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【社会】

点滴で1人死亡13人入院 三重・伊賀の整形外科

2008年6月11日 06時04分

 三重県伊賀市の整形外科診療所「谷本整形」=谷本広道院長(57)=で5月下旬から今月9日にかけ、鎮痛薬の点滴を受けた60−80代の男女14人が相次いで発熱や嘔吐(おうと)などを訴え、女性1人が死亡、13人が入院した。県や県警捜査1課などは医療事故や感染症の可能性があるとみて調べている。

 県健康福祉部が10日会見して明らかにした。谷本整形の説明によると、14人はいずれも腰などの痛みやしびれを抑えるために、鎮痛薬「ノイロトロピン」3ミリリットル、ビタミン剤「メチコバール」1ミリリットル、生理食塩水100ミリリットルを混合、かくはんした点滴液を静脈注射で投与したという。

 その直後などに腹痛や発熱、嘔吐、ふるえなどを発症。入院した13人は、5月23日に3人、6月2日に2人、6日に1人、9日に7人が市立上野総合市民病院などに救急搬送された。うち11人は、現在も入院中で治療を受けている。

 このほか死亡した女性は、同市島ケ原、無職市川満智子さん(73)。9日に同様の点滴を受けて帰宅し、10日昼ごろに自宅で死亡しているのを夫が見つけた。

 県警は10日、谷本院長ら関係者から事情を聴き、書類などの任意提出を受けた。11日に司法解剖して死因を調べる。

 谷本整形は1994年に開設。医師は谷本院長1人で、看護師は8人。県によると、谷本整形では通常、点滴液は谷本院長の処方に基づいて看護師らが調合し投与していたとみられる。

 関係者によると、薬などはそれぞれ調合する量ごとにアンプル(ガラス容器)に入っており、濃度などを間違えることはあり得ないという。ノイロトロピンは食欲不振や下痢、めまいなどの副作用が起きることもあるとされるが、県は「副作用で死亡した例は聞いたことがない」としている。

 県は9日午後、上野総合市民病院から県伊賀保健所への連絡で把握した。10日夜、会見した同病院の村山卓院長は「鎮痛薬の濃度や量で起きる症状ではない。重篤な感染症が起こったと推測している」と話した。

 県は10日、谷本整形に診察を自粛するとともに、同様の処方をした他の患者の症状を確認するよう指導した。伊賀市は10日午後11時、今岡睦之市長を本部長とする医療関係事故対策本部を設置した。

(中日新聞)

 

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