再発防止策を話し合う閣僚会合があったのは、秋葉原の事件から3日たってからだった。首相問責決議とその対抗策で頭がいっぱいだったにしても、頼りない内閣である 有効な防止策が出てくるといいのだが、またぞろ、社会環境が悪い、教育に問題があると、当たり障りのない議論で済ますのではなかろうか。ナイフの規制強化に乗り出すというが、いまに始まった話ではない 犯人が携帯電話に書き込んだというメールが「識者」の議論を呼んでいる。独りよがりの劣等感を連ねた幼稚な中身である。だが、当世の知識人は、そこから今の社会に対する若者の深い絶望を読み解き、警鐘を鳴らすのだから、恐れ入る 雇用不安を生む社会のひずみ、アキバ系と呼ばれる若者文化の害毒などを声高に指摘する。ナイフが、ネットが、ゲーム文化が悪い、と言う。揚げ句、キレる若者を生んだとして、政治に矛先が向かうことになる。石につまずいて泣く子の不注意をとがめず、石をしかって済ませる親のおかしさである 加害者まで「病んだ社会」の被害者にしてしまう風潮は、無差別殺傷事件に劣らず怖い。
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