12日の日豪首脳会談は、中国との協力関係を重視するリーダーが両国に誕生し、新しいアジア太平洋の秩序を模索する第一歩となった。懸案の捕鯨問題は、事実上棚上げし、融和ムードを演出した。
会談では、ラッド首相が「中国も含めたアジア主要国が幅広い問題を議論できる共同体を目指そう」と提案し、福田康夫首相も「中国が建設的に関与していくことが重要だ」と応じた。
新共同体構想はラッド首相の提案で、20年までに日米豪中印などで政治、経済、安全保障などで幅広く協力する枠組みを作ろうというもの。
安倍前政権で打ち出した日米豪3カ国の連携強化は、中国政府から「中国包囲網」と受け止められた。福田首相と、中国語に精通した外交官出身のラッド首相の登場で、両国の対中外交は路線が変わりつつある。今回の首脳会談は「中国包囲網」と見られた路線の軌道修正と言える。【古本陽荘】
毎日新聞 2008年6月12日 19時45分