県内の34の公立病院のうち、医師不足のため診療制限を実施している病院が20カ所に上ることが、県医療福祉計画課の調査で分かった。西三河南部(岡崎市や碧南市など7市4町)地域では5医院のうち4医院で時間外の救急患者の受け入れ制限や、一部の診療科で入院患者の受け入れ休止をするなど、深刻な状況が浮き彫りにされている。【月足寛樹】
公立病院の地域連携の在り方を協議していた有識者会議の中間報告「公立病院等の地域医療連携に向けて」の中で明らかにした。報告書は「救急医療体制の確保が最大の課題」と指摘しており、公立と民間の医療機関の役割の明確化や、外来と入院の機能を分ける医療体制の構築などを提案している。
診療制限のうち、最も多かったのが一部の診療科での入院の休止で、9医院が既に受け入れを中止している。また、産婦人科医の不足で問題となった分娩(ぶんべん)の休止も5医院に上った。地域別では特に三河地域で目立ち、11医院のうち8医院で制限していた。
一方、報告書は救急医療体制と患者の意識の乖離(かいり)にも言及している。患者は時間外でも専門医を求める傾向が強く、軽症患者の時間外受診が増加している。昨年度の県の調査では、時間外の受診患者のうち、入院が必要だったのは11%に過ぎなかったという。
報告書は「救急医療に携わる医師の負担が増加し、本来の救急医療機関としての機能が阻害される」と指摘。「医師が救急医療の現場を去ることが懸念される」と警告している。
毎日新聞 2008年6月12日 地方版