ごく普通の目立たない子供だった―。東京・秋葉原の無差別殺傷事件で逮捕された加藤智大容疑者(25)は青森市出身で小、中学校、高校と青森市内の学校に通った。同容疑者が3年間通った高校は県立進学校。当時学年の副主任だった教頭(59)は9日、同容疑者の高校時代について語った。
 教頭によると、加藤容疑者は1998年4月入学。2年生の文系、理系選択で、同容疑者は理系を選択した。同校は、ほぼ全員が4年制大学への進学を希望する中、2001年3月に卒業し、岐阜県内の自動車関連短期大学に進学した。
 教頭は「在学中に非行事実などはない。成績も良いわけでもないし、悪いわけでもない」と生活態度を話し、「心配だった生徒であれば記憶に残るが、問題もなかった」とした。その上で「他の生徒から孤立することもなかった。事件を起こすことは信じられないし、考えられない」と肩を落とした。
 同容疑者の高校の同級生(25)によると、中学校時代はソフトテニス部に所属、高校時代も同部に入部したが、途中で退部。将棋部にも所属していたという。同級生は「基本的におとなしい感じ。時々、感情の起伏の大きい時があったが、他人に当たったりすることはなかった。まさかこんなことに…」と話した。
 一方、加藤容疑者の実家周辺に報道陣が大勢詰め掛け、騒然とした雰囲気に包まれた。近所では「家庭環境も影響したのでは」といぶかる声も聞かれた。
 加藤容疑者を幼少のころから知る女性(64)は「(加藤容疑者の)お母さんはおとなしい人だが、お父さんは厳しい人だと聞いていた。14―15年ぐらい前か、彼(加藤容疑者)が小学生のころと思う。あいさつをきちんとする、礼儀正しい子だったが、今回の事件は家庭環境のせいもあったのだろうか…」と神妙な表情で語った。
 別の付近住民は加藤容疑者の両親について「奥さん(加藤容疑者の母親)とは顔を合わせるとあいさつしていた。最近姿を見なくなったと思っていたら、先週『家にはだんなさんしかいないらしい』と聞いた」とけげんな表情。「離婚したとの話もあるが」と話す住民もいた。
【写真説明】加藤智大容疑者