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2008/06/12

プロになると儲からない

マンガ原稿料はなぜ安いのか?―竹熊漫談 マンガ原稿料はなぜ安いのか?―竹熊漫談
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2004-02

マンガ家・雷句誠氏が6日に小学館を提訴という話があるわけだ。なんでも「小学館に原稿を紛失されて損害賠償」請求というんだが、そこで紛失した原稿の評価額で揉めているんだそうで、ネット騒然というんだけど、おいらこの漫画家、知りません。ビッグコミックしか読まないからね。とにかく漫画雑誌が多すぎて読み切れないわけだ。儲かるとなれば版元はドカドカ出すので、漫画家にとってはいい時代なんだろうが、読者が追いかけきれない。で、案の定、漫画雑誌は売上げがこのところ酷く落ちているらしい。そんな中で、




「版元と作家の信頼関係」が、現在、音を立てて崩れ去ろうとしているのだと、俺は思います。雷句氏の裁判は、そのひとつの現れではないかと俺には見えます。昔であれば、出版社側の誠意ある対応によって収拾がついていた問題が、それだけではどうにもならなくなってきているのです。

特にマンガ出版は、多少の停滞期は何度かあったものの、基本的には戦後右肩上がりに成長を続けてきた産業であります。80年代からバブル期にかけては、日本の出版総売上げの3割を占めるまでになり、出版産業は事実上、マンガによって利益が支えられる構造になっています。ところがバブル経済の崩壊で、90年代後半は目に見えて本や雑誌が売れなくなってきました。

インターネットの普及も、出版の凋落に拍車をかけているような気がするわけだ。なんせ、出版というのは「情報を提供する」ために行われる事業であって、それ以上でもそれ以下でもない。で、情報だったらインターネットは「無料で」「無制限に」「その場で」手軽に垂れ流してくれる。しかもTVみたいにお仕着せではなく、自分の好みのモノだけを取捨選択して受け入れる事ができるわけだ。同じ土俵で喧嘩したら、紙媒体がネットに勝てるわけがない。で、

俺から見ても、今年に入ってからのマンガ出版の崩壊ぶりには、目を覆うほどのものがあります。俺は、マンガ雑誌の数が今の半分になり、定価が今の倍になるまでこの状態は続くのではないかと思っています。

今すぐにも、なにがしかの構造改革を行わなくては、マンガ界はおろか、出版界そのものも崩壊するのではないかと俺は思います。

漫画界を中心に生きてきた竹熊健太郎氏ゆえ、今回の「事件」に業界の凋落の兆しを感じ取って危機感をつのらせているようなんだが、そんな中で、従来だったら沈黙して語らなかった作者たちが声をあげはじめている、と指摘しているわけだ。

原稿紛失というと、竹熊氏も触れているんだが、「ふゅーじょんぷろだくと」が訴えられた事件なんていうのが昔、あったわけだ。あすこは自分では作家に原稿を返却しないくせに、印刷屋が原稿をなくすと「弁償しろ、弁償しろ」と大騒ぎしていたな。まぁ、実は、業界では原稿紛失なんていうのは日常茶飯事であって、珍しくも何ともない。つうか、昭和40年代まではファンレター送ると「原画」プレゼントしてくれたりしていたほどで、しょせん「版下」なので、大事なモノだという意識が希薄だった。作家は思い入れが強いけど、編集者にとってはビジネスでしかないし、印刷屋にしてみりゃ「版下」でしかない。そこら辺の意識の落差というのもあるんだが、

 あと、クリエイターってのはキチガイが多いから。一般論として。キチガイだから一人で構想立ててモノを書いたりこしらえたりできる。漫画描きたいといって大学の推薦蹴って代アニ逝った奴とか、舞台の製作のたびにヒモになるため女を作る奴とかの集まり。彼らに社会の常識なんか存在しないわけよ。で、現実にブチ当たって、キレることは山ほどある。


 でもそういう世間知らずの本物のキチガイでないと作れないクオリティの高い作品はたくさんある。編集者はそのバッファとなって、つつがなく紙に刷るために努力しなければならないのだから、やはり一定の割合でキチガイが混ざったり、逆にキチガイを許容できない人間が不幸にして役割を担わされたりするんだろう。

切込隊長さんです。言いにくい事をズバリ言ってくれますねw キチガイの気持ちが判るというのは大事です、はい。

今は、むかしと違ってネットもあればコミケットもあるわけだ。商業主義に尻尾を振らなくても、コミケットだけで本を売って、ネットでブログでも垂れ流していれば、キチガイの自尊心も財布もマンゾクさせられるわけで、「儲からないからプロにはならない」というヤツもたくさんいる。天下の小学館だろうが、講談社だろうが、平気で喧嘩できる時代になったわけだ。で、音楽の世界で「インディーズ」という形態が当たり前になったように、出版界も変わらなきゃならないんだが、いまだにその構造は変わらないまま。いまだに「少年」ナントカと称してオトナに雑誌を売るという構造自体に問題があると思うんだが、何分にも出版業界というのは旧態依然たるままで資本も公開してないので、なかなか変わるのは難しいです。

コメント

マンガはラーメン屋か蕎麦屋ぐらいでしか読みませんが、余り面白くないです。
今はネットや文庫、新書が主な読み物です。
でも、子供の頃に熱中した「少年チャンピオン」が懐かしいです。
マカロニほうれん荘、ドカベン、ガキデカ等々、超豪華ラインナップでした w
そのうち、コミックを大人買いで揃えようか計画中です w
あ、エントリの件は痛ニューで知りましたが、漫画編集者の責任感には唖然としますねぇ。

「少年サンデー」よりも昔、「冒険王」なんてのがあった。
ゼロ戦レッドなつかすぃ~

漫画家に世間知らずのガキが多いのは事実。
同じようにマンガに限らず雑誌…ってか編集者にクズが多いのもまた事実。
その辺りは野次馬さんも実感してるでしょう。

紙媒体は無くならないと思うけど流通の形態はどんどん変わっていくでしょうね。
その辺りちょっと考えてみるのも面白いかも。

漫画だけでなく、小説も原稿料低いですよ。
コミック世界以上に悲惨なようです。

とりあえず吾妻ひでおにSF漫画を書かせた編集さんには感謝してます

後輩がインディーズで音楽やってます、メジャーのお誘いがあったけど、
制約が多い上搾取されまくりなんで、インディーズの道を選んでました。
「売れる」と「目立つ」は別ってわけですね、異常にヒットするならともかく
儲けるならプロ(メジャー)はやめとけってのは常識らしいです。
音楽業界での話ですが。

少年誌というものが
もう長いこと少年メインではない。
しばらく前だけど、週刊少年マガジンでは、
賭けマージャンの「哲」やってたしね。
わりと面白かったよ。絵柄も独特で。
これは阿佐田哲也の「麻雀放浪記」が原作。
高校生が株のデイトレやる「マネーIQ」ってマンガもあったな。
これちょっと注目してたのだけど、
内容がイマイチなせいか、長続きせず終了。
同じ作者が今、高校生が自衛隊に徴兵されるマンガやってる。
「スタンドバイミー」、詰まらないのでもうすぐ終了かと。
どちらもアイデアの視点は面白いんだけどね。

「ド根性ガエル」や「荒野の少年イサム」、
昔はという言い方好きじゃないけど、
子供向けの子供のためのマンガ誌だった。

いまはもう「少年」誌ではないでしょ。
ここらで意識改革して、
「中年ジャンプ」、「中年マガジン」、
「中年サンデー」etc、誌名も割り切るべし。

チャンピオンは普通の萌え漫画を載せてほしい… 他の漫画誌はオサレ系の臭いがしてちょっとダメです。aliveとかREXとかも頑張って!

出版装置ってやっぱすげーんですよね

大手出版社に頼らずに
世間に広まるようなヒット作品が
多く出る世の中になってほしいです

子供の頃、鴨川つばめ氏にファンレターを送ったら自筆の年賀状をくれた。見つけるなり親に「頼むから二度と漫画家に手紙を書かないでくれ」としつこく言われたので以後やっていないが、鴨川氏の葉書は今でも大事に持っている。

最近は(漫画雑誌に限らず)編集者も派遣が多くて、クオリティーも責任感もかなり劣化しているという話。

光文社の古典新訳文庫の「赤と黒」が物議を醸している件もそういうことが絡んでいるのかもしれない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080608-00000914-san-soci

このニュースみて思ったんだけど、この作家ってのは小学館っていうか
担当者にキレてたんじゃあるまいか?出版社の編集ってホントに
どうしようもないのが多くて俺も一度頭きて原稿ひったくってそのまんま
違う出版社で本にしたことがあったからな。

編集者との関係がよかったらここまでこじれてなかったと思われ。

チャンピオンは今でも面白いです。
勿論、マカロニほうれん荘やってた時代は黄金期でしたが、今も十分黄金期です。
ビッケ!

>吾妻ひでおにSF漫画を書かせた編集さん

そら、おいらだ。
売れない「少年マンガ家」で、あとは「ふたりと五人」とかいうのを描いていた吾妻センセに
「新雑誌を創刊するのでSFのパロディ漫画家描いてください」と話をしに行った。それが「どーでもいんなーすぺーす」。コレがマニアに受けて、以後、SF漫画家になってしまう。
そこに今度は「ロリータ物を描いてください」と話を持っていって、ついには「シベール」で同人誌まで作らせてしまう事になるわけだ。

世間知らずの素人から見たら、『プロ作家』とはステイタスなのだ。
偉いのだ。先生なのだ。
だから、同人誌から入って、プロになって数冊単行本を出す。
そのまま業界で君臨するのかと思ったら、
同人誌界に戻ってきて、同人作家としてがんばりだす。
ある程度『プロ』として名前が売れれば、こっちの方が利ざやがよいのだろう。

だいたい、『締め切りのある仕事』ほどストレスの溜まるものは無い。
寿命を縮めてしまう。

同人誌界でがんばるプロ作家の作品の、あとがきを読むと
出版界の理想と現実のギャップが書かれている。

どこの世界でも同じだが、『良き編集者』と出会えなければ辛いものだ。
だいたい『良き出会い』など無いと思ったほうがよい。
ひよっ子だが、才能のある自分を、やさしく磨いてくれる師など居ないのだ。
もし、ジェダイの才能があって、強い理力を持っていても、
多くの人間は、雑魚の戦闘員で生涯を終えるものだ。

「千里の馬は常にあれども、伯楽は常にはあらず」

もし、他人に抜きん出て、重く用いられようと思ったら、
やはり自己の努力で切り開くしかない。
他人が悪いわけでも、社会が悪いわけでも、運が悪いわけでもない。

もし、マンガの世界で、立身出世身を目指すのなら、日本にこだわってはいけない。
海外では、マンガのニーズがあるのに、描き手の居ない国が多い。
漫画家の地位は高いのに、描き手の居ない国もある。
日本では斜陽産業であるが、まだまだ海外のニーズは高いのだ。

自らの運を切り開くのなら、海外にチャンスを求めると言う道がある。

>そら、おいらだ。
すげー!
野次馬さんイイシゴトしてますねー。感謝。
最近でた「日記」も面白かったですが、吾妻さんは昔の方がイイシゴトしてたような気がします。
あとSFといえば今年はビッグスリーの最後のヒトや野田宇宙軍大元帥とかが亡くなって、一寸時代の移りを感じました。
広川節ももう聴けないしなぁ。

>>吾妻ひでおにSF漫画を書かせた編集さん

>そら、おいらだ。

実はこのブログに最初に来た切っ掛けがそれでした
シベール、吾妻ひでお、某社のエロ本……あっしの人生に影響を与えまくってますw

貧乏人にはストレートに憎しみが沸く格差煽りが一番効く。
小学館は入社3年目で年収4桁って話をどこかで見かけた記憶があって探したんだけど2ちゃんころしか見つからない。

227 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日: 2001/03/26(月) 11:08
>180はなにも実態がわかってない。「小」の編集は20代後半で1000万超、
35で1500突破が標準。これに加えて、オイシーい経費。ポケ&ドラえもん
に加えていまはハムスターで、ぼろ儲けしているらしい。大学のゼミの悪友
の羽振りのよさに怒/怒/怒!
http://natto.2ch.net/mass/kako/981/981111394.html

【社名】   【30歳平均年収】 【社員数】
小学館     12,681,000   約840名
http://blog.goo.ne.jp/ambiguousworld/e/9eeba549124eb93ca8a84d9aa7a19dda

小学館、集英社ともに30歳代後半で平均年収は1000万円を超える。残業の多い編集者などでは30歳で1000万円を超える人も。
残業の少ない部署と比較して年収で300万円近く差がつくこともある。
http://zerogahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_f9c1.html

漫画も読まなくなったな。本とネットばっかり。
クリエイターはキチガイが許される数少ない業種だしね~。
キチガイの狂気と非現実な妄想が必要な世界だし、それをどんどん追いかけていけば現実とのバランスはさらに難しくなる。しかも孤独で将来の保障も無い。若い頃は大丈夫だけど、中年になったらどうなるんでしょう。

編集者って、午後出勤して深夜まで仕事とか良くあると思うけど、どこからどこまでが残業なんだろう?

この漫画家は途中で編集者が変わってた筈だけど、前の編集とは上手くいってたんかな?次の編集と上手くいかなかったんかな?
派遣の編集者はあんまりやる気ないだろうね。社員だって、小学館なら移動があるしね。

今の漫画業界に「新しいものを生み出そう」って空気、やっぱもう無いんかなぁ。すべて出尽くしたか。イルミナチーとか売国奴とかを倒して世界平和を目指し日本が生き残る漫画、誰か描いてください。人類の敵は魔界の王とか異星人じゃないですから。○00人委員会やら爬虫類的人類が敵なら許容範囲内です。ベンジャミンとオルタナ通信と大田龍さんに監修してもらって、世界の皆に元気玉をもらって人類の敵を倒しませう。オカルトと世界情勢と軍事と勧善懲悪盛り込んで、時々萌えの要素も織り込んで、目指せ電波発禁処分!

雷句は『黄金のガッシュ』の作者だよ。
クォリティも低くないし、アニメ化もされてる。
ガッシュベルがデビューなのではと思うが、
(増刊とかチェックしてないので短編とか先にあったらめんご)
新人を長編で巻頭デビューさせるからにはそれなりに手間暇かかってるはず。
手塩にかけて育てた挙句、担当者異動かなんかで次の人間がヘマやらかしたか?

作家の引き抜き合いも多すぎる。
『ブラックジャックによろしく』のときも話題になったが
久米田康治がマガジンに移ったときはのけぞった。
いつのまにかサンデーがヤンキーっぽく、マガジンがおたくっぽくなってるし。

出版社内の残業での年収差はしょうがないと思う。
週刊誌の奴らとかまじで寝てないし、寝てない生活を続けるうちに、部内の2/3の人間がクスリないと眠れない身体になったそーな。

「What's マイケル」が流行った頃から講談社のコミックモーニング読んでる
けど、モーニング2とか増刊とか月刊とか別冊とかやたら増えた。
で、流行りだした連載が急に移籍する。続きを読みたければ、アレもコレも
全部買うハメになる。馬鹿らしくなって全部止めたったw

http://88552772.at.webry.info/200806/article_2.html
これを読む限りでは、この作家は厳しい人だけどキチガイだとは思わないなぁ。むしろ当然の権利を主張したんじゃ。体質改善が出来るかは知らないけど。

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