三重県伊賀市の診療所「谷本整形」で点滴を受けた患者が相次いで体調を崩し、1人が死亡した問題で、谷本広道院長が11日午前11時前、同院の中庭で記者会見し、10日夜、三重県警や伊賀保健所の事情聴取を受けた30代の女性看護師1人が院長に対し、「院長の指示に反して、点滴を作り置きしていた」と話したことを明らかにした。この看護師は、三重県警の事情聴取に対しても、同様の話をしているという。
専門家によると、薬剤を調剤して保管する場合、無菌状態を保つなど衛生状態が管理されていれば、作り置きをしても問題はない。だが、調剤の際に何らかの菌が混入した場合、保存している間に菌が増殖する可能性がある。薬剤が分離する恐れもあり、危険だという。
谷本院長によると、谷本整形では点滴液の作り置きを医療事故防止マニュアルで禁止していた。同院では1日に約300人を診療、100人以上の患者が今回の薬剤と同じ点滴を受けていたという。点滴は、8人いる看護師が担当していたが、他の7人が同様に作り置きをしていたかどうかはわからないとしている。
院長によると、5月23日に最初に患者が異常を訴えた段階から、すべての患者について容体の急変をその都度把握していたが、「点滴によるものではないのではないか」と判断し、9日まで保健所に連絡しなかったという。同院では問題の点滴の成分を5月9日に変えたばかりだった。
谷本院長はまた、2年前にも点滴を受けた患者が今回と同様の症状を発症する事態が2件あったことを明らかにした。これらも保健所に伝えていなかったと説明した。
伊賀保健所の中山治所長は11日、「(点滴)10個程度を朝作り置きし、しばらく置いて使っていたようだ」と話した。感染症の原因となるかは、「この程度の状況では感染症が広がるほど菌は増えないのではないか」と話した。
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三重県警は11日、死亡した市川満智子さん(73)=伊賀市島ケ原=の遺体を司法解剖して死因を調べるとともに、同診療所に同日午前から再度、捜査員を派遣して、任意で谷本院長や看護師らから事情を聴いている。
捜査1課などは、これまでの関係者の話や患者の症状などから、何らかの理由で院内で感染症が広まったとの見方を強めている。
三重県は、問題の点滴を受けたほかの患者の状況把握にも全力を挙げるとともに、同日午後、同診療所に立ち入り調査に入った。