三重県伊賀市の診療所「谷本整形」で鎮痛薬の点滴治療を受けた14人の患者が腹痛、発熱などの症状を訴え、1人が死亡した問題で、県と県警は点滴が原因の院内感染が起きたとの見方を強め、点滴に使うアンプルやチューブを研究機関に送るなどして原因を調べている。
また同県名張市の名張市立病院に10日夜、谷本整形で点滴治療を受けた伊賀市内の70代の男女2人が体調不良で入院していたことが新たに分かった。命に別条はないという。患者は少なくとも計16人となった。
三重県などによると、診療所からの聞き取りなどで▽点滴に使った鎮痛薬「ノイロトロピン」などのアンプルは調合済みのものが使われ、濃度や量を間違えた可能性は低い▽人為的に毒物などを入れた形跡は現時点では見つかっていない▽50人以上の患者が点滴を受けたのに、発症者は60~80代の体力の落ちた高齢者に集中--などが判明。細菌感染が起きたとの見方を強めた。細菌感染と関連して起きる敗血症の症状の患者も複数いるという。
5月23日に最初の患者が出ていながら、県が認識したのは伊賀市の上野総合市民病院の医師が伊賀保健所に通報した今月9日。県が谷本整形に診療自粛を要請するまでさらに1日かかった。【傳田賢史】
毎日新聞 2008年6月11日 12時15分(最終更新 6月11日 12時26分)