小学館の学年誌を僕は一年生から四年生まで毎月買って貰っていた。
近所の本屋のおじさんが毎月バイクで配達してくれたので発売近くになるとおじさんが待ち遠しかったものだ。
本紙のマンガもさることながらやっぱりふろくが楽しみだった。
マンガやなぞなぞの別冊、ソノシートレコード、組立式のゲーム、実験物や貯金箱等、盛り沢山のふろくであった。
なかでも印象深く今でも憶えている物が幾つかある。
今回はその中の『幻灯機』。
小学校一年生の時だったと思う。
小学館の学年誌「小学一年生」が届きお楽しみのふろくを取り出してみると幻灯機なるものがあった。
折り畳まれた型紙とセロハンぽいフィルムらしき物(男の子用が「ウメボシ殿下」だったかで、女の子用がなんかバレーのマンガだったように記憶)がセットで、真っ先に興味を惹かれ作ってみることにした。
一応本紙内にある組立図を見ながらやるのだが幼い僕は四苦八苦する。
パーツを抜き取りはめ込んだり糊付けしたり結構難しいのである。
因みに「のりしろ」と書いてあるのを見て当時の僕は「糊をここにしろ!」と命令口調で書いてあると思っていた。
近くに居た兄が興味を持ち手伝ってくれてやっと完成した。
完成した幻灯機にフィルムをセットし、懐中電灯を持ってきて幻灯機の後に突っ込みワクワクしながらスイッチを入れる。
しかし、何も起きない変わらない。(真っ昼間であるから当たり前ではあるが)
仕様がないので二人して明るくなったフィルムを眺めて楽しんでいた。
「あんまり面白くないな」と思っていると、遊び方の説明書を見たのか兄が「これは遊び方が違うぞ」と叫んだ。
お馬鹿な兄弟は幻灯機は暗い処でやる物とやっと気づくのである。
昼間だったので二人でごそごそ押入に入り込み懐中電灯を付けてみた。
なんと壁に映画の様に画が映るで僕は感動してしまった。
手動でフィルムを引っ張ると次の画面に変わるので映画を観ているようだった。
音声が無いから勝手に物語りを作り二人は弁士の様に語るのであった。
小学館のHPで『ふろく博物館』というサイトがあるので興味がある人は覗いてみては。
懐かしさがこみ上げる。