せかけた衝突。
・
議会民主主義の否定、地方自治の無視、漁業組合長の解職、過剰警備と大量逮捕、白昼公然の暴力、知事権力の干渉、公文書の偽造、民主主義の破壊など、ありとあらゆる汚いやり方が、核基地の危険性を何よりも雄弁に語っている。
・
1985年当時、科学技術庁長官は竹内元知事の長男。北村青森県知事は、核サイクル基地が当初予定の開発計画に入っていなかったため、変更措置が必要になり、その協力を求め、電源立地促進対策交付金の交付率の確定や地元振興などの配慮を竹内長官に求めた。同長官は「この受諾により、原子力開発で重要課題の核燃料サイクルの確立に向かい第一歩を踏み出すことができ
る」と評価、同県の要請に対し最大限の努力を約束。
・
小川原開発に伴う漁業権の放棄に対する補償問題。開発に伴って資格のない正組合員が倍近くも増やされて漁業権の放棄が決定。兼業を禁じられている公務員まで正組合員になった。補償金の配分も不明朗。
・
土地を売らない人間に対しては、時には自衛隊をその土地で勝手に演習させたりして農地をめちゃくちゃにしたりした。この事件に対し青森県の中川総務部長はこう語っている。「個人的な見解では、一時的な使用で、しかも住民に影響がなければ、問題はないと思うが」
・
開発会社は1980年から買収地を軍の演習地として貸していた。
・
核燃料サイクル建設の野望は、1984年に始まったのではなく、1959年当時の開発計画にすでにあった。
・
地盤の不安定な沼沢地に、盛り土されて集中配置されようとしている核施設は、世界でも例をみないほど過大なもので、将来、3000トンの使用済み核燃料が持ち込まれ、年間800トンの再処理が為される計画。
・
使用済み燃料としての高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体(キャニスター)にして4640本、(再処理工場で3200本、英仏など海外からの返還分1440本)、それらが六ヶ所村に集まってくる計算。低レベルでは、ドラム缶で300本が永久に埋設される。
・
原発は、たかだか人間が制御できない物質を日夜ため込んでいる。廃棄物を再処理してウランとプルトニウムを取り出し、それを高速増殖炉で燃やしてプルトニウムを生成させるのが核燃料サイクルだが、プルトニウムはすでに過剰である。
『原発を見に行こう』 上坂冬子 講談社 (1996)
原発擁護の視点から、アジアの国々の原発管理、運営はいい加減だ。それに比して日本の原発はましだ、むしろ厳し過ぎるくらいだと日本国民の原発アレルギーを緩和しようとする許せない本である。
・ 中国:
6基(210万kw)運転中、総発電力量の1%。建設中1基。2000年までに7基建設予定。2010年までに2000万kw,2020年までに4000万kw(総発電力量の5%)。
・ インド:
10基(184万kw)運転中、総発電力量の2.3%。建設中4基。将来12基。(総発電力量の10%)
・ パキスタン:
1基(14万kw)運転中、総発電力量の1%。建設中1基(中国から輸入)。将来の具体的計画なし。但し、将来、総発電力量の5%までもっていきたい。
・ 韓国:
11基(962万kw)運転中、総発電力量の36%。建設中5基。2006年までに7基。23基の原発で総発電力量の40%カバーする計画。
・ 台湾:
6基(514万kw)運転中、総発電力量の29%。建設中なし。2005年までに2基。総発電力量の18%、火力発電中心。
・ フィリピン:
原発なし。2010年以降建設計画。マルコス時代に建設した原発は、天然ガスによる火力発電所へ変更。
・ インドネシア:
原発なし。2003年頃までに2、3基(180万kw)。2020年には総発電力量の10%カバーする計画。
・ タイ:
原発なし。2010年以降建設計画。
『Dr.コパの風水の教え 家』 小林祥晃 経済界 (1998)
1947年東京に生まれる。日大理工学部建築学科卒業。1級建築士。建築家として活躍するかたわら、風水をベースにしたインテリア開運法を発表し、現在の風水ブームを起こす。
・
ご主人や奥様の年齢を「4」で割って割り切れるなら、その年が家を建てるチャンス。
・
「家の格が住む者の格を上げる」と風水ではいう。少し不釣合いなぐらいの格の高い家づくりをしたほうが、住む人を伸ばしやすい。
・
玄関、水場は厄落としの大切な場所。少なくともトイレ、浴室、洗面所の合計面積が十uは欲しい。(家族5人分)
・
水場とキッチンはラッキーゾーン上にないことが吉相の条件。ラッキーゾーンとは、筆者が唱えている家の中の「幸運の通り道」。玄関から家の中心を通って反対側の壁までを対角線で結ぶゾーンをいう。
・
玄関は広ければ広いほどいい。玄関は、外から持ち帰ってしまった厄を落とす空間。なるべく広く、清潔で明るい玄関が理想的。玄関ポーチと玄関の土間の踏みこみと玄関ホールを合わせた合計が一階の面積の十分の一に相当すれば、十分に吉相の玄関であるといえる。
・
家の中心には、家族が集まる茶の間、もしくは主人の部屋がよい。
・ 「長男は朝日に当てろ」:長男の部屋は東側がよい。
・ 水や火を使う空間(キッチン)がきれいかどうかは、家の運気に大きな影響を与える。
・ 「家長は住まいの中央か、北西の部屋を使え」
・
「運が悪かったら、日向に出ろ」:南の太陽が入るのがベスト。
・
財産を作ったら、少し暗いところに住む方がいい。「明るいところに金持ちはいない」。少しくらい場所には陰のパワーがあり、「密やかに蓄える」のをサポートする力があるから。
・ 「北枕で寝ると金運に恵まれる」
・
東または南側の道路に面している家は、日当たりが確保され、太陽からの強力なパワーが約束されているのでそれだけ幸せになる確率が高まる。西側の道路に面した家は、金運に恵まれる。北側の道路に面した家は、玄関の間口をあまり広げないこと。そうすれば、安定した生活が営める。
・ 「住まいの凶相は花と植木で隠せ」
・
家の四隅の角に植木を植えると、近所に凶作用を出さずにすむ。玄関や窓辺には必ず鉢植えを置くとラッキーパワーのボリュームがアップ。
・
住まいの外壁は基本的には暖色系がベター。家というものは陽のパワーを強く持っていなければならない。陰のパワーを持つ庭とのバランスがあるから。
・
住まいで楽しく暮らすには、いい家具とカーテンを選ぶこと。
・
玄関には黒い御影石を使うな。これは陰の力が強すぎるため。玄関は明るい色を使うといい。
『地球村宣言』 高木善之 ビジネス社 (1996)
・夏の晴天のバーンタイムは、九州で十分、関西で十五分、関東で二十分、北海道で二十五分。それ以上日光浴すると皮膚癌になる危険あり。悪性黒色癌は18年間に7倍増えている。九州では北海道の6倍多い。
・日本のフロン消費はアメリカに次いで世界二位で、世界の15%のフロンを消費。
・
フロンを作らない、売らない、買わない、使わない、捨てない、回収する。今すぐにフロンの放出を止めれば、15年後から徐々にオゾン層は回復し、50年後には修復する可能性あり。
・
代替フロンはオゾン層破壊には影響を与えないが、地球温暖化に悪い影響与える。(二酸化炭素の数千倍)
・
一万年間280ppmで安定していた二酸化炭素は、産業革命以降徐々に上昇し、現在は360ppmに達している。わずか200年間に80ppm増加したが、これは氷河期と温暖期の二酸化炭素濃度の差と同等であり、温度との比例関係から近いうちに同等の温度つまり4.5度上昇する。(過去100年間で0.5度上昇しているので、今後100年間で4度上昇)
・
気温上昇により、南極の氷が解け、全部岩床から滑り出すと海面は70メートル上昇する。その際巨大津波が発生し、原子力発電所の倒壊の危険。
・ IPCCの報告
1.現状の二酸化炭素排出量は、地球の吸収力を3倍オーバー。
2.
このままでは百年以内に500ppmを突破、制御不能となり、熱暴走。
3.
早急に二酸化炭素排出量を三分の一以下にする必要あり。
4.
これを実現するために先進国は2000年までに二酸化炭素排出量を1990年のレベルに戻し、それ以降早急に低減しなければならない。
・
日本には約三百万台の自動販売機がある。この電力消費量だけで原子力発電所三基分に相当。
・ 4Rを基本とする。
1.Refuse 拒否=作らない、買わない、使わない、捨てない
2.Reduce 減量=できるだけ少量、最小限
3.Reuse 再利用=ガラスびん、ペットボトルなど
4.Recycle 再資源化=金属、プラスティック、ガラス、紙など
・
幸福感とは、比較によって満足が得られ、比較によって満足が失われるもの。幸福とは、比較によらないで満足が得られるもの、普遍的で永続的な満足が得られるもの。
・
天ぷら油は20万倍の水を汚す。しょうゆは3万倍、牛乳は1.5万倍、味噌汁は7千倍、米のとぎ汁は600倍。
『リサイクル幻想』 武田邦彦 文春新書 (2000)
内容的には『「リサイクル」汚染列島』と同じ。
・ 「カスケード・リサイクル」というのは、使い終わった材料は品質が悪いので、“より下位の用途”にリサイクル
する、というものだ。例えばテレビに使われていた材料を公園の杭やベンチに使う、などが典型的な例だ。
この方法は合理的だが、量のバランスがとれていなければならない。リサイクル前後の製品の需要が合わず、大量のリサ
イクル材料が余ってしまう矛盾を「リサイクルの需給矛盾」と呼ぶ。この矛盾が原因となって、新たな環境破壊が起こる。
その一つが、コンクリートや、鉄鋼生産に際して出るコンクリートに似た「スラグ」と呼ばれる石の塊を、地面の上に敷き詰める行為だ。
・ 「生産地でリサイクルする」というシステムが構築できないと、回収してもその材料は宙に浮いてしまう。例えば
パソコンはほとんど海外生産だ。すなわち「リサイクル」という行為は、貿易との関係で見ると「消費する国で再び生産
すること」なので、毒物を含もうと含むまいと、貿易と本格的なリサイクル・システムは本来、調和しないことがわかる。
・ 紙のリサイクルは「紙を使うと森林が破壊される」という認識が広まったために普及した。しかし現実には、パルプ
に使われる木のほとんどは先進国の森林から伐採されているのに、その森林はここ15年間に3%増加している。
一方、開発途上国の森林は同じ15年間に6%減少している。減少するのは主として現地の人が生活のために薪や材木として
使用するからで、紙の材料として利用されているのは3%に過ぎない。
・ ペットボトルを石油から作り消費者の手元に届けるまでの石油の使用量は約40グラムだ。ところが、このボトルを
リサイクルしようとすると、かなり理想的にリサイクルが進んでも150グラム以上。つまり、四倍近く石油を使うことになる。
資源を節約するために行うリサイクルによって、かえって資源が多く使われるという典型的な例だ。
・ リサイクルに回される金属材料の表面は錆びているが、表面の錆を落とせば中身はそのまま使うことができる。
その意味で金属はリサイクルに適した材料で、循環型社会では中心的な材料になるだろう。
・ リサイクルガラスは様々な組成のガラスが元になっているので、どうしてもリサイクルガラスの組成も一定にならない。
それで、飲料ビンや工業製品に使うのは難しく、新しいガラスの原料を付け加えてガラスウールなどに使われる。
・ プラスチックが燃えるということは「プラスチック自身が燃える」ということではなく、「分解して出てくるガスが
燃える」ということだ。燃焼の初期はまだ分解していないプラスチックのほうが多いので、いくら酸化反応場で激しい燃
焼が起こっていても、全体としてはその未分解の冷えたプラスチックの影響で温度は高くならず、プラスチックの分解温
度程度である500℃あたりにとどまる。具合の悪いことに、この温度はダイオキシンが発生する化学反応温度に近い。
つまり、焼却炉の燃やし始めや停止時、あるいは個人で焚き火をした時などは、燃えているものに比べ未分解の冷えた燃料
のほうが多く、そのために燃料全体がプラスチックの分解温度に近いところまで冷えているので、ダイオキシン類の発生の危険性が高まるというわけだ。
・ ダイオキシンが厄介なのは、ダイオキシンというのは78種類の化合物の総称なので、それらすべてを測定し、しか
も個々の毒性係数を用いて換算しなければ、本当の危険性がわからないという点だ。
事態をさらに複雑にしているのは、ダイオキシンの毒性そのものだ。青酸カリにみられる「呼吸の停止」などの単純な毒性
ではなく、生体内のアクセプターとの関係で発現する毒性なので、生物の種によって表れ方が大きく異なるからだ。
・ ダイオキシンはハロゲンを含むプラスチックなどを焼却する時に発生する場合が多いが、それ以外にも紙、木材などを
燃やしたり、食塩を含むものを燃やしたりした時にも発生する。つまり、ダイオキシンの発生反応は特別な反応ではない。
ゴミを燃やせばダイオキシンが出ると思っていいくらいだ。
・ 最近「ダイオキシンには強い毒性がない」という研究も少し発表され始めている。
『「リサイクル」汚染列島』 武田邦彦 青春出版社 (2000)
1943年東京生まれ。東京大学教養学部卒業。芝浦工業大学材料工学科教授。前、環境・情報材料センター長。工学博士。66年旭化成
入社後、同社ウラン濃縮研究所長などを経て、現職。自己代謝材料の開発に取り組む。日本エネルギー学会賞、工学教育賞(倫理)などを受賞。
『「環境」にも「身体」にも悪いリサイクル社会の危険性とは』が副題。この副題の説明が論理的に展開されている。ちょっとびっくりする内容だが、考えさせられる。
・ リサイクル品に毒物が混入する三つのルート
1. 「元素系の毒物」が入るルート1:ブラウン管のようにもともと毒物(鉛)が含まれている工業製品から混じってくる。
リサイクルを繰り返しているうちに、かつてブラウン管に使用していたガラスが食器になり、鉛が含まれた食器が登場することは十分考えられる。
2. 「元素系の毒物」が入るルート2:小さな電子機器に使用されているヒ素などの強力な毒物が、リサイクルの途中で
銅などの大量に使う金属に混入して蓄積する。ヒ素入りリサイクル銅の鍋を作ったりする危険がある。
プラスチックの衣装ケースは樟脳やナフタリンを入れる。農薬散布器も中に農薬が残ったまま捨てられることもある。
リサイクルに回されたプラスチックに樟脳や農薬が混入することは避けられない。
3. バイキン系の毒物:食料品関係からリサイクル系に侵入する場合が多い。さらに「リサイクル布団」に潜む虫や細菌・ウィルス。
4. 化合物系の毒物(環境ホルモンやダイオキシン、発癌物質):食べ残しの食料から堆肥を作り、それを肥料として庭で
野菜を作ると自然食品として環境にやさしく、健康に良いという錯覚に陥る。しかし、魚介類などに含まれる少量のダイ
オキシンが肥料として繰り返し使われていくうちに、徐々にその野菜に蓄積していく。
・ 日本のリサイクル系の中に毒物除去システムが考えられていない。さらに、リサイクル系の中の毒物の検出は非常に難しい。
・ リサイクルは「一度使ったものを、また使う」ということ。そして環境ホルモンなどの化合物系の毒物は「使って
いる間にも発生し続ける」という特徴があり、さらに「丈夫で壊れにくい」という特徴がある。
この三つのことをリサイクルの価値観や環境に対する熱意などの心情的なものを除いて考えてみると、リサイクルは毒物
を蓄積する作業とも言える。使っているうちに環境ホルモンが発生し、使ったものを再び使い、材料自体は少しずつ変化
していくが環境ホルモンは劣化しない、という一連の関係がそれを明瞭に示している。
・ 材料工学には「使ったものは悪くなる」という原理がある。
・ アルミ缶はリサイクルに向かない
1. アルミ缶自体が全国に分散していて集めるのがとても大変
2. 使用されているアルミの板厚が薄く、表面が酸化して「アルマイト」になった部分が使えない
3. アルミ缶のフタの部分はプルトップにするためにマグネシウム合金、胴体の部分の合金組成は自立性を持たせ
るためにマンガンの合金になっているので、フタの部分と胴体の部分を分離することが必要。
・ 「アルミ缶をリサイクルすると天然の原料であるボーキサイトから製造する場合に対してエネルギーはわずか3%
ですむ」という間違った数字が公表されている。実際は、「アルミ缶を製造して、販売せず、中に飲料も詰めずに、
@アルミ缶を製造した直後に、A同じ工場で作り直せば、3%ちょっとでできる」。
・ 「分別すると遠くに運ばなければならない」「小さな工場は環境負荷が大きい(リサイクルの工程は複雑で、機器の
数が増えると、それに応じて大きな工場を建てる必要がある)」という二つの制約から、ゴミとして捨てた場合にトラッ
クが走る距離を一とすると、リサイクルとして捨てた場合のトラックは30倍の距離を走ることになる。
・ ゴミが酸素と触れる場所の温度を2000℃程度にして、ガスの通過点を166℃程度にすれば、ダイオキシンはもちろん、
その前駆体になりそうな化合物も見当たらない。再合成によって有毒物が出る可能性も科学的に否定される。
このようなガス改質型焼却装置では電力や燃料ガスが副産物として出るので、それを勘案すると「ゴミというのは反応型
のガス改質型焼却炉で処理するのが最も優れている」ということになる。
・ 使い終わったプラスチックを元に戻すには高分子の鎖をつなぎ直さなければならない。それは不可能なことだが、
燃料として燃やせば新品のプラスチックも使い終わったものも同じ量の熱を出す。石油もほぼ同じ熱量だ。
そこで、廃棄物はリサイクルしないで焼却するのが適切ということになる。現在、日本に輸入される石油は年間約三億
トン、そのうち、プラスチックに使用されるのは1500万トン、その他、様々な用途に使われる量を差し引くと、燃料と
して輸入原油の約九割にあたる2億8500万トンが燃やされる。
だから、輸入原油をできるだけ多くプラスチックにし、使い終わったプラスチックを他のゴミと一緒に全量焼却して、
その熱を電力として回収する。そして使い終わった材料として使えないプラスチックはリサイクルしない。これが一番
良い方法だろう。
使い終わったプラスチックが電力に変わるから、現在、3億キロリットル輸入している原油は2億8000万キロリットルに減少する。
・ 現在のリサイクルや環境問題に対する議論の大きな欠陥は、自然と人間に関する複雑な関係を見逃していたり、
複雑であることから起こる多面的な現象や見方を単純にしようとするところにある。
・ リサイクルという思想は「使うものは減らしたくない」という思想だ。使うものを減らせば廃棄物問題も、
資源問題もなくなるから、リサイクルというのは大量に物質を使うことが前提になっている。
・ ヨーロッパ全体で2400万トンの消費量に対して、リサイクル率はたった2%である。
・ 廃棄物の焼却は石油の総輸入量の削減になるので、結果的に焼却によって二酸化炭素の増加がない。
・ 「黒いゴミ袋、分別なし、大型ゴミなし、全量焼却」という単純な方法は、心理的負担が少なく、毒物も蓄積
せず、環境に良く、国内を循環する低価値のものが減って日本経済も強くなる。焼却から出た元素系の資源は人工
鉱山として蓄積して将来に備える。
元素系の資源はその容積が少ないので、現在の廃棄物処分場を「人工鉱山」にすれば400年以上もつ。人工鉱山は
天然の鉱山と基本的には同じだから、ある程度の毒物を含むが、安全に注意して保管するのは私たち自身の責任だ。
そしてその毒物も有用な資源として将来に使える。
『こんなものを食べていたのか』 西丸震哉 青春出版社 (2000)
汚染された食材、食卓にあふれる発癌物質、バイオ食品の怖さ等を広く浅く紹介。もう少し詳しいバックデータ、説明がほしい。入門書としてはお勧め。
・
赤ん坊が一番始めに識別する味は甘さ。ニ、三年のうちに酸味や塩味を味わい分けて楽しみとして見出せるようになる。
・
年をとっていくとだんだん味覚が消えていき、土台の甘味だけが剥き出しになっていくため、若いうちは甘党でなかった人でも甘いものが好きになってくる。
・
人間の生理機構の中でも、味覚や嗜好は18歳までの生き方、食物の摂り方で一生を決めてしまう。
・
人類の数の上限を可食物の生産量から計算すると56億5千万人。大正末期に、大本教の出口王仁三郎は神のお告げとして「今後人類は56億人まで殖える」と預言。さらに、2600年前にお釈迦様が「この世は56億歳までで終わる」と言っていた。歳は人のこと。
『滅びの大予言』 西丸震哉 三五館 (1998)
1923年9月1日、関東大震災の日、東京で生まれる。農林水産省に入省、食品総合研究所官能検査室長をしながら、官僚と政治家の場当たり的な食糧政策に疑問を呈し、1980年に自主退官。その後、「食生態学」を確立、現代人の食・環境・行動に鋭い警鐘を鳴らし続けている。食生態学研究所所長。
環境ホルモン、氷河期への移行等に関する鋭いコメント、面白かった。
・ 100万年間のあいだに氷河期は五回あった。人類はこの五回の氷河期をすべて乗りこえてきている。だから、氷河期だからといって人類は滅亡しない。最後の大氷河期は七万年前に始まってー万年前に終わり、約一万年ぐらい続く間氷期、つまり温暖期となり、次に氷期となる前ぶれの小氷期が千年くらい前からはじまって、今回は三つ目の小氷期が終わったあとの小間氷期で、それも十五年くらい前に終わったところだ。専門家の推測では、温暖化によって海水位が一メートル上がって、サソゴ礁の国などは水没してしまうとある。温暖化が進み、南極・北極の氷が融け出して、海水位が上昇するというのは一見、説得力があるみたいだが、地球はそんないいかげんなものではない。どんどん気温が上がると、海からの水の蒸発量がふえるから、雲がふえる。雲が増えると、地球への太陽熱を遮断してしまって、気温を下げるほうに向かう。雲は、「地球の大循環」で極地に向かう。極地では大雪が降って、それが氷となり氷河をどんどん増大させて奥から圧力をかけ、氷床は押し出され氷山となり海に浮く。氷山ができてそれが融けても、海水位が上昇することはない。氷山がどんどん出てきて極地の氷がなくなるのではなくて、氷河や氷床というものは奥で氷の量が増大すれば張り出してきて、海まで出てきたのが氷山となるが、海に張り出した水中にある氷床が割れて氷山になるのだから、海水位はまったく変わらない。氷山が流出して寒流に乗っていくと海水温を下げるので、これまた温暖化にはつながらない。地球はひとつの生命体と見るべきで、絶妙な自己調節をするようになっている。氷期にさしかかったときに人類が勝手に振舞って、気温を上昇させる要素をやたらとぶち上げれば、温暖と寒冷の条件がめちゃくちゃに混同して、大異常気象と騒がれる事態となる。
・
地球の気象は温暖期=間氷期から、寒冷期=氷河期に移行するときとか、その逆に寒冷期から温暖期になるときは、大きく揺れる。温暖期という変動の軸が、突然、寒冷期という変動の軸になるのではなく、その逆も突然変わるのではない。移行期はニ軸の時代で、前の軸がまだ消滅していないうちに次の軸は発生してくる。二軸時代は、どちらをも満たすように大きく揺れる。この移行に要する時間は20年くらいだ。日本では昭和三八(一九六三)年に「三八豪雪」といわれているのが異常気象のはしりとなった。この頃から寒冷期の軸が復活してきた。だが、二〇年たった1980年代になっても、消滅するはずの温暖期の軸が残って、いまもなお続いている。これには人間の活動、つまり温暖化ガスの発生量がふえたことがからむ。だから、いまだに気象は滅茶苦茶に揺れている。
・ 天気は西から東へと動き、西の雨はやがて東へ来る。
・
関東平野で最も噴火・爆発について気をつけなければいけないのは、富士山と浅間山。
・
富士山は1707年の大噴火以来、噴火していない。ちょっと休みが長すぎる。今度爆発するときは大噴火になるはず。頂上の北西部を、北西に向かって吹き飛ばす。富士山の高さは3400メートルくらいになる。
・ 北半球の火山は北に向かって爆裂火口をつくる。
・
日本海溝の地盤のズレで地震が起こるとき、海の重みがカギとなる。海溝には海が乗っており、海の重みが減ったときが危ない。つまり満潮のときより干潮のときがこわい。一日に二回ずつ干潮と満潮があり、地震が起きるとすれば干潮のとき、つまり重石の重量が減ったときだ。それが寸前のときに重なれば地震が起こる。さらに大きな影響を及ぼすのが月で、月の位置がどこにあるのかが、微妙に関係する。月齢と月の位置は一致する。太陽と地球との位置を軸として、地球の真横に月があるときは半月(月齢七とニ三)になる。地球から見て半分が太陽にさらされている。太陽と正反対に月がくると、満月になる。月齢で見て大地震のくる可能性の高いのはどこか。月齢が3日‐7日、18日‐23日、27日‐28日の可能性が高い。太陽と月の引っ張る力が合わさって影響を大きく出すときが、この月齢の頃となる。一番やられやすいときに月の出入り、つまり月が地平線上にあるとき、月は自分のいる場所の真横にあるから、月の出、月の入りの時間の両側一時間の範囲が危険となる。この月齢と月の位置、満潮・干潮を考える。どうしても危険な場所へ行く用があるときは、月齢と月の出入り、干潮・満潮を考えて行動するように努めると、それを考えない人よりもやられる可能性を減らすことができる。
そのためにも、『理科年表』をいつもよく見ていること。
・
昔AF2という殺菌料があった。劇的に効く。ハム、ソーセージ、豆腐、かまぼこ、はんぺん、あんこなどの食品群の防腐剤として1970年代前半まで使われた。AF2があると、大腸菌などのバクテリアは、一代替わるごとに、97%は生きるに絶えないほどの奇形が発生する。奇形バクテリアは生きていけない。残った3%の次の世代も奇形が97%で、3%しか生き残らない世代交代だから、4、5時間するとバクテリアは消滅してしまう。この防腐剤を猿に投与したところ、奇形が多数発生した。このAF2は、外国では初めから禁止されていたが、日本では毒性が公表されてからも、一年の猶予期間を与えられて九年間、散々多用した後になってようやく禁止になった。現在、30歳以上の人で、AF2入りのものを食べたことがないという人はいない。一度AF2のような物質によって遺伝情報を変えられると、自分自身が変わったことになる。
・
最近、特に若い女性の門歯のうちの上の中央二本がメキメキ大きくなってきている。原因はまだ特定できていない。これが進行したら、おそらく次の門歯が犬歯との間で両方から圧迫されて、歯列を乱してガタガタの歯並びになる人が激増するだろう。
・
人類始まって以来、直系の先祖たちは頭の中で音が鳴り響くという体験を味わったことがなかったから、ヘッドフォンステレオに対応する生理機構が用意されていなかった。身体のほうは懸命に新環境に合わせる努力をしたが、どうにも対応できなくなって脳組織が崩壊していって、聴覚が駄目になる。
・
TVゲーム、ワープロ、パソコンの使用により、同様に視力が低下したり、突然盲目になったり、脳の視力を司る部分が崩壊していく。
・
水銀を体内に取りこむと、開発力、応用力、創造力が抜け去る。つまり自分で考えるということをしなくなる。記憶力には影響がない。水銀汚染は水俣地区に限定されていない。日本の農地には、有機水銀系の農薬が大量にばら撒かれた。最近の若者の指示待ち人間が増えたことも関係があるかも。
・ キヌア(学名キノア)という植物名を聞いたことがあるだろうか。穀類のように見えるが、アカザ科でアカザやほうれんそうの仲間。アンデス山脈の海抜3000メートル以上のところで生産されている。大きいものになると、高さがニ・五メートルにもなる。インディオが何千年もかけてつくりだした非常に役立つ主要食糧だ。NASA(アメリカ航空宇宙局)が宇宙食に取り入れ、さらに「21世紀には世界の主食になる」と発表したことで、にわかに脚光を浴びている。
南米に行った欧米系の人は、最初、これが役立つとは気がつかなかった。実以外の茎とか葉っぱはみんな食べられ、家畜の餌にももちろんなる。そしてなによりも、他のなにも穫れそうもない半沙漢の土地で生産でき、玄米以上のたんぱく質があり、アミノ酸の組成もよく、デンプンも多くカルシウム豊富だ。米と同じで特に癖のある味はなく、味付けは自由。穀物ではないから割合やわらかく、ぎゅっと押すとつぶれる。アワやヒエとちがって冷えてもポロポロにならない。単体で炊くと、ワンタンの皮みたいになって、四倍くらいに膨れる。スープにするととても喉の通りがいい。種子を粉にしてパン状に加工したりもする。ただし、キヌアの生産は気温が30度以上になるところでは駄目。雨が降っても駄目。植えるとき間隔を空けないと通風が悪くなって虫がつきやすいから日本には適地が少ない。旭川周辺、長野の山間地くらい。
・
白米より玄米のほうが健康にいいと多くの人が言うけれど、玄米の表面は白米に比べるとずっと多く農薬や重金属が蓄積する。洗ってもなくなるものではない。
『水問題の重要性に気づいていない日本人』 橋本淳司 PHP研究所 (2007)
1967年群馬県生まれ。出版社勤務を経て文筆業に。経済、経営、水問題が専門。「水と人間」というテーマには、
ライフワークとして取り組み、日本国内はもとより世界各地の水辺を歩き、土地の人と語りながら、水について
考えている。 http://www.aqua-sphere.net/
『「おいしい水の話」から「酸性雨の話」まで』が副題。水問題について考える上で、非常に参考になる書。水に関する基礎知識豊富。お薦め。
・ 水の味は水源の地層で決まる。たとえば、ヨーロッパの地質は、多くが石灰岩層からなる水成岩で、水がなだらか
な大地をゆっくりと流れる間に、たくさんのミネラルを溶かす。
一方、火山国である日本の地質は多くが火成岩で、まして山から海岸までの傾斜が大きいため、水の流れるスピードも速く、
ミネラルが溶けにくい。だから一般的に、ヨーロッパの水はミネラルの多い水が多く、日本の水はミネラルの少ない水が多い。
・ 硬度とは、水に含まれるミネラル(カルシウムやマグネシウム)量を数値化したもの。数値が高いものを硬水といい、
低いものを軟水という。WHOでは、「0〜60を軟水」「60〜120を中程度の軟水」「120〜180を硬水」「180以上を非常な硬水」としている。
・ 日本の水道水は三分の二が硬度50以下で、ほぼ軟水。硬度が300以上の水は、水道法で供給できないことになっている。
なぜなら家庭でセッケンを使うときに泡立ちにくくなるから。
・ 水の硬度=カルシウム量x2.5 + マグネシウム量x4
・ マグネシウムはカルシウムや様々なミネラルの働きを助け、心臓や血管などの正常な機能を維持したり、神経を安定
させたりする。また、中性脂肪、コレステロール上昇を抑制する作用、細胞を活性化して肌をなめらかにする作用も明ら
かになっている。
健康目的でミネラルウォーターを購入するなら少なくともマグネシウム量が1リットルあたり5ミリグラム以上のものを買うべきだ。
・ 水道水の塩素臭が気になる場合は、一度沸騰させ、粗熱をとってから天然にがりを加えればいい。天然にがりには
マグネシウムだけでなく、あらゆるミネラルが少しずつ入っている。1リットルの水に大さじ一杯くらいの天然にがりを加えるのが目安。
最初は薄めで飲む。そうでないと舌が慣れていないので違和感を感じる。慣れてきたら少しずつ濃くし、自分にあった
濃さを見つけよう。ただし、腎機能障害を起こしている人は、マグネシウムを体の外に出す機能が弱くなっているので、
にがり水を飲み過ぎないように。
・ 日本のミネラルウォーター類は1990年の農林水産省が発表した「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」
に基き、四種類に分けられている。ただし、このガイドラインでは、ミネラルの量についての基準がない。
1. ナチュラルウォーター:特定の水源から取水した地下水を、過熱やろ過で殺菌や除菌をしたもの。自然水ではあ
るがミネラル成分はほとんど含まれていない。
2. ナチュラルミネラルウォーター:ナチュラルウォーターのうちミネラルが地下で自然に溶け込んだもの
3. ミネラルウォーター:ナチュラルミネラルウォーターと同じ地下水を、加熱やろ過で殺菌や除菌をした後、複数の
地下水を混ぜたり、人工的にミネラルを加えたもの
4. ボトルドウォーター:水道水や河川水、蒸留水、純水などの飲用に適した水を原料としたもの
・ ヨーロッパの「ナチュラルミネラルウォーター」には、こんな基準がある。
1. いかなる殺菌処理もしてはいけない
2. 厚生省の審査と承認を必要とする
3. 人体の健康に有益なミネラル分を一定量保持する
4. ミネラルバランスがよい
5. 水質の汚染を防ぐため、採水地周辺の環境保全が常に行われている
6. 地下の泉から直接採水され、添加物を加えることなくボトリングする
・ ボトルの水の生産量(日本ミネラルウォーター協会調べ)は、1986年には8万2179キロリットル(国産8万1000、輸入117
9キロリットル)だったが、2005年には183万4024キロリットル(国産142万7099、輸入40万6925キロリットル)と、20年で22倍にもなった。
・ 台所から出る食べ残し、飲み残しが河川を汚す原因の41%と最も高く、し尿が27%、風呂の残り湯が22%、洗濯
排水が10%と続く(実際には下水処理される場合もあるが、あえてここではそれに触れない)。
・ もし天ぷら油500mℓを流したとすると、「魚が棲める程度の水」に戻すのに、風呂桶(300ℓ)330杯分の水が必要に
なる。味噌汁おわん1杯(200mℓ)でも風呂桶4.7杯、マヨネーズ大さじ1杯(15mℓ)で風呂桶20杯、米のとぎ汁2ℓで風呂桶4杯分。
・ 生活排水の次に河川を汚すのが工場排水。トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンは半導体などのハイテク工場で大量に使われる。
・ 「ノンポイント汚染」とは汚染が広い範囲に及ぶうえに汚染源が特定しにくい地下水汚染。この汚染を引き起こす
汚染物質の代表が、硝酸・亜硝酸性窒素だ。これらは胎児や乳幼児に酸素欠乏症という急性中毒を引き起こす化学物質
で、農地で過剰に用いた窒素肥料や畜産の排水・家庭排水などから供給された窒素化合物が、土壌中で分解されてできる。
環境省発表の「地下水質測定結果」(2004年度)によると、群馬県の地下水の窒素濃度はワースト1位だった。理由は畜産と畑作がさかんなため。
・ 全農には200社を超える関連企業があり、農協組織の運送業務や肥料販売等を手がける。日本の農業が化学肥料と
農薬漬けになった理由は、売上を伸ばしたい全農・農協が農家に化学肥料・農薬を押し付けたからだ。
それに「きちんと」化学肥料や農薬を使用しなければ良質な作物と認められず、「等級」は下げられ、安く買い叩か
れる。だから農家は化学肥料や農薬を使わざるをえない。
・ 人間の舌は14度以下に冷えたものについては、その味を感じにくくなる。水の良し悪しを判定しようと思ったら
水温を18度くらいまで上げなくてはならない。
・ 水道水の塩素はお米を洗った時に、お米に含まれている多くのビタミンB1を洗い流してしまう。沸かした水を使うと
、流れ落ちる量が格段に少ない。
・ 浄水器の基本構造は各社ともあまり変わらない。活性炭とマイクロフィルターを組み合わせたものだ。水道水を浄水
器内のマイクロフィルターと活性炭でろ過したり吸着したりして、残留塩素、赤さび、においなどを取り除く。活性炭は、
単位面積あたりの表面積が大きく、様々な物質をくっつける性質を持っている。
これによって水道水のカルキ臭やカビ臭さを除去、また有機物も吸着除去するためトリハロメタンにも効果を発揮する。
かつては活性炭だけだったが、それだけだと活性炭により塩素が除去され、殺菌力がなくなったところで細菌が繁殖することがある。
そこでマイクロフィルターを組み合わせ、細菌をシャットアウトする。
・ 水のクラスターとは、水の分子が水素結合で集合している状態で、数ピコ(一兆分の一)秒という非常に短い時間
で生成と消滅を繰り返している。水の中に、安定したクラスターというものが存在するわけではなく、大きさを評価
することはできない。また、クラスターの大小が、水の味や性質を決めているという考え方は、間違いだ。
・ 日本人の生活用水使用量は一人一日あたり約320リットル。このうちお風呂で使う水が全体の26%、トイレ24%、炊事22%、洗濯20%だ。
・ トウモロコシ1キロをつくるには2000リットルの水が必要になる。大豆1キロでは3400リットル、小麦粉1キロ
では4500リットル、米1キロでは5100リットルの水が必要だ。肉の場合はもっと水が必要だ。
なぜなら家畜は水を使って育てた植物をエサにしているからだ。豚肉1キロで1万1000リットル、牛肉1キロで10万リットルの水が必要になる。
・ 一年間に日本が輸入しているバーチャルウォーター(肉や野菜を育てるのに必要な水の量を換算)を計算すると、
合計1000億キロリットルになる。日本国内で水資源使用量は850億キロリットルだから、国内で使うよりも多い量の水を海外に頼っていることになる。
・ 塩素には殺菌だけでなく、酸化という作用もある。生活排水に由来する、水中のアンモニア性窒素、溶解性鉄
分などを酸化し除去する。水源の汚染が進んだため酸化剤としての塩素の使用量が増えている。
そのためカルキ臭がより強烈になった。また工場排水に含まれる、フェノール、シクロヘキシルアミンなどの化学
薬品と塩素が反応することによってできる化合物も悪臭を発する。塩素は水らも臭うが、他の物質と反応して別の
臭気も発生させる。
そのほかトリハロメタンの問題もある。これは塩素と、原水に含まれている有機質の一種であるフミン質などと反応
してできる。トリハロメタンやその他の有機塩素化合物は、発ガン性物質として問題になった。
・ 朝一番の水は一晩、水道管の中に滞留していた水なので、環境ホルモン等の化学物質が溶け込んでいる可能性が
高い(水道管はビニール・コーティングしている。これらのプラスチックの可塑剤には環境ホルモンの疑いがあるものもある)。
一方、古い家の場合は、鉄さびなどによって、朝は赤い水が出ることがある。だから朝一番の水は三分間出しっぱなしにしてから使ったほうがいい。
・ 高度浄水処理とは、通常の浄水処理に追加して行う処理だ。通常の浄水処理では、十分に対応できない。
かび臭原因物質、トリハロメタンのもととなる物質、カルキ臭のもとになるアンモニア性窒素等の処理を目的としたものだ。
代表的な処理法としては、オゾン処理、活性炭処理、生物処理がある。高度浄水処理が導入されているのは東京、大阪などの大都市に限られている。
・ 浄水処理には二種類の方法がある。一つが「生物浄化法」で、もうひとつが「急速ろ過」である。「生物
浄化法」は生物の力を使ってゆっくり水を浄化する。
ろ過池(水をきれいにするために水をためるプールのような場所)に発生した藻が光合成で酸素をつくり、それによ
り水中に微生物が生まれ、その微生物が水の中のゴミや細菌を分解するという、自然現象の応用でおいしく安全な
水を作る方法だ。
この仕組みは、地上に降った雨が落ち葉の層や土に染み込み、土の中で長い時間かけてきれいになっていくのと
同じだ。まして費用が安い。水道原価は1トンあたり35円である。「急速ろ過」方式は、薬品を使って素早く水を
きれいにする方法だ。
全国の浄水施設の77%がこの方法であり、「生物浄化法」はわずか4%。戦前の日本では「生物浄化法」の浄水場が多
く建設されていたが、戦後にアメリカの技術が導入され、高度経済成長期に、インスタントに大量の水をろ過するため
に「急速ろ過方式」が普及したのである。
『甦る未来』 比嘉照夫 サンマーク出版 (2000)
EM技術が21世紀を変えるという副題のとおり、作者の言うことが本当であればEMにより、殆どの環境問題、食糧問題は解決されることになる。
・ EMとはEffective Microorganismsの略で、有用微生物群の意味。
・
EMには抗酸化作用の他に、磁気共鳴波動の性質がある。
・
磁気共鳴波動には他の波動が接触すると、最後はみんな同調的に引き込まれて、同じ性質のエネルギーになってしまう。したがってEMを使うと放射能も無害化できるし、地震も起きなくなる。
・ EM液の代表的な作り方
1. EM本体は「EM一号」(原液)といって茶褐色の液体。これを家庭に常備する。
2. 水を少なくしたやや濃いめの米の研ぎ汁を作る。
3. 米の研ぎ汁を1.5-2リットルのペットボトルに入れ、そこにボトルのキャップ2-3杯ほどと同量の糖蜜(EMのエサ)とEM一号を入れて、よく混和して、窓際の明るい場所に放置しておく。
4.
二日後くらいからガスが発生するので、1日1回ガス抜きをする。
5.
ガスの発生が弱くなって止まると完成。そうしてできた研ぎ汁はEMが繁殖して、最初のEM一号とほぼ同じ効力になっている。この液体をEM拡大活性液と称している。
・
EM拡大活性液はお風呂に入れたり、床磨きに使ったり、トイレに流したり、どんな風に使ってもかまわない。お風呂に入れれば肌がすべすべになり、風呂桶のぬめりも取れる。床を磨けばピカピカになる。トイレに流せば、パイプの汚れが分解されてきれいになる。
・
こういう使い方をすると、EM処理した米の研ぎ汁は、家庭排水となって川や海に流れ込んでいく。そうすると、今までは水を汚すだけだった米の研ぎ汁やもろもろの家庭排水が、よい微生物たちの働きによって逆に汚水をきれいにする浄化液に変わってしまう。
・
EM一号、EM・Z、EM・Zセラミックスの三つのEM資材を使うことで、ゴミ焼却場からのダイオキシンの発生をほぼ完全に抑制できる。EMに含まれている抗酸化物質やミネラルなどにより低温完全燃焼が促進されるため、不完全燃焼によるダイオキシンの発生を防止する。
・
食物繊維が多いと消化の過程でダイオキシンを吸着して、排泄物と一緒に外に排出される。だから食物繊維を欠かさないようにすることが大切。
・ EM・X(EMが生成した抗酸化物質を抽出し、濃縮したもの)には磁気共鳴波動を持っているため、体内の脂質に結合している有害な重金属やダイオキシン、環境ホルモン、その他の化学物質のラジカル反応を止めたり、それらの物質を脂質から分離し対外へ排出する力がある。
・
EMを構成する微生物は嫌気性、好気性に関わらず、直接、間接に抗酸化物質を生成する。菌の種類が多いほど、また密度が高いほど効果も高いが、80種は必ずしも必要でない。光合成細菌と乳酸菌および酵母菌は必要不可欠。
・
EMには光合成細菌からの磁気共鳴波動があり、この波動はフリーラジカルを発する部分を切断したり、ラジカル反応を消滅させる。
・
EMの使用により、北朝鮮では食糧問題がすでに解決した。ただ備蓄分までは十分ないので、2000年も他国に食糧援助を要請しているだけ。
・ EM農法が実現すると以下のようになる。
1. 無農薬、無化学肥料農業の実現
2. 除草剤を使用しない雑草対策
3. 土を耕さない不耕起栽培
4. 環境をきれいにする資源循環型の農業
5. 品質の真の向上を目指す農業
6. 農民が儲かる経済性の確保
・
新商品「いきいき彩鮮」はEM・Xセラミックスを特殊な方法で均一に添加した機能性プラスチックビニールの鮮度保持袋で、肉や野菜をこの袋に入れて冷蔵庫に保管すると、通常の2-3倍長持ちする。さらに燃やしてもダイオキシンを発生しない。
・
家庭で食品の保存に使われているラップは塩化ビニール系が多く、燃やすとダイオキシンが発生する。
・
EM・Xには、有害な電磁波や紫外線を無害化する力があり、さらに静電気の発生をおさえ、電気抵抗を小さくする機能性もある。そこで、コンピュータや家電製品に使用されるプラスチックに、EM・Xセラミックスを添加したものを使用すれば、電磁波や静電気による各種の障害を完全に防止するだけでなく、20―30%の省エネ効果も発揮するようになる。
・
携帯電話のプラスチックカバーをEM・Xセラミックス添加のプラスチックに変えるだけで、電磁波の害も解決される。そのうえ充電時間も半分以下になる。
・
EM・Xは、高血圧、心臓病、肝臓病、糖尿病などの生活習慣病はもちろんのこと、ガン、エイズ、膠原病、感染症など難病といわれる病気にも大きな効果がある。老人ボケにも効果が確認されている。
・
EM技術によるシックハウス対策は、ずば抜けた効果がある。アトピーや花粉症はもとより、化学物質過敏症に対しても同様の効果が認められている。
・
EMによって世界を変えるという大きな目標のために日本型のNPO法人「地球環境・共生ネットワーク」(通称Uネット)を1998年1月に設立。
・ EM全般に対する問い合わせは(株)EM研究機構
TEL: 098-890-1111, FAX: 098-890-1122
・ EM商品に関する問い合わせは(株)イーエムジャパン
TEL: 0467-45-4185, FAX: 0467-44-2805
・ EMの農業への活用についての問い合わせは(財)自然農法国際研究開発センター普及部
TEL: 0557-85-2001, FAX: 0557-85-3156
・ EMの環境への活用についての問い合わせは(株)EM研究所
TEL: 0557-85-3186, FAX: 0557-85-3180
・ EM−Xに関する問い合わせは
EM−Xファミリー友の会 TEL: 0120-116124, FAX: 03-3590-7362
赤坂EM−X予防医学研究所 TEL: 03-5570-6363, FAX: 03-5570-2326
EM総合ネット TEL: 0120-211843
『地球を救う大変革 3』 比嘉照夫 サンマーク出版 (1997)
EM技術が世界に急速に広まり、かつその用途が農業、ゴミリサイクル、水質改善、建材、薬等にどんどん急速に拡大していることに驚いた。万能剤という感じだ。
・
EM1号はEMの各種がバランス良く配合されていて、総合的な効果がある。
・
EMボカシは米ヌカをEMで発酵させて乾燥したもので、生ゴミの肥料化や川の浄化に使われている。
・
EMXは、低分子化の多糖類などの抗酸化物質をEMから抽出し濃縮したもので、飲用としても用いられている。
・
EMXセラミックスはEMXを粘土に封じ込め、高温でセラミックス化したもので、EMの効果が長期的に維持できるという特徴がある。
・
EM1号はpH3.5以下でも活性を保つ強い耐酸性を持っているので、胃酸で全滅することなく腸に達し、腸内微生物を善玉菌に転換する。その象徴的な効果として、飲用すると排泄物やガスが嫌な匂いでなくなくなり、便の色も赤ちゃんの便のような色に変わってくる。人間の腸内は、植物にとっての土壌と全く同じ機能を果たしている。土壌にEMのような善玉菌が増えると、有害な酸化物や有害物質が分解される。また抗酸化物質が増えると作物の生育は著しく高まり、病害中の被害も大幅に減って健全に生育するようになる。人間の腸内にも無数の微生物がいるが、その腸内微生物が善玉菌に変われば、高等動物のほとんどは見違えるように健康になる。
・
EMは腸内常在菌ではない。一週間内外で体外へ排出されてしまう。
・
EMXの飲用は、難病を改善させる点で著しい効果を上げつつある。1992年からタイで行っているエイズ患者のボランティアによるテストでも、一日20−30CC飲用した患者は数ヶ月で元気を回復し、仕事に復帰してごく普通の生活ができるようになっている。
・
EMXの免疫機構に対する強化機能によりエイズにも効果があるのでは。EMXには遺伝子はもとより、あらゆる組織を抗酸化作用とその波動によって、正常な状態に揺り戻す力がある。やけどや強烈な打撲でもEMXをスプレーしたり湿布に使うと、短期間に正常な組織に戻る。また、C型肝炎、心筋症、腎臓病、リウマチ、アトピー、糖尿病、高血圧、筋ジストロフィーなどにも効果がある。
・
EMXセラミックスは光合成細菌由来の起電力により、極めて高い触媒機能を持っている。そのため、EMXセラミックスをブレスレットやネックレスにして、体に直接触れるようにすると、病気や疲労によって発する非共鳴的な波動を修正する力が増幅される。
・
EMの持つ抗酸化作用と抗酸化波動をそれぞれの物質に転写することにより、材料の分子配列が強固にコンパクトになり、材料の強度は高まり、防さびはもとより電磁波や静電気の発生を抑制する機能性材料になる。
・
EMXの末端価格は1997年の秋家電製品やパソコン携帯電話からは1リットル1万円。
・
EMXセラミックスシールを家電製品やパソコン、携帯電話に張ると電磁波の影響が少なくなり省エネになる。またセラミックシート(Eセラ)を照明器具に張ると、省エネになり、空気も浄化され、健康な環境を作る。
・
綿はウイルス病にかかるとサヤがはじけることがなく、収穫皆無になってしまう。そのためウイルス病を伝播するアブラムシやオンシツコナジラミらを防除するため、30回以上も殺虫剤が散布される。その結果、次々と薬剤抵抗性を身に付け、難防除害虫に変化する。寝具がアトピーの原因といわれるのは、多量の農薬散布と家ダニの防除のために布団が殺虫剤処理されるから。しかし、インドネシア、パキスタンではEM技術を導入することにより、完全無農薬で収量が倍増した。
・
バナナも農薬漬けの作物といわれる。パナマ病という糸常菌類(カビ)による病気(シガトカ)や、バナナゾウリムシのため。パナマ、フィリピンではEM技術導入を決定。
・
木材に対するEM処理は防腐剤以上の効果がある。木材の防腐剤が人間の健康や環境に農薬並みの悪影響を及ぼしている。EM処理すれば、木材から人体にとって最良な抗酸化波動を発する。
・
EMの総合的な推進母体はEM研究機構、ここはEM関連の商品開発や販売によって得られた成果を、すべてEM活動を通じて社会に還元する会社として、完全な非営利組織として運営されている。スタッフは現在60人。
・ 農業と農業に関連する環境問題については、(財)自然農法国際研究開発センターの積極的な支援を受けており、その他の環境問題は地球環境財団が担当し、また情報分野はEMインターネットが受け持っている。
・ EM活動の精神。四つで1セット。
1.
奉仕の精神。EM活動の基本は自発的なボランティアであり、草の根的でなければならない。
2.
正しい行動と正直な情報を常に発し続けること。つまり良いことを独り占めすることなく、どんどん公開していく精神。
3. 自己の確立と現状に対する批判的精神。
4. すべて自由で自発的で自己責任を持つ。
・ EM研究機構:FAX098−890−1122
・ 自然農法国際研究開発センター普及部(農業に関するものFAX0557−81−0560)
・ 自然農法国際研究開発センター事業部(環境問題・水処理・EM1号の販売に関するものFAX054−277−0099)
『微生物が文明を救う』 比嘉照夫・渡部昇一 クレスト選書
(1995)
環境関連の研究開発、水処理プロジェクト開発全般 :地球環境財団 03-3505-8131
港区赤坂3−16−11赤坂田中ビル FAX 03-3505-8130
『セミたちと温暖化』 日高敏隆 新潮社 (2007)
1930年東京生まれ。京都大学名誉教授。理学博士。東京大学理学部動物学科卒業。東京農工大学、京都大学教授、
滋賀県立大学学長、総合地球環境学研究所所長を歴任。
昆虫、動物等に関するエッセイだが、とてもわかりやすく、おもしろく昆虫、動物の生態を解説している。それもただ
の解説書風ではなく、淡々として面白いエッセイに仕上がっている。面白かった。
・ 一年の中でのアブラムシのライフサイクルは実に複雑である。同じ一つの種のアブラムシに、まず有翅型と無翅型
がある。春、いろいろな植物の新芽で卵から孵るのは、たいてい無翅個体である。しかもこの無翅個体はメスばかりで
オスがいない。
卵から孵った無翅個体は植物の汁を吸って大きくなり、いわゆる処女生殖で子どもを産む。普通の昆虫と違い、アブラム
シは交尾をしないで、卵でなくいきなり赤んぼアブラムシを産むのである。ただし母親が自分と同じ遺伝子組成の子を産
むから、病気の流行や環境の激変には弱い。
そこで多くの生きものはこの危険に対処するため、オス・メスをつくって有性生殖をし、遺伝子を混ぜ合わせて親と同じ
遺伝子組成の子ができないようにしている。だが、アブラムシはこれを無視しているようだ。
ただし、アブラムシがこうしてメスだけでどんどん子どもをつくっていくのは、春から夏にかけての、気温の大変動はな
いし台風などもない、比較的環境条件も安定した時期である。けれど夏の盛りも過ぎ、そろそろ秋が近づいてくる。多く
のアブラムシは、この時期になると産性虫という個体をつくる。
依然としてメスではあるが、大人になったらオスを産むメスをつくるのである。もちろん産性虫の中には、大人になったら
メスを産むメスもいる。この産性虫メスから産まれた「本当の」メスは、処女生殖はできず、ちゃんとオスと交尾して、し
かも赤んぼでなく卵を産むのである。
こうして産性虫から有翅オスと有翅メスの個体が生まれると、これでアブラムシもふつうの昆虫に戻ったことになる。オス
とメスは交尾して遺伝子を混ぜ合わせ、来るべき厳しい環境やその大変動、あるいは病気の流行に抵抗できる子が生まれて
くる越冬卵を産む。
・ 人間の腸にはいろいろな腸内微生物が住んでいる。その量は、平均1.2kgの細菌や酵母を含んでいる。人間の腸内には何
千という種類の微生物がいる。ただしこれは人間全体を通じての研究の結果によるものであって、現実に一人の人の腸の中に
はせいぜい100種類の微生物が住んでいる程度だ。
ところが、人によってこの100種類がみな違っている。腸内微生物の種類組成が同じ人は二人といないとさえ言われている。
・ 蝶は昆虫であるから、冷血の変温動物である。体温はまわりの気温にしたがって変わる。けれど蝶が飛ぶためには、
35度程度の体温が必要なのである。体がこのくらいの温度になると筋肉がよく働き、蝶は花や異性を求めてひらひら飛ぶ
ことができるのだ。この必要体温と気温の差を埋めるために、日向ぼっこをして太陽熱を吸収するのである。
・ マツムシのメスは、オスのチンチロリンという声を聞くと、それに反応する。けれどそのとき鍵になるのは、チンチロ
リンという声の微妙な響きやトーンではなくて、チン・チロ・リンという音のピッチだ。
適当な器物を細い棒で叩き、チンチロリンと同じピッチのカン・カ・カ・カンという音を出してやると、メスはそれに反応
するからだ。他の虫でも同じようなことになっている。
・ 牛は反芻をする。胃を四つの部分に分け、その一番目と二番目に共生微生物を住まわせて、草の繊維質や固い細胞壁の
セルロースをしっかり消化してもらう。牛の消化液ではセルロースは分解できず、何の栄養もとれないからだ。とくに大きいのは第一胃だ。
牛の大きなおなかの大部分はこの第一胃が占めている。第一胃で十分消化できなかった繊維質はもう一度口へ吐き戻し、
よく噛んですりつぶしては新しく食べた草とともに再び第一胃へ送る。これが反芻である。こうして牛は、食べた草を第
一胃で消化するために、一日約20時間ほどを費やしている。
第一胃でしっかり消化した食物は第二胃へ送られ、つづいて第三胃、第四胃、そして腸でさらに消化液の作用を受け、必要な
栄養素を吸収された後、どろどろの糞として排出される。ところが馬の胃は牛の胃のように変形されていない。ふつうの獣の
胃と同じく、食物を胃液と混ぜ合わせて腸へ送るだけだ。胃の容量もたいして大きくない。
草の消化がなされるのは腸、それも盲腸と結腸とからなる大腸に至ってからである。馬の盲腸は長さが1.2m、容量が30リットル。
そして結腸はもっと長く、大結腸と小結腸を合わせると約7m。ぐるぐるとうねって太く、容積は70〜80リットルと牛の反芻胃に近い。
馬のおなかが大きいのはこのためだ。そして、ここに共生微生物がいるのである。ほとんど手つかずに胃から送られてきた
草のセルロースは、ここで共生微生物によって消化される。そして栄養物は結腸から吸収されると考えられるが、馬の消化
の仕組みについてはまだあまりよくわかっていない。
草の繊維はとにかく消化しにくいから、まだ消化されぬまま残った繊維は、そのまま糞として捨ててしまう。だから馬の糞は
牛とは全く違った、いわゆる馬糞になるのだ。馬はその分を、大量に食べることによって補う。牛と馬のこの戦略の違いがは
っきり現れるのは、気象などの原因によって草原の草の質が悪くなった時だ。
草の質が悪くなると、消化にも手間がかかる。その時牛は、ちゃんと消化しようとして、反芻胃での消化に時間をかける。食べ
た草が胃に滞留する時間が長くなるから、食べられる草の量が減る。結果として牛は痩せてしまう。馬はとにかくどんどん食べ
て、カスは捨てる。
草の質が悪くなったら、馬の食べる量は増え、結果として馬は必要な栄養素を取れるので、痩せたりはしない。さらに、馬は
見通しのよい場所で餌を取り、敵の存在に気づいたら、いち早く逃げる。そのため馬は眼もいいし、俊足で走れる体をもっている。
体の前方でなく後方で草の消化をするのも、このことと関係があるのだろう。一方、牛は踏みとどまって守る戦略をとったよ
うだ。そのためには角を発達させ、それで闘って身を守ろうとする。
・ 鳥はからだのすべてが「飛ぶ」ということのためにできあがっている。まず頭だ。鳥の頭にはくちばしがついているが、
そのくちばしには歯などない。歯をつけてものを噛もうとしたら丈夫なあごを持たねばならない。そんなことをしたら頭が重
くなって飛べなくなる。
鳥は祖先である爬虫類にあった歯をすべて捨てて、餌を丸呑みすることにした。丸呑みにした餌は胃で何とかせねばならぬ。
そこで胃に丈夫な筋肉をつけ、さらに胃の中に砂粒や小石を呑みこんで、その両者の力で餌を摺りつぶすことにした。これが
焼き鳥で賞味される「砂ぎも」である。
そしてこの重い胃は、体の重心の位置に置いて、飛ぶときも歩く時も支障のないようにした。飛ぶためには強力な翼が要る。
鳥と同じく空を飛ぶ昆虫は、肢とは関係なく、体の側面のでっぱりを翼に仕立て上げたが、鳥は思い切って前肢を翼に変えてしまった。
そしてそれを体の中心部までずらした。それを動かす筋肉も、胸にずらして強大なものにした。この筋肉が「ささみ」である。
さらに、後肢を前にずらして、翼のほとんど真下にもってきた。こうすれば、飛ぶときでも歩く時でも、体の重心はほとんど
変わらない位置にくる。
けれど、翼を羽ばたいた時、からだがぐにゃぐにゃしていたら翼の力は分散し、うまく飛べない。そこで鳥は、胸と腹を合わ
せて一つの頑丈な箱にしてしまった。だから鳥は体を曲げたり、ねじったりすることができない。それを補うため鳥は、爬虫
類の長い首をますます長くして、それで地上の餌をついばんだり、羽を整えたり、歩く時の体のバランスをとったり、何でもできるようにした。
さらに鳥は体を極度に軽くしようとした。骨にはたくさんの空洞を入れ、腸は二重に折り曲げて、小さな腹腔内にたたみこん
だ。そして可能な限り栄養価が高く消化のよい餌を摂り、糞はできるそばから捨ててしまって、余計な重さを持ち歩かないよ
うにした。
多くの鳥はかなりの高速で風を切って飛ぶ。そのとき鳥は息を吐き出さず、肺からは体の後方へ延びた気嚢のほうへ空気を
押し込んでいく。そのおかげで鳥の体はますます軽くなる。そして飛ぶ速度を緩めたり、木に止まったりした時に一気に吐き出すのだ。
・ アメリカ合衆国西部の八つの州にまたがる乾燥地では、コロラド川が重要な水源であるが、それだけでは水が足りず、
そのあたり一帯の土地の地下に広がっているオガララ帯水層に貯まっている莫大な量の地下水を汲み上げて、広大な農業地
域が作り出された。
そしてこの地域でアメリカ農業の60%にもあたる生産をあげている。トウモロコシ、小麦、大豆その他、アメリカから諸外国
に輸出される農産物の大半は、ここで作られる。ところがこの地下水もあと20年ほどすると、なくなってしまうと予測される
に至った。
そうなったらこの広大な農地は消滅せざるを得ない。そのとき日本はどこから食料を輸入したらよいのだろうか?農業用水に
使う水の汲み上げによって地下水の水位が急速に下がっていくことは、インドでも起こっている。その結果、より深くから水
を汲み上げねばならなくなり、そのための費用が莫大になりすぎて、農業から離れねばならない人が、どんどん増えている。
中国の黄河流域で起こっていることも含め、同じタイプの問題が、世界のあちこちで顕在化しつつある。
・ それぞれの種の虫には、それぞれ発育限界温度というが決まっている。たとえば、ある種ではそれは7度Cである。発育限界
温度が7度Cのこの虫は、その日の気温から7度Cを引いた温度を一日分ずつ足し合わせていく。例えば8度の日が二日続いたら、
「8-7=1」が二日。
すなわち二日度というように。寒くなるとその分だけ温度のかせぎは遅くなる。こうして温度の総計がある一定の値に達すると、
卵から孵ったり、サナギになったり、親虫になったりする。
・ 小鳥達にとっての春は、オスのさえずりに始まるといってよい。問題は何を手がかりにしてさえずり始めるのか、だ。さえず
りの始まりは、暖かくなるかどうかではなく、早く夜が明けるかどうか、つまり日の長さによって決まる。一方、多くの昆虫は暖
かさで春を数えている。
『<自然>を生きる』 福岡正信 春秋社 (1997)
1913年、愛媛県伊予市生まれ。1933年岐阜高農農学部卒。1934年横浜税関植物検査課勤務。1937年一時帰農。1939年高知県農業試験場勤務を経て、1947年帰農。以来、自然農法一筋に生きる。
自然は神。知識は不要。自然と対話する幸せ。この人には本物が感じられる。
・
あなたの一年分のお米50キロを自分で作る。それには一穂(250粒)の種を蒔くだけでよい。一平方メートルに十粒ずつ蒔くだけだから、誰でもできる。肥料、農薬、耕耘機、何も必要ない。
・
福岡さんの自然農法は、外国で高い評価を得るようになった。1988年は日本人では二人目のインドのタゴール国際大学で最高名誉賞を受けた。同年にはアジアのノーベル賞と言われるフィリピンのマグサイサイ賞を受賞。
・
種を蒔いて人間が育てるという考え方が間違いだし、さらに樹木と果樹と野菜を区別して蒔くのが農学の初めだが、それが大きな誤解だ。
・
自然農法は誰でもやれる。粘土団子の種を作って蒔きさえすればなんでもできる。
・
粘土団子にしても、ネズミ、あり、昆虫、ウシ、馬、やぎ、こういうものに食べられないようにするにはセンダンの実とかアセビなどの薬草類も入れておかなければならない。
・
一つのものを植えるのではなくて、同時に微生物も植物も薬草類もミックスしておいて、あらゆるものを同時に蒔いて、やぎが食おうがウシが食おうが、砂漠の中で何がきても平気な格好の粘土団子を作ることです。とにかくあらゆる植物、少なくとも百種類、二百種類の種を混合して粘土団子を作ることが大事。
・ 金網を使った粘土団子の作り方。
1. 粘土(種1に対して粘土5<容量比>を用意する)に少しずつ水を加え、耳たぶぐらいの軟らかさに練る。
2. 1に種を混ぜる。
3.
2を金網を使って押し出し、下に落ちた団子を2−3時間(天気・天候により異なる)乾燥させる。
4. 3をさらに団子の表面がつるつるになるまでもむ。
5. 草地に粘土団子を蒔く。
6. 蒔いた後、草を刈る。
7. 粘土団子から芽が出る。
・
粘土団子の特許番号:特許第2053201号砂漠緑化用多重層にがり粘土団子状種子の製造方法
『あぶない電磁波!』 船瀬俊介 三一書房 (1996)
携帯電話、レンジ、ドライヤー、電気カミソリ等日常生活のあらゆる所で私たちは電磁波にさらされている。いかに電磁波が体に害を与えているかを検証。
『原子炉を眠らせ、太陽を呼び覚ませ』 森永晴彦 草思社
(1997)
1922年東京生まれ。原子核物理学者。東京大学教授を経て、68年ミュンヘン工科大学教授、91年退官。仁科記念賞を受賞。原子力発電所の被害を防ぐには、放射能の測定実験を授業に取り入れたり、5人に一人の割合で放射能測定器を持たせれば、被害を最小に防げるなどと能天気な事を言っており、信用できない人間だ。
・
一つの核分裂で発生した中性子は、その大部分が数千分の一秒以内に次ぎのウラン235核に吸収されて、殆ど同時にまた次の中性子を放出する。その中性子が、同じ事を繰り返し「ネズミ算」式に中性子が増殖していく。これが瞬間的に起こるためにウラン235の塊は大爆発を起こすのである。
・
この中性子の増殖をコントロールし、連鎖反応を爆発的にではなく、徐々に行わせる制御技術が原子炉に応用されている。つまり、中性子を吸収しやすい物質(ホウ素、カドミウムなど)で作られた「制御棒」を炉内部で出し入れする事で条件をコントロールする。
・
原子炉内では、分裂生成物が燃料棒の中に徐々に溜まってきて、これが中性子を吸収してしまうため、炉の反応度が落ちてくる。そこで数ヶ月ないし数年で燃料棒を新しいものに取り替える必要がある。使用済みの燃料棒は強い放射能を持っているので、再処理して再生ウラン、分裂生成物、プルトニウムに分ける。
・
フェルミが世界最初の原子炉を作った。それは核兵器生産のためのものだった。
・ 原子炉で作られたアイソトープ(放射性同位元素)の利用で最も大切なのは医学利用(診断及び治療)であり、コバルト60のような強い放射線は物質照射に、原子炉の中性子を用いる「放射化分析」は、化学分析の手段となっている。
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核分裂で出てくる中性子を、高速のままウラン238にぶつけて連鎖反応を起こさせる原理を用いるのが「高速増殖炉」である。但し、この炉には@普通の炉なら減速用途冷却用に使える水を、炉心に導入できない(現在は冷却材として液体金属ナトリウムを使用)A中性子を外に逃がさないため、炉を十分に大きくしなければならない。
・ 核融合の燃料は、重水である。(核分裂はウラン)重水は普通の水に5000分の一ほど含まれていて、水の電気分解の副産物として生産される。しかし、多量のエネルギーを必要とする。
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核融合も有害放射能を生成しており、核分裂より比較的少ないというレベル。さらにトリチウムが生成される。そして、核融合炉の炉心の材料問題が未解決。
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水力発電は、送電中に発電した電力の数十パーセントを失う欠点あり。しかし、最近はサイリスターという素子を用いた直流高圧送電システムにより、電気は一万キロ運んで使いうるようになった。さらに超伝導技術により送電の損失を激減できる。
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水力発電では、発電機を回す水の量を加減してやれば発電量を自由にコントロールできる。原発は、いったん臨界となって定常運転に入ってしまうと、後は一定のペースで発電をし続ける。
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5000億の政府補助をしてくれれば、産業界は家庭用の太陽光発電を採算のとれるものにできる。
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現在、日本の電力需要の約三分の一は家庭用。だから家庭用電力を太陽光発電でまかなうようにしてしまえば、原発は必要なくなる。
『体内崩壊』 西丸震哉 法研 (2000)
加速する『41歳寿命説』という副題。食品添加物、PCB、ダイオキシン等の環境問題を広く浅く紹介し、今後41歳が寿命となってくると結論。
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1959年の時点で20歳だった集団は、そこに41を加えて61歳が、10歳だった集団は、同様に51歳が、平均寿命となってくるだろう。
・ AF-2は、1965年に食品衛生法に基いて認可され、禁止までの九年間、販売された。防腐効果が大変高く、本来は保冷してもさほど日保ちしないような加工食品の常温販売に貢献した。主に魚肉ソーセージや餡製品、豆腐などに使用された。1970年代に発ガン性があることが確認され、1974年に全面的に使用禁止となったが、その時点で、すでに日本人一人あたり約1グラムのAF-2が、体内に取り込まれた計算。現在、30歳以上の人の殆どが該当する。
・ AF-2は、慢性毒性タイプであるため、直接的な害としては、なかなかあらわれない。人体への影響が表面化するのは、早くても10年以上みなければならない。
・
当時の国の対応は、毒性が判明してからも使用禁止には踏みきらず、結局一年間の猶予期間を必要とした。業界保護がその理由であったが、その間に国民に撒き散らされることになる毒物についての配慮は、全くなかったといってよい。
・ DDTやBHC(ヘキサクロロベンザン)は、大量に用いられた殺虫剤である。開発当時は人畜無害の究極の殺虫剤と信じられていたけれども、戦後大量に使用された後で、環境汚染や慢性毒性が問題視され、現在では姿を消した農薬である。しかし、生物を殺傷する薬剤が、同じ生き物である人間に、どうして無害であると考えることができたのか。今となっては、そちらの方が不思議である。
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DDTやBHCは1971年に販売が禁止されたものの、毒性の残留期間が長いため、使われなくなってから10年以上たっても土壌中や作物から検出される結果になった。また、近頃問題になっているのは、これらの有害物質がどこでどのような形で処分されたかが、全くつかめていないという点だ。自治体の中には、管理台帳すら残っていないところが多い。
・ 農薬の次に問題になったのが、PCB(ポリ塩化ビフェニール)をはじめとする工業用製品である。PCBは、化学的に安定した物質で絶縁性が高いため、熱媒体や塗料、接着剤、絶縁油、可塑剤など、幅広く利用された。しかし、化学的に安定しているという特性は、いいかえれば、分解されにくいということだ。安易に排気された工業製品から染み出したPCBは、分解されないまま、土壌や水を汚染し、そこに棲む生物の体内に入りこむ。食物連鎖により最終的に人間の体に入ることになる。PCBの製造・使用が禁止されたのは1972年。しかし、1987年に地中海で大量死したイルカの体脂肪から、高濃度のPCBが検出されている。
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農薬に使用されていたのがダイオキシン。ベトナム戦争時使用された枯葉剤と同じ物質だ。1983年には、ゴミ焼却にともないダイオキシンが発生することが確認された。1996年には、環境庁が1日あたりの摂取許容量を設定。その量は、体重1キログラムあたり、5ピコ(pg=1兆分の1グラム)グラム。
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ダイオキシン1グラムで人間一万人を殺すことができる。
・ 1999年の学会で、東京大学付属病院が発表したデータによると、子宮内膜症患者の皮下脂肪に含まれるダイオキシン濃度は、そうでない人に比べて40%高かった。