職場に菓子専用のボックスを置き、商品を取り出すときに代金を入れる――いわゆる“置き菓子”が花盛りだ。菓子メーカー以外の企業も参入するなど、オフィスでの置き菓子戦国時代を迎えようとしている。
置き菓子ビジネスの火付け役といわれているのが江崎グリコの「オフィスグリコ」。BOXを設置する費用は不要、商品はすべて1個100円、商品を取り出すときにお金を入れるというもので、1週間に1回程度サービススタッフが商品の入れ替えや代金の回収を行うシステムとなっている。代金の回収率は95%、未回収分はほとんどが入れ忘れだという。
すでに9万8000台がオフィスに設置されているというこのサービス、「菓子を食べる場所の約2割がオフィス」というデータがきっかけとなり、10年前に始まったものだ。現在、年間で売上30億円というビジネスに育っている。
この“甘い”置き菓子市場に、他社も続々と参戦。森永乳業ではオフィスに専用の冷蔵庫を設置し、プリンやヨーグルト、カフェラテや牛乳といった商品でサービス展開をしている。4千店ある系列の牛乳販売店のネットワークを生かしているため、新規に人員を増員せずに取り組めたのも見逃せない。コンビニでは売っていないアイテムや健康志向の人向けに特定保健用食品を販売するなど、他社との差別化をはかり、年内に1万台の設置を目標としているという。
また千趣会も、昨年より「ちょこたべBOX」の名称でサービスを開始。菓子だけでなく、オリジナルのスープや栄養調整食品をラインナップしている。価格は100円、150円、200円の3タイプ。2008年5月現在約2万台を設置している。
意外にも「購入する人の7割が男性」(江崎グリコ広報部・渡辺氏)という置き菓子。利用者の声を聞くと、「仕事の合間の甘いもの補給で脳をリフレッシュできるし、気分転換にもなる」(33歳男性)。また、「コンビニでの菓子のチョイ買いは恥ずかしい」(41歳男性)、「残業時に外まで買い物に行くのは面倒」(29歳男性)と、ビジネスマンの心理を突いたことが成功の要因といえそうだ。
だが、オフィスのスペースの利用という制限がある中、今後は新規参入組との陣取り合戦が予想される。しかし、この陣地を支配すれば菓子にとらわれない新たなサービスも可能となりそうだ。置き菓子戦国時代を勝ち残るのはどこか?今後の展開に期待したい。
(フジイナオキ)
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