日本と北朝鮮の外務省実務者による公式協議が11、12両日、北京で開かれる。拉致や「過去の清算」問題など双方の関心事を議論する。懸案の拉致問題で具体的な「進展」を求めている日本側に対し、北朝鮮側がどう対応するかが注目される。
公式協議は、昨年9月の日朝国交正常化作業部会以来。7日の非公式協議に続き、日本から斎木昭隆外務省アジア大洋州局長、北朝鮮から宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使が出席する。
高村外相は10日の記者会見で「相手側が大きく一歩踏み出して具体的な行動をとれば、我が方も大きく踏み出した具体的行動をとる」と述べ、拉致問題の進展次第で制裁緩和などの見返りを検討する考えを示した。
関係筋によると、北朝鮮側が日航機「よど号」ハイジャック犯の引き渡しなどを提案する可能性もあると見られる。米国はこの問題を、北朝鮮のテロ支援国家リスト指定の理由の一つとしている。警視庁はメンバーの一人を、有本恵子さん拉致事件の容疑者として国際手配している。
北朝鮮にすれば「よど号」問題を今回の協議に持ち出せば、日米双方との関係を同時に進展させるカードになりうるとの狙いがある。対日本では、対北独自制裁の緩和や人道支援などの足がかりもつくり、拉致問題に対する追及をかわしたい考えだ。ただ、日本側は、ハイジャック犯の引き渡しは「拉致問題の進展とは言い難い」(高村外相)との立場だ。(玉川透、牧野愛博)