日朝の外務省実務担当者による公式協議が11日、北京で始まった。日本側は拉致問題の前進を求めたほか、日航機「よど号」ハイジャック犯の引き渡しを改めて要求した。北朝鮮側は12日午前の協議で正式に立場を表明すると応じた。
協議は、日本から斎木昭隆外務省アジア大洋州局長、北朝鮮から宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使が出席し、北京の北朝鮮大使館で約2時間半にわたって行われた。
斎木氏は協議を終え、記者団に「北朝鮮側の雰囲気も真剣で、率直に意見を述べ合った」と語った。
この日は、日本側の要望で拉致問題を中心に取り上げた。日本側は生存者の全員帰国や真相究明、実行犯の引き渡しなどの主張を詳細に説明した。
双方は、02年9月の日朝平壌宣言に基づき交渉を進めることを再確認。12日の協議では、北朝鮮が関心を寄せる「過去の清算」問題も取りあげることで一致したという。
日朝関係筋によると、北朝鮮側は、米国によるテロ支援国家指定の理由の一つになっている「よど号」実行犯の日本帰国を今回の協議で実現したい考え。さらに拉致被害者の調査再開もにおわせながら、日本に対北朝鮮独自制裁の解除を迫るとみられる。今回の協議で一定の前進があれば、合意文書をとりまとめることも検討しているという。
ただ、日本側としてはよど号犯の身柄の引き渡しと拉致問題は直接関係しないとの立場をとっている。(玉川透=北京、牧野愛博)