2007年5月1・11日号  第1901号

不十分な内容に公務労協は抗議
労働基本権の確立は正念場へ

公務員制度改革法案−国会提出へ−

 政府は4月25日、公務員制度改革関連法案を国会に提出した。しかし、法案は検討中の労働基本権問題には触れず、人事管理のあり方と再就職規制問題に限定したものとなった。全体的かつ民主的な制度改革が求められる中で、最も重要な労使関係の課題は切り離された格好だ。自治労の加盟する公務労協は、到底容認できないとしている。

大臣交渉を実施

 今法案は国家公務員法の改正案だが、地方公務員ももちろん無関係ではない。法案の内容は2つ。一つは、能力・実績主義に基づく人事管理の実施。もう一つは各府省による再就職あっせん禁止などを盛り込んだ官民人材交流センターの設置だ。
 地方公務員については、今法案の内容や地方の実態を踏まえ、今後速やかに必要な法案を提出すること、また労働基本権については引き続き、自治労岡部謙治委員長も参加する専門調査会で検討することが閣議決定されている。
 根本の課題は先送りの形だが、人事評価の基準や方法などを政令で定めるとし、実質的には能力・実績主義を押し付ける内容だ。公務労協はこれに異議を唱え、法案提出前の24日、渡辺喜美行政改革担当大臣との交渉を実施した。
 まず人事評価制度について大臣は「その設計、活用のあり方については組合と協議を行う」と表明。また労働基本権の保障については、「私としては労働基本権を制限している状態は正常ではないと思う。専門調査会では団結権、団体交渉権に加え、協約締結権、争議権を付与する方向での議論を期待する」と今後の協議には前向きな姿勢を示した。

基本権確立へ前進も

 政府は今後、専門調査会とは別に有識者会議を設置し、(1)専門スタッフ職の実現、(2)幹部の公募制、(3)官民交流の拡大、(4)定年延長などについて全体パッケージとし、国家公務員制度改革基本法の来年の法案化をめざすとしている。
 労使関係について明確な改革方針もない中でのパッケージ議論は、とても容認できない。しかし、政府も「(改革は)専門調査会の審議を踏まえて検討する」とし、4月24日にまとめられた専門調査会「議論の整理」でも、基本権付与に中立的だった立場から一歩踏み込み、「改革の方向で見直す」と明記された。渡辺大臣は今年秋頃の調査会最終報告を要望。基本権確立の取り組みはいよいよ正念場に入った。今後は専門調査会の最終審議、総理の下に設置される有識者会議の委員選定など含め、次期通常国会への対応を進める。