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政府(厚労省他)


対象範囲で厚労相と異論―死因究明制度の法案大綱公表

 厚生労働省は6月13日、創設を検討している死因究明制度について、第三次試案の内容を法案化した「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」を公表した。同省医政局の二川一男総務課長は記者会見で、「医療者の根強い反論があるので、押し通すのではなく、皆さんが必要という形のものにしたい」と述べ、今後の議論のために法案化した場合のイメージを示したものだとした。舛添要一厚生労働相が死亡事故に限らず制度の対象に含めるべきとの見解を示したことについては、「現実の調査能力では難しい。死亡事故以外は今後の検討」と異論を示した。

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 二川課長は、法案大綱案について「これで固まったということではない。仮にこういった形のものもあるということ。今後さらに広く議論する必要がある。第三次試案の意見募集をする過程で、一層議論を深くやっていただくための、法案化した場合のイメージだ」と述べ、今後の議論のたたき台であるとの見解を示した。

 医療事故が起きた場合に原因などを調査する「医療安全調査委員会」(仮称、医療安全調)が警察に通知する範囲について、大綱案では、パブリックコメントでも「表現があいまい」との指摘が多かった「重大な過失」の文言が消えている。二川課長は「法案化すると『重大な過失』という用語より客観性ある表現の方がいい」と説明。大綱案では通知の範囲を▽故意による死亡または死産の疑いがある場合▽標準的な医療から著しく逸脱した医療に起因する死亡または死産の疑いがある場合―とした。
 「標準的な医療から著しく逸脱した医療」に該当するか否かの判断基準については、「病院、診療所等の規模や設備、地理的環境、医師等の専門性の程度、緊急性の有無、システムエラーの観点等を勘案して、医療の専門家を中心とした地方委員会が個別具体的に判断する」としている。二川課長は、「総合的に考慮して判断し、一律に決めるものではないという解釈になる」と解説した。

 これに関連して、厚労相が同日の閣議後の記者会見で、死亡事故に限らず制度の対象に含める必要性を指摘したことについて、二川課長は「第三次試案に基づく今回の医療安全調は死亡事故に限定している。死亡事故以外は現実の調査の及ぶ能力を考えると難しい。死亡以外の事故は今後の検討課題」と述べた。

 また、厚労相が大綱案を基に第四次試案を作成し、これを法案化した上で臨時国会に提出したいと述べたことについては、「わたしどもとしては、国民の多くや、医療者の根強い反論があるのに押し通すのではなく、皆さんが必要という形のものにしたい。(第三次)試案に基づく大綱案なので固まっているものではない」と語った。

■都道府県知事に行政処分権限

 第三次試案に対するパブリックコメントに多く寄せられた指摘に対する回答と、大綱案の要点の解説を掲載した「第三次試案に寄せられた主な意見と大綱案のポイント」によると、病院などでのシステムエラーに対する行政処分については、医療法を改正し、都道府県知事が再発防止や医療の安全確保のために必要と認めた場合は、改善計画の提出や必要な措置を取ることを命じる権限を創設するとした。個人に対する行政処分は、医療安全調が公表した調査報告書を基に、厚労省が医道審議会の意見を聴いて判断するとしており、医療安全調による調査とは独立しているとした。このため、「仮に医療安全調を厚労省が所管する場合でも、調査と行政処分は分離される」という。

■刑事免責「現段階は困難」

 パブリックコメントで多かった、「医療には業務上過失致死罪を適用すべきではない」「遺族が告発しても、医療安全調が通知しない場合には、警察は捜査に着手できないよう法制化すべき」などの意見に対しては、「どのような行為が刑事処分の対象となるかは、一義的には刑事行政において検討されるべきものであるが、故意や重大な過失があったにもかかわらず、医療者についてのみ刑事責任を問われないとすることについて、現段階で国民の理解を得ることは困難」としている。

 これに関連して、二川課長は「第三次試案は、(厚労省)単独でやっているのではなく法務省や警察庁に了承したと明記している」と強調した。記者会見で別添資料として配られた第三次試案の表紙の下部には、これまでなかった「本試案の内容は、厚労省、法務省、及び警察庁の間で合意したものである」との記載がある。

 会見は、「大綱案のポイント」を二川課長が読み上げる形で進められ、説明は約15分で終了した。


更新:2008/06/13 17:48   キャリアブレイン


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