「自己愛強すぎる」加藤容疑者“心の闇”専門家が分析
2008/6/11 17:01 自らを「携帯依存」と呼び、5月中旬以降だけで約3000回に上った加藤智大容疑者(25)の携帯サイトへの書き込み。ほかにアクセスする人もなくなり、「やりたいこと殺人」「彼女がいない。それがすべての元凶」と自己暗示のように凶行に走っていた書き込みを専門家はどうみるか。
加藤容疑者の特異な恋愛観、女性観について、臨床心理士の矢幡洋氏は「自己愛が強すぎるところに原因がある」と分析する。
通常、自己愛の強い男性は女性を次々と誘惑することを快感とするプレーボーイ系の人物が多いという。ところが加藤容疑者の場合、自分の容姿に対する不満から女性へ積極的に接する機会をつかめず、殻に閉じこもってしまった。
「そのため女性に対する執着が強く、掲示板には彼女がいないことに繰り返し触れている。結局、女性と親しくできずに自らの容姿や社会の不平等に対する憎悪をふくらませていった」
どのように強烈な自己愛に陥ったのか。矢幡氏は「親が過剰にチヤホヤしたりすると『自分は特別だ』との意識が強くなり、自己愛が強くなる」と指摘した。加藤容疑者は親からの束縛の強さについても頻繁に不満を漏らしていた。
こうして自分のことしか考えず、他人は自分に視線を送るべきギャラリーとしか考えられない性格が形成された。だが、犯行前にメイド喫茶の女性に渡したのか、サイトでは≪安い指輪なのにめちゃくちゃ喜んでくれてた≫と素直な喜びを記してもいた。
「自己演出を必要としないシンプルな対人関係を欲しているのが、素朴な驚きから伝わってくる。でも、結局は素直になれない自分がいて、ゆがんだ自己愛をより強くしてしまった」
最後には自分に関心を寄せない「ギャラリー」への憎悪を爆発させた。
若者の犯罪に詳しいノンフィクション作家、藤井誠二氏は「書き込みを見ると、誰か止めてくれるんじゃないかとコミュニケーションを求めていたふしがある」と分析。だが、「むしろバカにされ、あおられるのがネットの特性だ」と指摘する。
容姿や仕事への不満を書き連ね、「絶対的に変わることもはい上がることもできない階層に自分で自分を固定化し抜け出せなくなった」かのような独白に「強烈なコンプレックスがみられ、自分に何もしてくれない社会を許せない逆恨みとしての事件があったのではないか」と推察する。
「顔が良くて背が高く、と一昔前の『3高』のような印象。昔に戻ったような感じを受ける。容姿に自信がなければ、話術を研こうとかいまの若者にはむしろ強度があるのに」と現在の若者との乖離をみる。
「何でもやればできるという幻想を植え込まれ、いざ地方から出たとたん普通の人になることに耐えられない地方の“できる子”にみられる挫折感もある」
内省的な記述から無差別殺人に飛躍した加藤容疑者。「ストレス発散の手段がいきなり無差別殺人に結びついている。『世界を破壊する』幼児的な全能感は大人になれば矯正されるはずなのに幼稚なまま25歳になった。彼にとっての社会は何だったのだろうか」
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通常、自己愛の強い男性は女性を次々と誘惑することを快感とするプレーボーイ系の人物が多いという。ところが加藤容疑者の場合、自分の容姿に対する不満から女性へ積極的に接する機会をつかめず、殻に閉じこもってしまった。
「そのため女性に対する執着が強く、掲示板には彼女がいないことに繰り返し触れている。結局、女性と親しくできずに自らの容姿や社会の不平等に対する憎悪をふくらませていった」
どのように強烈な自己愛に陥ったのか。矢幡氏は「親が過剰にチヤホヤしたりすると『自分は特別だ』との意識が強くなり、自己愛が強くなる」と指摘した。加藤容疑者は親からの束縛の強さについても頻繁に不満を漏らしていた。
こうして自分のことしか考えず、他人は自分に視線を送るべきギャラリーとしか考えられない性格が形成された。だが、犯行前にメイド喫茶の女性に渡したのか、サイトでは≪安い指輪なのにめちゃくちゃ喜んでくれてた≫と素直な喜びを記してもいた。
「自己演出を必要としないシンプルな対人関係を欲しているのが、素朴な驚きから伝わってくる。でも、結局は素直になれない自分がいて、ゆがんだ自己愛をより強くしてしまった」
最後には自分に関心を寄せない「ギャラリー」への憎悪を爆発させた。
若者の犯罪に詳しいノンフィクション作家、藤井誠二氏は「書き込みを見ると、誰か止めてくれるんじゃないかとコミュニケーションを求めていたふしがある」と分析。だが、「むしろバカにされ、あおられるのがネットの特性だ」と指摘する。
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「顔が良くて背が高く、と一昔前の『3高』のような印象。昔に戻ったような感じを受ける。容姿に自信がなければ、話術を研こうとかいまの若者にはむしろ強度があるのに」と現在の若者との乖離をみる。
「何でもやればできるという幻想を植え込まれ、いざ地方から出たとたん普通の人になることに耐えられない地方の“できる子”にみられる挫折感もある」
内省的な記述から無差別殺人に飛躍した加藤容疑者。「ストレス発散の手段がいきなり無差別殺人に結びついている。『世界を破壊する』幼児的な全能感は大人になれば矯正されるはずなのに幼稚なまま25歳になった。彼にとっての社会は何だったのだろうか」
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2008/6/11 17:14 更新