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【年金問題】

社保庁改革案 『公務員温存』『支給漏れの恐れ』

2007年5月9日

 社会保険庁改革をめぐる政府案と民主党の対案が審議入りした八日の衆院本会議で、政府と民主党はともに、相手の法案の弱点を突き合った。二〇〇四年の参院選では、年金問題への対応が勝敗に大きな影響を与えただけに、再び参院選を前にした社保庁改革の論戦は、双方、一歩も引かない構えだ。(新開浩)

 政府が民主党案との違いを最も強調したのが、社保庁を非公務員型の公法人に改める点。不祥事を重ねた社保庁の人心一新をアピールするとともに、公務員労組の支持を受ける民主党のイメージダウンを狙う作戦だ。

 民主党案の柱となる歳入庁構想では、職員の身分は国家公務員のままとなることから、安倍首相は答弁で「さまざまな問題があった社保庁を公務員組織のまま温存する案だ。規律の回復や事業の効率化の観点から、われわれには採り得ない案だ」と切り捨てた。

 一方、民主党の質問からは、国民の年金不信を追い風に、議席を大きく伸ばした〇四年参院選の再現を狙う作戦がみて取れた。

 同党の長妻昭氏は、年金加入者の基礎年金番号に加入記録の一部が統合されず、年金が減る可能性のある「統合漏れ」問題を追及した。

 今年三月末までの七カ月間に約二百十五万人が社保庁に加入記録の相談を行い、そのうち約二十八万人に「統合漏れ」があったとのデータを示し「本人がすべての記録を正確に申告しなければ、正しい年金が支給されない恐れがある。とんでもない問題だ」と強調。首相から「年金記録の重要性に関する民主党の考え方は、十分参考にさせていただきたい」との答弁を引き出した。

 また山井和則氏は、民主党案が「公務員温存」だとの批判に対し「今でさえ加入記録が分からないのに(政府案通り)特殊法人化すればさらにうやむやになる」と反論。政府案では、年金保険料を新組織の事務経費に充てることができる点についても、保険料流用の不祥事が繰り返される可能性があると指摘するなど、強気の姿勢を貫いた。

 

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