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TICAD 4

2008年6月13日

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「仕組み」の経済学―16

 まるで朝貢を受ける中国皇帝を髣髴(ほうふつ)とさせた。就任以来頻発する内政問題で憂鬱(ゆううつ)な福田首相は、外交での挽回(ばんかい)を図って、アフリカ40カ国の首脳と個別会談を行い、第4回アフリカ開発会議(TICAD 4)の終幕では5年後にアフリカ向けODAを倍増する約束まで行った。

 役人と政治家の無駄遣いと失政のおかげで借金大国となってしまったこの国に、他国を援助する余裕などはもはやない。

 ODA順位が5位に転落したといって嘆くメディアや外務官僚に乗せられて、首相や外相が太っ腹な援助を約束するパターンを繰り返すことは、我が国のみならず、発展途上国のためにもならない。

 アフリカ援助は日米欧を問わず失敗を重ねてきた。巨額の援助資金の多くは、先進国の大企業が回収し、残りの大部分も独裁者の懐に消える。加えて、他国のODA支援には武器輸出が相当含まれているといわれている。

 残ったものは、巨額の債務負担と、開発に取り残され、飢餓と環境悪化とエイズや疫病に苦しむ極貧の住民である。それに民族と宗教とマフィアと武器商人が加わり、悲惨のスパゲティ国家が出来上がる。

 元々アフリカには、旧宗主国が様々な既得権益と人脈を有している。また、中国やインドは華僑や印僑が現地に根付いている。出稼ぎの商社マンとメーカーの販売社員ではアフリカに食い込むことはできない。金に困らなかった時代のODAですら、中国などでは感謝もされず、利権政治家と業界を喜ばしただけで、外交能力は全く向上しなかった。

 ODA5位転落に歯止めなどかける必要は、この国が経済・社会危機を乗り越えるまではない。(四知)

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