県は12日、県立須坂病院(須坂市)で2005年、大腸がんの手術を受けた30代男性が再入院後に死亡する医療事故があり、損害賠償として遺族に5500万円を支払うことで和解が成立したと発表した。04年7月には同病院で治療を受けた70代女性の手に障害が残る事故もあり、この女性に800万円を支払うことも明らかにした。
県病院事業局によると、男性は05年5月16日に大腸がんの手術を受け、術後経過に異常がなかったため同月28日に退院した。しかし、2日後に腸閉塞(へいそく)を起こして再入院。6月1日に敗血症性ショックで亡くなった。
県は同月26日、外部委員らでつくる医療事故調査委員会を設置。委員会は同年12月に「敗血症の原因は(細菌や有害物質が体内に侵入する)バクテリアルトランスロケーションなどによると考えられ、早期に手術に踏み切るべきだった」との報告書をまとめた。
県庁で12日に会見した同局の北原政彦次長は「病院としては精いっぱいの治療を行い、避けられない合併症だったと考えているが、(再手術の必要性を指摘する)事故調査委の報告に基づき過失を認めざるを得ない」と説明。須坂病院の斉藤博院長は取材に対し、「術後の合併症に関する説明の徹底など再発防止に取り組んでいる」と述べた。
04年7月の医療事故は、女性の骨折した腕をギプスで固定する治療をしたが、手が開かなくなる障害が残った。県は「ギプスの巻き方や管理が不適切だった」として病院の責任を認めた。
県は19日に開会する6月県会に関連議案を提出する。