審査委員長を務める大みそかの「第47回輝く!日本レコード大賞」を2週間後に控え、突然姿を消した音楽評論家の阿子島たけしさん(65)=横浜市戸塚区、顔写真=が自身を非難する「怪文書」について、「誰が出したのかは分かっている」と、失踪(しっそう)前に周囲に話していたことが16日分かった。怪文書の真偽や、失踪との関係が問題になるなか、知人らは阿子島さんの安否に不安を募らせている。
阿子島さんは行方不明となった12日、午後9時半すぎまで、東京・新宿のホテルで行われていた演歌歌手の泉ちどりさんのディナーショーに出席。泉さんに誘われて壇上に上がり、あいさつもしていた。
 阿子島さんの失踪直後、全焼した自宅=横浜市戸塚区 |
戸塚署の調べによると、その後、阿子島さんによく似た男性が午後11時ごろ、最寄り駅のJR戸塚駅(横浜市戸塚区)の改札を出るのを駅構内の防犯カメラが撮影していた。神奈川県警は阿子島さんが自宅に帰った可能性もあるとみて、足取りを調べている。
ディナーショーで同席した関係者によると、この日、阿子島さんは酒に酔ったり、元気がなかったりするなど変わった様子はなく、怪文書を話題にすることもなかったという。だが、阿子島さんはそれ以前に、文書について気になる発言をしていた。
失踪の数日前、阿子島さんは都内での業界関係者との会合に出席。その席上、問題の怪文書について、「出した人間は分かっている。詳しいことは後日話す」と語っていたという。
文書の出所をめぐって、業界では、同業者などの関与がうわさされているが、真相は不明だ。「音楽業界有志一同」という差出人や内容もうさん臭さが付きまとうが、阿子島さんの知人のひとりは「まったくのでたらめというわけでもない」と指摘する。
 12日深夜、阿子島さんとみられる男性を捉えていたJR戸塚駅の防犯ビデオ |
この知人は、夕刊フジの取材で怪文書の内容を初めて知ったというが、怪文書内で「自分の親の死去にあたり、評論家やレコード会社の社員に対し、香典を要求し、さらに振り込み先まで指定した」という個所について、「このエピソードは、阿子島さん本人がよく話していた」と明かす。
さらに、「阿子島さんは、社交辞令で『今度ゴルフでもやりましょう』といわれたとき、相手の意向もくみ取らずに、手帳を取り出して『いつにする?』と強引に話を進めようとするような行動をとることもあった」とも話す。
「でも、『ガハハ』と豪快に笑う明るい性格で人気があったのも事実。とにかく無事であってほしい」。知人は心境をこう口にしている。
ZAKZAK 2005/12/16