【ロンドン=土佐茂生】英BBCは9日、英政府がイラク駐留英国軍を年内にも完全撤退させること検討している、と報じた。国防省は「何も決まっていない」としているが、正式に決まれば、ブッシュ米政権にとって大きな痛手となりそうだ。
報道によると、政府は7月にまず、現在の4千人から規模を縮小することを発表。さらにバスラ周辺の治安改善が進めば、年内に完全撤退を決める方向で検討しているという。
ブラウン英首相は昨年12月までに、治安維持を担当していたイラク南部4州の権限をイラク当局に移譲。今春には2500人まで削減する計画だったが、権限移譲後にバスラの治安が悪化し、削減計画を中止していた。
今月8日に約7800人を派遣するアフガニスタンで英兵の死者数が100人を超えたこともあり、政権内に「イラクでの軍の負担を軽くするべきだ」との声が出たとみられる。