<教育改革アンケ>教委への国勧告に8割反対 統一選候補
政府が最優先課題とする教育改革に関し、毎日新聞は24日までに、第16回統一地方選に立候補を予定している元教員や教育委員会在籍経験者ら教育現場に詳しい「教育畑」候補を対象にしたアンケートを実施した。焦点となっている国が教委に対して勧告や是正要求をする制度の復活について81%が反対し、国と地方の対立構造を浮き彫りにした。政府は近く是正要求権などを盛り込んだ法案を国会提出する見通しだが、選挙戦を通じ有権者に「地方の反論」が広がる可能性もある。
毎日新聞の全国の本社支局が2月末時点でまとめた立候補予定者の中から477人に8〜10日、アンケート用紙を郵送。有効回答は247人(回答率51.8%)だった。
国による是正要求制度は地方分権の流れを受け99年の法改正で廃止。だが、昨秋の未履修問題やいじめ自殺問題に教委が有効に対応出来ていないとして復活を求める声があり、中央教育審議会は10日、賛否両論併記の異例の答申をした。今回のアンケートでは、この制度に200人(81%)が反対、賛成は41人(17%)にとどまった。さらに、1月に政府の教育再生会議が検討を求めた教育長任命時に国が承認する制度の復活に関しては賛成は12人(5%)で、反対が231人(94%)と、党派によらず圧倒的な拒否姿勢を見せた。
一方、形がい化批判が高まっている教委制度そのものに関し、77%が「改革を進める」とし、「廃止も視野に」の回答も5%あった。教委の外部評価制度導入は、賛成が63%と多数を占めたが、「人選困難で教委の中立性を奪う」などとする反対意見も28%あった。
また、小中教員の人事権の都道府県から市町村への移譲に関しては、中核市や希望する自治体に限って移譲する意見が49%、全自治体への移譲が17%、「過疎地が教員不足になる」として移譲そのものに反対する意見が24%と判断が割れた。
回答者の内訳は、立候補する選挙別では、知事選2人(立候補済み)▽市区町長選12人▽府県議選101人▽市区町村議選132人。党派別は公認と推薦・支持すべて合わせ、自民33人、民主36人、公明16人、共産40人、社民17人、諸派13人、無所属92人、不明2人(複数推薦・支持あり)だった。【佐藤敬一、長野宏美】
毎日新聞 2007年3月24日 20:39
補習、放課後・休暇時も 京都市教委 新年度から 再生会議報告先取り
京都市教委は新年度から、すべての市立小中学校に、国が定める標準授業時数の1割にあたる補習時間を確保するよう求める。基礎学力の強化を目指し、政府の教育再生会議が第一次報告で掲げた「授業時数の1割増」を先取りする形だ。小学校高学年で95時間、中学校は98時間程度の補習を夏休み期間などに実施する。
■小学高学年95時間 中学98時間
23日に発表した2007年度の「学校教育の重点」で、学校が取り組む重点項目に挙げた。
市教委は、すでに夏・冬休みを短縮して年間授業日数を全国最多の205日以上に拡大している。学校週5日制の枠組みでは「授業日数を拡大するには限界がある」として、授業前の時間や放課後、夏・冬休み中に補習時間を新たに設け、児童、生徒の学力アップを目指す。
学習指導要領で定められている各学年ごとの年間標準授業時数の1割程度、具体的には小学1年で78時間、2年84時間、3年91時間、4−6年95時間、中学生98時間の補習時間を確保する。補習時間は授業の補充だけでなく、指導要領を超える発展的な学習にも充てるなど、各校で使い方を決めてもらう意向だ。
学力の底上げにとどまらず、学校間競争を激化させる可能性もあるが、学校指導課は「すでに多くの学校が補習を取り入れている。各校の弱点や改善策を明記する『学力向上プラン』にも盛り込み、学校の責任を明確にした上で、保護者にも家庭学習の習慣づくりなどで協力を求めていきたい」としている。
「学校教育の重点」は15万部作製し、4月中旬に教職員と児童生徒の保護者に配布する。
京都新聞 2007年3月23日 23:49
全国学力テスト:不参加の犬山市 市長「残念」、教育長「教委の独立性…」 /愛知
◇市長「極めて残念」/教育長「教委の独立性再認識を」
22日開かれた犬山市教委(丹羽俊夫委員長)の臨時委員会は、全国学力テスト(4月24日実施)に参加しないことを最終的に決定した。全国の自治体で唯一の不参加。委員会では、参加を求める田中志典市長と、反対する瀬見井久教育長の激しいやり取りもあった。終了後「後は淡々とテストの実施日を迎えるだけ」と話す瀬見井教育長に対し、田中市長は「今日の委員会にわずかなのぞみをかけていた」と無念の表情を見せた。【山田一晶、花井武人】
午前9時から始まった委員会では冒頭、田中志典市長がオブザーバーとして発言を求めた。昨年12月に初当選した田中市長は選挙戦で、学力テストへの参加を求める主張をしていた。
「市民の意見を聞いた上で、参加不参加の態度を決めるべきだったのでは」「保護者への説明会も、不参加を前提として学力テストの内容を紹介した。中身が正しく保護者に伝わっていないのでは」。言葉を選びながらも、翻意を求める田中市長。
言葉を継いで「市長として正義感を持って発言したい。教育長も公務員なのに、勤務実態が良くない」と切り出した。露骨な瀬見井教育長批判だ。「教育長は出勤しても、黙って帰ってしまう」「学校教育には口を出すが、生涯学習をやらないのはいかがなものか」「会合に出席しなかったり、市の大事な行事に出てこない」――。田中市長の発言が終わった後も、向かい合う席で、瀬見井教育長は黙ったままだった。
しかし、続いての4人の教育委員の発言は、学力テスト不要論ばかり。最後に発言した瀬見井教育長は「(市長選の)公約に入れたからどうだとか、本来教育がどうあるべきかを考える時期に、政治が教育に手を突っ込んでくるのはよろしくない。教委の独立性を再認識していただきたい」。抑えた口調だったが、明らかに田中市長への批判。採決の結果、委員の全員一致で不参加が確認された。
閉会後、田中市長は会見し「市教委の決定は尊重すべきだと認識しているが、極めて残念な結果だ」とぶぜんとした表情。さらに、市教委の議論も「学力テストの良い点を指摘した委員は一人もいない。委員の意見は不参加を前提としたものにすぎない」と批判した。
田中市長は、今後の対応は「これから考えたい」と述べるにとどまった。
一方の瀬見井教育長は、田中市長の教育長批判について「教委での議論にふさわしくない政治的な話だ」と述べた。
毎日新聞 2007年3月23日
国の審議会の委員が中心になり、長野県上田市で、「三点セット」−教員評価制度、学校選択制度、教育バウチャー制度−の導入が画策されています!
現在、上田市に市長の肝いりで「21世紀の教育を考える有識者会議」なる審議会が立ち上がり、上田の教育改革を具体化する提言をまとめています。実はこの会議のメンバーの中心に、規制改革・民間開放推進会議の教育改革WGを担っていた戸田忠雄氏(教育アナリスト)と福井秀夫氏(政策研究大学院大学教授)が招かれて、実質的に会議を牛耳っています(戸田が会長。)。そして、「学校選択+教育バウチャー+学校・教員評価」の三点セットをかなり乱暴に上田市に導入しようとしています。
審議会の中には上田市の元教育長やPTA関係者など、かなり見識のあるメンバーも入っているのですが、福井秀夫氏などは会議の場でこれらの人々を露骨に恫喝して「先の三点セットは政府の既定方針なのだから、それに逆らうならそれなりの覚悟があるのだろうな」という趣旨の発言を繰り返しています。しかも「イギリスなどの国ではこのやり方でうまくいっているのだから上田も見習え」などという発言を繰り返しているようなのです。(会議の様子はここから見ることができます。第二回の議事録はもうすぐアップされると思います)。
そして3回目の話し合いで中間報告をまとめ、1年後には「三点セット」を具体化して提言し、市長に条例として提案させようとしているようです。
彼らの意図を直接聞いたわけではないのですが、「市長を抱きこんで上田市を地方都市における新自由主義教育改革のモデルにしようとしている」と感じられます。事実、戸田氏のホームページを見ると(21世紀教育制度研究会−「学習者主権の確立を求めて」−)、「教員評価制度、学校選択制度、教育バウチャー制度」の「三点セットの実現…を目指して、同志の力を結集して目的邁進に努力する。」とあり、「上田市での実現を起爆剤として、全国に広がるような『上田モデル』を作る意気込み」が表明されています。上田市を皮切りに、未だ地方では「十分でない」学校選択制の広がりをつくりたいのでしょう。
これが福井氏や戸田氏らの少人数のオリジナルの動きなのか、政府まで含めた大掛かりな動きなのか分かりません。再生会議や中教審に対して規制改革会議の発言力を強めるための動きなのかなとも思います。
2回の会議を聞いた教育関係者、保護者、市民から、会議の進め方の強引さと、上田市の教育事情など一切議論しようとしない福井氏らの姿勢の異常さに、批判の声が上がり始めています。
K.K(上田市住民)
教委の私学指導に反対=都が文科省などに文書
東京都は27日、教育委員会制度改革の一環で教育委員会が私立学校に指導助言できるよう地方教育行政法の改正論議が中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)で行われていることを受け、「私立学校の自主性を損なう恐れがある」などと反対する要請文をまとめ、文部科学省などに送った。
要請文は塩崎恭久官房長官、野依良治教育再生会議座長、伊吹文明文科相、山崎正和中教審会長にあてたもので、同日、都の渡辺日佐夫生活文化局長らが文科省などを訪れ担当者に渡した。
要請文では、「私立学校は、個性的で特色ある教育を実践し高い評価を得てきたが、これはひとえにその自主性が尊重されてきたことによるものだ」と主張。「今回の教育委員会の見直しは、本来公立学校の教育改革を目的としているもので、私立学校に対する指導権限の付与は本来の目的とは全く関連ない」と指摘した。
その上で「公立学校の設置者である教育委員会の指導の下に私立学校を置くことは、私立学校の自主性・自立性を損なう恐れがあり、教育に対する多様なニーズに対応することを困難にするものだ」と訴えている。(了)
時事通信 2007年2月27日
<教委制度改革>市町村連合会などが「危惧」の意見書
都道府県教育委員会への是正勧告権や教育長の任命権導入などを検討している国の教委制度改革について、全国市町村教育委員会連合会など4団体は23日、「市町村教育行政への国の必要以上の介入につながりかねないと危惧している」などとする意見書をまとめ、政府の教育再生会議や文部科学省に提出した。
毎日新聞 2月23日 20:34
大阪・枚方市、学校別テスト成績公開
大阪府枚方市は20日、全市立小中学生を対象として市独自に毎年行っている学力診断テストの学校別成績を公開することを決めた。
「学校がランク付けされる」として公開していなかったが、非公開決定の取り消しを求められた訴訟で1、2審とも敗訴。同市は「勝訴の見込みがない」と上告を断念し、判決が確定したためだ。
「非公開」敗訴確定受け
国や自治体の多くは、同市と同じ理由で学校別の成績を明らかにしておらず、この確定判決をきっかけに、学校別の成績公開を巡り論議を呼びそうだ。
同市内の行政書士(37)が「学校間で極端な学力の差が生じていないか検討する」として2003、04両年度の中学校別成績の公開を請求したが、いずれも非公開とされ、05年11月に大阪地裁に提訴した。
昨年8月の1審判決は「テストは、学習の到達度を児童・生徒や保護者に明らかにし、目標を示して意欲を引き出すことが目的で、その趣旨が市民に正しく理解されれば、学校が序列化されることはない」と判断し、公開を命じた。今年1月の大阪高裁判決も1審判決を支持し、同市の控訴を棄却した。
同市によると、05年までに学力テストを実施した44都道府県のうち、学校別成績を公表したのは和歌山県だけ。残りの自治体は全体の平均点や市町村ごとの平均点しか公表していない。
枚方市教委の渡辺聡・教育指導課長は「成績だけが独り歩きしないよう、市教委のホームページや学校などで、テストの趣旨を周知したい」と述べた。
一方、4月に全国の小6と中3を対象に共通テストを行う文部科学省は「判決は一自治体についてのもので国と同列に論じられない。学校別成績を公開するつもりはない」としている。
讀賣新聞 2007年2月21日
小中生対象学力テスト、枚方市が学校別成績公開へ
大阪府枚方市は20日、全市立小中学生を対象に毎年行う学力診断テストの学校別成績を公開することを決めた。従来、「学校がランク付けされる」として公開していなかったが、非公開決定の取り消しを求める訴訟を起こされ1、2審で敗訴。「勝訴の見込みがない」と上告を断念していた。国や自治体の多くは、同市と同じ理由で学校別成績を明らかにしていないが、この確定判決をきっかけに、公開する自治体が増える可能性もあり、成績公開を巡って論議を呼びそうだ。
枚方市内の行政書士(37)が「学校間で極端な学力の差が生じてないか検討する」として2003、04両年度の中学校別成績の公開を請求したが、いずれも非公開とされ、05年11月に大阪地裁に提訴した。
訴訟では、学校別成績の公開が、学校の序列化につながり、児童・生徒の学習意欲の低下を招くかどうかが争点。昨年8月の1審判決は「テストは、学習の到達度を児童・生徒や保護者に明らかにし、目標を示して意欲を引き出すことが目的で、その趣旨が市民に正しく理解されれば、学校が序列化されることはない」と判断し、公開を命じた。今年1月の大阪高裁判決は1審判決を支持し、枚方市の控訴を棄却した。
同市によると、05年までに学力テストを実施した44都道府県のうち、学校別成績を公表したのは和歌山県だけ。残りの自治体は全体の平均点や市町村ごとの平均点しか公表していない。
判決確定を受け、同市は今後、学校別成績を学校関係者に配布するほか、市民の請求があれば公開する方針。市教委の渡辺聡・教育指導課長は「複雑な思いだが、成績だけが独り歩きしないよう、市教委のホームページや学校などで、テストの趣旨を周知したい」。
大阪府教委小中学校課は「今後のテストに影響が及ぶ可能性があるが、やはり学校名の公表は序列化につながると思う。今後の国の判断に注目したい」という。4月に全国の小6と中3を対象に共通テストを行う文部科学省は「判決は一自治体についてのもので国と同列に論じられない。学校別成績を公開するつもりはない」としている。
讀賣新聞 2007年2月21日
<いじめ転校>市区教育委の56%「拒否も」 規制会議発表
政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は16日、全国の市区教育委員会を対象に行った「学校選択制等の実施状況に関するアンケート」の結果を発表した。いじめなどを理由に在学中の児童生徒の保護者から小中学校を転校したいとの申し立てがあった場合、過半数の教委が「拒否する場合がありうる」と回答した。改革会議はいじめ問題への対応が不十分として、これらの教委を公表した。
調査は内閣府が昨年10〜11月、全国の802市区教委を対象に実施し721市区から回答を得た(回収率89.9%)。
それによると、いじめなどを理由に途中転校の申し立てがあった場合に「拒否する場合がありうる」と回答した市区教委は403市区に上り、全体の56%を占めた。「拒否はありえない」は241市区(33%)。
拒否がありうる理由としては「いじめは指導により100%解決すべきものだ」(埼玉県加須市)▽「個々具体の状況を考慮する必要があるので、一律の変更許可は困難」(堺市)▽「客観的に見ていじめと判断できない場合が想定される」(大阪府岸和田市)
▽「事実を確認しなければならないので、申し立てがあっても、すべて承認はできない」(福岡県筑紫野市)――などが挙げられていた。
学校教育法施行令は、いじめへの対応▽通学の利便性▽部活動――など相当の理由がある場合、市区町村教委は保護者の申し立てにより、入学先の小中学校を変更できると定めている。
学校教育法施行規則ではまた、保護者が就学校変更の申し立てをする際の要件や手続きを市区町村教委が定め、公表するとしているが、手続きについて「公表する予定はない」と回答した教委が107市区(15%)あった。「公表はこれからだが、時期は未定」も308市区(43%)に上り、「すでに公表した」は228市区(32%)にとどまった。
調査に関し、草刈議長は「文部科学省の通達がきちんとできていないということだ。こういうものを放っておくから、いじめの解決の機会を失する」と指摘していた。規制改革会議は、教育再生会議による「国の関与」を強化する教委改革も「地方分権に逆行しかねない」と指摘し、対立している。
今回の調査結果と市区教委名は改革会議のホームページで閲覧できる。【小林多美子】
毎日新聞 2007年2月16日 21:28
不参加は愛知・犬山市だけ 全国学力テスト
全国の小学6年生、中学3年生を対象に、文部科学省が43年ぶりに実施する全国学力テストに、愛知県犬山市教育委員会以外のすべての教育委員会が参加を表明したことが16日、分かった。
同省が4月24日の実施を前に、都道府県教委、区市町村教委などの意向を調査した。犬山市を除く1908教委が参加を表明。公立学校は、小中学校など合わせて3万2105校が参加し、参加率は99・96%となる。国立学校160校はすべて参加。私立学校は小中学校などの総数の61・88%にあたる539校が参加する。テストは、国語、算数・数学の2教科。
犬山市教委は愛知県教委に対し「全国学力テストは犬山の教育理念に合わないことから実施すべきものでないと考える」と回答していた。瀬見井久・同市教育長は16日午前、「従来の路線を粛々と進める」と話した。
中日新聞 2007年2月16日
教育再生会議:県教育長が苦言「現場の意見聞いてない」 /神奈川
政府の教育再生会議の第1次報告について、県教育委員会の引地孝一教育長は13日、定例記者会見で「報告は法律改正まで視野に入れながら拙速な議論を進め、大きな影響を受ける教育現場の意見をまったく聞いていない」と苦言を呈した。
全国都道府県教育長協議会と全国都道府県教育委員長協議会が同日、同会議に提言や批判の意見を表明したことに関連して発言した。
引地教育長は特に、社会での専門的な知識や経験がある人を例外的に採用する「特別免許制度」での採用を「全体の2割確保する」とした再生会議の提案について「『とにかく今の公教育は駄目』だとして、なぜ2割を特別免許で採用するのか根拠が分かりにくい」と批判した。
全国で年間約2万人の教員採用があると試算して、4000人が教員資格がないまま採用されることになるという。引地教育長は「免許制を前提に更新制度導入を訴える再生会議が、教育資格のない人を2割も入れるのは納得できる話ではない」と指摘した。
さらに、「公教育を非難するだけでなく現場で頑張っている先生を支援するような議論をしてほしい」と訴えた。【稲田佳代】
毎日新聞 2007年2月14日
「出席停止も指導の一つ」 いじめ問題で滋賀・斎藤教育長
「出席停止はやむを得ない」と語る滋賀県の斎藤教育長(大津市・滋賀県庁)
滋賀県の斎藤俊信教育長は24日の定例記者会見で、いじめた児童や生徒について「出席停止も指導の一つ」と述べ、状況によっては出席停止措置を取る必要があるとの考えを初めて示した。
斎藤教育長は、画一的な行使を否定した上で「状況をしっかり踏まえ、必要と判断すれば出席停止はやむを得ない」と指摘した。併せて「(出席停止期間に)授業についていけないような事態を避けるため、個別対応もしなければならない」と付け加えた。
いじめた子どもへの出席停止活用は、政府の教育再生会議の第1次報告案に盛り込まれており、安倍首相も積極的な活用を求めている。
京都新聞 2007年1月24日
「公教育の再生目指す」 県教委、改正教基法で通知
県教育委員会(仲宗根用英教育長)は11日、県庁で開いた「2006年度第3回県立学校校長研修会」で、昨年12月に成立した改正教育基本法の施行の教職員らへの周知を求める通知を県立高校や盲、ろう、養護学校の校長ら77人に配布した。文科省からの通知に基づくもので、小中学校にも市町村教委を通じて配布する。
県教委からの通知は、結城章夫・文部科学事務次官が全国の都道府県教委など関係団体へ送付した通知を受けて配布された。今後、県内の各市町村教委や関係する教育機関などにも配布する。
新旧教育基本法の比較表や解説、関係法令の変更部分、成立を受けての首相と文科相のコメントも添付された。
仲宗根用英教育長は「教育基本法の改正、施行を受け、教育に関連する32の法律が改められることになると思う。(改正教基法は)公教育の再生を目指している。法令に基づいて、見直すべきところは見直していかねばならない」と強調。「(改正教基法に条文化された)家庭教育や生涯教育を重視していきたい」と語った。
政府の教育再生会議でいじめや必修科目の未履修の問題などを議論していることについて「子どもの心の自立、規範意識を身につけさせていくことが求められる」と指摘。「これから、教員の資質向上を目指した教員免許更新制、全国学力テストなども実施される。教育は、国民全体で展開していかねばらない」などと述べた。
琉球新報 2007年1月12日
県教育長:いじめ解決など課題に 学力向上にも言及―年頭会見 /福岡
県教委の森山良一教育長は、10日の年頭の記者会見で「今年は、後世『大きな節目だった』といわれるほど極めて重要な年になる」と話し、いじめの解決や学力向上などを今年の課題に挙げた。
森山教育長は、昨年10月に筑前町で起きた中2男子のいじめ自殺に触れ「どの学校、どの子供にも起こり得るという危機意識が大事。学校と地域が連携し、相談ポストの設置など、不登校問題を含めた子供の悩みに応えるシステムづくりに取り組みたい」と語った。
また「学力向上も重要な課題」とし、国が今年4月に実施する学力テストについて「ランク付けにつながるという声もあるが、トータルの学校教育の成果を見て、その後の改善に生かすもの。国が行わない社会、理科、英語の実施も検討している」と話した。【加藤学】
毎日新聞福岡都市圏版 2007年1月11日
首都圏19教委、公開義務守らず 本紙調査
首都圏一都六県の三百三十九区市町村教育委員会の5・6%に当たる十九の市町村教委が、法律で義務化された教育委員会の会議公開をしていないことが五日、本紙の調査で分かった。また、過半数の百七十二区市町村教委が、事前にホームページ(HP)や広報紙などで開催日程を住民に知らせていなかった。いじめや履修漏れ問題などへの対応で批判を浴び、政府の教育再生会議などでも改革が必要とされている教育委員会制度。その中身以前に、透明度に課題があることが浮き彫りとなった。
教育委員会の原則公開は、首相の私的諮問機関・教育改革国民会議が「組織刷新」を目的に、二〇〇〇年の提言に盛り込み、人事案件など委員の三分の二以上が非公開とすることを議決したとき以外は公開とするよう、地方教育行政法が〇一年に改正された。
調査結果によると、非公開との回答は茨城県がかすみがうら、高萩、小美玉の三市と茨城、城里、五霞の三町、群馬県が長野原、神流、みなかみの三町と高山、川場の二村、栃木県が都賀(教科書採択時のみ公開)、高根沢の二町、東京都大島町と神津島村、埼玉県長瀞町と東秩父村、神奈川県山北町と千葉県多古町。
制度上は公開だが「実例はない」(茨城県石岡市)などと回答する自治体もあり、公開制度が十分に浸透していない状況が明らかになった。
非公開の理由は「特にない。住民から公開要求もない」(高萩市)「小さい町なので」(神流町)などと説明。非公開は「違法」だが、文部科学省は「各教育長が法改正を知らないとは考えにくい。自治体の事情を聴いてみなければ何とも言えない」としている。
会議の日程を広報紙などで事前に住民に知らせているのは49・3%の百六十七区市町村教委。さいたま市、東京都豊島区など百七十二区市町村教委は役所庁舎前などの掲示板だけの周知だった。会議録は19・5%の一都六県の六十六教委が非公開と回答。
公開している教委も情報公開請求の手続きが必要な例が多く、HPで議事録が確認できたのは、15・6%の一都六県の五十三教委。
調査は先月上旬、各教育長に質問用紙を郵送、77・0%の二百六十一教委が回答。回答しなかった七十八教委からは電話で聞き取り調査をした。
東京新聞 2007年1月6日