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2008-06-11

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摩擦について

日頃参加する研究会や講演会は、自分たちの分野のみに限定された狭い範囲のものが多い。参加者は類似の研究をしている一部の研究者に限られ、殆ど顔見知りばかりで、出てくる意見や反応も予め想定された域を超えない。実績になるので発表するが、その意義についてはよくわからない面がある。

今回の会議は、十数団体の多様な研究分野の学会が協賛し、そのなかで計算力学に関する研究のみの発表であった。どれを聞いても全く別分野だが、全く異なる分野なのに、非常によく似た解析法を使っていたり、論文の全体的な流れは似ているが、その着眼点や手法、応用範囲が全く異なっていたりで、その違いがあって興味深いし、面白いものばかりだった。

その中の1件で、理学系の物理学が専門という方の研究発表があった。その方の研究は、「静止摩擦」と「動摩擦」という「力学」でいうところの、非常に「基礎的な内容」であった。我々は「摩擦」と「減衰」とを、エネルギーが無くなる現象として、殆ど類似のものと扱いそうだ。もちろん、数値モデルで扱う際は、たとえば速度をv, 垂直抗力をNと表示すると、「摩擦」については -μN(v/|v|)、「減衰」については-αvのように、もちろんそのメカニズムに応じた異なる式で表現している。しかし、意味合いとしてはエネルギーが徐々になくなる現象として扱っていることには変わりない。

ところが、その方の話は違っていた。

例えば単振動の振り子を考えると、速度に比例する減衰があると、徐々に揺れの幅が小さくなり、実現象としては静止状態になる。これを、「物理学1」の教科書を参考にして、運動方程式を解くと、「減衰振動」になり、指数関数的に振幅は減少して、0に限りなく漸近する。現実にはどこかで止まってしまうが、理論的にはどこまでたっても微妙に揺れており0になることは決してない。

しかし、摩擦の場合は、ある時間がたつと完全に0になって静止状態になる。ちょうど辞書を机の上で滑らすと、はじめは滑っているがじきに止まってしまうのと同じだ。それで摩擦を定式化することにかなりの難しさがあることがわかり、同氏はそれをしっかり定式化して見せた。こんな身近なところ、基礎の基礎のようなところに、最先端の「研究の種」が転がっていたに非常に驚いた。

この話を聞いて、私は自分の論文で、間違いとはいえないものの、方針を誤ったことに気づいた。私の計算では、エネルギー逸散の最大の原因はこの「摩擦」である。現場でエネルギー量を測定したら、実現象に解析結果を一致させるには、系全体に非常に大きな減衰のメカニズムを導入しなければならなくなった。それで、一般的な方法で摩擦をモデル化したが、摩擦のみでは実測値に一致する減衰効果を再現できなかった。それで、上述のような速度に比例する「粘性減衰」を導入し、その係数を通常より1桁大きくして、概ね現象に一致したというものだ。しかし、今日の話を参考にすると、私の論文は「無理矢理、現象に合わせただけ」ということになるのかもしれない。

工学の分野では、ついつい現象にあえばそれでいいと思いがちだが、やはり、基本的な理論が解った方はすばらしいと思った。

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おまけの話だが、パソコンでは計算速度が遅く、計算環境をどうしようかと困っている。分散処理の計算ツールについては、マイクロソフト社も遅ればせながら公開している(Microsoft Windows Computer Cluster Server 2003)。言語は、Fortran77、Fortran90、Cが使えるそうなので、研究用に購入しようかと検討中である。

実はある講演者に「どんな環境で計算しているんですか?」と聞くと、ソニーの「プレステ3」という。PLAYSTATION®3に搭載されたグラフィックチップCell/B.E.プロセッサ」の強力な演算能力によりLinuxを動かしているとのこと(おそらく「PLAYSTATION®3 Linux Information」のサイト)。Cell BEについて調べたところ、Cell BEは3.2GHzで稼働し、設計上は4GHz以上の周波数で稼働させることも可能で、計算能力はすさまじく、浮動小数点演算性能で256GFlopsを超えるという(出典「プレステ3に搭載、断トツ性能の「Cell」はITシステムを変えるか(2006/9/27))」より)。

プレステ3」のlinuxが本当はどの程度か確認した訳ではないが、計算は単精度だが、それでもインテルのDualコアよりは数十倍の高速演算ができるという。インストールには、かなり調べないといけないと思うが、わずか3万円の投資でそのスペックが実現できるのなら考えてもいい。

2008-06-10

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乃木坂の日本学術会議まで

研究発表のために、電車を乗り継いで、乃木坂にある日本学術会議まで行ってきた。今回の発表は「連成・複合現象のシミュレーション」というセッションに応募した。当初その担当の先生より「投稿しませんか」との連絡をメールで頂いたからだ。あまり考えずにそのセッションに応募してしまった。プログラムをみると「破壊力学」とか「離散体の力学」などもあり、研究の内容的にはそちらに近いと思う。

我々の計算の特徴は、ものすごく細かいところまで実物を忠実に再現したモデルを使っていることである。実物の1個1個の粒の形状までをmm単位で精密に三次元測定し、それを三次元モデルで正確に再現して、それらを数多く集めて5〜6mの実物大の構造を有するモデルとした。細かいところまで再現するとなると、適当にすませることが出来ず、測定もモデル作成もすべてのプロセスが手作業による。計算には汎用の解析プログラムを用いているので、方法としては難しくはない。しかし、モデル作成がかなり面倒くさすぎるので、通常の人にはやりたがらないところが特徴である。

スポーツなどの勝負ごとはルールやレギュレーションが、あらかじめしっかり決まっており、実際に試合をやっても勝ち負けは明らかだ。まして、体力や技が劣るものには勝ち目はない。今日の発表会も試合と言えば試合なのだが、研究の場合は、勝ち負けの規準が決まっていないところが大きく違っている。頭が切れる方は理論展開や難解な数値計算をすればいいが、体力が気力だけが売りという方は、勝ち目は無いかというとそうではない。非常に面倒な精密な実験や、ただ単に回数だけが多いというような繰返しの実験、体力がいる現状の調査など、いくらでも自分の得意な分野で太刀打ちできる。ルールもレギュレーションも自分で決めればいい。私は研究のそのようは自由度の大きさがいいと思う。

ところで話が今回のモデルに戻るが、我々のモデルには難点がある。モデルが細かく精緻にできているため、その微細な高周波の動きを再現することを考えると、1万分の1秒とか10万分の1秒単位の非常に小さな時間刻みで収束計算を繰返さねばならない。わずか1秒間の挙動を再現するのにも、数万回の計算を繰り返すことになる。50cm程度の小型モデルシミュレーションでも、パソコンベースでは軽く1週間程度かかってしまう。現時点では試験的な解析なので、1週間パソコンを動かしたままで、別の仕事をしておいて、1週間後に出来がどうかを確認するというのでも全く問題ない。

しかし、次の段階として、現状の20倍程度の大きさの実用的な解析モデルで、実時間10秒程度の挙動を再現するとなると、パソコンでは軽く数年はかかってしまう。それでスパコンPCの並列処理計算に移行するのは避けられない状態だ。実は、当初「投稿しませんか」と案内をくださった先生が、並列処理のプラットフォームや計算ツールをいろいろ公開していることもあり、今回の発表がスパコンPCの並列処理計算に移行する「きっかけ」にならないかと期待したからだった。

しかし、同じセッションでの講演内容をみると、スパコンパソコンでの多くのCPUを用いた並列解析プラットフォームを用いて、個体構造物と高温液体との連成解析、高周波電磁波の熱伝導連成解析、固体液体混相流など、いずれも圧縮性・非圧縮性、高温・低温の流体の流れが関与する超難解なものばかり。原子炉の高温・高圧で、液体成分も含む水蒸気の計算などが一番あいそうな内容だ。いわば、超難解な問題を、スマートな頭脳でもって、計算パワーをふんだんに使ってに解くというものだ。我々のように、「あまりに面倒すぎて誰もしたがらない」というのが特徴というような「ドロ臭い」研究はなく、かなり「場違い」との感じだった。

やはりセッションのことについては、純粋に「研究の内容」のみから考えて、それに付随する「打算」についてはあとまわしにするべきだったと思う。でも、当初案内を頂いた先生をはじめ、いろいろな方より有用なご指摘頂いた。「ダメ出しされてこと意義がある」という観点では、それなりの成果があったといえそうだ。

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共著者にしていたB君は会場に来ていない。同君が学会の発表会を「すっぽがした」のは、昨年別の会議についで2回目。ここ1年でも、現場での危険作業中の立会い時に立ったまま寝てたり、顧客への説明会へ連れて行ったら、会議室でプレゼンの最中に寝てたり、また、ほんの数ヶ月前には、出張先での顧客相手の報告会に、約束時間に30分以上遅れてきたこともあった。そういえば昨年の実物大試験では、現場に8時30分集合時刻に来てないので、電話したらまだ寝ていたこともあった。これだけ度重なると、本当に「大丈夫なの?」と思ってしまう。

通常の会社では勤務時間については厳しい。遅刻などについては、働き始めるとすぐに徹底的に叩き込まれる。遅刻を何遍も繰り返していると、何らかの懲戒の対象となる。ところが、いまの会社フレックスタイムで、朝は10時に出勤しても遅刻にならない。ルール上はあるのかもしれないが、遅刻しても上司が注意するだけで、会社が個人を処分することはないようだ。

B君の場合だと会社の隣に住んでいるので、9時半まで寝ていて、それから準備して出社しても遅刻にはならない。「セーフ」だ。ところが、今日のように、遠くの会場に朝8時30分までに到達せねばならないときは、少なくとも朝6時には起きないといけない。たぶん、朝目を覚ましたその時点で「アウト!」。すでにお手上げなのだろう。

懲戒」という強い「後ろ盾」が無い状態では、その場やその後注意しても、本人がよっぽどの覚悟で「肝に銘じない」限りは「後の祭り」にしかならない。「朝○○時に起きなさいネ」、「前の日は○○時に寝るんでちゅヨ」とか「○○ちゃん、朝ご飯はちゃんと食べまてきましたかー?」のような、衣食住などの基本事項や時間管理については、他人が入り込めないところがある。もう社会人なのだから、自分でやってほちいでちゅ。

2008-06-09

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「ダメ出し」のためのプレゼン準備

明日の講演会の発表内容を仕上げなくてはならない。概略は出来ているが、項目を絞らないと時間内に収まりそうにない。わずか10分しかないので、パワーポイントの枚数は10枚〜15枚というところだろう。今日、枚数を考えないで準備していたら全部で50毎程度、1時間ほど授業が出来そうな量になっていた。いまからまた作業開始。

学会での講演や論文発表の目的は、1つは、こんなにいいものができましたという会社の宣伝や自慢のため、もう1つは、考え違いをしてないかとか、新たな方向性を模索するための、いわゆる「ダメ出し」のためである。本来の目的は後者の方だと思う。研究所でも大学でも、強力なアイディアの持ち主であり、しかも金集めの得意な先生の下で、その人の研究の一端を任されて作業している段階では、研究内容については、そのグループ内で直属の上司を含めたところでディスカツションをすれば、およそ間違いの無い方向に進めることが出来るだろう。

しかし、そのような恵まれた環境になく、独り立ちして、授業をやりながら研究をするものや、社会人として仕事をもちながら研究するものにとっては、好き勝手にやれるという自由さの対価として、簡単なことでも相談できないという大きなハンディがある。ものすごく優秀かつ熱心な博士課程の学生でもいれば、十分な相談相手にあるが、なかなかそううまい条件とはいかないのが普通だと思う。相談したいことがあっても、自分と似た内容を研究している人は近くにはなく、結局、各種のシンポジウム研究会等で発表して、いろいろ意見を言って貰うしか、自分の研究の質を高める機会がない。

そこで、問題となるのは距離だ。研究会、委員会、講演会、学会等すべてのことが都内で実施される。都内の学校会社に勤務する人は、授業交代や外勤手続きをすれば、電車代だけで参加できる。ところが、地方に住んで、近くに同じことをする人がいないとなると、結局何かあるたびごとに、江戸時代参勤交代のように、わざわざ東京まで出てこないといけない。しかも、たった1〜2時間の研究会であっても、航空機の時間のことを考えると1泊2日は当たり前で、下手すると2泊3日になる。JABEE対応の授業では休講にも出来ず、授業の入れ替えだけでもたまったものではない。しかも予算枠で出る旅費は限られており、1〜2回の東京往復で完全に底をついてしまう。

転職する前の10年間ほどは、今思い返すと年に10回程度、たった数時間の委員会や発表会のためだけに、東京に足繁く通っていた。おそらく他のほとんどの参加者は出張もしくは外勤扱いだったのだろうが、私だけは出張ではなく「研修」という実に「怪しい」名目だった。本来、仕事の一環として参加しているのは間違いないので出張費がでても良さそうなのだが、予算がないので出張命令ではなく、その人が勝手に休んで行ったという扱いだ。出勤扱いにはなるが、旅費は1円もでない。1往復で7〜8万円かかるし、せっかくきたついでに紀伊国屋で本買って、さらに、秋月電気マルツあたりで数万円分の部品を買って帰る。好きで行っているので致し方ないものの、予算もないところでは、結局年間百万円近くの手差しを余儀なくされたことになる。

いまは一応都内なので、その点非常に便利になったなあと思う。しかも旅費も出るし、天と地ほどの「格差」がある。今思い返しても、地方に住んで一人だけで研究をするのはやはり大変だと思う。でも、そのようなことを続けていたおかげでいまの職にいるのかもしれないが、投資分相応かどうかはわからないものの、無理してでも出てきたおかげで、その間に得たものは大きいと思う。

ところで、プレゼンの話に戻るが、学生の頃は、発表してもあまり突っ込まれないとほっとしたことが多かった。でも、いまは、いろいろクレームをつけて貰った方が有難いと思う。いっぱい、山ほど、悪口言われて、ダメ出しされてこそ、講演をしたり論文発表した価値があるというものだ。

2008-06-08

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楽譜作成ソフト無償版をダウンロード

来週の日曜日にまたクラスタのフリーコンサートがある。先月演奏会が終わってすぐの頃は、曲目を決めて比較的よく練習していたが、ここ1〜2週間は気忙しくてあまり弾いていなかった。あと1週間じゃ当初予定していた曲は仕上がらない。曲目を考え直さなくてはいけない。

ところが、今週は、火曜から木曜までが学会の発表があり、懸案の社内報も仕上げる必要がある。月曜はボードメーカーとの相談、金曜は顧客との共同研究の打合せもある。さらに、当初予定していた執筆者が書けなくなったそうで、研究所の紹介冊子にも1編執筆せよとのことだ。課題が山積みの状況では、できれば避けたいところ。「原稿のことはご遠慮したいんですがダメでしょうか?」

それで今日は朝から原稿書きながら、ギター弾きながら、ビールを片手に、発表用のプレゼン資料を作成している。

アンサンブルをする予定で、先日頂いた楽譜を先ほどから見ていた。バッハダウランド、それにイギリスの古い民謡(だろうと思う)の楽譜で全部で5〜6曲ある。そのうち、比較的弾きやすそうなIrish Trad.の「The Sally Garden」の楽譜をみた。この楽譜は、主旋律と伴奏とが2段に分けて書いてある。まあそれはいいとしても、主旋律はト音記号の五線譜に、#が2個のイ長調の標記であり、一方、伴奏については(ギター伴奏がしやすいようにと考えたなのだろうか?)カポタストを2フレットつけて弾けるようにハ長調の標記になっている。どうしてこのようないらぬお節介をするのだろう?ギターイ長調が一番弾きやすい調なのだから、メロディーがD調ならば伴奏譜もD調のままでよい。このままでは、楽譜全部を書き換えないと、伴奏を弾きながら同時にメロディーの一部を弾くことが出来ない。がっかり。

MIDIのソフトに読み込めば、音程を変更するのは簡単だけど、私が使っているのは数年前に2〜3万円で買った旧版のシンガーソングライターで、手作業で入力するのがちょっと億劫だ。OCRスキャナの画像情報を文字として認識するように、スキャナで読み込んだ楽譜を音符として認識するソフトがないかと、ネットで検索した。「楽譜スキャニングソフト」とか「楽譜読取りソフト」というらしいが、数件ヒットした。たとえば、ヤマハのサイトでは「PhotoScore Ultimate 5 日本語版は、スキャナより読み込まれた楽譜の画像から音符や記号などの情報を認識し、編集可能なデータに変換する楽譜読み取り(OCR)ソフトです」とある。

「あったら便利」とは思うものの、それほど頻繁に使うわけじゃない。いずれのソフトも価格が4〜6万円程度でありちょっと考えてしまう。4〜6万円というと、パソコン本体がウン十万円したときのソフトの値段であり、ハードが5〜6万円程度でも購入できるようになった現在では、少々お高いのでは?との気がする。「楽譜読取りソフト」のことは、フリーソフト等もよく調べてから考えようと思う。

旧版のシンガーソングライターパソコンインストールしたが、OSvistaでは相性が悪いのだろうか?うまくいかなかった。楽譜作成にはいろんなものがあるが、製品版と同じ完成度のソフト「Finale NotePad」を「イーフロンティア」が無償で配布している。今回はそれを取り寄せてインストールした(イーフロンティアのダウンロードサイトへ)。まだ少ししか使っていないが、「使い心地は良好」だ。

セイシェルのJ.S.BACH リュート組曲全曲

バッハリュート組曲については、いろんなギタリストが演奏しているが、全曲通しのCDはそれほど多くはない。全曲通しのCDとしては、例えば西垣正信氏「J.S.BACH Complete Lute Suites, FMC-5044, 2940円」、田部井辰雄氏「J.S.バッハ リュートのための作品全集(J.S.BACH THE COMPLETE WORKS FOR LUTE)」などがある。

イェラン・セイシェル(Göran Söllscher)の11弦アルトギターによるギター作品集「Bach Works for Guitar, POCG-6078/80, ユニバーサルミュージック, 4500円」のなかにも、リュート組曲の全曲が収録されている。今日はパソコンで作業をしていたこともあり、作業しながらこれをずっと聞いていた。セイシェルの演奏は、バッハを原曲に忠実に演奏するために11弦ギターを特注したとされる。

第2番ハ短調(BWV997)については、かつて全曲弾けるようになりたいと練習していたことがあったが、結局そのままになっている。セイシェルの演奏は、繊細かつ緻密で、しかもどんな装飾音が入ってもリズムや拍が全くぶれない。軽いスラーの連続したところでは神への敬虔な気持ちを感じさせるし、また倍音を多く含んだ豊かな響きからは、穏やかな気品を感じさせる。余韻を含んだ音がないところの間合いは絶妙だ。理性的な演奏で、私は気に入っている。これもいつかは弾けるようになりたいけど、でも難しいかな?

2008-06-07

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久しぶりで

大学の時の4つ上の先輩から連絡があった。年賀状で連絡を取っていたのだが、ほんとうに久しぶりだ。今日東京駅の近くで、こちらに住む人で飲むとのこと。ちょっとだけ行ってこうようと思う。

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行ってきました。総勢20名近く。歳は同い年から10歳程度上まで。今となっては、見た目はそれほど変わらないように思える。いずれの方も、それなりの役職になっていらっしゃるようだ。しかし、学生時代の年齢の1つの差は大きいらしく、大企業の重鎮さんとなった現在であっても、年齢差は今も健在のようで可笑しかった。

「Bachianas Brasileiras No.5」 アリア

南米の著名な作曲家ビラ・ロボス(Heitor Villa-Lobos)の作品のなかに「ブラジルバッハ第五番のアリア(Bachianas Brasileiras No.5 Aria Cantilena)」がある。ブラジル民俗音楽メロディーを基本として、ビラ・ロボスが敬愛したJ.S.バッハの作風や対位法的なアレンジを取り入れた全9編からなる作品の1つである。第5番はもともと、8台のチェロ伴奏によるソプラノ独唱の曲であり、第1楽章「アリア」と第2楽章「踊り」の2つの歌曲からなる。

第5番の第1楽章アリアのところが、オーケストラを始め、いろんな器楽曲にも編曲されている。そのなかに、作曲者のビラ・ロボス自身がギター用に編曲し、さらにセゴビア(Andres Segovia)がアレンジしたといわれるソプラノ独唱のギター伴奏譜がある。ビラ・ロボスは、プロギタリストと同等のギターの名手であったということでも有名であり、このギター編曲の楽譜楽器の特徴を活かしたすばらしい完成度である。譜面ネットの通販サイトSheetMusicPlusより購入した。

「Bachianas Brasileiras No. 5 - Aria By Heitor Villa-Lobos (1887-1959), arranged by Andres Segovia. Guitar/vocal single for soprano voice solo and guitar accompaniment. A Minor. 7 pages. Published by Hal Leonard. (HL.50223640) ,$3.95. (ブラジルバッハ第5番「アリア」ビラ・ロボス作曲 セゴビア編曲.ギター伴奏によるソプラノソロ.イ短調, 7頁, Hal Leonard出版社, 品番 HL.50223640, 3.95ドル)(SheetMusicPlusのサイトへ)」

この曲については、ディアンス(R. Dyans)が、ギター用にアレンジした楽譜がある。これは、ファナの通販サイトで取り寄せることが出来る。

ブラジルバッハ第5番 アリア アンリ・ルモワンヌ HL-25189 R・ディアンス ソロ ¥1650 (ファナの通販サイトへ)」

ディアンスの楽譜を見ると、伴奏ソプラノ独唱のそれぞれのパートを、伴奏をト音記号の譜面で、ソプラノ独唱をヘ音記号の譜面で表している。でも楽譜の記載では「ギターソロ」となっている。(※このことについては詳細を調べた訳ではないので、私の勘違いかもしれない。その程度のものと思って読んでいただきたい。)

ト音記号の譜面とヘ音記号の譜面を同時に見るのは、ピアノに向かってなら容易に出来ることだが、ギターではなかなか大変。しかも、実際に2パート分を同時に弾いてみると、冒頭の部分は一人で弾けるけど、途中からどうしても一人では、手が届かない運指になっているように思える。それでディアンスの楽譜については、せっかく購入したけれども、私は途中であきらめてしまった。というよりは、ギターを弾きながら、ト音記号とヘ音記号の譜面を同時に見て運指を追うことがきつかった。

この楽譜も、伴奏譜のト音記号の譜面ギター1人で、ソプラノ独唱のヘ音記号の譜面を別の1人で弾いて、2台のギターアンサンブルとすれば弾くのは容易と思う。それにしてもディアンスはこの楽譜をどうやって一人で弾いていたのだろうかと思う。それとも、ソロの楽譜といって頼んだものの、違うのが届いたのだろうか?その後調べた訳ではないので、詳細はわからない。

ブラジルバッハ第五番のアリアについては、大萩康司CD「10弦の響(Les Dix Cordes)」のなかでも演奏されている(試聴)。今回取り寄せたセゴビア運指の楽譜譜例)では、冒頭のところは比較的容易に弾けるが、メロディーとの掛け合いとなる途中からはかなり難しい。この曲もいつかは弾いてみたい曲の1つである。